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★PS2ゲームレビュー★
一昔前ならコーエーといえば歴史シミュレーションをイメージしたが、近年ではアクションゲームをイメージする人も多い。その理由として考えられるのは、「真・三國無双」シリーズの爆発的な大ヒットのためではないだろうか。蟻のように群がる敵を斬り倒す、この単純明快なゲームシステムはプレーヤーに至高の爽快感を与えてくれるものであった。
その「真・三國無双」シリーズのゲームシステムをベースとし、舞台を「三国志」から「戦国時代」へと移したのが本作である。こう言ってしまうと、ただ舞台が変わっただけなのかと思ってしまうが、さまざまな改善点や新要素も含み新しい「無双」の世界を作り上げている。今回のレビューでは、本作の魅力とともに「真・三國無双」シリーズとの違いも紹介していこう。
■ 歴史に“if”を作りだす「無双演武」 メインとなる「無双演武」は、選んだキャラクタによって異なる視点から見た戦国時代を体験していくもの。ゲーム開始に選択できるキャラクタは「真田幸村」、「服部半蔵」、「お市」、「上杉謙信」、「明智光秀」の5人。「真・三國無双」と比べると少ないかもしれないが、ステージ構成やキャラクタの個性などに大きな違いがあり、妥当な人数ともいえる。
操作方法であるが移動は、方向キーか左のアナログスティックで行なう。攻撃などは、通常攻撃が□ボタン、特殊技であるチャージ攻撃が△ボタン、無双奥義攻撃が〇ボタン、ジャンプと馬の乗り降りは×ボタン。攻撃の基本形となるのは、通常攻撃の後にチャージ攻撃を繰りだすことで連続チャージ攻撃となる。つまり、□ボタンと△ボタンを連打しているだけで多彩な攻撃をくりだすことができてしまうといった感じだ。これは「真・三國無双」シリーズから受け継がれているシステムで、操作を簡略化させ、誰にでも気楽に遊べるよう配慮されている。 では、「真・三國無双」シリーズから変更された点はというと、相手の攻撃などを緊急回避するR2ボタンが追加され、弓の矢数が無限となった。また、「真・三國無双」シリーズでは画面上に敵や味方などが多数表示されたときなど、どれが敵なのかわからなくなってしまうことがあったと思う。この状態を防ぐための手段として敵キャラクタの頭上にライフゲージをだすことができたが、ステージごとにボタンを押して表記の有無を確認しなければいけないという欠点があった。本作では通常設定でライフゲージが表記されている状態となっている。 ステージは「川中島の戦い」、「本能寺の変」など有名な戦史を舞台をしている。例えば、「真田幸村」を使って「川中島の戦い」をプレイしてみると主君である「武田信玄」により、“妻女山へ奇襲をかけろ”、“急いで八幡原に帰還せよ”といった細かい指示(ミッション)が発せられる。この指示通りに動くことで戦場が有利になったりもするが、腕に自信があるプレーヤーなら指示を無視してひたすら斬りまくるのもいいだろう。また、「服部半蔵」に代表される忍者という位置づけのキャラクタは、城などに忍び込んで情報収集を行なうといったステージもある。こちらは敵に見つからないように行動するのが目的となっており、敵を斬りまくる「真・三國無双」シリーズでは考えられなかった大きな変更点といえる。
1つのステージが2つに分かれることもこともある。これは前半戦はフィールドをメインに戦闘を行ない、後半戦は城内戦がメインとなる。こうなると1ステージクリアまでに時間を要するが、救済処置として前半戦終了後にセーブができるので、必ずセーブしておくといいだろう。
■ 大きく変わったキャラクタの成長 キャラクタの成長システムは、「真・三國無双」シリーズと本作では全く違う。「真・三國無双」シリーズでは、ステージに隠されたアイテムを取ることで体力ゲージ、無双ゲージや能力値(攻撃力、防御力)が増えていきキャラクタが成長していった。本作ではキャラクタを成長させるためには、勲功値というものが必要となってくる。 勲功値を戦闘中に得るには3つの方法がある。1つは敵を倒すことであがる。ただし、身分のある敵(総大将、軍団長、武将、隊長など)を倒す必要がある。2つ目は勲功アイテムの獲得、3つ目はミッションの達成である。これらの結果が、ステージクリア後にクリアタイム、勲功アイテム獲得、ミッション達成、奥義評価といった4つの評価として計算されるのだ。クリアタイムはクリア時間が短いほど上昇し、移動力、騎乗攻撃力、騎乗防御力の能力が上がりやすくなる。勲功アイテム獲得は多くのアイテムを手にすることで上昇し、武器攻撃力、武器防御力が上がりやすくなる。ミッション達成は数多くのミッションを達成することで上昇し、跳躍力、回避力が上がりやすくなる。奥義評価は無双奥義を使用した際、敵の撃破数が多いほど上昇し間接攻撃力、間接防御力が上がりやすくなる。 また、ステージクリア後には技能ポイントを得ることがことができる。これは技能と呼ばれる能力を習得するのに必要となってくる。技能とは、習得することで個々の能力がアップする特殊能力のことだ。キャラクタごとに習得できる技能は決まっているので、選択されている技能の中から自分の苦手な部分を強化して行くといいだろう。
キャラクタを成長させる要素として武器の存在もある。武器は特定の武将を倒すことで獲得できる。武器には基本攻撃力のほかに、さまざまな付加効果がついているものもある。この付加効果の数値によりキャラクタの能力もアップする。
■ オリジナル武将を作る 「新武将」は、自分好みのオリジナル武将を作るモード。まず、用意された8種類のキャラクタモデルから気に入った人物を選択し、名前を付けるところから始まる。選んだキャラによって能力値が多少違うが、気にしなくてもいいだろう。 注目なのがここから先。作った武将はいきなり「無双演技」などで遊ぶことはできず、まず「修行」を行なう必要がある。「修行」とは一言でいうとミニゲームであるが、修行期間は1年間と決まっており最高で12回ほど「修行」を行なう。修行の種類は「剣豪」、「奥義」、「突破」、「舞闘」、「剛弓」、「心眼」、「馬術」9つの種類がある。さらに「初級」、「中級」、「上級」と分かれていて、低難易度のものをクリアすることで高難度の「修行」が行なえる。この「修行」によりキャラクタの能力は大きく違ってくるので、とても重要なポイントになる。
「修行」終わると今度は「登用試験」を2科目受けることになる。仕官する大名を選ぶことで試験科目が変化し、試験の点が合計100点を越えることで晴れて卒業となり、他のモードでプレイ可能となる。
■ 無限の楽しむが広がる「無限城」 「無限城」は、サバイバルモードとも言うべき城内戦。このモードには「奈落(ならく)」と「虚空(こくう)」の2種類のモードがある。「奈落」はある人物のいる地の底を目指し、「虚空」は定められた時間内にどこまで上の階に上がれるかを目指すというもの。 マップは入るたびに変わる自動生成で、難易度は選ぶことができないシビアな内容。ただし、「無双演武」などで育てたキャラクタを使用できるし、「無限城」で獲得したアイテムは他のモードでも使用できる。 また、「虚空」ではゲーム終了時には何階まで進んだかといった情報がパスワードとして残る。このパスワードをインターネットに入力することで他のプレーヤーと競争も行なうことができる。
このほかにも、ミニゲームを集めた「腕試し」や対戦をプレイを楽しむ「仕合」などが用意されていて、やりこみ要素は豊富だ。
「真・三國無双」シリーズでも同様のことが言えたが、ストーリーの土台となっているのは戦史であるが、そこにコーエー独自のユーモアが加わり面白いまでの“if”の世界を充分に堪能できる。操作性の良さ、やりこみ要素の多さなどは「真・三國無双」シリーズで証明されているので、安心して楽しむことができる良作の1本といえるだろう。舞台が日本となったことでキャラクタにも親近感が沸き、「三国志」はちょとよくわからないからといって敬遠してたプレーヤーも親しみやすいのではないだろうか? これを気に是非一度はプレイしてもらいたい。
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□コーエーのホームページ (2004年2月13日) [Reported by 志賀康紀]
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