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これであなたも私も眠れない
定番ARPGの大型拡張キットがついに発売!

DIABLO II:LORD OF DESTRUCTION

  • ジャンル:アクションRPG
  • 発売元:カプコン
  • 価格:5,800円(英日両対応版)
  • 対応OS:Windows 95/98/Me/2000
  • 発売日:発売中


 大きなシステム拡張と魅力的なお宝をどっさり搭載して、地獄のゲームがふたたび返ってきた。今回、このレビュー記事を書くために「DIABLO II」Hellモードクリア後、数カ月ぶりにプレイしたが、もうどうにも止まらない魔性のおもしろさは健在だった。読者の中には、すでにASIAサーバーで猛烈プレイ中の方も多いかと思われるが、「DIABLO II」の魅力とはなんなのか、そして今回発売された拡張キット「DIABLO II:LORD OF DESTRUCTION」(以下、LoD)のウリはどのあたりにあるのか。本稿ではそのあたりの話をLoDのインプレッションを交えつつたっぷりお伝えしていこう。


■ 「DIABLO II」のおもしろさとは

Act1のボスを倒した瞬間の模様。画面全体が激しく揺れドデカい炎が中空に吹き上がる
 何か? と問われると、すんなり答えるのは意外と難しい。大量に出現する敵を次々に薙ぎ倒していく爽快感、悪を露骨に体現した巨大なボスキャラを倒したときの達成感がたまらないという人もいるし、敵を倒したときや宝箱を開けた際にまれに出現するユニークアイテムを入手した瞬間の幸福感がたまらないという人もいる。それから「DIABLO」シリーズが大ヒットした最大の要因である不特定多数のプレーヤーとのパーティープレイが最高に楽しいという人も多い。

 要するに「DIABLO」シリーズの醍醐味は、巨悪を滅ぼす快感を味わい、トレジャーハンティング魂をくすぐらせるアイテム獲得システム、そして無限の楽しみを秘めたパーティープレイにあるといえる。しかし、ときとしてプレイ中に、上記のいずれにも該当しないのに、ゲームからもはや自分では抑えがたい圧倒的な吸引力を感じることがある。これこそがDIABLOの魅力の核だと思うのだが、それとはいったいなんだろう。

Act2のボス。Normalとは思えない堅さで、LoDプレイ初の全滅の苦杯を喫する。くそう
 答えは、やや月並みながら、抜群のリアリティを備えた世界観の構築にこそあるといえるだろう。たとえば、潜るたびに自動生成されるダンジョンのリアリティ。これはダンジョンに散らばる恐るべき精度で描かれた多数のオブジェクト群、倒れたモンスターの死体、飛び散った血、それからプレーヤーを包むDIABLO II独自のライティングエフェクトなどを巧みに統合することで、全体としてのリアリティを実現している。プレーヤーは、ドルビーサラウンド対応のサウンド効果とも相まって、あたかもそこにいるような臨場感を味わいつつ、迷宮探検に挑むことができるわけである。

 後日談だが、「DIABLO II」の開発の遅れは、フィールドおよびダンジョンの徹底的な造り込みのためだったという。敵を倒す爽快感、アイテムコレクション、不特定多数とのマルチプレイを実現したアクションRPGはいまでは腐るほどあるが、リアリティの構築に関する造り込みの確かさについては、いまなお「DIABLO II」を超える作品はないのではないかという気がする。

【ダンジョン】
個性的なダンジョンの数々。「DIABLO II」発売時はその広さが話題になったが、ダンジョンそのものの質感の高さも実に素晴らしい


■ 「DIABLO II:LORD OF DESTRUCTION」の拡張ポイント

LoDのタイトル画面
 それではLoDの拡張ポイントを紹介していこう。といってもLoDは、細かい変更点まで含めると全部で数百箇所の拡張を施しているから、以下、大きなものだけご紹介する。

・800×600ドット表示への対応

 「DIABLO II」の唯一の弱点といえた640×480ドット固定表示の制限を取り払い、800×600ドット表示を可能にしている。ただし、予想以上にゲームが重くなるので、Pentium IIIクラス以上のCPUでないと快適プレイは難しいかも知れない。ちなみにPentium III 1GHz、GeForce2 GTS(32MB)、256MBという環境で、平均20フレーム、もっとも重い状態で10フレーム前後だった。ただし、これはシングルプレイでの結果なので、マルチプレイではもっと重くなると思っておいて間違いない。

・2人の新しいキャラクタークラスの追加

 Amazon、Barbarian、Necromancer、Paladin、Sorceressに加えて、AssassinとDruidが新たに追加された。

 Assassinは、新しく追加されたClawクラスの武器を操り、Clawクラス武器両手持ちによる、敵に爆発的なダメージをたたき込むチャージアップスキル&フィニッシュアタックが魅力。その一方で、サイキックパワーにより、分身を召還したり、一時的に移動&攻撃速度を倍加させたりするスキルShadow Disciplines(シャドウ ディシプリン)を自在に操り、さらに精巧な機械装置による特殊攻撃スキルTraps(トラップ)をも使用できる。

 Druidは、強力な攻撃魔法スキルElemental(エレメンタル)、WerewolfもしくはWerebearに変身して敵に対して強烈かつ特殊な攻撃を行なえる変身スキルShape Shifting(シェイプシフティング)、そして自らの代わりに戦ってくれる召還獣を呼び出せる召還スキルSummoning(サモニング)を操る。3系統とも魅力的なスキルだが、パッシブ系のスキル(割り振るだけで自動的に使用状態となる)がほとんどないため、スキルの割り振りが大変そうだ。

【キャラクター選択画面】
左は新キャラのひとりAssassinを選択したところ。右はもうひとりの新キャラDruid。どちらもアウトローっぽい雰囲気

・新章Act5の追加

 バーバリアン高地を舞台にしたAct5が追加された。Act5のボスはバール。新しいタイプのモンスターと6つのクエスト、並びによりハイクラスのアイテムが用意されている。Act5は、新しく作成したキャラで行けるほか、既存のキャラでもプレイできる。ただし、その場合はキャラデータのコンバートが必要となり、「DIABLO II」本編ユーザーとの対戦はできなくなるので注意が必要だ。

・傭兵システムの改良

 これまで街で雇える傭兵は、1回こっきりで使い捨てという印象が強かったが、LoDでは入手したアイテムを渡して装備させたり、ポーションを渡してHPを回復させたり、死後も復活させることが可能になっている。一番大きいのは、傭兵にも経験値システムを導入し、レベルアップが可能となったことだ。さらにAct間の持ち越しも可能となっているため、Act1の弓兵を対ディアブロ戦で使う、といった真似も可能となっている。実際、余ったアイテムを渡し、経験を積ませると、ビックリするぐらい強くなる。傭兵の育成もLoDの隠れた魅力のひとつといえる。

・ウェポンスワッピングシステムの追加

 要するに2種類の武器セットを用意でき、いつでもワンキーで切り替えて使用できる、というシステム。たとえばAmazonだったら、槍と弓の2系統、両手持ち槍と手槍&盾といった具合に状況に応じて使い分けられる。そのほか様々な利用法が考えられそうだが、セコく考えると、武器置き場にも使用できるわけで、特に序盤はかなり活用できる。

【バーバリアン高地】
Act5のメインとなる雪で埋め尽くされたバーバリアン高地。ときおり積雪があり、ダンジョンは完全氷結状態。明らかに従来の4ステージとは雰囲気が異なっている

【傭兵システム】
Act1のクエストを達成すると貰える傭兵をAct3まで育ててみた。レベルは3から20に、HPは45から181に! 傭兵はマジックレジスタンスの向上ぶりが著しく、魔法戦ではプレーヤーだけが先に死ぬことも。弱くてすまん


■ 傭兵システムがかなり楽しい! でも難易度はやや高めに!?

 それではお待ちかねのインプレッションをお伝えしよう。今回はAct1からAssassinでプレイしてみた。可能ならAct5まで進めたいところだが、時間切れでAct3の半ばまでしかプレイできなかった。またDruidでプレイする時間も取れなかったため、以下のインプレッションはすべてAssassinプレイによるものになっている。

 Assasinは、序盤こそ槍Amazonのようなメレー攻撃重視のプレイスタイルだったが、レベルが上がってTrapsスキルにポイントを振り分けていくことで、次第に遠近両用の使い勝手に優れたキャラクタに成長していった。序盤有効なのは、Fire Blast。炸裂弾を放物線を描いて飛ばし、遠くの敵にぶち当てるというもので、群れて襲いかかってくる雑魚敵の一層に特効がある。中盤で大活躍するのはWake of Fireで、地面に設置すると敵の位置を自動的に感知して、炎の波で5回連続攻撃してくれる。この炎のトラップの最大の特徴は、視線が通る場所なら画面内のどこでも設置可能な点で、うまく使えば敵の群れを炎の海で一方的に殲滅できる。

 といって、Trapsに頼りすぎたプレイスタイルでは、すぐMANA不足に悩まされることになるので、Shadow DisciplinesのClaw Mastery(Clawクラスのダメージを増加させる)とWepon Block(Claw両手持ちで敵の攻撃を一定の確率でブロックする)を上げておくと、近距離戦もラクにこなせるようになる。メレーで叩いていたときふと気づいたが、LoDは敵が堅い。LoDでは序盤からかなり強力かつ有効なアイテムがごろごろ出現するので、ベースレベルの引き上げが行なわれているのだろう。

 AssassinはShadow Warrior(Master)を獲得すると、より一層楽しくなる。使い方としてはAmazonのValkyrieのように召還するだけで、あとはコンピュータ制御で自動的に戦ってくれる。ただ、Assassinのそれは、自分のスキルを操れるため(Warriorは2つまで、Masterはすべて)、かなり凶悪な強さを見せてくれる。AIもValkyrieとは多少異なるらしく、むやみに突っ込むようなことはせず、後衛に下がって、トラップばかり使っていることもある。もとよりプレーヤーのAssassinは、トラップを仕掛けては逃げまくるという戦法で戦うことが多いから、3人(Assassin2人+弓使いの傭兵)いながら誰も前線にいないというユニークな戦いとなった。

 ただ、Act3まではこれで楽勝で進めたが、地獄のAct4、そして今回追加されたAct5、さらに2周目以降でも、この前線不在作戦が通用するかというと一抹の不安がある。また、傭兵はAct1~Act3の誰をラストまで育てるのかというのも悩みどころ。純粋にLoDの追加要素だけでも豊富なプレイスタイルが考えられるので、じっくりと楽しみたいところだ。

【Wake of Fire】
冗談だろうと思うかも知れないが、画面中の炎はすべてAssassinが設置したトラップWake of Fireから発生したものだ。見栄えに優れ、効果も抜群。Assassinはこれなしでは快適プレイは難しいだろう

【レアアイテム】
プレイ中、いつものようにAltを押すと、黄色に輝くアイテムが! 発見した瞬間の得も言われぬ幸福感は実際に体験してみないとわからない。というわけで装備してみた。AssassinでTwo-Handed Swordは使わないけれども

【新しいアイテム】
LoDで追加された新アイテム6点。いずれも大した物ではないが、下段3点は少しは珍しいものかもしれない。アイテムといえば、今回は宝石がかなり出やすくなっている印象がある

(C)2000 by Blizzard Entertainment. All rights reserved. Diablo is a trademark and Blizzard Entertainment is a trademark or registered trademark of Havas Interactive, Inc. in the U.S. and/or other countries.


【動作環境 Windows】
  • CPU:Pentium II 233MHz以上(Pentium III 350MHz以上)
  • メモリ:96MB以上(128MB以上を推奨)
  • HDD:550MB以上(本編と合わせて1.5GB以上)
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上 (起動時必須)
  • 解像度:640×480~800×600ドット
【動作環境 Macintosh】
  • CPU:PowerPC G3 以上
  • メモリ:64MB以上(96MB以上を推奨)
  • HDD:550MB以上(本編と合わせて1.5GB以上)
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上 (起動時必須)
  • 解像度:640×480~800×600ドット


□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「DIABLO II:LORD OF DESTRUCTION」のページ
http://www.capcom.co.jp/diablo2exp/index.html
□関連情報
【6月29日】「DIABLO II:LORD OF DESTRUCTION」Ver.1.08 Patch
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010629/demo0629.htm
【6月4日】「DIABLO II:LORD OF DESTRUCTION」日本語版、英語版と同時発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010604/diabloII.htm
【5月18日】メディアカイト、「DIABLO II:LORD OF DESTRUCTION」英語版の発売日を決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010518/medialod.htm
【4月23日】メディアカイト、「DIABLO II:LORD OF DESTRUCTION」の予約受付開始 価格も決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010423/mdkite.htm
【4月1日】「DIABLO II:LORD OF DESTRUCTION」プロデューサーChris Millar特別インタビュー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010401/lod.htm

(2001年6月29日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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