会場：KODAK THEATRE

　Nintendo of Americaは7月15日(現地時間)、KODAK THEATREにおいてNintendo E3 Media Briefingを開催した。その中で、Wii用の新作タイトルとして、「Wii Music」と「Wii Sports Resort」の2本を発表した。

　今回の発表の中で、最もインパクトの大きかったのは、「Wii Music」だろう。このソフトの存在は、実はWiiの発売前から知られている。2年前のE3で、宮本茂氏がWiiリモコンを指揮棒のように持って、ゲーム内のオーケストラを指揮するというシーンがあった。「Wii Music」は、ようやくそれを1本のソフトとして世に送り出すものだ。

　もちろん本作は、オーケストラの指揮者をするだけのゲームではない。今回も宮本茂氏がステージに登場し、説明とともにいくつかのデモプレイを行なった。

今回は「Wii Music」の実演をしながら登場した宮本茂氏

　「Wii Music」の最初のデモでは、プロのドラマーによるドラムの演奏が行なわれた。ヌンチャクスタイルを振って画面に出ているドラムセットを叩く。さらに「Wii Fit」で使用したバランスWiiボードを足元に置き、左右2つのフットペダルとして使って演奏していた。

　続いて登場した宮本氏は、Wiiリモコンに両手を添えて笛のように添えてサックスを演奏。もちろん実際に吹いたりはしないのだが、同時に画面に映し出された宮本氏のMiiは、宮本氏の動きに合わせてサックスを演奏してみせた。

　さも簡単そうに楽器を演奏した宮本氏らだが、それこそが本作のポイント。「楽器を弾けない人にも、音楽を演奏する楽しみを味わってもらおうと思って作った」という。例えば宮本氏のサックスは、好きなリズムでボタンを押しているだけで、それなりに音楽に合わせた音が出るようで、「どの音を吹こうかとか、失敗したらどうしようかと考える必要がない」という。音楽ゲームとは言っても、最高のタイミングを求められる従来のものとはまったく逆方向といってもいい。

　楽器は60種類以上の楽器が収録される。会場では宮本氏が、ピアノ、バイオリン、ギター、和太鼓のデモプレイを行なった。いずれもヌンチャクスタイルで操作し、本物の楽器を操作するような形で手を動かす。バイオリンならば、左腕を伸ばしてバイオリンを持つようにしてヌンチャクを持ち、右手のWiiリモコンを弓に見立てて動かすという具合だ。

　ドラムはバランスWiiボードまで使用する本格的なものだが、ガイドプログラムも用意される。これを使って練習すれば、「誰でも数週間でドラムが使えるようになる」という。ちなみに会場で見事な演奏を見せたドラマーは、練習は1日だけだったそうだが、見事な演奏を披露していた(そう聞こえたのもソフトの凄さといえるかもしれないが)。

　最後のデモは、スーパーマリオのテーマを4人で演奏するというもの。それぞれの楽器を持ったMiiが画面に現われ、各プレーヤーの操作に合わせた動きを見せる。ちょっと危ういリズムが続いたり、楽器の音がばらけたような感じになったりと、お世辞にも上手な演奏には見えなかったが、音楽としてはうまくまとまるように全体のサウンドが調整されているようで、誰が聞いてもスーパーマリオのテーマとわかる演奏になっていた。これは「Wii Music」を褒めるべきところであろう。

　こういった演奏のほかにも、オーケストラの指揮をするものや、“音楽耳”をチェックする音当てゲームなどのゲームモードも収録。さらには演奏からミュージックビデオも作成できるという。

　北米での発売時期は、2008年のホリデーシーズン(11月末から12月)。

プロのドラマーによるドラムに続いて、宮本氏がサックスの演奏をしながら登場。「好きなリズムでボタンを押していただけ」と、「Wii Music」の簡単さをアピール
サックス以外の楽器の実演も行なった宮本氏。和太鼓では、Wiiリモコンを高く掲げるようにすると、「イヨォッ!」と掛け声が入っていた
4人同時プレイでのデモ演奏も行なわれた。あまり上手といえなかった演奏は、それでもちゃんと音楽が成立するという「Wii Music」の凄さを伝えるためだったのか……?

【スクリーンショット】
各プレーヤーのMiiが演奏しながら楽しげに動いているのも印象的。大勢で遊べばより盛り上がりそうなゲームだ

【紹介ムービー】

「Wii MotionPlus」を見せるReggie Fils-Aime氏

　もう1つの大きなトピックとして、「Wii MotionPlus」を紹介しておきたい。昨日、任天堂のホームページで発表された「Wii MotionPlus」は、Wiiリモコンに装着する追加パーツで、より正確に三次元的な位置情報を認識するためのものとされている。詳しい仕様は明かされていないが、おそらくモーションセンサーを内蔵したユニットだと思われる。

　この「Wii MotionPlus」の対応ソフトとして、「Wii Sports Resort」が発表された。日本でも大ヒットとなった体感スポーツゲーム「Wii Sports」の続編で、夏休みのリゾートをイメージしたスポーツが収録されるという。

　会場では、Reggie Fils-Aime氏とCammie Dunaway氏がデモプレイを実施した。まずDunaway氏が、フリスビーを投げて犬にキャッチさせるゲームをプレイ。Wiiリモコンを握り、横向きに手首を振るとフリスビーが飛んでいき、犬が追いかけてキャッチする。Wiiリモコンを動かす速さや角度でフリスビーの軌道が変わるようだ。ちなみに「nintendogs」を思わせる犬の動きもなかなか可愛らしい。

　続いてFils-Aime氏による水上オートバイゲームのデモを実施。Wiiリモコンとヌンチャクを、水上オートバイのグリップに見立てて水平に構え、左右に体を傾けるようにして水上オートバイを操作できる。傾きの感度を理解したうえで、水上オートバイを思ったように操作するには少々慣れが必要そうだったが、操作そのものには戸惑うことはなさそうだ。

　最後のデモは、チャンバラ風のアクションゲーム。Wiiリモコンを剣に見立てて、縦横に振って切りつける。1人用では置かれた丸太(ときに巨大鉛筆)を切る練習モードのようなものがあり、剣を振った角度に合わせてスパッと切断されていた。

　さらに、左右画面分割による対戦モードも搭載。剣を振って相手を攻撃し、場外まで押し出せば勝ちとなっていた。ただ剣を振り回すだけでなく、剣を横向きに構えて相手の攻撃を受け止めることも可能。デモプレイでは、時折防御姿勢も見せたFils-Aime氏に対し、ひたすら全力で切りかかるDunaway氏という構図で1対1の引き分け。「Wii Sports」のボクシングに負けるとも劣らず、対戦が盛り上がりそうなゲームだった。

　「Wii Sports Resort」は来春発売予定。パッケージにはソフトのほかに、「Wii MotionPlus」と、「Wii MotionPlus」を装着した状態のWiiリモコンで使用できるジャケットが同梱される。合わせて「Wii MotionPlus」の別売りも行なうとしている。

　「Wii MotionPlus」の対応ソフトは、現時点では「Wii Sports Resort」のみ発表されている。ただ発売が来春と先なので、今後サードパーティでも対応ソフトの開発が進められるだろう。来年のE3の頃には、対応ソフトが数多く並ぶことになるかもしれない。

Dunaway氏とFils-Aime氏がそれぞれにデモプレイを披露。互いに紹介したゲームのほうが面白い! と主張しあい……
チャンバラゲームで決着をつけることに。ふたりともWiiリモコンを本気でブンブン振り回し、デモプレイとは思えない白熱した試合になった

【スクリーンショット】

南国でのリゾートをイメージさせるゲームが多い中、チャンバラ風のアクションゲームも収録。「Wii MotionPlus」を活かし、前作「Wii Sports」よりも繊細な操作が可能なゲームが増えた印象だ

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□NOA E3 2008のページ
http://e3.nintendo.com/
□関連情報
【7月16日】Nintendo E3 Media Briefingレポート その1
Wii「どうぶつの森」を発表、DS独占提供の「Grand Theft Auto CHINATOWN WARS」も
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080716/ninten1.htm
【7月16日】Nintendo of America、E3 2008でPress Conferenceを開催 【速報版】
「Wii Music」、「Wii Sports Resort」など新作続々
「どうぶつの森」で新デバイス「Wii Speak」を採用
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080716/nin1.htm
【7月15日】任天堂、Wiiリモコンを機能強化するアダプタ
「Wii MotionPlus」を発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080715/nin.htm

(2008年7月16日)

[Reported by 石田賀津男]