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世界一周は多くの「大航海時代 Online」プレーヤーが待ち望んでいた要素だ。「クルスデルスール」実装後、多くの上級プレーヤーがこの大冒険に挑戦している。この動きに合わせて、コーエーは10月6日~10月31日まで、世界一周のスピードを競う「世界周航レース」を開催中だ。 この世界周航レースは、一度西回り(ヨーロッパから、大西洋を横断するルート)の世界一周を成し遂げたプレーヤーが対象になる上級者向けのものだ。今回は、コーエー本社内でこの世界一周レースを「体験」させてもらった。4時間半を超すこの冒険をレポートしたい。
■ ついに世界一周が可能に。上級者を対象とした「世界最速」を目指す、世界周航レース開催!
大航海時代の船長達は、世界の果てに対する恐怖と常に戦いながら、飢えと渇き、船員の反乱、原住民達との戦争をくぐり抜けて、強引に行動範囲を広げていった。彼等が「発見」した場所には、瞬く間に街が作られ、ヨーロッパの支配地域は拡大していった。歴史に名を残すわずかな英雄と、成し遂げられなかった膨大な冒険者の屍によって、地球は丸い事が証明され、人々は「世界」を認識するようになったのである。 「大航海時代 Online」の世界一周は、現実の冒険ほど過酷ではないものの、「準備」と「覚悟」が不可欠な大冒険である。この冒険を成し遂げるためには、「上級者」の技量と、優秀な船、様々なトラブルに対処するためのアイテムや技能、そして「この先にはひょっとして上陸地点がないのではないか?」という不安に耐える胆力が必要となる。 ゲーム内での世界一周は4時間近くの時間が必要となり、プレーヤーは嵐を始めとした様々なトラブルと、さらにNPCだけでなく、プレーヤーの海賊に襲われる危険もくぐり抜けなくてはいけない。世界一周を目指すプレーヤーが進む海域の全てはプレーヤー海賊から攻撃される「危険海域」であり、長旅で疲弊した冒険者は海賊にとって格好の獲物だからだ。ゲームでの最大の障害は彼等だと言えるかもしれない。 特別イベント「世界周航レース」は、ヨーロッパから、大西洋を横断するルートの西回りの世界一周を成し遂げたプレーヤーに依頼として与えられるものだ。この依頼は所属国家の大臣から与えられ、アフリカの西の島にある「ラスパルマス」にいる「記録官」に話しかけることで記録がスタートする。 記録官はアフリカ大陸南端の「ケープ」、東南アジアの「ジャカルタ」、ニュージーランド北島の「ワンガヌイ」、南アメリカ大陸南端にある街「ウシュアイア」にいて、彼等に話しかけ日数を記録していく。これらの寄港地を経由して、ウシュアイアからラスパルマスまで進むことでゴールとなり、合計日数を競うことになる。 1プレーヤーにつき、登録できる記録は1度のみになる。もしレースでの記録が気に入らなければ、記録官に今回の記録を登録しない事を申し出れば、何度でもやり直せる。嵐や海賊、船員の状態異常の頻度など、レースには運も重要な要素になる。記録を狙うプレーヤー達は、より効率的な航路、技能、最高の船など、あらゆる要素を検討し、なおかつ運を味方につけなくてはいけない。記録を目指すプレーヤーは何度も試行錯誤を繰り返していることだろう。 冒険者ギルドでは現在のレース上位者の記録を見ることかができる。今回体験プレイを行なったEurosサーバーでは、10月10日現在、最短で152日が記録され、その後153日、154日と並んでいて、20位でも159日とすでに接戦である。スタッフによれば「あと15日くらいは縮められるかもしれない」とのことで、どうなるかは楽しみである。 ちなみに、日数が同じ場合は、ゲーム内の実際のプレイ時間が順位の条件になる。現在でもすでに日数はほぼ同じになっており、上位を目指すプレーヤーは港にいる時間すら気にしなくてはならない。港に着いたからと言ってログアウトして休んでいたら、勝つことはできない。上位を目指すプレーヤーは現実のトイレや空腹の問題なども考慮する必要があり、本当に“過酷”なレースとなるのである。 今回筆者がプレイしたキャラクタは冒険レベル56、商業レベル44、軍事レベル33で、職業は遠洋探検家。運用や警戒、身体言語など冒険に必要なスキルはほとんどが最大ランクに達しているという冒険に特化したキャラクタになっている。船は改造などはしていない標準のクリッパーだ。アイテムは状態異常用のものを取りそろえ、鳥の丸焼きを99個、地方海賊への上納品や停戦協定状を10個ほど持っている。かなり有利ではあるが、本当の上級者ならば、改造した船を使うなど、更に有利なセッティングを行なってレースに挑戦するだろう。
筆者自身は「大航海時代 Online」ではインドまでしかいったことがなく、今回が世界一周初挑戦となる。このため、記録への挑戦と言うよりも、まず、世界一周を体験するという気持ちで臨んだ。体験会では、運営チームや広報チームのスタッフも筆者のプレイを見守り、時にはアドバイスをしてもらうという形で、ソロでのプレイだったが、雑談も交えながら洋上を進んでいくのは、パーティープレイをしているような気分があった。
■ 海賊が出没する危険海域が舞台となるレース。チェックポイントは海賊多発地帯?
ラスパルマスといえば、PCの海賊が根城としている街で、大量の金品や香辛料をアフリカ、インドからヨーロッパに持ち帰るプレーヤー達を日々襲っている場所である。いきなりスタート地点から、かなり緊張しながら向かうことになった。ラスパルマスはレース開催に向けて、盛り上がっており、噂話をしていたり、楽器を奏でるNPCもいる。さらに「バルボサ」と「エレナ」というNPCとの会話イベントもある。エレナ達に見送られる形で出航所の近くにいる記録官に話しかけ、いよいよスタートとなった。 記録官との会話が終わるとレース開始である。「大航海時代 Online」では街の中では航海日数は経過せず、海上でのみ日数が進む。レースでは世界一周の日数を競うことになる。しかし、実はこのスタートからの現実の時間もカウントされており、日数が同じ場合は現実にかかった時間が短い方がランキングで上位になる。このため、上位を狙うプレーヤーは街の中ですら無駄な行動はできない。 「大航海時代 Online」では、街に向かって進むときと、街から出た瞬間が海賊に狙われやすい。アフリカ沖は海賊が多い。無事に出発しても油断はできないのだ。と、いうよりもこの就航レースの航路そのものが「海賊銀座」ともいうべき海賊多発地帯で、レースのプレーヤーを狙っている海賊も多いという。レース挑戦者は彼等にいかに会わないか、会った場合はどう切り抜けるかを考えていなくてはならない。 ケープを周り、インド洋を進みながら感じたのは、「嵐にほとんど遭わない」ということだった。以前プレイしていたときは、頻繁に嵐に見舞われたため、小さな船でかつかつの冒険をしていた筆者はたまらなく心細かったが、セビリアから喜望峰を周り、セイロンへ船首を向けてもほとんど雨にも遭わなかった。「クルスデルスール」実装後は、世界一周をしやすくするため、嵐の頻度をある程度押さえ、上級者向け船舶の船足は全体的に速くなっているとのことだ。 筆者はクリッパーのような大きな速い船に乗るのは初めてだ。後ろで見ているスタッフの中には、筆者と同じぐらいの中級者の人もいて、盛んに「速いですねぇ」とクリッパーに羨望のまなざしを注いでいた。クリッパーは冒険レベルが52なくては乗れない船であり、これ以上速い船は冒険レベル64を必要とする「大型クリッパー」くらいだ。
改造すれば更に速くはなるだろうが、スピードを求める冒険者のあこがれの船である。クリッパーは、筆者達のようなようやく中級者に足を踏み入れたプレーヤーをいつも楽々追い抜いていく船であり、借り物とはいえ、それを自分で操船しているのは楽しかった。結局、冒険が終わるまで「つくづく速いですね」と繰り返していたスタッフの気持ちは、上級プレーヤーに憧れる“仲間”として、とても共感できた。
■ 未知の世界を行く楽しさ。地球が“丸い”ことを確認したときの感動
ジャカルタ周辺は海賊が3人くらいいて、他船が襲われた場合に表示される「この海域で海賊被害が発生しています」というメッセージも表示され、スタッフを含めちょっとした騒ぎになった。それでもレースを遂行するためにはジャカルタにたどり着かねばならない。強引に突っ込み、そのまま記録官に到着を伝えた。 正直なところを言えば、ここまでの航海は今までの筆者の体験では到達できない快適さがあった。最高レベルの運用スキル(船員の水と食料の消費を抑える)のため、食料と水の量で不安になることはなかったし、警戒スキルのおかげでNPCに絡まれることもなく、クリッパーの船足は敵船の接近を許さなかった。上級者の旅はこれほど安定しているものかと、改めて感心した。 初めて上陸したジャカルタは桟橋で構成された、今までの「大航海時代 Online」の街とは印象が異なる面白いデザインの場所だった。本作の面白さの1つは、街を訪れることで、世界中の人々の生活を見ることができるところだ。NPC達のユニークな民族衣装、建物、酒場ではその土地ならではの食べ物も見ることができる。文献や資料を細かく当たり、その土地ならではの歴史や風俗をきちんと再現する開発スタッフの調査能力と情熱には驚かされる。 コースの近くにある街は、何カ所か寄り道もした。オーストラリア大陸の北には「カカドゥ」という街があり、アボリジニの人々と交流できる。住人には独特の特徴があり、大きな顔の形の祭具などもある。休憩所ではワニやカンガルー、そして芋虫の料理なども食べることができる。
ニュージーランドにあるワンガヌイを越えると、南アメリカ大陸まで補給できる島すらなくなる。長い距離をただ東に向かって進むことになり、非常に不安だ。筆者は不安を紛らわすため、スタッフと雑談をしながら進み続けたが、実際挑戦するプレーヤー達も、商会(ギルド)チャットをしながら、不安と戦いつつ進むのではないだろうか。南アメリカの海岸線が見えたとき、後ろで見ていた数人のスタッフが一斉に「おお」と声を上げたのが印象的だった。世界が果てで終わるのではないことを確信した心境は、こういう感動を何倍にもしたものだろう。
■ 「最速」を目指す競技者の試行錯誤も終わらない。一方で、レースは商会イベントとしても楽しむことも
南アメリカ大陸の東側に到達すると、かなり気分が楽になった。サンアントニオにはヨーロッパ風の建物が建っていて、ヨーロッパ文明圏の支配地域であることを痛感させられた。言葉も普通に通じるところは便利ではあるが、反面、「発見」の名の下にヨーロッパ圏の人々がどのようにこの街を作っていたのか、改めて考えさせられた。 南アメリカ大陸からゴールであるラスパルマスは、再び海賊多発地帯である。「やっぱりイベントとして襲われておきたいですよね」とスタッフに脅かされながらも、順調に航海は進み、無事到着することができた。スタッフに囲まれながらのゴールは、借り物のキャラクタであるものの、大きな達成感があった。 かかった日数は、213日。現実の時間では4時間以上の時間がかかった。5隻中1隻しか戻れなかったマゼランの大冒険とは比べられないが、この、“世界が繋がっている”ことを実感できた冒険を達成できた喜びは大きかった。自分のキャラクタを育て上げ、世界一周を成し遂げられたら、どれだけ感動するか、想像もつかない。 やはり、借り物のキャラクタというところで、冒険に少しだけ気持ちのゆるみが生じていたのは確かなところだ。「自分の」キャラクタだったら、スタッフに見守られながらでなかったら、こういう無謀な航路を進めたかどうか。赤ネームがいる海域を抜けた時などは、安心すると共に、実際に自分のキャラクタで進むときのプレッシャーも考えてしまった。更に「上」を狙うプレーヤーはこれに日数を気にしなくてはいけないのだ。それはどれだけ大変なことか、記録を残しているプレーヤー達がどれだけ凄いか、改めて思い知らされた。 一方で、このレースは記録に挑戦するだけではない楽しみ方もできる。今回の「世界周航レース」では、レースの記録を残すことができるのは西回りの世界一周を成し遂げた限られた上級プレーヤーのみだが、冒険に「同行」することだけは他プレーヤーでもできるのだ。レース開催期間に限り、レース協力者であれば入港許可を持っていなくても、5つの寄港地に入ることができるようになっているのである。これは新地域が実装されてもなかなか楽しめない初~中級者にはうれしい要素だ。 とはいってもある程度のトラブルに対処でき、長旅に耐えうるだけの水と食料を積む船を持つとなると、最低限、中級者クラスのキャラクタレベルと、トラブルに対処できるだけのアイテムは必要になるだろう。商会のリーダーが皆を先導するなど、プレーヤーイベントとしてぴったりだろう。やはり、「世界を一周した」という感動は、たとえ助けてもらったとしても大きい。この感動は、多くのプレーヤーと分かち合いたい。 1つだけ、これはゲーム全般で気になった要素がある。今回筆者は、周りには常にスタッフがいて、彼等と雑談をしながら航海を進めることができた。実際のレースでも、商会チャットをしながら、というプレーヤーが多いだろう。振り返ってみると、やはり航海中にイベントが少ないかも、という感想がある。トラブル続きのシビアな冒険をしたいわけでは決してないのだが、「その海域にいる実感」、それは、気候や、潮の匂いという部分かもしれない、世界の海を自分の船で進む実感といったものを、もう少し再現できる方法はないのかな、と思った。街は異国情緒に溢れているが、海でそれを感じさせる方法は、ないだろうか。どうすればいいかという具体的なアイデアは今はないのだが、正直なところもう少しだけ、長距離航海に何かが欲しい。漠然とした要求でしかないが、これは今後も考えていきたい部分だと感じた。
今回の拡張パックで、「大航海時代 Online」でついに世界一周が可能になった。体験プレイでさえ、世界を一周したというプレーヤー達がいる世界は、今までとはやはり空気そのものが変わっているという感じを得た。この他にも、プライベートファームによる生産状況など、「クルスデルスール」実装後、世界は大きく変化している。これからの要素、そして、アメリカの西海岸地帯や、何よりも日本など東アジア地域実装に期待していきたいところだ。
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□コーエーのホームページ (2007年10月15日) [Reported by 勝田哲也]
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