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Eidos UKレポート

「Praetorians」プロデューサーMichael Soutoインタビュー
「Commandos」のPyro Studiosが手がけた大作RTS

会場:Wimbledon Bridge House

 インタビューの最後を飾るのは、「Commandos」シリーズの開発元として知られるPyro Studiosの新作リアルタイムストラテジー「Praetorians」。

 昨年11月の発売予定だったが、若干延期され、2003年2月発売となっている。1月現在ですでにマスターアップし、Eidos社内ではマニュアルやリファレンスシートの作成や各ヨーロッパ地域へのローカライズ作業などが行なわれており、これ以上発売がずれ込むことはないようだ。日本でもすでに完全日本語版の作業が進められている。発売時期は初夏。プラットフォームはPCのみだ。

 同作プロデューサーMichael Souto氏とのインタビューは、マスターバージョンによるデモンストレーションを受けながら適宜質疑応答を行なうスタイルだったので、特に今回はインタビュー形式にはしていない。

 この「Praetorians」といい、すでに北米でプロモーションが開始されたMicrosoftの「Rise of Nation」といい、2003年のRTSのキーワードは、「既存のRTS+α」の要素だ。国家を育成して、ユニットを生産して、ぶつけて、破壊するという効率だけの戦いではなく、今後はどう戦うか、どう守るかといった要素が重要になってきそうな印象だ。


■ 用兵戦術の醍醐味を追求した新感覚RTS「Praetorians」

厳寒の蛮族の地を行くローマ軍。雪だけでなく、雨や雷もある
ユニットの生産は、占領した村でのみ行なえる
手軽に大軍を指揮する喜びが味わえる
 「Praetorians」は、古代ローマ帝国の戦いをモチーフにした3Dリアルタイムストラテジー。その概要については、すでにE3レポートやPlayable Demoの紹介記事などで何度か触れてきたが、再度簡単におさらいしておこう。

 ゲームに登場する文明は、ローマ帝国に加え、現在の英仏独の文化圏を総称したBarbarians、アフリカ大陸と中東地域の文化圏を総称したEgyptiansの3つが登場する。詳しくは後述するがそれぞれ異なるユニットを備え、司令官の個性により戦術もまったく違ったものになる。

 キャンペーンは、全24ステージからなるローマキャンペーンを収録。歴史上でも有名な戦いや内部離反、反逆といったストーリーが展開される。最初に4つからなるチュートリアルミッションが用意され、これでプレイの仕方がゆっくり学べるようになっている。

 スカミッシュおよびマルチプレイ用のマップは全16枚。最大8人によるマルチプレイが楽しめる。ただ残念ながらマッチングサーバーは自社ではなく、欧米ではGameSpyのサービスで対戦を行なうことになるようだ。

 さて、デモンストレーションでは、最初のチュートリアルミッションを見せてくれた。 まず「Praetorians」の最大の魅力である用兵戦術についてデモをしてくれた。同作では、歩兵、槍兵、弓兵、騎兵といったオーソドックスな兵科が数多く用意されているが、これらはすべて通常のフォーメーションのほかに、特殊なものを用意している。

 たとえば、重装歩兵は密集体型を取って弓矢をはじきかえす、槍兵は槍ぶすまを敷いて騎兵の突撃を食い止める、弓兵は屈んで攻撃の命中率を上げるなど。また、地形も戦術に密接に関わっており、重装歩兵や弓兵は森の中に隠れられたり、高低差を利用して高所から一方的に攻撃したり、鷹使いの斥候を送り込んで森を挟んで弓矢で攻撃したり、槍兵を草むらに潜ませたり、草むらに火矢を放って焼き払ったりといったことが可能だ。

 その一方で逆に槍兵や騎兵は、装備の関係で森の中に入れなかったり、重装歩兵は重い鎧を身につけているため浅瀬には侵入できないなど、兵科によって制約なども細かく設定されている。フィールドが用兵戦術に直結しているだけでなく、いずれも見事な3Dアニメーションで表現され、実に素晴らしい内容だ。

 ちなみに1ユニットは、20人から30人で構成されている。移動システムは、ユニット選択後に目的地をクリックして、その後矢印をドラッグで回して部隊の方向を決めるというシステム。先述した特殊なフォーメーションは敵の正面を向いていないと効果を発揮しないため、向きの設定は重要だ。なお、ユニットは自由に離合集散が可能で、1ユニットの最大数は30人。全軍では最大500人の部隊を指揮することになるようだ。

 なお、戦闘形態は陸戦のみで、海戦は完全に取り除かれている。内容は侵攻ミッション、防衛ミッションの2パターンで、段階をわけてオブジェクトが設定され、制限時間などもあったりして、飽きさせない作りになっているようだ。

地形、兵科によって戦術が大きく変化する。盤石の体勢で戦いに望みたいところだ


■ 「Stronghold」顔負けの迫力の攻城戦

 続いて見せてくれたのは、木で組み上げられた要塞を20分間守りきるというミッション。城内にはすでに要所に弓兵などが配置され、城門付近には騎兵を布陣している。奥にはヒーローユニットに相当するCenturionとそのまわりを固めるように歩兵が配置されている。

 ローマ軍のCenturionは、自分を中心とした一定のエリアに特殊なオーラを放ち、その枠内にいる全ユニットの攻撃力と防御力を上げる効果を備える。Centurionは戦闘を経ることによって経験値を獲得し、レベルをあげていくことができる。レベルが高いほどボーナス効果も大きくなるというルールだ。

 ローマ軍のCenturionはディフェンスボーナスに特化したヒーローだが、敵文明BarbariansのChieftainは攻撃ボーナスが大きい。出で立ちもまさしく蛮族の王といった感じだ。一方、Egyptiansはというと、攻撃防御ともバランス良く上がり、さらにMirage Effectsという特殊なアビリティを備える。

 Mirage Effectsは読んで字のごとく部隊の幻影を創り出す技能で、これを使って自由に策敵を行なうことができる。敵と接触すると幻影は消えてなくなってしまうが、敵からはそれが幻影であることはわからず、大軍の幻影を見せて敵を罠にかけることができるというわけだ。

 さて、話を戻すが、ミッションがスタートすると、カットシーンが再生され、そのままシームレスに戦闘に突入した。敵はハシゴや破城槌を使って、要塞を陥とそうと波状攻撃を掛けてくる。こちらは城壁に上らせた弓兵で激しい反撃を加えてひとつずつ撃退していく。破城槌が門にぶつかるたびに木っ端と粉塵が舞い上がり、こちらは破城槌の屋根に火を付けて燃え上がらせて撃退していく。兵力の減った敵兵は森の中に逃げ込むなど人間らしい動きがいい。

 しばらくすると弓兵が投石機や弓兵の攻撃で消耗したため、医者を派遣して体力を回復させると同時に、騎兵を出撃させて破城槌や投石機を撃退していく。その間に歩兵に門の修理を命じていく。非常にリアルで臨場感たっぷりの攻城戦だ。Gathering of Developersの「Stronghold」シリーズを3Dにしたような素晴らしさだ。

 最後に各文明のユニットの特徴をデモしてくれた。ローマのGladiatorsは敵に網を投げて袋だたきにできたり、エジプトの弓兵Nubian Archersは毒矢を放てたり、エジプトの弓騎兵Parthian Cavalryは移動しながら弓を放つことができる。ドイツ(Barbarians)の騎兵German Cavalryは剣の代わりに長槍を持ち、物理的に敵をはじいて突進することができる、などなど。

 各文明のユニットの数は20程度と、他のRTSと比べて必ずしも多くはないが、各ユニットが非常に個性的な戦法を備えており、実に表情豊かな対戦が楽しめることになりそうだ。コンピュータAIの作り込みにも自信を持っているとのことで、ローマキャンペーンも充実した内容に仕上がりそうだ。

古代ヨーロッパとアフリカを再現した美しい3Dグラフィック。歴史好きなら間違いなく楽しめる作品だ

□Pyro Studiosのホームページ
http://www.pyrostudios.com/
□「Praetorians」のホームページ
http://www.praetoriansgame.com/
□関連情報
【2002年3月21日】「Praetorians」Playable Demo
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021030/demo1030.htm
【2002年5月22日】「トゥームレイダー」シリーズのEidosがE3前夜祭を開催!
各ゲーム機&PC向けビッグタイトルが続々登場! その2
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020522/eidos2.htm

(2003年1月31日)

[Reported by 中村聖司]


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