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ナムコ、日本工学院専門学校で特別講義を実施
LEDZONEに絡んだ海外ネットワーク事情を集中講義

6月7日開催

 株式会社ナムコは、6月7日、日本工学院専門学校において、ネットワークゲームに関する特別講義を実施した。これは現在同社がαテスト運営を行なっている実験店舗「LEDZONE」が全面バックアップしている「Counter-Strike」の世界大会「CPL 2003」に関して、同学校にスポンサー契約を結んでもらう営業活動の一環として行なわれたもので、講義室には今年新設されたマルチメディア科ゲームクリエイターコースの1年生が集まり、熱心に講義を聴く姿が見られた。

今回の講義を担当した3人の講師
 講師を担当したのは、LEDZONEのプロジェクトマネージャー土屋哲夫氏。講義は3コマで構成され、1限目が「海外ネットワーク事情とLEDZONEのコンセプトについて」、2限目が「海外MODカルチャーとハンマーエディタについて」と「ハンマーエディタによるレベルデザイン実演」、3限目が「e-スポーツの現状とCPL2003について」。実演を担当したのは昨年まで同学校同科に所属していた千葉真博氏(LEDZONEスタッフ)で、3時限目の講師は、CPL日本大会の仕掛け人であるAceGamer.netの犬飼博士氏が担当した。

 講義の科目は「ゲーム概論」で、マルチメディア科ゲームクリエイターコースの全員が履修する必要があるということだが、ゲームクリエイターコースは、C++を基本としたゲームプログラミングの基礎を学ぶ学科だという。そうした学生に対して、定番レベルエディタであるハンマーエディタを使った現場作業を講義するという試みは非常におもしろい。どういう講義が行なわれるのかと我々報道陣も興味津々で講義に聴き入った。


■ 1限目「海外ネットワーク事情とLEDZONEのコンセプトについて」

左が講師を担当したLEDZONEプロジェクトマネージャーの土屋哲夫氏。右が実演担当のLEDZONEクルー千葉真博氏
 1限目では、まずオンラインゲームの概要と現状について解説された。土屋氏は、これまでに成功したMMORPGとして「ウルティマオンライン」、「Ever Quest」、「ファイナルファンタジー XI」、「ラグナロクオンライン」などを挙げ、「ファイナルファンタジー X-2」と「ファイナルファンタジー XI」を引き合いに出して、現状、インターネットを介したオンラインゲームは必ずしも好調ではないことを指摘。

 続いて、インターネットを介したオンラインゲームの良い面、悪い面を挙げ、ネット上から簡単に対戦相手が得られ、またまったく知らない人と知り合えるといったメリットも指摘しつつ、もっとも一緒に遊びたい相手である親しい友人と共にプレイすることがなかなかできない、というオンラインゲームならではの限界も指摘した。

 余談だが講師の土屋氏は、もともとクリエイター上がりの人間ではなく、ナンジャタウンやワンダーエッグ、横浜カレーミュージアムなど、施設開発に携わってきた人で、LEDZONEのようなゲーム開発を含むプロジェクトに携わるのは今回が初めてだという。他のゲームクリエイターに比べ、視点がクールなのはその経歴のためだろう。また、LEDZONEという特殊なプロジェクトのリーダーであることとも無縁ではないだろう。

 話を戻すと、そうしたインターネットゲームの限界を解消したコンテンツとして、アミューズメント施設に置かれたオンラインゲームを紹介。「某社の鉄○4などもそうです」と会場を沸かせたあと、「そうしたネットワーク型のアミューズメントコンテンツの最新形態として導入するのがLEDZONEです」とコメントした。

 LEDZONEについてはすでに記事で紹介しているので省くが、LEDZONEのヒントはアジアにあったとして、土屋氏が2002年に現地視察した際に撮影した映像を見せてくれた。映像には韓国、台湾、中国(香港)のPCバンの模様が映し出され、朝からの講義でさっそく眠りに入っていた学生たちも起き出して興味津々で見ていた。

 私も知らなかったが、今では日本の郊外型のアミューズメントスポット規模のPCバンもあり、そこには数百台のPCが並び、フリードリンク、フリーフードで、大勢の客が延々と対戦し続ける光景が映し出されていた。日本以外のアジア地域ではPCプラットフォームがメインであるということ、そしてそこではゲームセンターライクなシステムで手軽に遊ばれているということ、この2点において学生たちは衝撃的だったのではないだろうか。

土屋氏は場慣れした感じで、講義はスムーズに進んだ。講義の半分は映像だったが、話も興味深い内容が多く、時間が短く感じられたほどだった


■ 2限目「海外MODカルチャーとハンマーエディタについて」

 休憩を挟んで行なわれた2限目の講義では、ハンマーエディタを中心とした海外のMODカルチャーについての解説が行なわれた。ハンマーエディタとは、「Counter-Strike」の本家本元筋のアクションシューティング「Half-Life」に付属しているレベルエディタのことで、LEDZONEが提供する「カウンターストライクネオ」もこのハンマーエディタを使って制作されていることが明らかにされた。

 続いて、日本ではコンソールゲームが市場の中心となっており、PCゲームは1/100以下だが、世界レベルで見るとPCゲームは精強であり、いいゲームもたくさん出ていると指摘。そのPCプラットフォームにおいて、近年「もうゲームエンジンを開発することはやめよう」という動きが活発化していることを指摘。

 その動きの中で「Quake II」エンジンを利用して生まれた作品が「Half-Life」であり、さらにそこから派生して世界的大ヒットとなったのが「Counter-Strike」であるとした。「こうした動きをMODカルチャーといいます」と締めた。我々にとってはいずれも常識レベルの話だが、いかにもゲーム概論らしい話題だ。

 土屋氏は「MODベースのゲーム開発がメインになってくると、3Dプログラマなどはもういりません」と断言。事実とはいえ、学生にとってはこれ以上ないほどに衝撃的な一言だ。さらに同氏はMODのベースとなるゲームエンジンに関して「少数精鋭で天才的なプログラマが開発しており、我々は逆立ちしてもかなわない。今後(クリエイターの仕事)は、優秀なゲームエンジンを買ってきて、どういうキャラクタで、どういうシステムで勝負するのかが重要になってくる」とコメント。こういう考えは日本ではまだまだ珍しいだろう。

 続いて、ハンマーエディタを使った最新作として今年のE3で大絶賛されたValveの最新作「Half-Life 2」のデモムービーを紹介。レベルデザインの手法はまったく同じで、先端レベルのグラフィックが実現されることをわかりやすく解説。映像再生中、構内からは何度もどよめきが洩れ、ただただ圧倒されたといった印象だった。

 その後は、ハンマーエディタを使った簡単なレベルデザイン講座が行なわれた。同校では、今後実際にハンマーエディタを使った講義なども検討しているという。今回の特別講義といい、現役のレベルエディタを使った講義を検討するなど、非常に前向きな学校だ。

日本でハンマーエディタを講義したのはこの学校が初めてだろう。ちなみに「Half-Life 2」の紹介では弊誌の記事が紹介されていた。記事はこちら

実演担当の千葉氏は、ハンマーエディタを使って瞬く間にオリジナルマップを造り上げ、最後にそのオリジナルマップの中でキャラクタを動かして見せてくれた。確かにテクスチャさえあれば数分でつくれそうだ


■ 3限目「e-スポーツの現状とCPL2003について」

 3限目は、AceGamer.netの犬飼氏が、現在世界レベルで認知されつつあるe-スポーツの現状報告と、そのe-スポーツの代表的存在である「Counter-Strike」世界大会CPL2003についての紹介を行なった。2限目が予想以上に長引き、その結果30分程度の短い講義となったが、日本ではもっとも熱心な提唱者である犬飼氏による現状報告は、なかなか興味深い内容だった。

 e-スポーツとは、オンラインゲームを使った競技のことで、対戦ゲームをゲーム業界およびプレーヤーが一体となってスポーツとして取り扱うことで、刹那的なゲーム大会のみに終始せずに、継続的なコミュニティの形成、プレーヤースキルの全体的な底上げ、技量の高いプレーヤーの社会的地位の向上などを狙ったもの。

 こうしたプレーヤーのプロ化に関しては、日本ではまだ皆無に近いが、北米や韓国では企業お抱えのプロゲーマーやプロゲーム集団が存在するまでになっている。犬飼氏はそうした現状と今後の目標をわかりやすく報告してくれた。

 「Counter-Strike」の世界大会CPL2003は、今年8月にテキサス州ダラスで開催が予定されており、日本からも1チーム(5人)の枠が用意されている。その代表枠をかけた日本予選が7月6日にLEDZONEで開催される。当日は多数の観客が押し寄せることが予想されるが、LEDZONEの観戦スペースは狭いため、徒歩3分の距離にある日本工学院専門学校の講義室を観戦スペースにあてるということだ。大会の模様はまた別途お届けしたい。

□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□LEDZONEの公式サイト
http://www.ledzone.com/
□日本工学院専門学校の公式サイト
http://www.neec.ac.jp/
□Ace Gamer.netの公式サイト
http://www.acegamer.net/
□CPL 2003 夏季大会日本予選の公式サイト
http://www.acegamer.net/cpl/2003summer/
□関連情報
【5月23日】3Dゲームファンのための「Half-Life 2」エンジン講座(前編)
ゲームエンジンはついに地球シミュレーションの領域に突入する!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030523/e3valve1.htm
【5月26日】3Dゲームファンのための「Half-Life 2」エンジン講座(後編)
ゲームエンジンはついに地球シミュレーションの領域に突入する!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030526/e3valve2.htm
【5月2日】ナムコ、「カウンターストライクネオ」のβテストを実施
実験店舗レッドゾーンにて公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030502/csneo.htm
【4月2日】ナムコ、「カウンターストライク ネオ」を正式発表
4月下旬より実験店レッドゾーンにて試験公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030402/csneo.htm

(2003年6月9日)

[Reported by 中村聖司]


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