★オンラインゲームレビュー★
シリーズの雰囲気を濃厚に受け継ぐMMORPG
仲間や“仲魔”と共に過酷な世界を生き抜こう
「女神転生IMAGINE」 |
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- ジャンル:MMORPG
- 開発/運営元:ケイブ
- 利用料金:未定
- 対応OS:Windows XP/Vista
- 発売日:オープンβサービス中
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アトラスの人気RPGシリーズ「女神転生」の世界観、設定を受け継ぐMMORPG「女神転生IMAGINE」が、2月14日よりオープンβテストを開始した。本作は開発、運営をケイブが行なっている。正式サービスの課金形態は未定。ケイブでは、月額課金、アイテム課金のいずれとも明確にはしていないものの、プレーヤーに最大限利益還元できるような料金体系を提示したい、としている。
本作はシリーズの「真・女神転生」と「真・女神転生II」の間となる時代を舞台とし、シリーズの顔と言える悪魔絵師、金子一馬氏デザインの“悪魔”が闊歩するMMORPGということで、ファンの注目度も高い作品である。本稿では本作の基本要素や、オープンβテストの模様をお伝えしたい。
■ シリーズの雰囲気をきちんと受け継ぐMMORPG。しかしスタート時には混乱も
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金子氏の描く悪魔とスタイリッシュなキャラクタが活躍するMMORPG。世界全体もどこかダークで、「女神転生」シリーズの雰囲気を受け継いでいる
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VRルームで基本動作を学ぶ。本作の戦闘システムはアクション性が高く、ここできちんと基礎を学んでおきたい。 |
「女神転生」シリーズに出てくる“悪魔”とは、逆トゲの尾を持ち人々を堕落させる者達の事ではなく、超自然的な存在全般を指す。「オーディーン」や「スサノオノミコト」といった神と呼ばれる存在から、世界各地の民話に出てくる妖怪や妖精、さらには「口裂け女」など都市伝説や怪談で語られる存在も含む、非常に広い定義である。本シリーズの根源的な楽しさは、こういった超自然的な存在を“仲魔(なかま)”として使役していくところにある。
この基本コンセプトは、ナムコ(現バンダイナムコゲームズ)から'97年にファミコン向けに発売されたシリーズ第一弾「デジタル・デビル物語 女神転生」から受け継がれている。敵として出てくるキャラクタを仲魔としてパーティーに加えるというゲーム性と、神話や伝説で語られている存在を使役するという他のゲームにはなかったアイデアが多くのユーザーを魅了した。
シリーズを重ねるごとにこのコンセプトは強化され、悪魔合体では3体の悪魔を同姓させる「3身合体」が可能になり、悪魔を宿らせる武器合体といった新要素が加えられていった。また、タロットカードに象徴される力を自身に宿らせて扱う「ペルソナ」シリーズや、シミュレーションRPGである「魔神転生」シリーズなど多彩な広がりも見せている。オカルティックでダークな雰囲気は、他のゲームにはない魅力を持っている。
「女神転生IMAGINE」は、シリーズがナムコからアトラスに移った第1作「真・女神転生」の設定、世界観を受け継ぐMMORPGである。「真・女神転生」のストーリーは発売当時の“現代”、'9X年からスタートする。突然東京に出現する“悪魔”達と、それをきっかけに起こるLaw(法)とChaos(混沌)の勢力の争い。その戦いの中で東京は核の炎に包まれ、その後に大洪水に襲われ、その機能を完膚無きまでに破壊されてしまう。
「真・女神転生」のストーリーは202X年に幕を閉じる。続編となる「真・女神転生II」はそこから数十年後の世界。Law側の勢力であるメシア教を信じる人々により、東京は厳格な管理社会によって支配される「TOKYOミレニアム」となっており、対立するChaosの勢力であるガイア教の人々は弾圧されている。「II」ではメシア(救世主)を巡るストーリーが展開する。
「女神転生IMAGINE」はこの管理社会が形成される前、大破壊から復興しつつある東京が舞台となる。この時代の人々は「7人の賢者」の導きのもと、新宿に巨大な建造物「新宿バベル」を建設し、さらに各地に「ホーム」と呼ばれるシェルターを作り上げた。失われて久しかった都市機能もこれらの施設により復興し始め、人々の生活は安定の兆しを見せ始めた。
しかし、それを阻むのが「悪魔」の存在だ。彼らに対抗し、人々の生活を守るために結成されたのが「デビルバスター」という組織である。彼らは訓練により武器の扱いに長け、「魔法」を使う事もできる。しかも携帯型コンピュータ使って悪魔と交渉し、彼らを使役することもできる。
本作ではプレーヤー達はデビルバスターとして荒廃した東京に降り立つことになる。訓練であるチュートリアルを終えるとプレーヤーはスタート地点である「スギナミ第3ホーム」に出る。そこで出会うのは様々な“仲魔”を連れた他プレーヤー達の姿だ。オープンβテストは始まったばかりだが、去年の12月から行なわれていたリミテッドβテスターもプレイデータを引き継いでプレイできているため、すでに高レベルのプレーヤーが存在している。すぐ仲魔にできるピクシーやコダマだけでなく、どのくらいのレベルか想像もつかないような女神や天使をつれている人も見える。
ゲームを始めたばかりのプレーヤーは金子氏のイラストをそのまま3D化したような悪魔の姿にまず心奪われるだろう。そしてどこか硬質な街のデザインや静かなBGM、街の外の崩壊した町並みにあたりをうごめく悪魔達……。「女神転生」の世界に来たと実感できる雰囲気を本作は確かに持っている。この世界の「空気」をきちんと作り出したことに、まずは拍手を送りたい。ファンには一度はのぞいてもらいたい世界である。
とはいえ、本作のオープンβテストは、順調なスタートとは言い難かった。まずテストのスタートは2月14日の18:00の予定だったが、オープンβテストの受付開始、およびクライアントのダウンロードが同日の17:00からという前代未聞のスケジュールだった。筆者の心配は的中し、公式ページすら開けなくなるほどにユーザーのアクセスが集中した。
その後もユーザー登録すらできないという事態が続き、日付が変わっても結局筆者は登録できなかった。プレイを始めたのは15日の朝からだ。さらに金曜の夜からはラグが発生し、ユーザー達の不満を大きくさせた。本作の戦闘システムはアクション要素が強く、ラグの影響は大きい。こちらがいくらコマンドを入力してもキャラクタは何のアクションもせず、一方的に敵に攻撃され、更にデスペナルティを背負わされる状況が多発した。
ラグは日曜の昼頃にピークに達し、まともなゲームプレイがほとんど不可能になった。日曜の夜にはある程度この事態は改善されたが、ユーザーの不満、そして不信感は大きなものとなっている。このスタートは最悪と言っていい。興味を持ってもアカウントが取得できず、はじめてもゲームがまともに動かない状況は、ユーザーの期待への裏切りといえるだろう。
運営側は現状認識に対するアナウンスを出し、この土日も改善作業を行なっていたようだ。その姿勢には好感が持てるが、何故このような事態が起きてしまったのか、本当にそれを予測できなかったと思う部分も多い。ゲーム内でも不満の声を上げるユーザーは多かった。
くり返すが、「女神転生IMAGINE」はシリーズの世界観と雰囲気をきちんと受け継いでいるMMORPGである。紹介されたスクリーンショット1枚、公式ページのムービーをちょっと見ただけでもファンは興味を持つ。今年サービスがスタートするMMORPGの中でもファンの期待も注目も大きいビッグタイトルといえる作品だ。その期待の作品がこのようなスタートになってしまったのはとても残念だ。筆者は個人的にも「女神転生IMAGINE」の世界に強い魅力を感じている。今後の運営、ゲームの展開でこの失点をリカバーして欲しい。
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髪型や顔、身長などを選択しキャラクタを作成する。アバター要素も期待したい |
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スタート地点となる第3ホーム。人々は悪魔から逃れ、シェルターで生活している |
邪教の館。最初にはいると基本知識を教えてくれる |
教官のスネークマン。公式ページのムービーではかなりの活躍をするようだが…… |
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荒廃したスギナミ。プレーヤーが冒険する最初のフィールドであるが、所々に強力な悪魔が配置されていたり油断ができない |
■ アクション要素の強い戦闘システム。上達すれば仲魔とのよりスムーズな連携も
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エキスパートシステム。関連する技能を使うことで上昇し、新たなスキルを獲得できる |
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パーティープレイでは悪魔が誰に向かってくるかを見極めることで有利に戦える |
「女神転生IMAGINE」ではプレーヤーキャラクタは“レベル”と、“エキスパート”の2つの成長要素を持っている。エキスパートには近接攻撃の「アタック」や射撃武器を使う「ショット」、「回復魔法」、「破壊魔法」、悪魔と交渉する「対話」など様々な種類がある。これらはゲーム内で使うことで上昇していき、高レベルになるとより威力の高い攻撃スキルやパッシブスキルを習得できる。
エキスパートは合計ポイントの上限が決められており、すべての技能を上げる万能キャラクタは作れない。どのエキスパートをどこまで伸ばすか考えた育成が必要となる。レベルは上昇することでステータスポイントを得ることができる。近接戦闘には“力”、射撃戦闘には“速さ”というように、これを割り振ることで得意分野はより明確になっていく。
本作の戦闘システムはアクション要素が強くなっており、単純に攻撃をくり返しているだけでは勝利はおぼつかない。近接攻撃ならば3回相手に斬りつけると相手は吹き飛ばされて距離ができる。この時攻撃側がさらに攻撃をくり返そうとすると反撃を受けてしまう。そこで相手を吹き飛ばした後はガードすることで相手の攻撃を受け止め、そこから反撃をするというのが基本的な戦闘の流れになる。
射撃の場合は一撃を放つ前にディレイがある。このためガードでは相手の攻撃を受け止めても反撃が難しく、カウンターが有効になる。こういったアクションは1~0までの数字キーにショートカットとして割り振って使用する。戦闘には独特のタイミングがあって、周囲の敵をまとめて吹き飛ばす「スピン」や、MPを消費するものの素早い射撃攻撃が可能になる「ラピッド」といった能力を組み合わせることで敵の反撃を抑えた戦いができる。
戦闘では仲魔も活躍する。「女神転生IMAGINE」では1体の仲魔を従えることが可能で、仲魔と連携することでより有利に戦える。仲魔は様々なスキルを持っており、これを使いこなすことでより有利に戦える。ただし、仲魔の能力を完全にプレーヤーの意志に従わせるには操作を切り替えなくてはならない。スピーディーな本作の戦闘ではプレーヤーと仲魔を同時に素早く操作するというのは難しく感じた。
仲魔は細かく支持をしなくても、自律的に行動してプレーヤーを助けてくれる。また周囲の味方を回復してくれる魔法「メディア」などはターゲットの指示がいらないため、仲魔にこれだけ唱えさせて自身は攻撃に集中する、といった戦法も可能だ。馴れてくれば自身と仲魔の操作をタイミング良く切り替えて敵に大ダメージを与えるような戦法も可能だろう。
パーティープレイでは数による力押しも可能だ。銃や魔法の場合に生じるディレイも、他のターゲットに向かっている敵に対してはまったく問題にならない。ターゲットされたプレーヤーはガードかカウンターでしのぎ、他のプレーヤーは攻撃に集中するのが有効だ。このシステムは逆に複数の敵にターゲットされた場合なかなか反撃が難しい。敵に囲まれない位置取りと、効率的な攻撃方法を模索する楽しさを兼ね備えた作品である。
敵の攻撃に合わせたアクションや、いかに敵の隙をつき大技をたたき込むかといった戦略性はソロプレイの時に特に楽しい。うまくかみ合えばレベルが高い悪魔も効率的に倒せる。カウンターやガードを使う戦闘システムはMMORPGの「マビノギ」に近い感触があり、筆者はある程度すんなり覚えることができた。一方で初心者の中にはまだうまくこのシステムを体得できていない人も多かった。
いかに一度に相手をする敵を減らすか、複数のプレーヤーでどう戦うか、ソロプレイでの攻撃をたたき込むコンボの方法は……などなど、現在プレーヤー達は多くのアイデアを出して議論している。様々な戦法を生みだしたプレーヤーのアイデアが拡散し、より高度な戦い方を見つけ出すような進歩をして欲しい。
より役割がはっきりしたプレーヤーの関係にも期待したいところだ。本作のエキスパートシステムは将来的には悪魔を仲魔に引き込むテクニックに長けた「交渉屋」や、剣を極めた壁役や、高度な悪魔合体を請け負うプレーヤーといった存在を可能にするだろう。現在プレーヤーキャラクタのレベルキャップは45であるが、習得できるスキルなども少なくまだまだこれからといった印象だ。様々な「専門家」が登場するような展開を望みたい。
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射撃スキルは発動までにディレイがある。タイミングがより重要になる |
ガンガン攻撃できる近接スキル。スピードに乗った攻撃はとても爽快だ |
ガード。敵に隙が生じ、斬りかかる事ができる。射撃は間に合わないため、ガンナーはガードよりカウンターの方が有効だ |
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ラピッドスキルによりMPを消費しながら連続攻撃を加える |
悪魔に操作を切り替えて攻撃。うまく使えば囮にすることも |
攻撃魔法で攻撃。現在のバランスではキャラクタのMPがあまり増えないため、魔法重視のキャラクタは少し不利だ |
■ スリリングな交渉システム、遺伝スキルによって悪魔合体もさらに奥深く
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悪魔との交渉は攻撃スキルを使うような感覚で行なう |
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強力な悪魔を従えたプレーヤー。思わず憧れてしまう |
「女神転生IMAGINE」では悪魔との交渉もスキル攻撃と同じ感覚で行なう。エキスパートには「対話」、「威圧」、「挑発」の3つがある。悪魔をターゲットしてから近付き、ショートカットを連打して交渉を行なう。会話は数パターンあり、時には相手が怒り、襲ってくることもある。
悪魔に対してショートカットを連打するという交渉方法は、力押しのようで少し「趣きに欠けるかな」、と思う部分もあるが、リアルタイムなだけにスリリングで、仲魔にできた時は「女神転生」シリーズならではの楽しさを体験できる。悪魔の反応のパターンは少なくも感じたが、2月14日スタートだけに、ピクシーはバレンタインプレゼントをくれる仕掛けも盛り込まれていて面白かった。
こうして仲魔にした悪魔は、戦闘を共にすることで成長する。レベル2で仲魔となったピクシーが戦闘をくり返すことで成長し、新しいスキルを獲得していくのはとても心強かった。仲魔となり成長した悪魔は、フィールドにいる悪魔とは違う存在なのだ。ちなみに、悪魔は自分のレベル以下の者しか仲魔にならない。悪魔は6体までストック可能だ。
「女神転生IMAGINE」では現在の所2体合体までが可能になっている。弱い悪魔が強力な存在に生まれ変わり、さらに合体をくり返すことでまったく別な悪魔に変わっていくのは独特の興奮をもたらす。本作の場合誕生した悪魔が持つ「体得スキル」というものの他に、素材となった悪魔からの「遺伝スキル」という概念が導入されている。
この遺伝スキルによってプレーヤーごとに個性的な悪魔を創造することが可能になっている。素材となる悪魔をどう育てるか、スキル構成はどうしていくか、補助系としての特化や回復用の悪魔などプレーヤーそれぞれのこだわりが楽しみである。今後は「ここでこれを覚えさせたらこいつと合体させて……」といった攻略情報が出てきたり、それを修正したり、アレンジしていくプレーヤーも出てくるだろう。プレーヤーの活発な議論を生むシステムだ。
遺伝スキルは「覚醒」することで習得することが可能になる。覚醒の条件はどうやら悪魔が同じ攻撃や魔法を受けることらしい。現在筆者が悩んでいるのはジャックフロストと合体させたエンジェルが氷系の「マハブフ」を覚醒してくれるかどうかだ。フィールドにいるジャックフロストが習得していないスキルだけにどうすれば覚醒条件を満たせるか現在考え中である。
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交渉に成功すると悪魔は輝くタマゴとなる |
悪魔召喚。マグネタイトを消費する |
周囲の味方を治療するメディア。重宝するスキルだ |
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2身合体を行なう。遺伝スキルや所持スキル、見た目などプレーヤーのこだわるところは様々だろう。高レベルのプレーヤーが持つ悪魔は育て方によって全く違う強さを発揮する |
■ 荒廃した東京を描くフィールドと、プライベートダンジョン。ストーリーの導入は今後
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ダンジョンの最後にはボスが待ち受ける。ダンジョンは何周もすることが多く、できることなら1つのダンジョンで2~3パターンのボスを実装してもらたいところだ |
荒廃し、変貌した東京が描かれているフィールドは「女神転生IMAGINE」の魅力の1つだろう。ビルが崩壊し、完全な廃墟となっているスギナミは「北斗の拳」の“世紀末”の世界のようだ。密林地帯になっているナカノには光を放つ巨大な柱「オベリスク」が立っていて何か大きな秘密がありそうだし、溶岩地帯になってしまっているイチガヤも気になる。東京はどういった経緯でここまで変貌してしまったのだろうか。
本作のフィールドでの悪魔の配置はいささか密集気味で、倒しても再登場する時間も早いため、囲まれないように注意する必要がある。前述のように戦闘システムは1vs1向きの設計になっており、複数の敵に狙われると危険が大きく増す。速いスピードで経験値を稼ぐ場合は数人のパーティーを組むのが効率的だと感じた。
敵の配置に加えて、個人的に厳しいなと感じたのが「アンチモノポリーデメリット」だ。これは同一の狩り場で悪魔を倒し続けていると取得経験値が減るシステムで、このため本作のフィールドでの狩りは移動しながら敵を倒すというスタイルが求められている。しかし、敵の密度が濃いため、自分を守っているだけでもアンチモノポリーが発生してしまうという状況が多く発生し、快適な狩りを続けられるとは言い難かった。このバランスは今後考えてほしいところだ。
ダンジョンはパーティーのみで進入するMOタイプのプライベート空間になっている。鍵を開けたり、仕掛けを突破していくといったメリハリがある展開になっていて、最後にはボスが待ち受ける。取得経験値も多めで、筆者も他の多くのプレーヤーと同じようにダンジョンを何周もしてお金と経験値を稼ぐ、という方法でキャラクタを育てていった。パーティーによる連携が決まった時には「これぞMMORPG」といった根源的な楽しさを体験できた。
一方で、ゲーム全体を見て強く不満を感じる部分がある。それは、現時点ではストーリー要素もクエストもまったく実装されていないところだ。これはひょっとしたら「マビノギ」のように、課金したユーザーのみがメインストーリーを進めるようにする仕掛けなのかもしれないが、RPGの基本要素としてプレーヤーを新しいフィールドに誘導する情報すらなく、土地や世界背景の説明すら入っていない現状は明らかに不自然だ。
筆者自身、どのレベルでスタート地点であるスギナミを出て新宿バベルを目指せばいいか、そのタイミングもまったくわからなかった。他プレーヤーの誘いで行くことができたが、実質的にはレベル12くらいから充分活躍できるフィールドも用意されており、「もっと早くここに来ても良かったのに」と思った。本作は12月からクローズドβテストがスタートしている。にもかかわらず現時点でストーリーと呼べるのは最初のトレーニングのみだ。プレーヤーは自分が訓練を終えたデビルバスターなのか、そもそも何のために冒険しているかの理由すら現時点では与えられない。
「女神転生IMAGINE」はシリーズを受け継ぐMMORPGである。現時点でキャラクタ育成や戦闘、悪魔合体といった根源的な部分は楽しめるがプレーヤーの気持ちを前に押す要素はやはりストーリーであると思う。特に本作は「真・女神転生」と「真・女神転生II」の間を埋めるストーリーが展開することは開発当初からアナウンスされている。公式ページでもムービーによって展開するストーリーが紹介されているにもかかわらず、いざゲームを始めるとそういった要素が皆無なのは大きく疑問を感じるところだ。
オープンβテストである現時点でストーリーすべてを体験したいと言っているわけではない。課金ユーザーのみがメインストーリーに関わるクエストに体験できる、という手法もありだとは思う。しかし現在の「女神転生IMAGINE」は、RPGとしてあまりに内容がなさすぎる。ユーザーに対してどのように情報を与え、どのストーリーを「特別なユーザー」に体験させるのか、そのさじ加減を早急に検討し、この世界の説明や、プレーヤー達のデビルバスターとしての役割を認識させて欲しい。どのレベルでどこに行くのか、その土地にはどのような意味があるかを提示して欲しい。
アクション要素を持った戦闘システム、エキスパートによるキャラクタの特化、自分だけの悪魔が作れる合体システム、変貌した東京……「女神転生IMAGINE」はまだまだ荒削りながらも“これから”を感じさせるMMORPGである。育てた悪魔だけを対決させる闘技場(もちろん観戦システムも)や、武器作成システムなど本作の方向性を活かした新しい要素の登場にも大きく期待したい。ユーザーの期待と注目は高いだけに、要求水準もまた高くなるとも思うが、スタッフは是非このプレッシャーを力に変えて、本作の完成度を上げていっていただきたい。
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密林と光る柱の立つ謎に満ちたナカノ。どうしてこのようになってしまったのだろうか |
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大都会に来た! と実感する新宿バベル。レベル10台前半からはホームポイントとなる街だ
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新宿バベルの商店は第3ホームとは品揃えが異なる |
溶岩の吹き出すイチガヤ。ポルターガイストが周囲を浮遊している |
ハーピーやハイピクシーのいるシブヤ。大都会の面影がある |
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最初に挑戦するダンジョンとなる「スギナミ魔界坑道」。パーティープレイの楽しさを実感できる場所だ |
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魔階セルタワーは入るプレートによって難易度が異なる。「銅」のプレートは敵は弱めだが、「銀」のプレートを使ったダンジョンはレベル20代のキャラクタでも苦戦するだろう。筆者はパーティーメンバーの足を引っ張り、死にまくりながら何とか走破した |
(C)ATLUS
(C)CAVE
【女神転生 IMAGINE】
- CPU:Pentium4 2GHz以上(Pentium 4 3GHz以上推奨)
- HDD:2GB以上
- メモリ:512MB以上(1GB以上推奨)、
- ビデオカード:ビデオメモリ128MB以上
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□ケイブのホームページ
http://www.cave.co.jp/
□「女神転生 IMAGINE」のページ
http://www.megatenonline.com/
□関連情報
【2月13日】ケイブ、MMORPG「女神転生 IMAGINE」
オープンβテスト開始前にクライアントを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070213/megami.htm
【2月7日】ケイブ、WIN「女神転生 IMAGINE」
オープンβテストを2月14日より実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070207/megami.htm
【1月17日】ガンホーとケイブが業務提携契約を締結
WIN「女神転生 IMAGINE」を「ガンホーゲームズ」で提供
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070117/megami.htm
【2006年12月19日】ケイブ、WIN「女神転生 IMAGINE」
リミテッドβを12月20日より開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061219/megami.htm
【2006年11月8日】ケイブ、MMORPG「女神転生 IMAGINE」
βプレビューの参加者を弊誌で200名追加募集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061108/megami.htm
【2006年10月20日】ケイブ、「女神転生 IMAGINE」11月11日よりβプレビューを開始
先行体験会で見えてきた具体的なゲームシステムを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061020/imagine.htm
【2006年9月22日】「女神転生 IMAGINE」開発バージョンレポート
スキル制のキャラクタシステムや、仲魔達との関わり、基本システムが明らかに
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060925/imagine.htm
(2007年2月20日)
[Reported by 勝田哲也]
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