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WIN「プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」開発者インタビュー
後編:“ながら”で遊んでほしいオンラインゲーム

7月26日 収録

 8月1日から大型アップデート&フリートライアル実施と、セカンドローンチとも言えるアグレッシブな取り組みが行なわれる「プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」(STO)。本タイトルはどのような経緯で誕生したのだろうか? そしてどこを目指して開発が進められているのだろうか。

 インタビュー後編も前編と同じく、スポーツデザイン研究開発部の椎野真光氏(プロデューサー)、佐藤高一氏(ディレクター)、瀧井雄司氏(プランナー)にお話をうかがっている。



■ コンシューマゲーマーも満足行くカジュアルゲームを目指して

――企画の成り立ちについて教えてください。

椎野氏は「STO」の誕生秘話や、本作のコンセプトを説明。今までにないコンセプトの本作を、苦心しながら組み立て続けていることが伺える
椎野氏 : 企画自体は3年前くらいからですね。構想自体はもっと前からありました。最初に私がこの企画を立てたころはMMORPGが全盛で、ハマルとすごく時間がかかりました。私も遊んでいましたが、社会人なのでさすがに仕事もあるし、家に帰って、そればかりやっている訳にはいかない。いろいろしんどいな、と思い始めていた頃なんです。

 僕らみたいな会社員や、割と時間のない人でも遊べるようなゲームがあったらいいな、と考えていた時に、自動進行型のゲームが一つ出てきて、それに「サカつく」をうまく絡めると、新しいゲームができるんじゃないかと思ったところがきっかけです。

――御社では同時に「プロ野球チームをつくろう! ONLINE」(YTO)も運営されていますね。この2つは一緒に企画がスタートしたのですか?

椎野氏 : いえ、「STO」の方が先です。ただし開発を進めていく上で、自動進行型で大人も楽しめるスポーツゲームをブランド化していきたい、という話が社内で出てきました。またサッカーと野球では、ファン層やゲームの楽しみ方も違ってきます。野球の方が比較的、裾野が広いですからね。そこで「STO」ではコアなユーザーも楽しめるように、しっかりと設定ができるもの。一方で「YTO」はライトな方でも楽しめるように、手軽に遊べる感じに落とし込む。自動進行型オンラインスポーツゲームというカテゴリーを広めるためにも、両方やらなくてはいけないよね、という話がまとまって、「YTO」も作られることになりました。

――椎野さんは両方見ていらっしゃるんですか?

椎野氏 : 私は「STO」だけです。スポーツデザイン研究開発部の中に、両方の開発チームがあって、お互いに情報共有をしながら作っている感じです。

――開発中に参考にされたゲームや、インスパイアを受けたゲームはありますか?

椎野氏 : インスパイアという意味では、やはり「ガンダムネットワークオペレーション」(GNO)ですね。ただ、その前に「ファンタジー・スポーツ」(※)がありました。どっちが先かと言われると、「ファンタジー・スポーツ」ですね。あの1日少しずつ、という遊び方がいいなと思っていました。また、選手相場という視点を持ったサッカーゲームという点で、「Early☆Cross!」という「ファンタジー・スポーツ」にもインスパイアされました。実はこのゲームを作った人と知り合いなんです。ですから「ファンタジー・スポーツ」っぽい自動進行型で、細かいところは「GNO」みたいな感じを、「サカつく」という題材に投影していった感じでしょうか。

※ 「ファンタジー・スポーツ」 : 実際に行なわれるスポーツの試合結果や、選手の活躍状況などと連動するデータシュミレーションゲーム。アメリカで'70年代後半にメジャーリーグを題材に誕生し、今では全米で300万人の愛好者がいる。ジャンルもMLBだけでなく、NBA、NHLなど幅広い。現在では手軽なブラウザゲームとして楽しめる物も多い。国産の「ファンタジー・スポーツ」も数多くサービスされている。

――僕もそんなゲームがあればいいな、と5年前くらいから思っていました。

椎野氏 : もっとも、まずはライフスタイルありき、ですよね。大人が無理をせずに遊べるオンラインゲーム。もっと言うと、僕でも遊べる、遊びたくなるゲームってどうなんだろう。とはいえ、「ファンタジー・スポーツ」みたいに「予想」だけになってしまうと、ゲーマー的には間が持たないというのもある。いろいろ考えながら、今の形に落とし込んでいきました。

――僕も「STO」以外はオンラインゲームを遊んでいなかったりします。めんどうくさいんですよね。

椎野氏 : そうなんですよ。勝手に進んでくれて、ちょっといじるくらいが丁度いいんですよね。年輩の方で盆栽が趣味の方っていますよね。盆栽のよさは全然わからないんですが、ああいうじっくりとした時間軸の流れというか、毎日水を上げながら、少しずつ大きくなっていくという楽しさが、自分でもわかるようになってきたのかなあ、と。

――Windows 95が出たときに、そうしたゲームのアイディアって結構いろんなところで聞いたと思うんですが、ようやくそうしたゲームが出てきたって感じですね。

椎野氏 : ええ。最近だとカジュアルゲームもシェアを伸ばしてきていますが、僕らのようにコンシューマゲームでじっくりとしたゲームを遊んできた世代からすると、カジュアルゲームは、それはそれで物足りなかったりするんです。かといってMMORPGだと時間がかかりすぎるし、重すぎる。その間を狙ったという感じでしょうか。

――既存のオンラインゲームというのは、ゲームの「重さ」と「軽さ」、それから予算の大小という4つのマトリックスで整理すると、MMORPGのような予算が大きくて重たいゲームか、カジュアルゲームのような予算が少なくて軽いゲームしかないんですね。ところが、このゲームは予算が大きくて軽いゲームです。そこは最初から狙っていたのですね。

椎野氏 : そうですね。そういうゲームって何なんだろう、というところがスタートでした。

――そこが日本ならではというか。アジア圏などからは、なかなか出てこないゲームデザインなのかな、という気がしました。

椎野氏 : 最近では韓国もPCの世帯普及率が上がっていますが、PC房で単位時間あたりで遊ぶという遊び方が中心だと、MMORPGスタイルが自然ですよね。一方で日本ではPCがある程度普及していて、ビジネス用途が中心で、ネットワークのリテラシーも上がっている環境がある。そういう大人が遊ぶPCゲームって何だ、ということです。だから完全に日本向けになってしまうんですよ。そうしたゲームがなかったので作った、というのはあります。



■ 自動進行型のゲームと連動したコミュニティシステムの必要性

――ゲームの外側にSNSがついているのが特徴ですね。

椎野氏 : 「STO」のような自動進行型だと、オンラインであることのメリットが薄まってしまうのも事実なんです。MMORPGなどだと、みんなが一度に集まって、同じ時間を共有して遊ぶことにオンラインのメリットがあります。それに対し、「STO」は1日10分でも遊べることを前提としているので、ちょっとログインして、チームのメンテナンスをして、ログアウトするという遊び方では、コミュニケーションの楽しみがどうしても小さくなるんですよね。かといってチャットでのコミュニケーションを強制するのは、自動進行型という特性上あまり好ましくない。

 そうなるとゲーム性を補完する要素として、掲示板的な非同期のコミュニケーション手段が必要になると思っていました。アイテムのオークション機能などを追加することで、緩やかな横の繋がりも生まれてくるでしょうし。また「STO」に興味を持ってくれたユーザーさんに対しても、そのサイトを見てもらうことで、ある程度の内容を理解してもらえる。最初からSNSという形で考えていたわけではなかったんですが、そういった場は必要だとは思っていました。

――SNSの利用度合いや、ユーザーの利用シーンなどは把握されていますか?

SNSを始めとしたコミュニティについて説明した佐藤氏。「STO」のゲームシステムにおいて、コミュニティ機能は非常に重要な役目を果たすという
佐藤氏 : だいたい3パターンくらいに分かれているようです。1つは普通のSNSとして使ってくれている例。日記やメールのやりとりなどですね。もう1つはゲームの補助アイテムとして使われる例。たとえばクライアントソフトを起動しなくても、ブラウザだけでチームのスタメンや勝敗が確認できますよね。普通のサラリーマンだと、クライアントを会社で立ち上げるのは、いろんな理由で無理ですから。それでも結果は気になるじゃないですか。それをSNSで確認する、という使われ方があります。

 当初はこの2パターンだけでしたが、途中から選手やアイテムをオークション売買する「ワールドマーケット」機能が追加されたことで、新しい利用パターンが出てきました。それまではゲーム中でチャットするなどして、PCの前に張り付いていなければアイテムや選手のトレードが難しかったのが、これでより簡単になりました。クライアントに張り付いている方が有利なゲームになってしまうと、過去のMMORPGなどと同じになってしまいますよね。うちが狙っているゲームはそういうタイプではなくて、短いプレイ時間でも同じように遊べるゲームにしたかったので、マーケット機能は必須でした。それでマーケット機能を中心に使ってくれるお客さんが増えました。

――まさに僕がそのパターンです。

佐藤氏 : さらにこれによって、今日マーケットでこういう選手やカードを出しますから、などと日記を書く人が増えたり、コミュニティに入って情報をやりとりするようになった、などの例もあります。ゲームだけ遊んでいた人が、それだけだと物足りないので、日記を使うようになったとか、コミュニティに参加するようになった、という流れはありますね。もちろん、コミュニティをまったく使わない人もいらっしゃいます。

――コミュニティを使っているユーザーは、全体から見てどのくらいの割合なんでしょうか?

椎野氏 : いろいろな形で、だいたい半分くらいのユーザーが関わってるとは思います。

――今はユーザー数はどれくらいですか?

椎野氏 : まあ最近サービスを開始されたような、某大手オンラインゲームのようなユーザー数はいませんが、少しずつこの遊びを理解していただく方が増えているという感触は得ています。もちろん今で充分ということではなく、もっともっと上を常に目指しています。そもそも「サカつく」が題材の自動進行型ゲームと言われても、いまいちイメージがつかないんですね。今回フリートライアルを作ったのも、とりあえず遊んでいただければ面白さがわかるという理由からです。そういった形でジャンルとして裾野を広げていきたいなと思っています。



■ “わからないまま面白い”「つくろう」シリーズのDNA

クライアントはダウンロードのみでパッケージは発売されていない。これもセガとしては思い切った戦略だ
――パッケージ版を出されていませんよね。

椎野氏 : まずお客様に対して敷居を下げたかったのが一番の理由です。パッケージを購入したり、注文することでの壁を作りたくなかった。そのためアカウントを申し込みいただいて、クライアントをダウンロードしていただければ、すぐにプレイしていただけるという形にしたかったんです。ただ、今後パッケージを一切作らないかというと、そういうわけではありません。

――ライトなユーザーさんほど、お店に置いてあった方がいい気はします。

椎野氏 : クライアントの容量が約1GBとかなり大きいので、DVD-ROMに入っていて、すぐにインストールできた方がいい、というご要望はあります。ただ単純にダウンロードできるものがパッケージに入っているだけでは意味が薄いと思うので、今後パッケージ版を発売するにしても、何か「STO」の世界が広がるような、プラスαはきちんと提供していきたいですね。

――個人的には、ちゃんとしたマニュアルが欲しいですね。確かにウェブ上でチュートリアルも整備されていますが、やっぱり普通のユーザーは読まないですよ。それもあって、ディビジョン5くらいまでは、ある程度すいすいと昇格していくバランスになっているんじゃないかと思うんですが。実際に遊んでいても、未だによくわからない点があったりします。

椎野氏 : そこは、むしろ記事で書いていただいて。

――いやいや、インタビューしていて何ですが、自分でもわかってませんから。よくわからないんだけど、なんとなく遊べていて、それでいて楽しいというところが、このゲームで一番僕が評価しているところです。

椎野氏 : 「サカつく」シリーズってそうなんですよね。僕も最初に「サカつく」を遊んだときに、「何だこのゲームは? 何をやったらいいのかよくわからん」と感じたことがありました。ただ仕事で遊ばなくてはいけないから一生懸命やっていたら、やっぱり強くなりそうなことをやると、実際に強くなるのがすごいなと思ったんですよ。それで、ある程度選手を獲得して、成長後のイメージをなんとなく浮かべながら練習メニューを組んでみて、またある程度進めてみたら実際にチームが強くなっていった。これを繰り返して、わかりながらハマっていくんですね。

 ただ、最初は確かに何をやったらいいかわからないんですよ。RPGみたいに最初はこれをやりなさい、と手取り足取り教えてくれるわけじゃない。最初からいっぱいできることがあるんです。選手を育ててもいいし、施設をよくしてもいいし、練習メニューを考えてもいい。何をやってもいいと。どれもクラブを強くするために効果があるんだけど、より効率的にするにはどうすればいいか考えてくださいね、という突き放され方なんですよね。「つくろう」シリーズって特に。

――その辺はアイデンティティなんですか?

椎野氏 : さあ、どうでしょうね。僕が最初に携わった頃は、よきにつけ悪しきにつけ、そんな匂いがありました。



■ 全員平等に楽しむための月額課金

――僕はβサービスにも参加していたのですが、その時に感じたのが、非常にアイテム課金向けの内容だということです。ただし、アイテム課金なら遊ばないだろうな、と思っていました。一方で月額課金だと金額設定が難しい。最終的に月額課金を選ばれたのはなぜですか?

椎野氏 : 自動進行型でターゲットが社会人なので、皆さん、ある程度お金を持っていらっしゃいます。だから、お金を払えば強くなるアイテム課金みたいな仕組みは、一番マッチはするんです。ただ、そうすると平等性が薄れるんですよ。

 僕は皆さんに平等な条件で、欧州サッカーの世界観で遊んでもらう、というところが重要だと思うんです。クラブを強くすることが重要ではなくて、一定の金額を支払っていただくことで、欧州サッカーの世界に浸ってもらうことが重要なんだと。おかげで実際にゲーム内でやり取りされているマーケットの世界も、選手のトレードや放出など、割と現実に近い状態になっているんですね。まあ、正直悩んだのは事実ですが。

――ですよね。普通はアイテム課金でしょう。

椎野氏 : プロジェクトの収支上、大きく利益を出すためには、アイテム課金がいいと誰からも言われるんですよ。そこでゲーム性というのを重視するというのが……。

――そこが、セガってすごいなあ、なつかしいなあと思いました。

椎野氏 : セガってそういう会社だよなあと。

――ただ、「YTO」も一緒に遊びたいというユーザーもいると思いますが、セット価格などはありませんよね。「STO」の現ユーザーと「YTO」のβサービスユーザーでは、どれくらい被っていたんでしょうか?

椎野氏 : 正確にはデータがあるわけではなくて、あくまでも僕の感覚なんですが、2割くらいでしょうか? ユーザー層があまり被っていないんですよ。「つくろう」シリーズのファンというより、野球やサッカーが好きだからゲームを遊ばれる方が多いんですね。そのため、セット価格のようなことは今のところ予定はありません。ただ、キャンペーンは当然やります。「YTO」も8月1日に正式サービスが開始されるので、キャンペーンを予定しています(現在「つくろう! ONLINE サマーキャンペーン」が開催中)。



■ 無骨に凝縮されたユーザーインターフェイス

――自動進行型というキーワードが出ていますが、プレイしていて、あんまりそんなに一生懸命遊ばなくてもいいんだよという、あまりゲームっぽくない印象を受けるんですね。ただコンソールゲームメーカーさんって、皆さんユーザーインターフェイスや、触って気持ちのいい感じなどを、こだわられるじゃないですか。そこが「STO」では、あまり意識されていない印象も受けます。

椎野氏 : かなり、いっぱい詰め込んじゃいましたね。やりたいことがいっぱいあったので。ぎちぎちに押し込んだというか。無骨な、男らしいタイプなんです。

 最初に問題になったのが画面サイズでした。今でこそノートPCでも1,024×768(XGA)サイズの液晶を持つ物が一般的ですが、800×600(SVGA)サイズの画面でプレイされることも考慮したデザインになっています。800×600という解像度はそれほど広いわけではないんですよ。その中であれだけの膨大なシミュレーションのデータを用意しようとすると、かなり見た目が麗しくないような感じになってしまいました。

 でも使い勝手や操作は慣れてしまえばクリアできる問題じゃないですか。必要な情報がしっかりとそこにある方が重要だと思いましたので、画面デザインの制作はパズルのようでした。ここに入れたらスペースがないな、うーん……とか。またベースが「サカつく」なので、選手間の能力比較などもたくさんしたいですよね。それをするには、あのスペースのどこにカードを被せればいいんだとか、かなり……難儀したよね?

佐藤氏 : 難儀しました。

――そのあたりの苦心の跡が見えるユーザーインターフェイスですね。

椎野氏 : そうですね。確かに、もう少し上手くやればできるかもしれないです。試合シーンは3Dですが、シミュレーション部分は2Dなので、それだけのパーツ数を800×600で……2Dは3Dと違って、単純にパーツの解像度を上げられないので、1つずつパーツを用意するのも、かなりしんどい作業でした。ですので、まずは800×600を基準にチューニングした経緯があります。

――エラーメッセージにエラーコードが表記されるのは何か理由がありますか? 雰囲気を損なう気もしますが?

椎野氏 : あれは単純に、お問い合わせをいただいた時に便利なようにという理由からです。エラーの状況をテキストで書くよりも、そのコードを言っていただいた方が、カスタマーサービスの対応率が圧倒的に高まるんですよ。結局オンラインゲームというのは、どうしても日がな更新していく物で、バグが紛れ込む可能性もありますし、ユーザーさんのPC環境も違いますから、それでエラーが出る可能性もある。そのため、サポート対応のきっかけとしてああいう数字を出しています。それをそのままご報告することで、ユーザーに今、何が起こっているのかを的確に把握できるんです。どっちを取るかですね。雰囲気か、対応率か。



■ 休眠処理を近日実装。携帯などへの展開も視野に

――自動進行型のゲームというのは、一度遊ぶのが習慣化してしまうと、なかなか止めにくい反面で、旅行などでしばらくアクセスできない期間が発生すると、とたんに醒めてしまう危険性があります。中長期で非ログイン状態が続いた時の対応などは、どのようになっていますか?

瀧井氏からは、長期にログインできない際の救済措置が検討中であることが明らかにされた
瀧井氏 : 現状まだ時期は未定ですが、休眠処理は実装する予定です。しばらく中断している間に選手が年をとって、勝手にチームから去っていくのを止めて欲しい、という要望はあるだろうと思っていました。ですから長期でゲームから離れる場合は、プレーヤーが選択することで、選手は年を取らない。そのかわりに練習にも試合にも参加しない、というような仕組みを当初から用意していました。ただ、今は実装を見合わせている段階です。他のいろいろな諸問題が解決すれば、入ると思います。

椎野氏 : これは近いうちには入りますよ。

――日本では非現実的な話になりますが、Windows Mobileに対応する予定などはありませんか? 

椎野氏 : Windows MobileはカーネルがWindowsと異なるので、移植しなおす必要があります。確かに携帯性以外にも、タッチパネルで操作できたりとメリットもあるんですが、やはり普及率が問題でして。ご要望が多ければ、考えたいなと思います。

――ちょこちょこ、という感じのプレイスタイルなので、外出先などでも遊べるように、いろんなハードに対応するといいですよね。

椎野氏 : ご要望が多いのは、ブラウザベースで操作したいとか、携帯電話で操作したいとか、そちらの方ですね。いずれは操作できるようにしたいなあ、と思います。確かにビジネスマンって普段は忙しくても、移動の時間など、ぽっかり空いたりするんですね。そんな時に遊べれば暇つぶしになるだろうし、確認できるだけでも構わないでしょうしね。そういったサービスをやりたいなあとは思いますが、開発スタッフのマンパワーの問題もありますし、どうしても優先順位の高い問題からになってしまいます。

――同じようにコンソールへの移植の考えはありますか? 最近の新世代機はみなオンライン対応になっているので、対応がしやすいと思いますが。

椎野氏 : 今のところ、そうした話はないですね。

――開発的に難しい要素は、それほどありませんよね。非同期だからキャラクタの位置情報を互いにやりとりして、というような要素もない。ダウンロードコンテンツでできれば面白いかなあとも思ったんですが。

椎野氏 : それはそうですね。ただ遊び方としてコンソールだと、まずは電源を入れて……というところがあるので。僕のイメージは、クライアントを起動しっぱなしにしておき、横でエクセルなどで仕事をしているという感じなんですよ。だから、テレビに向かうというよりは、“ながら”で遊んで欲しいので。やってできないことはないんですが、僕自身がそのニーズをあまり感じていない、というところでしょうか。

――なるほど。それでは、最後にフリートライアルも実施されますので、「STO」のユーザーさんや、興味があるけれど未体験の方に向けて、メッセージをお願いします。

椎野氏 : 「STO」は、自動進行型ということもあって、今までのオンラインゲームとはまったく違う遊び方のゲームです。自分の生活のリズムの中で遊べる新しいタイプのゲームなので、一度お試しいただけると、その面白さがわかっていただけると思います。

佐藤氏 : SNSでユーザーさんが書かれている日記などを、スタッフはけっこう読んでいます。以前、ご要望キャンペーンということで、こうして欲しいという内容を日記に書いてもらったりしたこともありました。オンラインゲームですので、そうした声には少しずつでも応えていきたいなと思っています。選手データの更新についても、今後は頑張っていきたいですね。

瀧井氏 : 今回追加された「留学」などもそうですし、他にもいろいろ追加要素を実装していく予定です。継続してプレイしていただいているお客様についても、これからもプレイしていただけたらなと思います。



他のプレーヤーとの試合は3Dグラフィックスで観戦できる。リアルタイムにチェックしている必要はない
 「STO」で筆者が一番ユニークだと感じているのは、他のプレーヤーとコミュニケーションを積極的にとらなくても、どっぷりとハマっている人と同じように遊べてしまう「マルチプレイ・ソロゲーム」的な部分だ。

 もちろんチャットしたり、ユーザー同士の「同盟」に加入するなどすれば、選手のトレードやアイテムカードの売買などで、より有利に遊ぶことができる。ただし、1人でコツコツと遊んでいるだけでも、それなりに強くなって上位ディビジョンに昇格することもできる。巨大モンスターを大勢のプレーヤーで協力して退治するような、いわゆる「祭り」などと呼ばれるイベントも、今のところ「STO」にはない。これもオンラインゲームとしては異例だ。このあたりの力の抜け加減がいい。

 1人で遊んでいるだけなら、コンソール版の「サカつく」と変わらないと思われるかもしれないが、それでもチャット欄でログが流れているのを見るのは、ネットの向こう側で同じようにゲームをしているユーザーがいることがわかって、ちょっと微笑ましくなる。言ってみればゲームセンターでシューティングゲームを遊ぶようなものだろうか。家庭で遊んでいればいいのに、わざわざゲームセンターまで出かけてコインを入れるユーザーが今もいるのは、一種の人恋しさのようなのようなものだろう。もっとも、それがとてもマニアックな、一握りの層であるのはわかっているのだけれど。

 ただし、そうした既存のオンラインゲームでは排除されてしまうようなユーザーでも、「STO」では他のユーザーと同じように、受け入れてくれるところがすばらしいと思う。また、そうしたユーザーを単に排除するだけでは、オンラインゲーム市場はなかなか拡大していかないだろう。どうやら、そうしたことは開発側もしっかり理解した上でゲームを開発し、運営しているようだ。

 この記事を読んで「STO」に興味を持った人がいたら、ぜひフリートライアルを利用して体験してみて欲しい。そして、この生活密着型オンラインゲームの新しさ、楽しさを実感して欲しい。

(C)SEGA

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」のページ
http://www.sakatsuku-online.com/
□関連情報
【8月1日】WIN「プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」開発者インタビュー
前編:本作初となる大規模アップデートの狙いを探る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070801/sto1.htm
【7月25日】セガ、WIN「プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」
10日間限定で無料プレイを楽しめる「フリートライアル」を実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070725/saka.htm
【5月30日】セガ、WIN「プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」
新ワールド「Centenario」を6月1日より実装
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070530/sto.htm
【4月20日】「SEGA PC」新作タイトル発表会レポート
「SPLASH! GOLF」をはじめ5タイトルの内容を紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070420/segat.htm
【4月20日】セガ、「SEGA PC」新作タイトル発表会を開催
「野球つくONLINE」、「SPLASH! GOLF」など新作続々発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070306/sto.htm
【2006年6月30日】セガ、「サカつく」初の完全オンラインゲームを発表
WIN「プロサッカークラブをつくろう! ONLINE」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060630/saka.htm

(2007年8月2日)

[Reported by 小野憲史 / Photo by 石田賀津男]



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