★ PCゲームレビュー ★

初心者もとっつきやすい
ネットワーク対応版フライトシミュレータ

エアロダンシングi

  • ジャンル:ネットワーク・フライト・シミュレーター
  • 発売元:CRI
  • 価格:7,800円
  • 対応OS:Windows 95/98/Me/2000
  • 発売日:発売中

【ゲームの内容】

 ドリームキャスト用に同社が開発したネットワーク対応フライトシミュレータのWindows版。DC版に登場したA-7E、 MiG-29、MiG-21、A-10、TND、Mr2000、Su-27、A6M2、P-51Dなどに加えて、Bf109E-4など52種の機体が扱える。また、DC版とのマルチネットワークプレイも可能となっている。




 「エアロダンシング」シリーズといえば、ドリームキャストにおけるフライトシミュレータの代表作の1つ。今回、PCへの移植バージョンの大きな目玉はやはり新機体とネットワークを利用したDCユーザーとのマルチプレイ。対地攻撃も可能となったこの作品、フライトシムはあまりプレイしていない筆者が試してみました。フライトシムをこれからプレイしてみようかな、という方にご参考になれば幸いです。



 “とっつきやすさ”が魅力の「エアロダンシング」シリーズ

 フライトシムというと、どうも操作が複雑で、飛行機を飛ばすこと自体とても難しいように思われるが、本作は初心者から上級者まで、幅広いユーザーに対応できるよう、トレーニングモードなど、チュートリアル的要素もふんだんに取り入れられている。キーボード以外にも、Microsoft SideWinder Force Feedback Pro、ThrustMaster Top Gun Fox2などの設定も取説に紹介されており、とても親切な印象を受ける。

 トレーニングモード以外にも、ミッションモードなどでも基本的にブリーフィング時には詳しい解説があり、プレイ後のデブリーフィングでは操作に対する評価を教えてくれるので、機体操作に関してはいろいろ考えながらプレイできる。

 実際、取説を読まずにトレーニングモードをプレイしてみたが、順に課題をクリアしていくことで、操作にはスムーズになじむことができた。ただ、思ったように戦闘機を操るというのは本当に難しいことも同時に理解できた。ミッションモードでは時間制限があり、射撃訓練などは、基本的に1回の攻撃ですべてをクリアしていかないと、撃ちもらしをフォローしている時間はほとんどなかった。だが、とても難しくて取りつくシマがない、というレベルではないので、コツコツプレイすれば大丈夫だろう。

コツコツとプレイすれば、さほど難しさは感じない。使用するキー(ボタン)は多いが、市販のスティックを使えばある程度直感的にプレイできる。また、デブリーフィングの評価を参考に、操縦テクニックを磨いていくことも大切



 AV-8B「ハリアー」専用の「AV-8B CHALLENGE」にハマる

 このゲームでまずハマったのが、垂直離着陸が可能なVTOL機AV-8B「ハリアー」専用のトレーニングモード「AV-8B CHALLENGE」。ノズルを垂直方向に切り替えてのホバリングが可能なハリアーは、通常のジェット機とは違う操縦を要求される。

 「AV-8B CHALLENGE」は段階的にこのハリアーの操縦を覚えられるモードで、まずは垂直離陸から垂直着陸といった簡単なものだが、飛行~ホバリング~垂直着陸など、段階を追っていくとだんだんキビシイ目標が待っている。ただ、この目標設定が難しくなるだけでなく、VTOLならではの運動性を理解できるように作られているので、機体の姿勢制御によって、スライドするように機体が移動していくなど面白い特性を経験とともに理解できる。従来の飛行機の機動にマンネリ感を感じるプレーヤーはぜひ、プレイしてみるといいだろう。

 このハリアーだけでひとつモードを作ってしまうあたり、開発陣のこの機体への思い入れを感じずにはいられない。実際プレイして本当に面白かったと思えるモードで、着陸時に機首を上げすぎてひっくり返ってしまったりなど、ずっこけプレイも満喫できた(苦笑)。

VTOL機は、ギアの出し入れでエンジンのノズル方向を垂直/水平へと切り替えることができるようになっている(オートギアの場合は一定の高度、スピードでギアの出し入れが行なわれる)。これは落下速度が早すぎて失敗したパターン
その場で旋回して着陸など、VTOLならではの挙動が学べるのもこのモードの特徴。ついついハマってしまった



 豊富な視点で魅せる楽しみもあるリプレイ

 本作のリプレイ視点は12ほど用意されており、楽しみながら様々な角度から機体運動をチェックできる。リプレイはセーブしてあとから見ることもでき、DC版ではリプレイコンテストも行なわれたほど。ドッグファイトだけでなく、曲芸飛行も楽しめるというわけだ。

 前にも書いたが、本当に思ったとおりにジェット機を操縦するのは難しい。曲芸飛行はさらに難しい。だが、稚拙な操縦でも、カメラをAUTOにすればそれなりに見栄えのあるリプレイシーンが楽しめるし、1,600×1,200の32bitに対応した高解像度でのプレイは、DC版に比べてもやはりキレイでうっとりしてしまう。

 ドッグファイトに向かない機体でも、曲芸飛行などでその特性を引き出してあげられるというのは、飛行機という乗り物に対する愛情を感じられるという意味でもとてもいい傾向だと個人的に思う。

リプレイ視点は多数用意されている。全部見るだけでも相当のボリュームで、稚拙なプレイでもみていて飽きることがない



 コミュニケーションを広げるネットワークプレイ

 ネットワークプレイにはISAOネットのアカウントが必要だが、これは無料で登録できる。このシステムを利用することで、チャットを楽しむこともできるし、このゲームをプレイしているユーザーを探すのも容易であることはとても重要だ。リプレイデータも本作をもっているプレーヤー同士で交換するのもたやすいし、ただ戦って勝ち負けを競うだけでない、戦闘機好き同士のコミュニケーションも楽しめるのは大きい。

 そしてドリームキャスト版のプレーヤーとも対戦できるのも大きなポイント。フライトシム初心者も、胸を借りるつもりでチャレンジしてみるといいだろう。操縦テクニックなどについても熱く語れる場所もあるかもしれない。

インターネットモードを選択すると、最初にISAOネットのIDとパスワード入力画面になる。オンライン対戦前に、フリーフライトモードや、サバイバルモードで鍛えてから戦場に乗り込むのはもはや礼儀?



 快適なプレイのためには環境はゼイタクにするに越したことはない

 文末の推奨スペックを見てもらえばわかるが、本作は結構ハードウェアに依存するいわゆる「重いゲーム」で、テストプレイはWindows 98 SE、Pentium III 800EB MHz、メモリ128MB、HDDは30GB(ATA100)、ビデオカードはGeForce2 MXという環境で行なったが、快適にプレイできるのは640×480のフルカラーにフルスクリーンアンチエイリアシングON、ミップマップONというレベルまで。

 それ以上を望むなら、とくにビデオカードにそれなりのハイスペックな環境を整えるべきだろう。それでも、DC版にはない高解像度のプレイをハードウェアの拡張で補えるという点は評価できるポイントだ(PCゲームならあたりまえ、なのだが)。また、さらにいうなら、ハード面ではジョイスティックの類もあったほうがより没入感は高い。キーボードでの操作もそれなりに楽しめるが、気分を味わいたいならやはりスティックは必須だろう。

 内容をまとめると、コンシューマゲームの丁寧な作りをPCで堪能できる、単なる移植作ではない充実した1本といったところだろうか。DC版にはスペシャルディスク「エアロダンシングi 次回作まで待てませ~ん」も発売されることだし、対戦もまだまだ続くだろう。

戦闘機を飛ばす、空中戦を行なう以外の楽しみがあるのがこのシリーズ最大の魅力といえよう

(C)1999-2001 CRI.


【動作環境】
  • CPU:Pentium II 266MHz以上(Pentium III 450MHz以上を推奨)
  • メモリ:32MB以上(64MB以上を推奨)
  • HDD:170MB以上(スワップ:90MB以上)/推奨:400MB以上(スワップ130MB以上)
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上 (起動時必須)
  • ビデオカード:Direct X7互換(3Dアクセラレーション機能必須)
  • 解像度:640×480~1600×1200ドット


□CRIのホームページ
http://www.cric.co.jp/
□製品情報
http://www.cric.co.jp/product/aeroi_pc/
□関連情報
【6月21日】CRI、マルチプラットフォーム通信対戦に対応 DC「エアロダンシングi 次回作まで待てませ~ん」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010621/cri.htm
【4月26日】本日到着! DEMO & PATCH ~2001年4月26日版~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010426/demo0426.htm
【3月21日】CRI、DC版とのインターネット対戦を実現したPC版「エアロダンシングi」を6月に発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010321/CRI.htm

(2001年7月2日)

[Reported by 佐伯憲司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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