|
会場:Los Angels Convention Center
今回の登壇者は、任天堂株式会社専務取締役 情報開発本部長の宮本茂氏と、情報開発本部 制作部 制作第2グループ マネージャーの江口勝也氏。まず江口氏が、昨日のMedia Briefingで発表されたWii用の新作「Animal Crossing City Folk (どうぶつの森)」と「Wii Sports Resort」を紹介し、続いて宮本氏が登壇して「Wii Music」について語った。
■ DS版からデータ引継ぎ可能!「Animal Crossing City Folk」
家具やじゅうたん、アクセサリといったアイテム類でもボリュームアップ。初めからディスクに収録されているものだけでなく、WiiConnect24で自動的に無料で追加データを配信する機能も用意されるという。これはディスクに収録されているものをアンロックするのではなく、新たなデザインのものを配信可能で、「入れて欲しい家具の要望があれば、実現できる可能性はある」としている。 次に、本作のタイトルにも書かれている街の要素。髪型を変える美容院や、コメディを見られる劇場など、色々な機能が用意されている。街は複数のプレーヤーが共有するというイメージで、WiiConnect24を通じて、Wiiフレンドに街のデータが自動的に送られ、Wiiフレンドが街に訪れた様子がわかるという。
そして、ソフトとともに発表されたマイクデバイス「Wii Speak」についても説明。「センサーバーの上に常に置いておいてもらう。座って話をするだけで、遠くの友達と一緒に遊んでいる感覚になれると思う。同じ部屋にいるみんなが会話でき、たくさんの人と一緒に喋れるので、今までとは違う遊び方ができる」という。ただこの会場でも「Wii Speak」の実物は見られなかった。
プレゼンテーションの後に行なわれた質疑応答では、DS版との連携について言及。「顔や家具のカタログといったデータをWii版に引き継げる機能を用意する」とした。ただし、お金は持っていけないそうだ。 さらに、ニンテンドーWi-Fiコネクションに接続できる環境がないユーザーに向け、「DSにWiiの村のデータを入れて、友達の家にデータを持っていって遊べる」、「追加配信された家具などのデータを、DSを持ってお店に行ってダウンロードし、家に持ってくるという機能を考えている」といった強力な連携機能を備えることを明らかにした。 「DS版では4人のうち1人が突然電源を落とすと、全員が追い出されるという症状があったが、この問題は解消されたのか」という質問に対しては、「今回も同じ仕組みなので、落ちる」と回答。ただしこれに付け加えて、「今回は4人で見られる部分が増えた。家に入ったり、とたけけのライブを見たりとパワーアップもしている」とも語った。 「お天気チャンネルのデータをマッチングするなど、他のWiiチャンネルと情報交換はできますか?」という質問には、「それも考えたが、世界中にはいろんな気候がある。『どうぶつの森』には四季があったり、天気の変化でできる要素もあり、雨が降らない地域などでは遊べない要素が増えてしまうので採用しないことにした」と答えた。
ちなみにDS版では南半球で遊ぶと季節のタイミングが合わない(北半球の四季に準拠している)のだが、これは本作でも逆のままなのだそうだ。オーストラリアのフレンドのところで真夏の正月を迎えるというのも、できれば面白そうではあるのだが……。
■ 角度変化を読み取る「Wii MotionPlus」で遊ぶ「Wii Sports Resort」
まずはフリスビーを投げて犬にキャッチさせる「Disc Dog」。プレーヤーがWiiリモコンを持つ位置や手首の角度も認識し、画面中央のMiiも手に持ったフリスビーの位置を変える。投げ方も自由で、右利きの人は体を左にひねって投げるのが普通だが、左側から手首のスナップを効かせるようにしても投げられる。 次に、水上オートバイを操る「Power Cruising」。Wiiリモコンとヌンチャクを水平に構えてハンドルに見立て、曲がりたい方向に両手を傾けると、画面のMiiも体を傾けて曲がっていく。またWiiリモコンをひねると、一時的に加速するという要素もある。これについて江口氏は、「傾きを検知しながら、手首をひねるなどの違う操作をするのは、Wiiリモコンだけでは難しかった」と「Wii MotionPlus」を使った機能をアピールした。 最後はチャンバラゲーム「Swordplay」。操作方法はまさに見たまま、Wiiリモコンを振った角度を認識して、画面のMiiも同じ角度で刀を振りかざす。江口氏は、「切りたい場所をユーザーが自由に狙える。剣を使うゲームは今までにもあったが、これくらい忠実に動きを反映するものはなかったはず」と語った。 ゲームの数については、まだ開発中ではあるが、「目標としては、10個以上は作りたい」としている。 一通りのゲーム内容が紹介された後、質疑応答に移った。「Wii MotionPlus」の技術的な仕様について尋ねられた江口氏は、「Wiiリモコン単体だと加速度センサーだけ。『Wii MotionPlus』では、角度の変化を読み取る。最初の角度からどれくらい動いたかを読み取ってソフトに反映させる仕組み」と説明した。 「『Wii MotionPlus』がないと遊べないなら、マルチプレイができる環境が限られるのでは?」という質問には、「『Wii MotionPlus』は単体でも発売されるのでそれを買っていただくのが1つ。また種目の中には、1つのWiiリモコンを交代で持つような、『Wii Sports』でいえばボウリングのような、1つで遊べるような種目も作るつもり」とした。 「『Wii MotionPlus』がついたことで、ゲームの難易度は上がらないか?」という質問に対しては、「その点はゲームを作っている側も十分認識している。例えばテニスで手首のひねりまで認識して色々なショットを打てるようになると思うが、それが遊びやすいゲームといえるか。任天堂は広い世代に一緒に遊んで欲しいと思っているので、まずはそこに注意して作っていきたい。ただ、できることには挑戦していきたい。入り口はハードルを低く、遊ぶうちに色々なことができる、というような形で『Wii MotionPlus』の遊び方を提供したい」と、今後も「Wii MotionPlus」の活用法を模索する姿勢を示した。
「Power Cruising」について、「ウエーブレース64」の開発者が携わっているのでは、という質問もあった。これに対しては宮本氏が肯定。「将来、本格的な『ウエーブレース”を作るかどうかはわからないが、『Wii Sports Resort』でそれ以上に楽しめればいいのではないかと思っている」と語った。
■ “ビデオゲームより面白い楽器”を目指した「Wii Music」
ゲームを始め、演奏する楽曲を選ぶと、自動的に適当な編成が用意される。楽器は60種類の中から適当なものが当てはめられる。編成はデフォルトで6人となっており、メインのメロディやベースなど役割が分かれている。 プレーヤーはその編成の中から好きなパートを選べる。例えばメインのメロディを選ぶと、それまで自動的に演奏されていたメロディが消える。楽器やパートの選択画面でも演奏が可能で、ここで実際に音を試しながら編成を考えられる。宮本氏は色々な組み合わせを実際にプレイして見せながら、「組み合わせを考えていると、いつの間にか夜が明けるというほど楽しい」と語った。 楽曲はジャズやロックのアレンジにしたり、テンポを変えたりできる。最終的に編成を決めて演奏を終えると、ミュージックビデオを作成でき、このデータをWiiConnect24を使って交換する機能も搭載されるという。 宮本氏は開発時の1コマとして、開発メンバーの5歳から8歳の子供を集めてテストをしたときの様子を紹介。「やってみたら、子供達がずっとゲームを離さない。やりこみたい人は自分の演奏を極めることもできるし、学校の音楽の教材として、初めて音楽を学ぶにもすごくいいものができたと思っている」と、今までにない音楽ソフトができたという自信を示した。さらには「小学校の音楽の授業の半分は、これをやればいいんじゃないかと本当に思う」という発言まで飛び出した。 通常の演奏のデモに続き、ドラム演奏のデモも実施。こちらは「Wii Fit」で使うバランスWiiボードをドラムのフットペダルとして利用するもので、本格的なドラム演奏ができる。「レッスンモードがついていて、言われたとおりにやると、おそらく数週間で本当にドラムが叩けるようになる」という。 デモの最後のまとめとして宮本氏は、「実際にこのソフトでミュージシャンと音楽を始める子供とドラマーが増えると思っているので、よろしくお願いします」とアピールした。 質疑応答では、「このゲームには目的もスコアもない。楽器のおもちゃのようなソフトですか?」というストレートな質問が投げられた。これに対して宮本氏は、「そのとおりです。それでビデオゲームよりも面白い」とあっさり返答。ゲームではないことを肯定しつつ、それにこだわらないエンターテイメントを提供しようという姿勢は、実に現在の任天堂らしさを感じさせる。
楽曲の配信については、前述の演奏データの交換を行なうのみで、楽曲そのものの配布は考えていないという。収録曲は、世界的に有名な童謡や、スーパーマリオのテーマといった同社の楽曲のほかにも、最近のポピュラーな曲も入れるという。総曲数は50曲、という言葉も聞けた。
「コアゲーマー向けのゲームを作るつもりはないか」という江口氏への質問には、「コアユーザーがどんな人を指すかは人によって違う。私はそのソフトが好きで、遊ぶ時間が長い人はみんなコアなゲーマーだと思う。誰でもコアなゲーマーになれると思っているので、こういったジャンルに絞らず作っていきたい」と答えた。確かに「どうぶつの森」を延々とやっているプレーヤーも数多くいるわけで、ユーザーを長く楽しませるゲームであれば、特にジャンルを特定することなく作っていきたいという意味の答えなのだろう。 宮本氏には、「『ピクミン』の次回作はでないのか」という質問。これには無言で席を立って出て行くそぶりを見せて笑わせてくれたが、質問にはきちんと答え、「僕はスタッフと同じように席を並べている。その中には、『ピクミン』のスタッフも『ゼルダ』のスタッフもいる。彼らはゲームを作りたがって、どんどん仕事をしている。僕が面白いと思えるものになったらいつでも発表する」とし、最後に「『ピクミン』も作っています」と付け加えた。
もっとも、任天堂の中で「ゼルダ」にせよ「マリオ」にせよ、さまざまな企画が動いているのは言うまでもないことで、「ピクミン」を作っているという発言が、すぐさま発売決定ということには繋がるわけではない。何よりその直前にある、「僕が面白いと思えるものになったら」という宮本氏の発言の重さは、任天堂ファンならば確実に理解していることだろう。ただ、もし「ピクミン」の次回作が世に出ることがあれば、それは宮本氏のお墨付きと考えてもいいはず。まずは今回発表された3タイトルを楽しみにしつつ、その先の展開にも期待していたいと思う。
(2008年7月17日) [Reported by 石田賀津男]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|