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ディースリー・パブリッシャー、RPG「RIZ-ZOAWD」
楽曲担当・崎元仁氏、なるけみちこ氏、プロデューサー・大窪哲也氏に話を聞く
「オズの魔法使い」をテーマに「どうすれば『RIZ-ZOAWD』だけの音楽になるか悩んだ」

2009年12月25日 発売

価格:5,229円

プロデューサーの大窪哲也氏 (右) 、なるけみちこ氏 (中) 、崎元仁氏の3名に今作の音楽について共同インタビューが行なわれた
 株式会社ディースリー・パブリッシャーが12月25日の発売を予定しているニンテンドーDS用RPG「RIZ-ZOAWD (リゾード)」。「RIZ-ZOAWD」は有名な「オズの魔法使い」をモチーフにしたRPG。異国に飛ばされてしまったドロシーが、故郷に帰るという願いをかなえるため、魔法の国の王“オズ”と取引し、世界に点在する「エッグ」を収集していく。

 制作はメディア・ビジョン エンタテインメント株式会社のCG制作事業部が手がけ、オーソドックスなRPGでありながら、美しいグラフィックスとトラックボールを使用したアクション要素も含んだスピーディな移動シーンなど見所も多い。

 音楽を担当したのはなるけみちこ氏と崎元仁氏。なるけみちこ氏はこれまで「天使の詩」シリーズや「WILD ARMS」シリーズを手がけ、“なるけ節”を確立し人気を集めている。「RIZ-ZOAWD」では、オープニングテーマ曲とエンディングテーマ曲の作詞作曲を手がけている。ちなみに歌っているのは麻生かほ里さん。崎元仁氏は「伝説のオウガバトル」、「ファイナルファンタジーXII」などを手がけ、ベイシスケイプを設立し代表取締役を務めている。「RIZ-ZOAWD」では楽曲全般を手がけ、サウンドプロデュースを担当している。

 今回は崎元氏となるけ氏、プロデューサーの大窪哲也氏にお話を伺った。


崎元氏が代表取締役社長を務めるベイシスケイプでお話を伺った
 「RIZ-ZOAWD」の制作は、ディースリー・パブリッシャーから「オズの魔法使い」をテーマにしたRPGをニンテンドーDSで作ることはできないかと、メディア・ビジョン エンタテインメントに依頼が入ったところからはじまる。初めその企画を聞いたとき大窪氏は「本や映画も多く知名度が高く、題名は聞いたことがあるが詳しい話は知らない人が多い。国内で販売することを考えると、キャッチーでありながら興味を引いてもらえると思いました。勧善懲悪のストーリーで、悪い敵がいてパーティを組んで、そういった意味ではRPGにしやすい。題材として優れているので制作するにあたって特に苦労したことはないですね」と企画として優れている点を強調。

 ただし、「オズの魔法使い」をそのままゲーム化する気は毛頭無かったようで「そのままなぞるつもりはなく、省くところは省きアレンジするつもりでした。東西南北を四季にしたり、雰囲気を壊さない範囲でちょっとまねてみたりしました」と大窪氏は続けた。

 今回、崎元氏となるけ氏に音楽を依頼した経緯について大窪氏は「なるけさんは『WILD ARMS』シリーズで繋がりがあり、お願いしました。崎元さんは、私がCG制作事業部でゲームのCGなどを手がける中でお付き合いのある会社さんから紹介してもらいました。個人的にファンだったこともあり『ぜひお願いします』とお願いしたところ快諾していただきました」と説明。

 崎元さんは、はじめの打合せの時にすでに主人公のドロシーが動いている「RIZ-ZOAWD」を見せてもらったのだという。感想としては「すごく綺麗だった。DSでこんなに動くんだ」と感動。絵のセンスも良いということ以上に驚きが大きかったという。

 一方なるけ氏が話を受けたときはまだ動くものが無く企画書だけで進行したという。なるけ氏としては「ファンタジーはあまりやったことがなかったので、どうやろう」と悩む部分もあったようだ。

 「オズの魔法使い」についてなるけ氏は「有名すぎる。誰もが知っている『Over the Rainbow』を使えればと思ったが、使用することができなかった」と、ここから悩むこととなったという。洋物のファンタジーで女性が主人公のものは多く、なるけ氏によれば「それにあてる音楽は決まってくる」と類型的なパターンに陥りやすいと指摘。どうすれば「RIZ-ZOAWD」だけの音楽になるかとかなり悩んだという。

 やはりミュージカルっぽい音楽ということで、劇団四季の舞台を観たりしたが「そういったものを観ると、それっぽい音楽を作りたくなる」ということで、途中でリサーチのために音楽を聴くことをやめたという。そうやって悩んだ果てになるけ氏は「シナリオのサイドストーリーを自分で勝手に作って、そのストーリーの音楽を作った」と思い切り方向を転換させた。悩みに悩み、一度「オズの魔法使い」から離れ、原作のイメージを元に魔法使いを巡る独自のストーリーや“魔女っ娘”をイメージし、オープニングとエンディングが完成させたのだという。ただ、曲を聴いた大窪氏は「イメージは合っています。なるけさんなりに『オズの魔法使い』を解釈してもらった」とその出来に太鼓判を押した。

 崎元氏も「既存の商品がたくさんあり、僕も探してみました」という。しかしそれぞれが完成度も高く、聴いていくうちに「既存の方向性で良いんじゃないか?」と思うようになり、「これ以上聴くと、それらに引っ張られる」と思ったという。結果的には「自分の解釈でやる」と正攻法で曲をつけることを選択したと言うが、「あのとき色々と模索した時間は、無駄になっていない」と苦労を振り返った。

 崎元氏は基本的なスタンスとして「絵本っぽい音楽」と「ミュージカル風」ははずせないとしながらも、BGMとして強く主張する音楽ではなく、一歩引いた傍観しているようにしたかったとしている。

 「RIZ-ZOAWD」はオーソドックスなRPGだが、一方で移動シーンでドロシーが走りまくるシーンが実に印象的で、アクションゲーム的なイメージが浮かぶほど。この爽快感というか疾走感は曲作りに反映されたのだろうか聞いてみたところ、なるけ氏は「走ることは大前提としてありました。実際に見たときもドロシーが走る感じがリアルでしたし。なので歌詞にも盛り込みました」と言う。開放感や駆け抜ける雰囲気をキーワードとして考えながら曲作りが行なわれたようだ。

 崎元氏は「(ドロシーの) しぐさが妙に可愛いですよね。そう言ったところに本人の性格が出ている。ですからそういった点は意識しました」と、もちろん様々なシーンがあり一概には言えないが、崎元氏もスピード感は意識し「ドロシーになった気分を出すようにした」という。


初回特典アイテムの「プレミアムCD」。OP曲「RIZ-ZOAWD!」のフルバージョンを始め、崎元氏がセレクトした5曲収録されている
 ニンテンドーDSというプラットフォームについてなるけ氏は、「DSの優れている点はヘッドフォンで聴くとちゃんとした音が聴こえる。スピーカーから聴こえる音は帯域が限られているので、(我々が) 意図した楽曲を聴かせられないのが残念」と語り、「プレーヤーの方は音を聴きながらプレイしてくれているのだろうか? そういった不安はいつもありますね」と言い、「ヘッドフォン推奨です (笑)」と注文をつけた。

 崎元氏は「ヘッドフォンでもスピーカーでも両方大丈夫なように調整はしてある」といい、「RIZ-ZOAWD」に関して言えば「ストリームをけっこう使えた」のだとか。録音された音源をバックで流すストリームは、音質は向上する一方でマシンパワーを食うため、プログラミング技術などの向上はもちろん、各制作チーム間でリソースをどれくらい配分するかといった点で調整が難しい一面もある。崎元氏は「曲書きとしてはストリームの方が良い」とし「リズムのハッキリした曲であれば内蔵音源でも良いかもしれないが、『RIZ-ZOAWD』の音楽ではストリームが使えて良かった」と曲調的にも今回のストリーム技術を多用したことでより満足いくものに仕上がったようだ。

 この点について大窪プロデューサーは「音に力を入れようと話していた」と、音楽にパワーを割くつもりでいたことを明かした。大窪氏側から音楽制作陣への注文としては「おどろおどろしい曲はなしにして欲しい」という1点だけだったという。理由は明快で、対象となるユーザーがコアゲーマーではなく、RPG初心者にもプレイして欲しかったからだ。音楽と同様にグラフィックスについても女性のユーザーが多いイメージから「綺麗なリゾート地のような背景に、それにあった曲をお願いした」という。結果上がってきた作品は「盛り上がるシーンもあるが走り回ってリゾート地を巡っている雰囲気がバッチリできている。世界観を理解してもらったので一発でOKを出した」と満足いく仕上がりとなったようだ。

 逆に崎元氏は大窪氏の“一発OK”にしばらくしたあと自らリテイクを出したのだとか。理由は「(グラフィックスやプログラムなど) ゲームの制作はお互い (並行して) 行なっている。こちらが作ったあとに他の仕上がりを見て向こうの気合いを感じるとこちらもやる気になる。たとえばなるけさんから曲が上がってきたら『そう来たか!』とやる気になる。こういった制作のキャッチボールができるのは良いこと。クリエイティブなことですよ。もちろんいつもそうあるべきですが、今回の現場には特にそういった雰囲気があったので、僕的には嬉しかった。こういった現場は楽しい」と、制作にかける意気込みが高いレベルで制作陣の間でぶつかり合い、より高度な作品へと仕上がっていったようだ。


 なるけ氏は曲と詩を同時に作るという。詩については言葉の“語尾”が少しずつ出てきて次第に埋まっていく感覚だとか。なるけ氏はこれを「メロディに歌詞が呼ばれる」と表現。物語の世界観、ストーリー、主人公がどういった娘で何を考え、「この子ならこんなことを言いそう」など様々なことを考えながら進めていき、モチーフがハッキリ決まると「メロディの譜割りに (詩の) 文字数が合ってくる」のだという。今回のオープニング曲に関して言えば“私”という一人称を入れたかったと言い、「思い出に縛られてた私じゃないわ」というテーマがひとつのきっかけとなったという。

 崎元氏は詩を書くことはないが、やはり同様に「資料をもらっていますが、それ以外の物語、例えばドロシーの日常的な姿や、普段どんな心境で過ごしているのかを一生懸命考えています」という。「いきなりメロディが“バーン”と浮かぶことはない」といい、そういった情報の隙間を埋める努力の果てにすばらしい音楽が生まれてくるということなのだろう。

 歌を歌っているのはミュージカルを中心に舞台で活躍している女優の麻生かほ里さん。なるけ氏と麻生さんは「WILD ARMS」シリーズで何度も共に音楽を生み出してきたが、「WILD ARMS」シリーズの時は打合せや録音にはすごく時間をかけてやるのだという。しかし「RIZ-ZOAWD」では、1〜2回歌ってもらったらあっという間に終わったのだという。長年コンビを組んでやってきた仲でもこういったことは非常に珍しいとのことで、それだけイ「メージ通りにしっくり来る歌に仕上がった」となるけ氏は語る。

楽曲を担当した、崎元 仁氏 OP曲とED曲を担当したなるけみちこ氏 プロデューサーの大窪哲也氏


 ゲームの内容についても話題が及び、これには大窪プロデューサーが応えた。音楽に力を入れている点については前述の通りだが、大窪氏はCG制作事業部が手がけるということで「グラフィックスはDSのトップクラスであること」は当然狙っていたのだという。むしろ重要なのは「それよりも操作性」だったという。DSをプラットフォームに選んだときから特長を活かすことを考え、インターフェイスはタッチペンを使用することに決めていたとか。大窪氏は「十字キーとボタンを使用するのであればDSでやりたくなかった」と言い、タッチペンを使用するのであればどうしたらいいのか既存のソフトを研究しながら、結果的に“変化球”のトラックボールを採用することとなった。

 これまで東京ゲームショウ2008などに出展されてきたが、トラックボールの操作感はおおむね好評だという。大窪氏は「RPGにおいてフィールドを歩く時間が大半。そこを快適にしたかった」と、トラックボールをクルクルと回すことでドロシーが走る移動シーンを導入した理由を明かした。実はこのほかにもトラックボールを採用した理由はあり、ひとつは下に大きなトラックボールを配置することでプレーヤーにインパクトを与えることができるという点。もうひとつは上画面で美しいグラフィックスを高速に描画しているため、グラフィックス処理を行なうパワーを下画面にほとんど割けないという事情もあるのだという。RPGに馴染みのない人やRPGに食傷気味の人にプレイして欲しいという想いから、「RPGとして、ゲームとしてオーソドックスな部分ははずしていない」と言い切る大窪氏。ゲームを作る上で、どこが重要か取捨選択を行なうことの重要性だと言える。

【スクリーンショット】
イベントシーンの原画。絵本を意識した作品作りということで、明るい色調で可愛らしい美しい絵作りとなっている
トラックボールの採用はやはり話題となった。下画面はトラックボールを始めシンプルな作りになっているのは、上画面の描画と音楽にリソースを使い切り下画面にパワーを割けなかったためだという
大窪プロデューサーがたびたび口にしたのが「オーソドックスなRPG」。一方で、移動シーンはトラックボールを使用しスピーディな映像に仕上げるなどアイディアも盛り込まれている


 最後に締めくくりとして大窪氏は「RPGらしいRPGだと思う。RPGから離れている人には是非やって欲しい。丁寧にまじめに作っています」とアピール。なるけ氏は「長く楽しめるソフトだと思います。グラフィックスも凄いです。崎元さんの凄いところは雰囲気を掴んで提示してくれるところ。すぐに良い気分になれます」とコメント。崎元氏も「すごく丁寧に作られている。トラックボールをコロコロ動かして走り回っているだけでも楽しい。ゲームから出てくる雰囲気が常に優しいというか愛に溢れているような気がするんですよ。なので疲れたときに、ちょっと世界に浸ってみるときっと癒されると思います」とコメントし、「初めてゲームを立ち上げて、チュートリアルにはいるまでの一連の流れがすごく好き。ぜひ買って手にとって欲しい」とアピールして締めくくった。

(C)Media.Vision Entertainment (C)D3 PUBLISHER

□ディースリー・パブリッシャーのホームページ
http://www.d3p.co.jp/
□メディア・ビジョン エンタテインメントのホームページ
http://www.media-vision.co.jp/
□ベイシスケイプのホームページ
http://www.basiscape.com/
□「なるけみちこ公式ウェブサイト ささくれ砦」のページ
http://www.sasakure.net/
□「RIZ-ZOAWD」のページ
http://www.d3p.co.jp/riz/
□関連情報
【10月30日】ディースリー・パブリッシャー、DS「RIZ-ZOAWD」
魔女軍団と会話シーンを紹介!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081030/riz.htm
【9月30日】ディースリー・パブリッシャー、DS「RIZ-ZOAWD」
主題歌が麻生かほ里×なるけみちこに決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080930/riz.htm
【8月8日】ディースリー・パブリッシャー、DS「RIZ-ZOAWD」
バトルシステムなどの新情報を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080808/riz.htm
【7月4日】D3パブリッシャー、DS「RIZ-ZOAWD」
ワールドマップなどの新情報を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080704/riz.htm
【6月20日】タッチペン1本でさくさく遊べるステージクリア型RPG
D3パブリッシャー、DS「RIZ-ZOAWD(リゾード)」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080620/rz.htm

(2008年12月5日)

[Reported by 船津稔]



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