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「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'07」は、デジタルメディア業界の発展、人材育成を目的として、優れたデジタルコンテンツの制作者を表彰するために創設された賞。デジタルコンテンツという幅広いジャンルから選出されるため、テレビ番組からアニメ、ゲームコンテンツ等まで非常に多岐にわたっている。このため、受賞作はゲームとは関係ないものも含むため、ココではゲームに絞ってお伝えする。受賞作の一覧については当記事文末にまとめておいた。 今回のゲームに関する受賞作として「優秀賞」に挙げられたのは任天堂の「Wii Fit」のみだが、この「Wii Fit」が最も優れたコンテンツとして表彰される「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'07 総務大臣賞」を受賞した。授賞式には任天堂の専務取締役 情報開発本部長の宮本茂氏が駆けつけ賞状と盾、副賞などを受け取った。 宮本氏は「『Wii Fit』の開発には大勢の方が関わっている。ハードの設計、センサーの開発会社やスタッフ、ソフトの開発チーム、病院の方にチェックしてもらったり、トレーナーの方など。このところAMDアワードでゲームは受賞を逃してきたが久々に呼んでもらえた」と嬉しそうに切り出した。さらに宮本氏は「『Wii Fit』の制作は暗中模索というか五里霧中というか、売れるとは思っていなかった。スタッフからも『本当にやるんですか?』と聞かれ、アドバイスを聞きに行った人たちからも『売れるんですか?』と聞かれた」と逆境の中での開発だったことを明かした。 しかしそうした中で「Wiiが家の中心にあるということで、お父さんが子供から冷やかされたりして、そういったコミュニケーションをとる家族の繋がりを作ることを灯台の明かりとして制作を続けた」と語った。最後に「まだ海外で発売していませんが、春以降に世界で発売して、日本のコンテンツを世界に示していきたい」と挨拶し締めくくった。 「Wii Fit」はWii発売時からターゲットとしてきた作品であり、そういった意味ではこのヒットは宮本氏にとって嬉しいところだろう。授賞式終了後に簡単に今後の展開などを伺ってみたところ「Wii Musicの開発も順調に進んでいます」と語り、Wiiを家庭で誰もが楽しめるゲーム機とするために「もう一段階考えていきたい」とさらなる秘策が用意されていることを伺わせるコメントを残した。 授賞式で講評を語った東京大学大学院教授の浜野保樹氏は「(優秀賞は)選出にかなり苦労したが、ユニークなAMDならではの切り口で選ばれたと思う」と優秀賞の選出にあたってかなりのぶつかり合いがあったようだが、一方で総務大臣賞の「Wii Fit」が「すんなり決まった」事を明らかにした。「Wii Fit」は数多くの賞を受賞しており、誰もが認める、それだけのパワーを持ったコンテンツということができるだろう。 このほかにゲーム関係の受賞は無かったが、株式会社ポケモン代表取締役社長であり株式会社クリーチャーズの代表取締役会長を務める石原恒和氏が功労賞を受賞した。受賞理由は「世紀を超えて衰えを知らぬ巨大なるマルチユースビジネスのサクセスストーリーを称える」としている。 石原氏は「こうやって受賞すると、自分自身が歳を取った気分に襲われる。しかし『ポケモン』はまだ12年。これからも質の高い商品を提供できるよう頑張っていきたい」とコメントした。
授賞式の最後には、来年度も開催する旨が発表された。幅広いデジタルコンテンツというジャンルの中で、ゲームファンとしては来年もぜひともゲームコンテンツが受賞して欲しいところだ。
□AMDのホームページ http://www.amd.or.jp/ □「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'07」のページ http://www.amd.or.jp/award/no.13/no.13.html □関連情報 【2007年12月18日】デジタルメディア協会、新生「AMD アワード」の概要を発表 マルチユース促進を目的とした「企画部門賞」を新設 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071218/amd.htm 【2007年9月26日】社団法人デジタルメディア協会、新理事長の襟川恵子氏が挨拶 「総務省のバックアップの元、できる限り支援していきたい」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070926/amd.htm 【2007年1月31日】デジタルメディア協会「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'06/第12回AMDアワード」 任天堂の宮本茂氏が功労賞を受賞 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070131/amd.htm (2008年3月10日) [Reported by 船津稔]
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