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China Digital Entertainment Expo 2006現地レポート

熾烈なシェア争いを繰り広げる中国メーカーレポート(その1)
大手は大作MMORPGを続々獲得、国営放送のCNECがゲーム市場に参入

7月28~30日開催

会場:Shanghai New International Expo Center

入場料:30元(約480円)

 会期2日目となるChinaJoyは週末を迎え、最高気温36度、快晴、無風という猛暑の中、初日(2万6,451人)を遙かに上回る数のゲームファンが詰めかけた。ChinaJoyはまだ歴史の浅いゲームショウのためか、入場規制を一切行なわず、来場者をどんどん入れてしまう。おかげでお昼には通路という通路はすべてすし詰め状態となり、午後にはステージイベントが一時的に禁止になるなど、異様なほどの活況を見せた。2日目は、比較的じっくり会場を回ることができたので、ChinaJoyの主役を飾る中国メーカーの動向を紹介していきたい。


■ SHANDAはゲームコンソール事業を開始 THE9は大作総取り状態で大勝ちを狙う

中国最大手Shanda Interactive Entertainment。オリジナルグッズで長蛇の列ができ、ブースに入るのも一苦労。圧倒的なブランド力と知名度を誇るメーカーだ
大作ゲームを次々と送り込むTHE9。正面に出展されているのがWebzenの「SUN」
 まず、中国ゲーム市場の勢力図を簡単にまとめておくと、中国市場初期は、SHANDA、THE9、NETEASEの3大メーカーがシェアの過半数を押さえ、寡占状態からスタートした。しかし、現在は、いずれも上場を果たしたこれら企業に加え、TENCENT、9YOU、T2といったメーカーがシェアを伸ばし、乱戦状態にある。資金力に勝る初期三大メーカーが、どう巻き返しを図るのか。ここがChinaJoyの見所となっていた。

 SHANDAは、昨年のChinaJoyで発表し、昨年末より発売を開始したオンラインゲームコンソール「EZ Pod」が目新しい存在だ。このほかに、DVDプレーヤータイプの「EZ STATION」、その小型版の「EZ CUBE」、そして携帯ゲーム機版である「EZ mini」などを計画しており、現在、中国唯一のゲームプラットフォーマーということになる。「EZ」シリーズについては別途、SHANDA本社レポートで詳しくお伝えしたい。

 ライセンスものとしては、新作ではTurbineの「Dungeons & Dragons Online」1本で、「World of Legend」、「MapleStory」、「BNB」、「Magical Land」など同時接続10万人超のタイトルを複数抱える同社ならではの余裕を感じさせる。

 そのほかSoftworldが手放した「ラグナロクオンライン」も獲得し、新たにSHANDAがパブリッシャーとして中国展開を行なっている。ビジネスモデルは、Softworldの従量課金を継承し、25時間10元(約160円)、75時間30元(約480円)、30日45元(約720円)と比較的オーソドックスな課金体制を敷いている。

 SHANDAの最大のライバルとなるTHE9は、MMORPGをメインとした重厚長大路線をひた走る。コカコーラとタイアップし、国民的なタイトルに成長した「World of Warcraft」(Blizzard Entertainment)を筆頭に、「Guild Wars」(NCsoft)、「ミュー奇蹟の大地」(Webzen)などが主要なタイトルだ。今年はさらに「Hellgate London」(Flagship Studios)、「Granado Espada」(Hanbitsoft)、「SUN」(Webzen)と大物タイトルを続々と獲得。MMORPGのデパートのような状態になっている。

 よく知られているようにMMORPGは、開発に時間が掛かり、長期スパンで回収していくビジネスモデルを採用しているため、ライセンスの契約料が非常に高い。当然こうした大物タイトルは、各社の間で価格競争になっており、大作ともなると10億円、20億円とも言われる。THE9はそのすべての戦いに勝ってきたということになる。果たして、これだけのタイトルを同時並行していけるのか未知数だが、前例のない大規模展開である。

【THE9ブース】
2006年のMMORPGは、中国エリアではTHE9がほぼ総取りといっていい状態となった。これだけの大作ともなるとオペレーションも大変なはずだが、順調に展開できるかが注目される


■ カジュアルゲームを軸にインスタントメッセンジャー市場が加熱

インスタントメッセンジャーとしては中国最大のシェアを誇る「QQ」を軸に、オンラインゲームに進出しているTENCENTは、カジュアルゲームポータル「QQ遊技」を全面展開
国営放送CNECのブースに、EAのゲームコンテンツが現地パブリッシングタイトルとして出展される。どこの国でも自社流通、自社販売を通してきたEAとしては、これまで考えられなかった構図だ
 NETEASEは、政治、経済、スポーツ、健康など、あらゆるテーマを取り扱う一大ニュースポータルサイトが母体となっており、他の純粋な大手メーカーに比べると出展は大人しめだったが、「大活西遊II Online」と「梵幻西遊 Online」の2本の中国世界をモチーフにした自社開発MMORPGタイトルが好調で、同社が公表した数値によると、「大活西遊II Online」は2006年3月時点で58万人、「梵幻西遊 Online」が今年6月の時点で134万人の同時接続者数を集めている。

 また、「POPO」と呼ばれるインスタントメッセンジャーソフトに、パズルゲームなどのカジュアルゲームを提供するサービスも行なっている。メッセンジャーという日常ツールにゲームコンテンツをヒモ付けて囲い込みを計るという、米MicrosoftがWindows Live Messengerをプラットフォームとして展開しているMicrosoft Casual Gamesとまったく同じ構想だ。

 しかし、このメッセンジャーにカジュアルゲームをヒモ付けて、アバターや広告で収益をあげるビジネスモデルは、中国でもっとも高いシェアを誇るインスタントメッセンジャーソフト「QQ」でも行なわれており、「POPO」はその後追いとなる。ほかにも同様のビジネスを展開しているメーカーも多く、水面下で激しい競争が展開されている。

 その「QQ」を展開するTENCENTは、最大シェアを武器に、カジュアルゲームポータル「QQ遊技」を立ち上げている。その新規タイトルが韓国Neowizの「R2BEAT」だ。中国では「QQ音速」と改称して、「QQ」ブランドの中に組み込まれている。現在中国ではカジュアルミュージックゲームが大流行しており、「QQ」と「QQ音速」を擁して、オンラインゲーム業界に本格的に乗り込む。

 最後に今年ChinaJoy最大のダークホースといえるのが、国営放送のCNECである。IPTVやケーブルTVの配信を主業務とするれっきとした放送業者だが、国営放送という筋目の確かさを強みに、ゲームパブリッシング事業に全面参入する。

 参入メーカーは、Electronic Arts、Ubisoft Entertainment、カプコン、バンダイナムコなど世界的な大手メーカーが揃っている。取り扱うタイトルは、コンソールゲームは含まず、PCプラットフォーム全タイトル。バンダイナムコの「ガンダムネットワークオペレーション」などのオンラインゲームも含んでおり、放送業者がゲーム事業に全面参入することで、ビジネスモデルがどう変わるのか注目されるところだ。

【CNECブース】
あたかもE3会場での一コマのような欧米日のタイトルが勢揃いしたCNECブース。国営放送のCNECのゲーム市場参入により、海外ゲームのパッケージビジネスは大きく変わるかもしれない。ただし、取り扱うのはあくまで「パソコンソフト」のくくりで取り扱われるPCゲームソフトのみ。コンソールゲームは「ゲーム機」となるため、CNECを持ってしても展開は難しい

【ガンダムネットワークオペレーション】
バンダイナムコは「ガンダムネットワークオペレーション」を出展。テキストはすべて中文化されている。ステージイベントでは、シャアのコスプレをしたコンパニオンが大人気だった

【インテルブース】
インテルブースは、CoreDuo2のPCをデモ出展し、ゲームプラットフォームとしての優れた性能をアピール。中国の法律では、CoreDuo2搭載PCはパソコンであり、ゲーム機にならない。それゆえに、自由に参入できる。一方のゲームコンソールはゲーム機であり、44号文件をはじめとしたさまざまな制限に抵触する。この差はあまりにも大きい

□China Digital Entertainment Expoのホームページ
http://www.chinajoy.net/
□関連情報
【2006年7月29日】第4回China Digital Entertainment Expoが上海にて開幕
SCE AsiaがPS3を参考出展、44号文件開放に向けた日本勢の取り組みに注目
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060729/china_01.htm
【2005年7月23】China Digital Entertainment Expoが中国上海にて開催
中国最大手SHANDAがゲームコンソール“SDS”を発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050723/china_01.htm

(2006年7月19日)

[Reported by 中村聖司]



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