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★PS2ゲームレビュー★

今度の「無双」はアクションの面白さを追求!
「真・三國無双3 猛将伝」
  • ジャンル:タクティカルアクション
  • 発売元:株式会社コーエー
  • 価格:4,280円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(9月25日発売)

新たなゲームモードが複数追加され、遊びの幅が広がっている
 本作は「真・三國無双3 猛将伝」(以下、「猛将伝」)という作品名のとおり、2月に発売された「真・三國無双3」(以下、本編)の拡張版という位置づけにある。本編のソフトとプレイデータがあれば遊びの幅が広がることはもちろんだが、「猛将伝」単体でプレイが可能となっているため、必ずしも本編とセットで購入する必要はない。

 この「猛将伝」では、あえて三国志の世界設定を打ち壊し、シリーズ一番の持ち味である爽快アクションの面白さを高めることに重点を置いているように感じられる。ゲーム中の操作方法などの戦闘システムは本編から特に変更はないが、ゲーム内容は大きく様変わりしている。これらの拡張部分や新たなゲームモードなどの追加要素を中心にレビューを進めていこうと思う。

■ 新たに追加されたゲームモード

 猛将伝で新たに追加されたゲームモードは、「列伝モード」、「修羅モード」、それに「チャレンジモード・連闘」の3つだ。

・列伝モード

 各武将ごとに新たに作られたサブシナリオをプレイするゲームモード。本編のゲームデータを読み込めるので、本編のプレーヤーは最初から成長した武将で遊べる。内容は各武将に1つずつのステージが用意されており、それぞれ「無双モード」で語られたストーリーの隙間を埋めるようなシナリオとなっている。「猛将伝」には40人以上の武将が登場するので、全部で40本以上のシナリオが用意されていることになる。全武将を最強になるまで育てる! というような、やりこみ好きのプレーヤーほど多く楽しめるというわけだ。ただ、少数の武将で少しずつ遊んでいたプレーヤーにとっては、1キャラ1ステージという分量は少なすぎると感じるかもしれない。内容も1ステージ分相応でしかなく、新たなストーリーに期待していると、やや肩すかしを食らった気分にもなる。

 確かにストーリーの弱さはあるものの、その分やりこみ系アクションゲームとしては手抜きがない。このモードで一番の魅力は、本編では最強だったLv10武器を上回る性能を持った、Lv11武器の登場だ。入手方法はどれも本編のLv10武器を上回る難易度だが、それだけにやりがいがあるとも言える。本編を極めたプレーヤーへの挑戦状にも見えるほどで、まだまだ極みの見えない筆者は、実は1つも入手できていない……というと単なる恥さらしのような気もするが、それほど難易度が高いのだ。そのほかにも、本編には登場しなかったレアアイテムが複数追加されており、最強の武将を作り上げる楽しみがさらに増している。

 またこのモードで育てた武将を使って、本編の「無双モード」および「フリーモード」でプレイが可能となっている。本編と組み合わせれば、ゲームの幅がより広がるはずだ。

各武将が主役となるシナリオが1つずつ用意されている。意外な条件の戦闘も多く、単騎で素早く敵を倒すものや、逆に敵を倒してはいけないものもある

・修羅モード

 これまでのゲームモードとは大きく異なり、ショートミッションを次々とこなし、クリアしたミッションの数を競う。武将の成長要素もあるが、このゲームモードは「列伝モード」や本編のデータとはリンクせず、モード内だけで武将が成長していく。つまり本編の有無に関わらず、このモード専用に最初から武将を育てなおすことになる。一見すると面倒だと思われるかもしれないが、最初から遊べる新鮮さがあり、また武将の成長がかなり早いため、案外素直に楽しめる。

 ショートミッションは敵大将を倒せばクリアとなり、プレーヤーの操作する武将が倒されるとゲームオーバーになる。ただし途中セーブは中断のみで、再スタートをすると中断データが削除されてしまうため、やり直しが効かないシビアなシステムとなっている。

 また体力を回復するアイテムが出現しにくくなっており、さらにミッションをクリアしてもライフが回復しない。ミッションをクリアして報酬を手に入れ、合間に出てくるショップで回復アイテムを買ってライフを回復させるのだが、このアイテムも買えば買うほど値上がりしていくため、好きなだけ買うわけにはいかない。遊び方自体は他のモードと変わりないが、いかにダメージを受けず、かつ効率よく報酬を手に入れていくかがこのモードのポイントとなる。

 集中力のいるモードだが、単純に爽快感だけを求める気楽なアクションとは異なり、同じゲームとは思えない新鮮さを感じられる。かなり長く進んでやられてしまうと悔しさも大きいが、それだけ熱中して遊べるという証明でもあるだろう。

 また「修羅モード」は三国志のストーリーからは完全に離れており、本編での陣営や敵味方の区別も取り払われている。ランダムに生成されるショートミッションをこなす中で、ときには敵の大将として、ときには同行者を探す旅人として様々な武将たちが登場する。武将の性格はそのまま残されているためか、世界観が壊されたという違和感はなく、うまくゲーム性だけが高められている。

選んだ武将でミッションをこなしながら、ショップでアイテムを買って武将を鍛えていく。危機に陥った他の武将を救出して仲間にできるほか、自分の国を興す「建国戦」や、逆に国を守る「防衛戦」なども用意されている

・チャレンジモード・連闘

 一騎討ちで何人の敵を倒せるかを競うモード。時間制限はないので、倒されるまで倒し続けるだけというシンプルなシステムだ。ひとり倒すごとにライフは満タンまで回復するので、とにかく目の前の敵を倒すことだけ考えればよい。ただ本編のレビューでも挙げたとおり、筆者は一騎討ちの戦闘システム自体に不満を感じている。戦法が限られており、毎回同じような戦いにしかならないのだ。対戦格闘ゲームとして作られていないので仕方ないのかもしれないが、このモードが追加されたにもかかわらず、特に改良がなされていないことは残念に思う。

 ちなみに「連闘」を含めた全ての「チャレンジモード」で、育てた武将(修羅モードをのぞく)を使ってプレイ可能となった。以前はランキングの公平を期すためか、初期値でのプレイを強制されていたが、今回は武将を育てる部分も含めて競うことになる。

敵の攻撃を受け止め、確実にカウンターで反撃する。弾き返しや受け身などのテクニックも重要だ



■ システムの改良点

 Lv11武器やレアアイテムの登場は既に紹介したが、「猛将伝」には他にもシステム面の変更がいくつか加えられている。

 まず、全ての武将が初期状態から全員登場している。本編は特殊なルートでシナリオを進めていかなければ登場しない武将もいたが、「猛将伝」を買えばそれらの武将も使えるようになる。本編をやりこんだプレーヤーには関係のない話かもしれないが、まだ見ていない武将がいるというプレーヤーにはありがたい仕様だ。

 難易度設定には、「入門」と「達人」の2つの設定が加えられた。本編の3段階に加えて、前者は更に簡単な設定、後者は難度が引き上げられた設定だ。敵の攻撃力・防御力や思考ルーチンに影響しているので、「猛将伝」からスタートする方は「入門」で、本編を遊びつくしているベテランプレーヤーは「達人」で遊べば、どちらも満足できるはず。ちなみに筆者の感覚では、「入門」は簡単すぎてゲームになっていないが、「達人」はちょっと難しすぎるのでは、と感じるほどの大きな差がある。

 また見えない点の修正として、敵のアルゴリズムの修正が加えられている。簡単に言えば、敵の動きがよくなっているのだ。こちらのスキをついて攻撃してきたり、コンボで浮かせてさらに連続技に持ち込もうとしたりと、今までの防御から反撃に転じるだけの単調な敵とはまるで違う。これも高難度の設定ほど顕著に現れてくるので、ベテランプレーヤーも今までどおりに戦っていると痛い目を見るだろう。

 これらの修正点は、本編のゲームモードにも反映される。「猛将伝」のメニューから「オリジナルシナリオ」を選ぶと、本編のディスクを入れるようにと画面に指示が出る。これで本編の「無双モード」と「フリーモード」が、「猛将伝」システムでプレイできる仕組みだ。

 また、ゲーム本編とは関係ないが、オープニングデモの編集が行なえるようになった。デモの展開は本編と変わっていないが、登場する武将をカスタマイズできる。好きな武将の格好いいシーンを作って、心ゆくまで堪能して欲しい。

「大喬」など、本編で出現条件の厳しかった武将も初めから使用可能 難易度設定が5段階に。最初は「入門」から初めると、本作の楽しさがわかるはず オープニングデモをカスタマイズ。例えばこんなシーンも簡単に……




■ 「猛将伝」だけを買って遊ぶ

 本編は持っていないけれど、「猛将伝」だけを買っても楽しめるのか? ソフトの価格が約2,500円ほど安くなったので、この値段ならば手が出やすい。最新作が出たことだし、タイミングも悪くない。……そうお考えの方もおられるだろうか。

 これについては、十分にイエスと答えられる。ゲームモードが大きく変更されているものの、「真・三國無双」シリーズ最大の魅力である圧倒的な爽快感には、なんら影響を及ぼすものではない。「列伝モード」は本編のデータを引き継げることから見ても、本編を持っているプレーヤー向けのモードと言えなくはない。しかし合計で40種類以上のステージが用意されているわけだし、難易度も「入門」でスタートして育てていけばすんなりと入っていけるはず。「修羅モード」は武将を最初から育てることになるので、本編の有無は関係がない。「猛将伝」から始める方は、どちらかといえば「修羅モード」を中心にプレイしていくと楽しめるだろう。

 単品での弱点としては、ストーリー性の低さがある。三国志という物語を体験する(史実から外れたシナリオも多数あるが)には、「猛将伝」だけではかなり物足りない。ただ「修羅モード」で見られるように、ストーリー性を切り捨てたおかげで楽しめる部分もあるので、一概に欠点として挙げるべきものではない。ストーリーを楽しみたいという方は、「真・三國無双3」の「無双モード」をプレイしていただければ、その辺りの不満も解消されるはず。そうなると、「猛将伝」だけ、という当初の話から外れてしまうのだが……。


 「猛将伝」を強くお薦めしたいプレーヤーは2タイプ。本編をとことんまでやりこんでも、まだ熱の冷めないやる気満々のベテランプレーヤー。それと「真・三國無双」シリーズに触れたことのない方だ。前者は既にお話したとおり、かなりのやりこみ要素があるだけに、値段分以上に遊べるはず。後者は何といってもソフトの安さがウリ。先に「猛将伝」を買って遊んでみて、気に入ったら本編を買う、という順番でも問題なく楽しめる。遊び方によらず長く楽しめる作品なので、まずは「猛将伝」で「真・三國無双」の爽快感を知ってみてはいかがだろうか。

(C) 2003 KOEI Co.,Ltd.

□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「真・三國無双3」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/smusou3/
□「真・三國無双3 猛将伝」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/smusou3m/
□関連記事
【3月11日】コーエー、「真・三國無双3」が9日間でミリオンを達成したと発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030311/koei.htm

(2003年11月19日)

[Reported by 石田賀津男]


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