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★PS3 / Xbox 360ゲームレビュー★

ビルからビルへと飛び移る爽快感が魅力
フリーランニングをモチーフにした意欲作

「ミラーズエッジ」

  • ジャンル:一人称アクションアドベンチャー
  • 開発元:DICE
  • 発売元:エレクトロニック・アーツ
  • プラットフォーム:PS3 / Xbox 360
  • レーティング:CERO:C (15歳以上のみ対象)
  • 価格:7,665円
  • 発売日:12月11日(発売中)



 スウェーデンのゲームデベロッパーEA DICEが手がけた「ミラーズエッジ」が、いよいよ日本でも発売された。

 本作は、障害物を飛び越えたり、よじ登ったり、またその上から移動するといったフリーランニング(パルクール)をモチーフにしたアクションゲームだ。高層ビルから次のビルへと飛び移るアクションは、遊んでいる側も見ている側も魅了する。本稿ではプレイステーション 3版に焦点を当てレビューしていきたい。

 本作のストーリーは、ネットやメールなど情報伝達手段がすべて盗聴され個人のプライバシーが皆無となってしまった近未来の監視社会を舞台に、そうした世の中をよしとせず、迫害されながらも強く生き抜くコミュニティの活動を描いている。主人公フェイスは、監視社会における唯一のセキュアな情報伝達手段であるドキュメントの手渡しを行なうランナーとして、次のランナーにドキュメントを手渡す役目を担う。

 プレーヤーは、このフェイスとなり、VIP殺人事件に巻き込まれた妹の救出と、その事件の真相を解明していく。プレーヤーが操作するフェイスは、ランナーとしてビルの屋上やビルの構内に設置されたエアダクトからクレーンのアームの上などさまざまなオブジェクトを飛び越えたりよじ登ったりしながら、各チャプターをクリアしていくことが本作の目的だ。

 ゲームモードには、プロローグを含めた全10チャプターをプレイする「ストーリーモード」。各チャプターのクリアタイムを競う「スピードラン」。ステージ中に設置されたチェックポイントを通りながらクリアタイムを競う「タイムトライアル」(全12ステージ)の3つが用意されてる。

白を基調とした世界は透明感があり、夜のステージでは、HDRによる光がより一層本作の世界を幻想的かつ魅力的に演出している


■ アクションをダイレクトに画面に伝えることで、臨場感の高いゲーム性を実現

主人公フェイスの妹ケイト。ストーリーは彼女がVIP殺人事件の容疑者となるところから始まる
 本作のゲームシステムは、一人称視点を採用しており、プレーヤーが行なったアクションなどがダイレクトに伝わるように、視点は常にフェイスの顔をの動きと同調している。たとえば、ジャンプすれば画面は激しく上下に動き、前転を行なえばその動きに同調する。また空中ブランコのようなところでは前後に動くといった動作がある。

 ゲーム部分での具体的なアクション要素としては、基本となるジャンプをはじめ、壁を駆け上がるウォールクライム、側壁を足場に走り抜けるウォールラン、障害物をすり抜けるスライディング、綱渡りを行なうバランスウォーク、といった基本動作のほか、周囲がゆっくりと動作するリアクションタイム、高いところからの落下ダメージを回避するスキルロールなどが挙げられる。

 これらの操作は、前述のリアクションタイムと武装解除といったものを除くさまざまなアクションはコントローラーのLとRの4つボタンで行なうことが可能だ。もっとも基本的な動作はL1(またはLB)に集中しており、難易度の高いアクションをいとも簡単に繰り出すことができる。操作方法をシンプルにすることで、よりダイレクトに画面上にフィードバックされ、スピード感や高いところから落下するといったスリルを疑似体験できるようになっている。なお、キーアサインはオプションにより自由に変更可能だ。

 ちなみに、PS3版のみの特徴として、モーションセンサーに対応しており、バランスウォークをはじめとしたいくつかのアクションにこの機能を利用できる。

本作の登場人物はケイトを含めてもそれほど多くない。同僚のセレステやマーキュリー、元ランナーのジャックナイフなど、ブリーフィングのアニメシーンや、本編中の一部で彼らとの会話を確認できる


■ パズル要素は楽しめるが、アクション性は高い。トライ&エラーをストレスなくプレイできるかが課題か

やり込み要素として、ステージ中には3つのランナーバッグが隠されている。ゲーム進行には関係ないが、実績やトロフィーなどには反映される。上の写真のようなマークがあるエリアに設置されているので、探してみるといいだろう
一見するとヒントがなさそうに見える通路だが、プレイ経験を積むことで、いくつかのヒントを見つけられることが可能だ
 本作は、ステージ内の特定の位置にフェイスが到達することでストーリーが進行していく。ストーリーは一本道で、市長候補のポープ殺害の容疑者となってしまった妹のケイトの容疑を晴らすべく、主人公のフェイスが手掛かりとなる人物に会うために目的の場所へと走るというのが基本的な展開となる。また後半は情報を集め、妹を救いだすのが最終目的となる。

 ゲーム中の各チャプターにはいくつかの進行ルートが用意されており、具体的にはフェイスの周辺にある進行ルートのヒントとなるオブジェクトは、ランナービジョンと呼ばれる赤い色で表示される仕組みになっている。

 明るい色を基調としたこの世界では、この赤いオブジェクトは非常に目立つ仕組みになっているため、走っている最中であってもオブジェクトを見つけやすく、またこれらを素早く見つけることで、進行ルートを迷うことなくスピードに乗って難所も簡単に進めることが可能だ。

 チャプター前半では、この機能が非常によくできており、スピーディーかつスムーズにストーリーを楽しむことができるだろう。このあたりは非常によくできている。とはいえ、後半のチャプターになるつれ、ウォールクライムを必要とする部分が多くなり、駆け抜けるスピード感などの爽快感を体験するよりも、パズルゲームをクリアするような部分が重要になる場合が点在していくようになる。

 またフェイスは一般的なFPSの主人公たちとは違い、非戦闘員であるため、格闘戦の能力は非常に弱い設定になっている。このため、警察官との戦闘で近距離で銃弾を浴びたり、殴られたりするとたちまちダウンしてしまい、あっけなくゲームオーバーの文字を見ることになる。

 またノーマルモードであっても武装解除のタイミングがシビアなこともあり、スキルを利用しながらでも難しく感じる部分が多々あった。また同様に銃撃戦もフェイスは銃器のエキスパートではないため、プレーヤーのエイミングが上手でもなかなか当たらないようになっている。

 このため、警察官を倒しながら進むといったことが非常に難しくなっているため、駆け抜ける爽快感よりも戦闘部分での失敗が原因でゲームオーバーになってしまい、ストレスを感じてしまうこともあるかもしれない。せっかく華麗に障害物を走り抜けても、初めのうちは、戦闘部分で躓いてしまいストレスを感じてしまうのは残念だ。

 また多数の警察官に囲まれるシーンなどでは、安直に逃げ道を選択してしまいがちになり、せっかく用意された複数のルートを探す余裕がなくなる部分などもある。当然ながら、セカンドプレイでは、プレーヤーも上達しているため、若干の遊び心や後半ステージのフェイスのスキルの応用などが身についている部分もでるが、ひとつのルートをクリアしてしまうと別のルートを遊ぶために2度目をプレイするかは少々疑問に思えてしまうこともあった。

 筆者は2プラットフォームともプレイしているため、それぞれのプラットフォームでは若干異なったルートで進めることができたが、同一プラットフォームで一部のステージをやり直すかという点では、NOと答えるだろう。

赤いオブジェクトは進行可能なルートや、ヒントを示している。一部のステージや難易度では表示されないが、ルートに詰まったら赤いオブジェクトを探すことで容易に先に進めるはずだ
フェイスは銃器のエキスパートではないため、プレーヤーのエイミングが上手でもなかなか当たらない。できることなら、武装解除や近距離戦闘を中心に各個撃破を狙っていきたい


■ プレイ時間か充足感か!? 評価がはっきりと分かれるタイトル

足のすくむような高所を次から次に渡っていくというオリジナリティの高いゲーム性が最大の特徴だ
 本作の総プレイ時間は、「ストーリーモード」だけであれば、トライ&エラーを含め約6時間程度でクリアすることが可能だ。

 本作には、そのほかにストーリーモードの各チャプターをいかに早くクリアするかを競う「スピードラン」。決められたコースに点在するチェックポイントまでの到達時間を競う「タイムトライアル」の3つのモードをプレイすることができる。

 「スピードラン」は、各チャプターのタイムアタックであるため、ストーリーモード上をやり直すような部分がある。当然タイムアタックなので、1回の失敗でかなりのタイムロスになるため、完璧を目指す人であれば何度もリスタートすることになるだろう。

 すでに欧米のユーザーによって多くのタイムが登録されているが、ワールドランカーのタイムには、驚かされるばかりだ。本作を購入した人は一度プレイして自分のタイムと見比べてみることをお勧めする。スピードランの残念なところは、このリスタートのロード時間が長いため、気軽にプレイするにはかなりストレスのたまる状況に陥るかもしれない。

 本作の魅力であるフリーランニングに重点を置いて楽しみたいのであれば、「タイムトライアル」をプレイすることで、ストーリーやスピードランでは味わえないようなやり込み要素を補うこともできるだろう。

 このモードでは、ストーリーモード上で使った多様なアクションを、より正確に確実に使っていくことが求められる。これまでの応用プレイが可能であれば、かなり楽しめる部分ではあるが、反面、緻密な操作を必要とするため、若干のミスによる着地座標のずれなどで、落下してしまい、大きなタイムロスとなってしまう。

 アンロックを狙った規定タイムクリアであれば、直線的に進むことができるため、最速タイムさえ気にしなければ、かなり楽しめるだろう。だたし、最初のうちは、本編同様、トライ&エラーの連続による走ることへの爽快感が失われてしまい、代わりに焦燥感が発生してしまう可能性もある。

 なお、いずれのモードも腕に自信がなければ、コースメニューにある「レースフレンド」か「レース上位」からプレイゴーストをダウンロードして、他のプレーヤーの走りを参考にしながら走ることも可能だ。一通りのステージを遊んでも、全体のプレイ時間は10時間程度で収まってしまうため、全体のプレイが短いことに対しての不満は残るかもしれない。

 「ミラーズエッジ」は、ゲームコンセプトや世界の表現方法、簡易な操作による様々なアクションなどチャレンジ精神溢れるタイトルだ。しかし、前述したように、クリアした達成感よりも、警察官との戦闘や難所でのやり直し、前述の着地座標が若干ずれただけで起こる転落死など、複数回のトライ&エラーによる焦燥感が強く残ってしまうケースが多かった。それだけ難しいなら、難所をくぐり抜けた際は、昨今のゲームで増えているようなショートリプレイによって達成感の鱗片でも味わうことができるようなシーンがあれば、これらの不満も幾分かは解消されたかもしれないのが、残念なところだ。

 昨今のEAタイトルに言えることだが、「Dead Space」や同ディベロップメントスタジオであるDICEの「バトルフィールド バッドカンパニー」など、ストリーモードをクリアするまでのプレイ時間は非常に短いタイトルが増えてきているようにも思える。

 日本では、ゲームの短さはネガティブな要因のひとつとして捉えられがちだが、プレイ時間は短いものの、より高い臨場感を得ることもできるため、クリアしたあと充足感は十分に得られる。もちろん「ミラーズエッジ」もそのひとつだ。

タイムトライアルやスピードランでは、決められたコースをいかに早く走り抜けるかを競う。少しのミスでかなりのタイムロスになるのが厳しい部分だ

(C) 2008 EA Digital Illusions CE AB. Mirror’s Edge and the DICE logo are trademarks or registered trademarks of EA Digital Illusions CE AB. All Rights Reserved. EA and the EA logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. All other trademarks are the property of their respective owners.

□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.eajapan.co.jp/
□「ミラーズエッジ」のページ
http://mirrorsedge.jp/
□関連情報
【12月10日】EAJ、PS3/Xbox 360「ミラーズエッジ」発売記念イベント
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【12月3日】EA、PS3/Xbox 360「ミラーズエッジ」
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【11月21日】EA、PS3/Xbox 360「ミラーズエッジ」
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(2008年12月11日)

[Reported by 鬼頭世浪]



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