Electronic Entertainment Expo 2002現地レポート「トゥームレイダー」シリーズのEidosがE3前夜祭を開催! |
架空都市には1500万人のNPC住人がおり、それぞれが生活を営んでいる |
プレーヤーは小さな政党の党首となって、様々な役割を持つ党内メンバーに指示を出し、競争相手の政党をつぶしたり、マスコミを操作して民心を掴んだり、時には暗殺や賄賂といった汚い手段も用いながら、どんどんと権力の階段を上っていくのだ。シチュエーションはかなりシリアスなのだが、全編、ニヤリとさせられるブラックユーモアに満ちていて、モンティ・パイソンを生んだお国、イギリスらしい雰囲気の作品となっている。
ゲーム内には、常に5つのミッションが掲示されていて、それらを好きなようにクリアしていくことでゲームが進んでいく。例えば、殉教者を作るという目的が表示されていたら、部下に指示をだして、戦車の前に平和を訴える人を立たせ、そのままぷちっと轢いてしまえばクリアだし、マスコミを操作しろという目的ならば、新聞記者を待ち伏せして、ナイフをちらつかせて脅したりもするのだ。
このゲームに驚かされるのは、ひとつひとつの出来事がそれっきりで終わってしまうのではなく、ひとつの架空世界の中で、いろいろに反応を起こす可能性があるところだ。例えば、先ほど書いたような記者をナイフで脅すような場面を市民が見つけると、すぐに警察に通報され、結局プレーヤーのキャラクタが評判を落としたりする。
実際に15,000人のキャラクタがそれぞれの生活を行なっている架空都市はそれだけでも何か別のゲームになってしまいそうなシミュレート度だ。フットボールスタジアムでは選手が試合を行ない、街中では軍隊が行進し、市民はマーケットで働いたり買い物をしたりし、秘密警察が市民を乱暴に逮捕し、そして、夜になると人々は家に帰るので道が閑散とする。都市の中で起こるありとあらゆることを楽々とシミュレートしているのがポイントだ。
また、既存のゲームすべてをも凌駕するオリジナルの3Dグラフィックエンジン「TOTALITY」も見逃せない。エンジンの詳細については昨年の記事を参照してほしいのだが、衛星写真レベルの高さから土産物屋の店先まで、シームレスにズームイン・アウトを行なえるダイナミックさに目を見張らされるし、何気なくその辺を歩いているキャラクタのジョギングシューズや、新聞記者のカメラ、果物屋のバナナなど、よくぞここまでというような細かい部分までディテールにこだわっている。
2年ほど前と比べると、絵空事だったゲームフィーチャーがどんどん実装されてきており、その内容の濃さには呆然とさせられる。政治や社会での動きをシミュレーションゲーム化しているのだが、決してお堅いだけでなく、人間の社会性やそこに生まれる滑稽味をも感じさせられるゲーム内容が魅力的だ。「Deus Ex2」同様、こちらも長く見守ってほしいタイトルである。
□Elixir Studiosのホームページ
http://www.elixir-studios.co.uk/
□「Republic: The Revolution」の公式ホームページ
http://www.elixir-studios.co.uk/
□関連情報
【2001年6月12日】ドロドロした政治世界を最新のテクノロジで描く
独裁者シミュレーション「REPUBLIC:THE REVOLUTION」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010612/republic.htm
【Republic: The Revolution】 | ||
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ジャンル:ストラテジー
発売時期:2002年11月
開発元:Pyro Studios
エジプトとローマの戦い。兵士達の手元から矢が一本一本放たれている |
ラッシュを掛け合うようなスピーディーな展開よりは、頭を使って状況を見極めた戦略性を重視した内容で、各ユニットをいかにうまく使っていくかが勝敗の鍵を握るゲームである。
既存のRTSとは異なって、内政部分が極力押さえられており、兵士は占領したビレッジで生産するだけ。戦闘を中心とした内容になっていて、兵士をいかに動かすか、彼らにどうやって敵の城を攻めさせるのかといったことがプレイのポイントとなっている。
各ユニットにはスペシャルフォーメーションが用意されており、それがさらにゲームの戦略性に幅を持たせている。例えば重装歩兵ならばファランクス(密集陣形)と呼ばれる亀のような陣形を一瞬のうちにかたち作り防御力を上げるし、弓兵であれば大きな構えを全員でしてさらに遠くへダメージの大きい矢を放つことができる。こういったフォーメーションをうまく利用して各部隊の弱点を補い合うのだ。フォーメーションのほかにも、鷹に変化して偵察にいけるユニットや狼を派遣できるユニット、一定範囲内のユニットを自動回復する回復ユニットなど、種族ごとのユニット特性もユニークなものが多い。
また、地形も変化に富んでいて、小高い丘の上は下からだと視線が届かないし、うっそうと茂った森は兵士の姿を覆い隠してしまう。デモで面白かったのは、この木々が覆いかぶさるようにしている森で、通常はこの木々の下に入ると敵はこちらの姿が見えないのだが、兵士の気配に驚いて飛び立った鳥によって相手がこちらに気づき、戦闘を仕掛けてきたりすることもあるのだ。地形の効果がゲームの中に非常に自然に取り込まれており、ファンタジー色を極力配したゲームデザインもあいまってリアリティが高く、実際にローマ軍を動かしているような気分になれるのが嬉しい。攻城戦では攻城兵器が登場するなど、戦闘のバリエーションも豊かだ。
開発はGeForce2環境で行なっているとのことなので、緻密な書き込みとグラフィックの割に、それほどハイスペックでないマシンでも楽しめそうだ。ゲーム視点は真上、斜め見下ろし、ややアップの3段階で、画面の回転はできない。オリジナルのグラフィックエンジン的にはズームイン・アウトも回転も自由自在なのだが、ストラテジーをプレイするということを考えた結果、視点は3段階固定になったようだ。
シングルプレイでは基本的にローマ帝国を操作するものなのだが、キャンペーンの進み具合によってはバーバリアンやエジプトなどの多種族と同盟を組んで、それらのユニットを操作することもあるという。「Praetorians」には史実に基づいたマップやキャンペーンミッションも数多く用意されており、デモでもシーザーによる戦いの場面を再現したマップが使われたりした。歴史好きならばいっそう楽しみが増しそうなストラテジーである。
□Pyro Studiosのホームページ
http://www.pyrostudios.com/
□「Praetorians」の公式ホームページ
http://www.praetoriansgame.com/
【Praetorians】 | ||
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以上のタイトルのほか、今回のE3向けに以下のタイトルも合わせて発表されていた。
・TimeSpliter2(PS2、Xbox、GameCube)
ジャンル:FPS
発売時期:2002年9月
開発元:Free Radical Design
マルチプレイによる対戦が熱いFPS。家庭用ゲームでも画面を4分割して対戦することができる。様々なプラットフォームで発売される予定の今作だが、PS2版はリンクケーブルのほか、LANやネット対戦にも対応したいとしている。前作にはなかったストーリーモードも搭載しており、シングルプレイでは様々な時代に散ってしまったクリスタルを求め、エイリアンやその他の敵と戦っていくことになる。
□Free Radical Designのホームページ
http://www.frd.co.uk/
□「TimeSpliter2」の公式ホームページ
http://www.frd.co.uk/ts2.html
【imeSpliter2】 | ||
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理想のビーチリゾートを作成する箱庭風経営シミュレーションゲーム。数多くの種類が用意されたスタッフを雇ってホテルを維持したり、カジノやナイトクラブを作ったりして、観光客達が満足するような究極のリゾートを作るのが目的だ。
□Deep Red Gamesのホームページ
http://www.deepred.co.uk/
□「Virtual Resort: Spring Break」の公式ホームページ
http://www.eidosinteractive.com/games/info.html?gmid=119
【Virtual Resort: Spring Break】 | ||
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□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/
□Eidosのホームページ
http://www.eidos.com/
(2002年5月22日)
[Reported by 西尾ゆき]
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