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ATI、新RADEONをアルカトラズ島で正式発表
両モデルに次世代FPS「Half-Life 2」フルバージョンをバンドル

9月30日開催



 ATI TECHNOLOGIES(以下ATI)は、現地時間の9月30日、サンフランシスコにおいて、新グラフィックスチップ(GPU)RADEON 9800XTとRADEON 9600XTの2機種を発表した。

 発表会に使われた会場は「ザ・ロック」の愛称で知られるあの有名なアルカトラズ島。その昔、多くの重罪人が投獄された連邦刑務所跡地だ。現在は観光地となっているが,なんと一般観光客を全て引き払い、島全体を貸し切った状態での盛大な発表会が行なわれた。

 ここで発表会が行なわれた理由はいくつかある。今回の発表イベントの名称は「TOP ON THE ROCK」。1つはアルカトラズ島の最上部にある刑務所施設でイベントを行なうから「TOP ON THE ROCK」というわけだ。もう1つこのイベント名には、新RADEONが雑多なビデオカード製品の中の最上位に立つという「TOP ON THE ROCK」という意味を含ませている節もある。

 さらに言えば、詳しくは別途レポートするが、今回発表された新RADEONシリーズと密接な関係にある3Dゲーム「Half-Life 2」の舞台として、アルカトラズ島とおぼしき場所(あるいは刑務所?)が出てくることも関係していると思われる。「Half-Life 2」のステージ構成については一切明らかになっていないが、下の写真を見比べてみると、その線はかなり濃いと見ていいだろう。

島へはフェリーを使って行くことになる。当然、これも貸し切りだ。フェリーの先頭にはATIマークの旗が掲げられた 遙か先に見える島。これがアルカトラズ島。フェリーに乗って15分ほどで到着できる
到着してからは観光客用のアルカトラズ島ツアーが催された 島の所々に落ちている「Half-Life 2」ロゴのマウスパッドのようなシート。他にDELLやATIのロゴもあった
発表会は刑務所内のシャワールームで行なわれた 突如、ゾンビが現れて会場内は騒然となる
展示ゲームを楽しんでいると暗闇からゾンビが出現して来場者を驚かすことも。このイベントに一体どのくらい金をかけたのか心配になってしまう アルカトラズ施設内の各部屋をお化け屋敷風にセッティング。各施設内に点々と配備してあるDELL製マシンで最新ゲームが楽しめた。展示タイトルは「FAIRSTRIKE」、「CHROME」、「Halo(PC版)」、「KOREAN WAR」など
左が今回の発表イベントが行なわれたアルカトラズの刑務所施設内の一角。右がゲーム中の1シーン。この類似性は意図的なもの?


■ RADEON 9800XTはRADEON 9800PROのさらなる高クロックバージョン

ATI Senior Vice PresidentのRick Bergman氏。RADEON9700PRO発表会以来、彼の強気のコメントは留まることを知らない
“King of the Hill”とは「お山の大将」の意。意訳するならば1人勝ちパフォーマンス……といったところか。ちなみに「XT」はEXTREME(過激な、最高の、極端な、の意)からきている
ASUSのRADEON9800XTカード。リファレンスデザインではなく、基板自体をASUS独自設計している点を強調していた
 RADEON 9800XTはRADEONシリーズの最上位モデルとなるもので、直接的にはRADEON 9800PROの後継モデルとなる。

 製造プロセスルールは0.15μm、これもRADEON 9800PROと同じで、物理設計をブラッシュアップさせることで高クロック動作を実現した。あえて言うならば、RADEON 9800XTは、RADEON 9800PROのリファイン版であり、さらなる高クロック版と言い換えてもいい。基本アーキテクチャに改変はなく、パイプライン数は8のまま、据え置かれている。プログラマブルシェーダモデルもバージョン2.0への対応となる。

 動作クロックはRADEON 9800PROの380MHzに対し、約8%高い412MHzとなった。RADEON 9700PRO(325MHz)→RADEON 9800PRO(380MHz)の際には約17%のクロックアップを果たしたことを考えると今回の上昇率は控え気味といわざるをえず、裏を返せば0.15μmプロセスルール内での物理設計のリファインだけでの性能向上はここ辺りで限界だということを物語っている。

 メモリインターフェイスは256ビット。メモリクロックはRADEON 9800PROの700MHzに対し9800XTでは730MHz(365MHz DDR)を採用する。GPU自体はDDR1、DDR2の両タイプのメモリに対応するが、今回もコストパフォーマンスと性能対消費電力の観点から多くの製品がDDR1を採用すると見られている。

 ビデオメモリ容量はATIのガイドラインとしては基本的には256MBが標準となる。これは今年後半に数多く登場してくる「第1世代DirectX 9対応3Dゲーム」達が影生成の作業領域、算術テクスチャなどで大量のビデオメモリを活用するようになってきたことへの対応を意味する。

 ATIのDirector/Advanced Technology Marketingを務めるAndrew B. Thompson氏によれば、「SAPPHIREなどの一部のカードベンダーが128MBを出してくるかもしれない」とのことだが、いずれにせよ今年の後半以降は、「ビデオメモリ256MBが標準」の時代がやってくると認識していてよさそうだ。

 RADEON 9800XTにおける、ユニークな機能としては適応型クロッキング技術(Adaptive Clocking Technology)が挙げられる。これは、ユーザーがこの機能を有効にすると、GPU近隣に設置された感熱センサーがGPUの熱を監視し、動的なオーバークロック動作を行なってくれるものだ。これはRADEON用ドライバソフトのCATALYSTの一機能「ATI OVERDRIVE」機能として提供される。

 具体的には412MHzから徐々にクロックが上がっていき、420MHzや430MHzなどの上限クロックで動作を続け、安定動作が難しいと判断される動作温度になると徐々に412MHzに向けて下げていくという動作になる。

 なお、オーバークロック動作の上限クロックは、カードベンダーの冷却設計に依存するという。また、クロックを引き下げていく課程で、412MHz以下になることはないとのこと。大型のクーリングシステムを搭載したカードではかなりのオーバークロッキングが期待され、このあたりが各カードベンダーの製品のアピールポイントとなりそうだ。

 RADEON 9800XTは、10月の早い段階で店頭に並ぶことになり、価格帯はRADEON 9800PROと同じ499ドルとなる。当面、RADEON 9800PROとRADEON 9800(無印)とは共存する見込みで、ATIはハイエンド製品を3ラインナップ持つことになる。


■ RADEON 9600XTは世界初のLow-k採用GPU

RADEON 9600XTは、RADEON 9600PROの100MHz高速版という見方をすると非常に魅力的なGPUとして見えてくる
ASUS製RADEON9600XTカード。こちらはコアクロックがATI資料よりも低い450MHzとなっている。ただし、逆にメモリクロックはATI資料よりも高い650MHzとなっている
 今回、あわせてメインストリーム向けの新RADEONも発表された。こちらもRADEON 9600PROの上位にあたる製品と言うことでRADEON 9600XTの名前が付けられている。製造プロセスルールは従来のRADEON 9600PRO同様に0.13μmだが、RADEON9600XTは、世界で最初のLow-k(低誘電体層間絶縁膜)を使ったGPUとなる。

 GPUチップ内には膨大な配線が微細な間隔で往来しているが、微細化プロセスになればなるほど配線同士で発生する干渉が信号遅延を生むようになる。これを回避するためには、強い電気信号を流す必要があり、これはひいては高い消費電力に結びつく。Low-k素材でこの配線をシーリングすれば、こうした現象は回避できるとされてきたが、実践的な半導体製造技術面では実現するのが難しかったという経緯がある。

 Low-k技術を製造プロセスに導入できると、上記の問題点が解決されるため、より高クロックのプロセッサを低い消費電力で動かせるようになるわけだ。その効果もあり、RADEON9600XTのコアクロックはRADEON 9600PROの400MHzに対し、100MHzも高い500MHzに達成している。これは全RADEONシリーズ中、最高動作クロックとなるが、パイプライン数が9800系の半分の4となる9600XTが、9800XTのパフォーマンスを超えることはない。

 メモリインターフェイスは128ビット。メモリクロックは従来の9600PROと同じ、600MHz(DDR1)を採用する。やはりメモリインターフェイス自体はDDR2をサポートするがRADEON9600系はメインストリームをターゲットにしているため、DDR1に対して高価なDDR2を採用するカードベンダーは少ないと予想される。

 こちらもRADEON 9800XT同様、動的オーバークロック制御「ATI OVERDRIVE」に対応しており、500MHzより高いクロックでの動作が期待される。高クロック動作のポテンシャルが高いLow-kバージョンのRADEON 9600XTには、3Dゲームファンのみならず、ベンチマーカー達の人気も博しそうだ。

 価格レンジとして非常に戦略的な199ドルを設定。発売時期に関しては9800XTよりもやや遅く、10月中旬以降となる見込みだ。


■ 両モデルに「Half-Life 2」のフルバージョンをバンドル

ASUS Director of Marketing Rick Allen氏。ASUSがRADEONシリーズの販売を開始するというのは業界にとってはある意味センセーショナルなことといえる
RADEON9x00XTシリーズには「Half-Life 2」のフル版がバンドルされる。まさにキラータイトルといったかんじだ
 ATI Senior Vice PresidentのRick Bergman氏は「我々は、今年のホリデーシーズン(年末)もトップを走り続けることになる。いうまでもないだろうが、去年のRADEON9700PROの時から、まだ1度も抜かれていないのだ。この状態は当分続くかもしれない」と相変わらずの強気の発言。10月中旬以降、新GeForce FXファミリーが発表されると見られているが、これらにも抜かれることはない、という自信も見え隠れしている。

 ATIはパートナーシップ育成にも力を入れており、その成果の一環として、今回の発表会にて、マザーボードベンダとして著名なASUSがATI製GPUを搭載したビデオカードビジネスに参入することを明らかにした。

 ASUSは、ビデオカード製品ベンダとしては長らくNVIDIA製GPU搭載ビデオカードをリリースしてきたが、今回のタイミングでATI製GPU搭載ビデオカード製品も“併せて”リリースしていく方針をとる。ASUS関係者によれば「消費者のニーズに合わせた製品提供をしていく手段の一環であり、よくいわれるような派閥の乗り換えのようなものではない」とのこと。

 また、一部の例外製品を除き、大手ビデオカードベンダ製RADEON 9800XT、9600XTのリテールパッケージには、新世代アクションシューティングゲームとして世界的に注目されている「Half-Life 2」のフルバージョンがバンドルされることが正式に明らかとなった。また同日行なわれたValveの発表会の模様は追ってお伝えすることにしたい。

□ATIテクノロジーズジャパンのホームページ
http://www.ati.com/
□関連情報
【9月19日】ATI、東京ゲームショウに「Half-Life 2」を出展
Source Engineのパワーを一足先に体感
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030919/ati.htm
【6月11日】Game Critics Awards、「Best of E3 2003」を発表
2003年度のBest of Showは「Half-Life 2」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030611/e3best.htm
【5月23日】3Dゲームファンのための「Half-Life 2」エンジン講座(前編)
ゲームエンジンはついに地球シミュレーションの領域に突入する!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030523/e3valve1.htm
【5月26日】3Dゲームファンのための「Half-Life 2」エンジン講座(後編)
ゲームエンジンはついに地球シミュレーションの領域に突入する!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030526/e3valve2.htm

(2003年10月2日)

[Reported by トライゼット西川善司]


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