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会場:ガンホー本社会議室
「フィゲル」アップデートの概要については、体験レポートで紹介したとおりだが、新エリアとなる「フィゲル」方面のエリア拡張を柱に、様々な新クエスト、職業、モンスター、アイテム、アトラクションなどのコンテンツが追加される。今回のアップデートは、新たなストーリーの拡充と言うよりも、リヒタルゼンアップデートの続編というニュアンスの強い内容ということで、新たなシナリオは、キル・ハイル関連の長編クエストを通して展開されるようだ。 本稿では、体験会終了後に実施された「ラグナロクオンライン」制作担当 廣瀬高志氏とのインタビューを紹介する。7月の「ノーグハルト」インタビューでは、「抜本的な不正対策」を表明した廣瀬氏だが、今回はガンホーオリジナルイベント「アマツ納涼泉水祭」と「蜃気楼の塔」の成功に手応えを感じていたのが印象的だった。今後、同作のコンテンツの大きな柱として育っていくことが期待される部分である。 不正対策については、対策の継続と強化を改めて表明。経済バランス調整については、「おもちとレモン」に続く、モンスターのドロップテーブルの見直しの企画を進めていることなどが明らかにされた。そのほか、今後の運営を占う上で注目の発言が目白押しなのでぜひ一読いただきたい。
■ フィゲルアップデートは高レベル向けが中心、キル・ハイルクエストに注目
廣瀬氏: 「フィゲルアップデート」で、シュバルツバルド方面のアップデートが完成し、全容が明らかになります。フィールドとして存在してはいたものの、ユーザーさんには明らかにされていなかったキル・ハイルの邸宅ですとか、キル・ハイルという人物に対してシナリオが拡張されました。これが今回のアップデートのポイントです。また、特殊一次職として忍者とガンスリンガーの2つの職業が追加されます。 編: シュバルツバルド北方地域にはいくつか謎が残っていますが、今回のアップデートでそれらがすべて明らかになるのでしょうか。 廣瀬氏: 謎に関しては今回ですべてが明らかになったわけではないです。リヒタルゼンアップデートの続編という側面が強いです。 編: 綺麗にフィナーレを与えるわけではないのでしょうか。 廣瀬氏: はい。シュバルツバルド共和国自体が人間くさいといいますか、ドラマが多い国です。まだまだドラマが隠されています。 編: となると、シュバルツバルドエリアの拡張は今後も行われていくのでしょうか。 廣瀬氏: 現時点では、韓国のアップデートをたどっている限りではないですね。今回でシュバルツバルドを一巡りしたことになります。次回からはアルナベルツ教国のアップデートに入っていきますので、しばらくはそちらのほうに注力されると思います。 編: エリアアップデートをしたフィゲルとオーディン神殿の2つが大きいですが、どういった物語が展開されるのでしょうか? 廣瀬氏: フィゲルは元々閉鎖的な町なので、あまり物語に深く関わるようなものは少ないのです。お使い系のクエストですとか、オーディン神殿の発掘クエストといったものはフィールドには存在しますが、どちらかといえば、キル・ハイルの存在するジュノーあたりのお話の方がメインになると思います。 編: フィゲルから直接行けるオーディン神殿ですが、イメージとしては壮大な神殿があって、聖職者がいてそこで大きなストーリーが始まるのかなというイメージがありました。しかし、実際は高レベルモンスターの巣窟と化していますね。 廣瀬氏: はい。オーディン神殿は廃墟になっていまして、今回のアップデートではオーディン神殿のバックストーリーについては多く触れられているわけではないですね。今後シュバルツバルド方面のアップデートが終わってから、アルナベルツ方面の話が出てきますが、その際に触れられるかどうかは私にはまだ分からないです。 編: 今回一通り触ってみて、フィゲル方面に行く動機付けが弱い印象がありました。 廣瀬氏: リヒタルゼン方面に比べて、都市機能的には重要な位置を示しているわけではなく、辺境というイメージが強いです。現状の認識としてはチャレンジしていただく1つのエリアになっていると思います。 編: ランドクリスという強いMVPモンスターがいますが、それを倒すのが目的になりそうですね。 廣瀬氏: ラウンドクリスは弱点らしい弱点がありません。MVPモンスターの中でも1位2位を争うぐらいの群を抜いた強さがありますので、確かにチャレンジしていただく意味合いが強いですね。 ただ、フィゲル方面では高レベル向けだけでなく、低レベル向けのエリアもあります。対象レベルとしては40前後くらいからでしょうか。リヒタルゼン方面にポリンの機械版のようなメタリンというモンスターがいるのですが、これがフィゲルエリアにもいます。徒歩でいくのは大変でしょうから、飛行船を利用していく形になると思います。 編: オーディン神殿は、対象レベルは80以上という感じでしょうか。 廣瀬氏: オーディン神殿は80以上無いと厳しいエリアです。さらに上位2次職が入っていないと戦闘としては厳しいと思います。 編: オーディン神殿に行く目的として「ヴァルキリー」シリーズの防具群が挙げられますと思います。これは神殿のモンスターからドロップされるのでしょうか。 廣瀬氏: オーディン神殿にいるモンスターが落とします。すべて揃えてもセットボーナスはありませんが、各装備だけでもかなりの付与効果を見込めます。基本的には転生職を対象とした装備品になります。ただ、この防具を手に入れられる人はかなり限られるとは思います。 編: キル・ハイル社の長編クエストとして「キエルの部屋」というエリアが追加されますが、これはクエスト限定エリアになるのでしょうか? 廣瀬氏: はい。クエストをこなしていかないと進入ができない場所です。 編: 場所はどこにあるのですか? 廣瀬氏: それは楽しみにしていただきたいので申し上げられません。クエスト自体はジュノーで受けられます。お使いクエストから発生します。 編: キエルの部屋に入るのにどういった制限があるのでしょうか。 廣瀬氏: クエストをはじめる段階でレベル70以上という制限があります。クエスト内部にも制限というか、ざまざまな謎が用意されています。実際にプレイしていただければと思います。 編: 下限としてレベル70以上とのことですが、クリア想定レベルは大体どれくらいを想定されているのでしょうか。 廣瀬氏: 途中でダンジョンを経由していかなければいけないので、80以上無いと厳しい場所になるかと思います。 編: ダンジョンでレベル上げをすることは可能なのでしょうか。 廣瀬氏: 可能ですが、あくまでクエストの経由点です。通路にロックがかけられているところもあるので謎解きの面が強いです。レベル上げをして頂いても構いません。 ■ 今夏に実施したオリジナルイベントが好評。今後は独自イベントに注力
廣瀬氏: システマティックというよりは、割とアナログチックな仕組みになってますね。村の子供たちがやっていたのがレースになったという背景もありますので、そんなに凝った作りにはしていないのではないかと思います。私もモンスターレースは、オッズが出る競馬のようなものを想像していました(笑)。 編: コンテンツとしては、カジュアルな遊び方をしたいユーザーに好まれそうですが、レースを楽しむまでのプロセスが煩雑で、ちょっと遊びにくい印象でした。 廣瀬氏: 進行としてはかなりまったり進行ですね。 編: メダルを貯めて交換できるアイテムですが、モンスターレース会場での交換所ではメダルが1枚から59枚までのアイテムがありました。実際にはそれ以上のものも用意されているということでしたが、どういったアイテムが手に入るのでしょうか? 廣瀬氏: まだ内緒です。ユーザーさんの期待に応えられるような内容にはなっています。 編: 確認した限りだと、ポリンボックスや回復剤などいわゆる消費系のアイテムが多かったのですが、武器や防具や頭装備のようなものは手に入らないのでしょうか。 廣瀬氏: うーん。正直調整中です。NPCはフィゲルにはいません。探してみてください。 編: 今回のモンスターレースのような楽しい要素は今後拡充されていくのでしょうか? 廣瀬氏: 今後は、韓国の動向を見る限りでは、モンスターレース以外のアトラクションは追加されていないです。 しかし、その代わりといってはなんですが、夏休みの終わりから実施したアマツのイベント「からくり屋敷」や「蜃気楼の塔」というアトラクション要素の強いイベントを実装し、かなり多くのユーザーさんに楽しんで頂いている状況です。 ユニーク数ではちょっと分からないのですが、開催当初は入り口がレベル帯ごとに100人という制限を設けたのですが、わずか1秒で100人が入場しきってゲートが閉じてしまうほどの人気でした。また、お寄せいただいているユーザーさんの反応でも、今までのイベントの中で一番面白かったという声を頂いています。Gravityさんに用意していただくアトラクション要素ではなく、私たち独自で企画したものを提供できないかと考えた中でのイベントでした。今後の展開の中でこうしたアトラクション要素の強いイベントを開催してほしいという声も頂いていますので、反省点を踏まえながら価値があるものに形を変えていきたいと思います。 編: そうしたイベントをフィゲルエリアでもやっていくということでしょうか? 廣瀬氏: それも企画次第だと思います。今回はアマツの納涼祭でしたが、フィゲル方面でやってもいいと思います。 編: 今後、どれくらいの頻度でイベントを行なっていく予定ですか? 廣瀬氏: 希望としては毎月何かしらイベントを行っていきたいのですが、実際問題としてイベントの作成にかなりの労力がかかってしまっているので、その辺をどうするかが今後の課題になります。 編: 次の区切りとしましたら12月のアニバーサリーイベントがありますね。 廣瀬氏: アニバーサリーイベントは毎年開催されていますが、内容の方はまだ内緒です。すでに企画はスタートしています。次のイベントとしては、アニバーサリーからクリスマス、お正月イベントなどになるかと思います。
■ 新職業は“見せプレイ”に特化した強さより見た目重視のデザイン
廣瀬氏: 忍者はわかりやすい職業です。特徴としては手裏剣や苦無といった投擲武器を利用するタイプと、切り込んだ後に飛んでまた別の敵に切り込んでいくトリッキーな動きをするタイプと、魔法系の職業に近い忍術系のタイプの3パターンに分けることができます。デザインに関してはまさに日本古来の忍者をベースに作っているということで、スキルなども忍術と投擲系の武器を押さえています。銭投げがあるのは理解に苦しむところですが(笑)。 次にガンスリンガーですが、2丁拳銃を見てもわかるようにガンマンをイメージしています。それに加えてグレネードガンやガトリングガンといった重装備など銃器系を一通り使える職業として初めて実装されたのがガンスリンガーになります。 編: 忍者はアマツ出身とのことですが、忍者の企画に関して、日本側から提案や打ち合わせはあったのでしょうか。 廣瀬氏: 忍者という職業を希望するユーザーさんからのご要望は日々頂いておりまして、それをGravityさんに伝えたという経緯はあります。ただ、実際にそれを受けて企画したのかどうかはわかりません。また忍者がアマツ出身ということに関してもなにか働きかけをしたことはないです。私も忍者はすごく派手な衣装を着ているのだなと思いました。「RO」の忍者はこうなのだと。 編: ガンスリンガーですが、既にレンジ系の職業はいます。それら既存職業との棲み分けはどうなっているのでしょうか? 廣瀬氏: 二次職のハンターと比べてどうなの? というのがユーザーさんからも頂いていることではあります。難しいところですね。特殊1次職が通常の2次職とは違いますので、単純にキャラクタの強さや扱いやすさを決めるのは難しいです。 ガンスリンガーは通常攻撃が強いというよりは、銃を使ったスキルに爽快感がありますので、見た目の違いが大きいのかなと思います。武器によっては高威力をもったものもありますので、そのあたりを中心に、ガンアクションを見せプレイという形で楽しみたい方にはおすすめです。 編: これらのジョブを個人や仲間と楽しむ以外に、GvGや攻城戦に投入できるような設計にはなっているのでしょうか? 廣瀬氏: 攻城戦で言いますと、能力的に戦況をひっくり返すような職業ではないと思います。同じ系列の職業であるスーパーノービスもそうですが、あくまで強さを全面に押し出した設計にはなっていません。 スーパーノービスはいくつかのスキルを幅広く使えるとはいっても、ノービスの延長の職業なので限定した育て方使い方をしなければなりません。条件の厳しい職業を選択して自分の目標に向かってプレイされる方のための職業だなという位置づけだと思います。 編: 今回の2つの新職業の共通点として消費アイテムを大量に使います。これらの消費材はどこで手に入れられるのでしょうか。 廣瀬氏: 忍者もガンスリンガーも同じで、それぞれ転職する場所で購入することができます。また、特定の材料を持っていくと専用の武器や防具を作ることができます。例えば盾の代わりになる手甲の場合、特定のアイテムを一緒に持ち込むことによってスロットを付けるなどの効果を得ることができます。 編: アイテムの自作はできないんですか? 廣瀬氏: そうですね。販売されているものに関してはそのまま購入していただく形になります。一部の銃弾に関しては、材料を持ち込んで作ってもらわなければいけないものがあります。 編: それぞれの転職条件はどうなっているのでしょうか。 廣瀬氏: ジョブレベル10のノービスから転職できます。転職クエストがありますが、内容としてはある程度行ったりきたりする必要はありますが、難しくはありません。 編: 今回の職業は恒常的にお金が飛んでいくので、それなりの経験者やお金をある程度持っている人でないと育てにくい印象ですね。 廣瀬氏: ガンスリンガー、忍者とも触媒や銃弾が必要ですので、初めて「RO」に入られていきなりこれらの職業にチャレンジする際には、既存のプレーヤーさんに比べてハードルが高いと思います。ガンスリンガーはアインブロックに行かなければいけないので初心者の方が行きやすい場所ではないと思います。選択肢の1つとして遊んで頂ければなと思います。 編: 最近はスーパーノービスはじめ特殊1次職が、どんどん増えている印象がありますが、これは今後も続くのでしょうか? 廣瀬氏: 通常の上位2次職まである職業は、目標とするところは見えているのですが、到達させるまでに多大な労力と時間がかかりますので、そこにいくまで頑張れるのかというユーザーさんは多いと思うのです。そういう意味では特殊1次職はノービスからすぐに転職できますし、目標を到達しやすいところに設定している職業かなと思います。テコンキッドや拳聖は難しいと思いますけどね。あれは熟練されたユーザーさん向けの職業だと思います。
■ 「Episode 5.0」終了後の「RO」の展開について 編: 一度お聞きしたかったのですが、シュバルツバルドはずっと高レベルを意識したアップデートだったと思います。これらの高レベル向けコンテンツのユーザーの利用率はどのぐらいなのでしょうか? 廣瀬氏: んー、難しい質問ですね。はじめて数カ月のプレーヤーさんよりは1年以上プレイされている方のほうが周りを見ていても多いですね。また、実際ダンジョンに入っているかどうかに関わらず、多くのユーザーさんの目標にもなっていると思います。 編: なるほど、私は意外と少ないのかなという見方をしていますが、実際の利用率はどのぐらいだと見ていますか? 廣瀬氏: 場所によりますね。ダンジョンによって変わってきますが、リヒタルゼン方面で、ジュピロスダンジョンという高レベルダンジョンが実装されていますし、上位2次職の育成場所としては定番となっている生体工学研究所の3層などは、高レベルかつコアなユーザーさんの日々のプレイ場所になっているなと感じています。生体工学研究所も2層まで下がると、上位2次職でバシバシ遊ぶというよりは2次職キャラで転生を目指すというキャラが遊んでいるところだなと思います。 また、リヒタルゼン方面で唯一といっては言い過ぎかもしれませんが、40~60くらいのレベル帯のユーザーさんに遊びやすいマップが追加されていまして、そちらが人気になっています。既存のミッドガッツ方面で遊んでいたユーザーさんもリヒタルゼンに低レベル向けでいいところがあるよという口コミで徐々に広まっていきました。最初は全然人がいませんでしたが徐々に広がり、集中的にレベルあげをしてくださっている方もいます。結果を見るとシュバルツバルド方面は高レベル帯ばかりでなく、中レベルユーザーさんにも楽しんで頂いている状況です。 編: 今回のアップデートでエピソード5.0がついに完結します。随分長いアップデートでしたね。 廣瀬氏: 長かったですね。1年以上経っていますよね。シュバルツバルド方面のアップデートはジュノーのアップデートをしたときに1度終了して、ニブルヘイムなど南の方のアップデートが入りまして、シュバルツバルドに関してはどういう国なのかというものがまったくわかりませんでした。これが一連のアップデートを通じて人間くさいドラマを持った国になっていきました。ルーンミッドガッツ王国は、割と平和で人間同士のドラマや事件が起こっていない国ですね。ストーリー的に渋みの利いた世界観であったかなと思います。クエストもハッピーエンドで終わるものよりは、事件に巻き込まれつつ、人間の裏に抱えているものが出てくるような内容が多く対照的だなと思いました。 編: 制作チームとしてはそれなりに満足できるアップデートだったのでしょうか。 廣瀬氏: 満足するにはまだ気が早すぎるかなと。実際ユーザーさんが遊んでどう感じられるか。これだけでは足りないよといった要望が出てきた際には、随時修正していきたいと思います。 編: 韓国ではアルナベルツ教国関連のアップデートが7月より始まりましたが、これは日本ではエピソード6.0となるのでしょうか。 廣瀬氏: エピソードの数字は確定していませんが、順当にいけばその数字になると思いますね。実装時期についてははっきりとは言えないです。ただ、ゆっくりアップデートするつもりもありません。ユーザーさんの間でもアルナベルツ教国の話題も出ていることですし、出来るだけ早い段階で実装したいですね。 編: アルナベルツ教国のアップデートに関してどのような抱負をお持ちですか? 廣瀬氏: アルナベルツ共和国に関して、全容を私もヒアリングしていませんのであまりはっきりしたことは言えませんが、シナリオの拡充やストーリーの充実の方は、シュバルツバルドアップデートで実現できてきたかなと思います。 その一方でシステム的な拡充に関してはユーザーさんの予想できる範囲内に留まっているので、シナリオの拡充も大事ですが、今後はシステム的な要素の充実を図っていきたいと思っています。これはアルナベルツ教国だけではなく、「RO」全体の話としてそう考えています。 編: システム的な拡張といえばどういったことを期待しているのでしょう。 廣瀬氏: 具体的な内容に関しては現時点でお話しするのは厳しいですね(笑)。現状だと、折に触れてGravityの開発陣の方とお話ができる機会に、個人的に提案したりしています。 編: 8月に韓国を訪れた際に、原作の内容はアルナベルツ共和国で一通り全部実装されるそうで、開発側としても気合が入っているとのことでした。日本ではどう捉えていくのでしょうか。 廣瀬氏: 「RO」立ち上げ当初の目標ですね。アルナベルツ教国が「RO」の終着点ではないと考えていますが、原作にあったところまでのシナリオをユーザーさんの目の前に届けるのが最低限の目標だったと思います。そこから先というものをイベントの拡充などを含めて充実させていきたいなと我々も考えています。 編: 原作にないエリアの展開というのはちょっと予想できないですが、今後はどのように展開されていくのでしょうか? 廣瀬氏: GAME Watchさんがインタビューされた開発チームのミンともお話をさせていただいておりますが、ちょっとまだ言える段階ではありません。色々と面白い構想を描いていますが、まだ彼の頭の中にあるものだったりもしますので、私の口からはまだ言えないです。 編: エリア拡張も行なわれていくのでしょうか? 廣瀬氏: それに関してもなんとも分からないですね。エリアは横の広がりですので、今後横の広がりだけを進めていくのか、縦の広がりを進めていくのか。 編: 縦の広がりとは既存エリアに対する新たなコンテンツの追加ということになるのでしょうか。 廣瀬氏: そうなります。横の広がりですと「RO」の一定のルールは変わらないので、今までにはない楽しみ方ですね。例えば1つの良い例として、攻城戦はRJCのヒントにもなりましたし、そうした遊び方を別の要素で展開が出来ればいいなと思います。新しい職業についても要望はありますが、これに関しては何も情報が出てきていませんのでなんとも言えません。 編: 韓国で伺った限りでは、「RO」は古いアーキテクチャのオンラインゲームなのでダイナミックな仕様拡張はやりにくい。だから今後は、外部とのコミュニティの連動みたいなことを考えているとのことで、具体的にはブログなどとの連携を考えているとのことでした。コミュニティ強化について日本ではどうお考えなのでしょうか。 廣瀬氏: ゲーム外との連携ですと、ガンホー・モードのサークルや掲示板等を絡めていくことになると思います。ブログですと、現在「RO」オリジナルの汎用ブログパーツの開発を進めています。 編: ガンホーゲームズに関してですが、それはどのレベルでの連携を実現していく予定なのですか? 例えばゲームサーバーからキャラクタやギルドデータを引用するなどの直に連携するようなことを考えているのですか? 廣瀬氏: 現在はそこまでの企画としては出てきていません。今後コミュニティとの連動イベントは起こせていけたら面白いかなとは思っています。
■ 「元職員による弊社への不正アクセス問題」の対応状況と今後の展開について
廣瀬氏: 満足はしていません。取締り件数は取締りの指標になりますので、件数を出すということはある程度効果が出ているのではないかと考えています。しかし対策はこれで終わるものではありませんし、取締りをしても戻ってくるということが見受けられるので、アカウントを作る際の個人情報の入力欄にコピーアンドペーストが効かなくなったりですとか、ひらがな認証を設けたりですとか、非常に細かいところからですが、入り口の部分から厳しくしていっているところです。 現状については私自身はまだまだ満足しておりませんし、これまで取り締まり不足だった部分や取り締まりの効率に関しては、より上げていくべきだろうと考えています。特に今後力を入れていかなければいけないのが、BOTのキャラクタ自身ではなくて、そのアイテムやマネーを溜め込んでおく「倉庫キャラクタ」と呼ばれるキャラクタの取り締まりです。そこを集中的に根こそぎ取り締まっていかなければゼニーの流出は止まらないと考えています。取り締り専門のチームも発足させましたし、その部分の取締りの手を強めたいと考えています。 編: 現在、8月と9月分のレポートが公開されていますが、アカウント停止数が増えて、回収できているゼニーが減っていることに関してはどうお考えでしょうか? 廣瀬氏: 最初の取締りを行なった際は無防備だった不正ユーザーが多かったんだと思います。8月の時点では、アカウントを停止することで溜め込んでいるお金を根こそぎ持っていくことができていたと思います。しかし、不正対策の情報が広まるうちにマネーロンダリングといいますか、受け渡しを頻繁に行ない、貯め込んだお金を分散化させるということが起きていますので、そうした部分で回収の手から逃れているゼニーが増えていると言う風に見ています。 編: 私はアカウント停止数が増えて、回収するゼニーの量が減っている現状は、BOTの数が減っていない何よりの証拠だと思っています。根こそぎ絶つための、水際で防ぐ新たな施策は何をお考えでしょうか。 廣瀬氏: 回収するゼニー量と取り締まりのBOT件数についてはリンクしないと思います。というのも、先ほど申し上げたとおり、取り締まりを強化していることでゼニーを分散化させているBOTもいるからです。この対策についてはこれからも継続的に行なっていくことで、効果や成果が出てくることだと思っています。また、水際で防ぐと言うことについては、BOTキャラがゲームの中に入る前に止めることがベストだとは我々も思っていますが、新たな施策については、今後対策を実施していく上で支障をきたすので、申し上げられません。しかし入り口に関しては今のままではいけないのではないかという意識もありますし、検討できる分に関しては現状に留まらず今後もやっていく方針です。 編: ちなみに現状、停止しているアカウントの課金形態は何が多いのでしょうか? 廣瀬氏: そうですね。無料アカウントのユーザー、チケットを利用しているユーザー、通常の課金アカウントのユーザーなど、さまざまな形態のユーザーが満遍なく存在しています。ただ、弊社での取締り方法や調査方法は、日々変化していっていますので、時期によって若干のばらつきが生まれることはあります。ですから、どの課金形態のユーザーが多いということは一概には言い切れないですね。 編: 今回の不正対策は、あくまで7月に発覚した不正アクセス事件に対する動きで、ゲーム内経済のバランス調整策のひとつですよね。直接的なバランス調整策のひとつである消費アイテム販売は、9月に実施されたおもちとレモン以降動きがありませんが、これは何故でしょうか? 廣瀬氏: 消費アイテム販売では、460億ゼニーほど回収させて頂いています。おもちとレモンというアイテムの特性でもあるのですが、価格や重量に対して影響が大きいものですので、恒常的に販売してしまうとゲームの難易度を変えてしまいます。ただ、消耗財なのでギルド戦で多く使われますし、消えてなくなるものですので、これに関してはある程度の周期を持って実装したほうが良いのではないかという判断をしています。 編: つまり、今はユーザーに消費して貰う時期であり、2回目があると考えていいわけでしょうか? 廣瀬氏: 今は消耗していただく時期ですね。2回目に関しては現時点ではあるともないとも言い切れないですね。実際におもちとレモンの販売に関してはユーザーさんからも要望がありますが、影響が大きいので定常的には考えていないです。 編: 2回目がないとなると、別の施策が始まるというわけでしょうか? 廣瀬氏: 事前に発表だけはしてしまいましたが、実際は時期等がお知らせできていないものがいくつかあります。例えばモンスターのドロップテーブルの見直しなどは、現在行なう前提で準備を進めています。開発元とも話をしていまして実装の時期もそう遠くはないと思います。こちらに関してはまずはユーザーさんに第一報を発したいということと、まだ準備段階なのでこの場で具体的な内容をお話することはできないです。そのほかにも特殊なアイテムの販売も考えています。たいそうなものではないのですが、期間限定の販売アイテムですね。時期に関しては勘弁してください(笑)。 編: そう遠くない時期なのでしょうか。 廣瀬氏: 私自身としてもそうもたもたしてやるものでもないと考えていますので、早期に実装可能なタイミングでできればと思います。 編: ではフィゲル実装後ということになりそうですね。 廣瀬氏: あんまり絞らないでください(笑)。 編: 最近ガンホーさんが本格展開に向けて準備を進めているゲーム内広告事業ですが、これは「RO」ではどういった対応をされるのでしょうか? 廣瀬氏: システム的に「RO」では難しいとも聞いています。それに弊社はパブリッシャーですので、勝手にシステムを変更することはできません。開発元に話を通すことからはじめることを考えると実現は難しいと思いますね。 編: 「RO」ではかつてローディング画面に自社広告が入った時期もありました。そうした面では抵抗感はないのかなという気はしています。 廣瀬氏: 楽しみながら世界観を崩さないものを選択する必要があると思います。まだまだ森下(代表取締役社長)のイメージ段階ということもあると思うので、実際には何も動いていないです。ただ、実施する場合には森下が申したようにユーザーの方があまり不快に思わないやり方で発信しなければならないということは、その通りだなと思います。下手に取り入れてしまうといままで積み上げてきたゲームのイメージを覆してしまうことにもなりかねないですし、ユーザーの皆様の期待を裏切ることなく、プレイする過程で違和感なく取り入れることができるものであればいいと思います。多くの人が見るから載せればいいという短絡的な話ではないと思います。 自社広告に関しては、ユーザーさんの感想というのは拝見しています。制作側としてはユーザーさんの素直なお気持ちは大事にしたいと考えています。 編: ユーザーさんに一言お願いします。 廣瀬氏: 長いことお待たせいたしましたが、シュバルツバルド共和国方面のアップデートも今回でひと段落を迎えました。特にキル・ハイルのクエストはかなりのボリュームを持っていますのでレベル70以上の方はもちろんそれ以下の方もこのクエストを目標にして、是非体験してみてください。忍者とガンスリンガーは強さというよりは見た目の爽快さとトリッキーな動きが特徴ですので是非見せキャラを育ててください。 編: ありがとうございました。
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□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ (2006年7月3日) [Reported by 中村聖司]
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