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スギヤマ工房、「第22回 ファミリークラシックコンサート ドラゴンクエストの世界」
「『ドラゴンクエストIX』の曲は徐々に進んでいる」

8月9日 開催

会場:東京芸術劇場

すぎやまこういち氏にプレイ中のゲームを持って頂いての1枚。「“メタルキング狩り”でガンガンとレベルアップ中」と嬉しそうに語っていたすぎやま氏
かなりの観客を収容できる東京芸術劇場がいっぱいになる人気ぶり。当日券も発売されたが、100名近くの行列が朝からできたほど
 スギヤマ工房有限会社は8月9日に東京芸術劇場において「第22回 ファミリークラシックコンサート ドラゴンクエストの世界」を開催した。チケットは発売開始から3時間で完売し、当日券も朝から100名が列ぶという人気の講演で、8月30日に京都コンサートホールにおいて開催される「ドラゴンクエスト・スペシャルコンサート」もすでに完売している。ただし、「ドラゴンクエスト・スペシャルコンサート」の当日券は会場受付にて若干数の発売が予定されている。

 今回は、すでに恒例となったすぎやまこういち氏のコンサート前に行なわれる取材に伺ってきた。東京での公演は今回は終了したが、京都での公演はこれから。すでにチケットは品薄状態だと言うが、来場を予定されている方は楽しんでいただきたい。

 まずすぎやま氏は東京都交響楽団の実力を高く評価し「都響の演奏は非常にすばらしい。観客の皆さんに感動してもらい、また聴きに来てもらっている」とすばらしい演奏がリピーターを呼んでいると分析。また、ニンテンドーDS版の「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」、「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」が発売されて間もないことも人気に拍車をかけていると言えそうだ。

 今回の演奏会では「交響組曲『ドラゴンクエストIV』導かれし者たち」を演奏。一方、京都では京都市交響楽団による「交響組曲『ドラゴンクエストV』天空の花嫁」の演奏が予定されている。東京ではアンコールに「ドラゴンクエストV」から初演となる「ずっこけモンスター」を演奏。DS版「ドラゴンクエストV」に収録されているミニゲームの曲で、すぎやま氏は「東京では『ドラゴンクエストIV』の組曲をやるので、『ドラゴンクエストV』の新曲も演奏したいと思った」と選曲の理由を明かした。この曲は「今後、交響組曲に組み込みたい (すぎやま氏)」ということなので、耳にする機会も増えてくるだろう。

 さて、すぎやまこういち氏といえば大のゲーム好きとしても知られているが、「ドラゴンクエストIV」、「ドラゴンクエストV」共にやり込んでいるのだという。「ドラゴンクエストIV」では、「メタルキングの倒し方を開発してレベルをガンガン上げ、99まで達しました」とかなりの時間をプレイに割いたご様子。そして「ドラゴンクエストV」では、「今プレイしているところで、裏ダンジョンに行き、“メタルキング狩り”をやっています」と嬉しそうに語った。すぎやま氏はメンバー3人にどくばりを持たせ素早さが高いメンバー1人に聖水を山ほど持たせ攻略しているのだとか。実に本格的である。

 「ドラゴンクエストV」と言えば、花嫁を選択できるところが大きな山場と言えるだろう。ニンテンドーDS版では選択肢が2人から3人へと増えているわけだが、すぎやま氏は「サラボラの街に行って話をして、宿に行ってそこでセーブをして、そのデータは大事に取っておく。そこでビアンカで遊んだ後フローラ、デボラもやりました」と全てでプレイしたことを明かした。「実世界でできないことをやってみる!」とこちらもまた楽しそうに語った。

 さて、ユーザーにとって最も気になるのは「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の音楽がどうなっているかという点。すぎやま氏もそこは察していて、質疑応答に先んじて「聞かれる前に話しておきます。実は『ドラゴンクエストIX』の発売日が決定しました!」と話し始め記者陣が膝を乗り出したのを見て「……と言うこともなく。わしゃしらんよ(笑)」とサラリとかわした。「発売できるかどうかは堀井雄二さん次第。大変だと思うんですよ、『ドラゴンクエストIX』のことを考えながら『ドラゴンクエストVI』のことも考えないといけない。ハードワークですよ」と労いながら、「僕も楽しみにしている」と続けた。

 ただ、「ドラゴンクエストIX」の音楽については進行中で、「『ドラゴンクエストIX』の曲は徐々に進んでいる。色々なところで懐かしい部分が出てくるのでそこも聴き所で、新曲との対比も面白い」と重要な秘密を明かした。どういったシーンでどういった懐かしい曲がかかるのか? ストーリーなどにも関わってくるだけに興味深いが、具体的な部分については明らかにされなかった。ただ、当然のことながら一筋縄ではいかないようで、「もう一回やり直したり、いつも通りしつこく取り組んで頑張っていく」と試行錯誤を繰り返しながら制作に取り組んでいるようだった。ただ、DSというハードで音楽を鳴らすという点については「幸いなことに『ドラゴンクエストIV』と『ドラゴンクエストV』で経験することができた。その経験を『ドラゴンクエストIX』でも活かしたい」と締めくくった。

 質疑応答では「『ドラゴンクエストIV』は一番最初はファミリーコンピュータ用ソフトとして開発されましたが、その当時の苦労話などを聞かせて欲しい」といった質問が飛んだ。これについてすぎやま氏は「ファミコンではPSGの3トラックだったかな。基本の音楽というのは壮大な楽想が浮かぶんですよ。それを3トラックで表現するというのは、それはもうパズルですよ」と苦労を表現したが、それはまた楽しいことだったのだという。

 「たとえばクレッシェンドで盛り上げる場面で、最初に1トラックの短音で始め、2トラックから3トラックへと増やしていくなど、わざと1トラックで音を鳴らし始めるといった工夫を施した」と創作の課程を明かした。その“苦労”というか“工夫”は、「それがオーケストラに生きてくる。オーケストレーションの段階でより盛り上がる」と苦労が転じて作品の質の向上に繋がっていると指摘。「(音楽の) 骨組みを3トラックで作るのは良いことだと思う。その音楽がオーケストラに膨らんだときの喜びといったらない」と語った。

 すぎやま氏とお会いするといつも感じ入るのは、その元気なところ。そして音楽もゲームも心底楽しんでいらっしゃるのが、ユーザーに新たなる楽しさや喜びを提供する源となっているようだ。日本全国を飛び回り各地でコンサートを精力的にこなしていらっしゃるので、ぜひとも1度は足を運んでいただきたい。

【スクリーンショット】
暖かい拍手に迎えられ壇上から深々と頭を下げたすぎやまこういち氏。相変わらずの人気ぶりだ 今回の演奏は東京都交響楽団。コンマスの山本友重氏は「ドラゴンクエスト」のゲームもヘビーにプレイしているとすぎやま氏が紹介し、がっしりと握手を交わした すぎやま氏は「指揮とお話」ということで、曲間にはマイクを握り曲の解説などで観客を楽しませる


□すぎやまこういち氏のホームページ「すぎやまこういちの世界」
http://sugimania.com/
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(2008年8月11日)

[Reported by 船津稔]



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