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東京都、第1回「テレビゲームと子どもに関する協議会」開催
業界はCEROレーティングをアピール、都は「表示図書類」表示を提案

10月19日 開催

会場:東京都庁

 東京都 青少年・治安対策本部は19日、都庁において地方自治体、ゲームハード・ソフトメーカー、販売店、首都大学の各担当者を集め、第1回「テレビゲームと子どもに関する協議会」を開催した。

 「テレビゲームと子どもに関する協議会」は、ゲームの残虐表現と青少年への影響について論じられている現状をふまえ、「テレビゲームと青少年のよりよい関係を提示し環境を整えていく」事を目標に東京都 青少年・治安対策本部が中心となり、ゲームハードメーカー、ソフトメーカーや販売店、社団法人コンピュータエンタテインメント協会 (CESA)、特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング (CERO)、首都大学などが出席し検討していく協議会。今回が初めての会合となり、今後については「早い時期に」としている。


 協議会は、舟本青少年・治安対策本部長の挨拶に始まり、協議会の設置についての説明、そして現在の取り組みについての説明がCESAやメーカー、販売店から発表される形式で進行した。

 CESAの渡邉専務理事は、業界内のレーティングシステムとしてCEROを設置し、運用していると解説。レーティングには過激な暴力の表現やアダルト表現について禁止事項が存在し、これまでにも差し戻しが発生したことが数件あり、修正によるレーティングの取得や、発売に至らなかったこともあると説明。

 2002年10月から2005年7月までで2,141件の審査依頼に対応し、その内訳として63%が全年齢対象であり、7%が18歳以上対象となったことを明らかにした。ちなみにレーティングチェックのカバー率は95%~97%としている。

 同時に、「このソフトがなぜ18歳以上対象にならないのだ!」といったクレームや要望などは来ておらず、レーティング制度は社会の情勢に反応し、容認されていると分析。一方で、CEROのレーティング表示の認知度が低いという問題点も挙げ、レーティングを説明した小冊子の作成、ゲーム販売店でのポスターの掲示など告知に努めていると説明した。

 認知度が低い問題に関しては、メーカー側も認識している問題であり、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 (ACCS) が8月に実施した「親と子の著作権教室 ~ゲームづくりから楽しく学ぼう!~」において、参加した父兄に「このレーティング制度を知っているか」という質問に対して「知っている」と答えた父兄は半数に満たなかった。渡邊氏のあとに報告したCEROの堀口氏は「(不適正なユーザーにソフトを販売しないという) 自主規制を販売店さんに協力を求めている。明らかに年齢が低いお客さんには説明して販売しないようしており、年齢がわからないときは確認作業を行なっている」としている。現在8,000店舗に対して店頭に掲出するためのポスターなどを送付し、告知の促進を行ない、販売店からも、もっと送って欲しいとの要望が寄せられているという。


協議会には、(写真向かって右から順に) SCEJの福永氏、任天堂の坂上氏、マイクロソフトの黒田氏とハードウェアメーカー3社が列席した
 次に意見を求められたハードメーカー側は、まずはソニー・コンピュータエンタテインメントの福永氏が説明。福永氏は「マシンの性能をパワーアップさせることで、子どものおもちゃから幅広い層に向けたエンターテインメントツールとなり、大人向けのコンテンツも作られてきた。これまでは子ども向けのものだったが、何らかの対応を考えなければならない時期が来た。子どもにとって不適切なソフトや親の意図しないソフトで子どもが遊んでいるとの指摘もあった。本来は地方自治体の手を煩わせず業界でやるべきだった点は反省している」とコメント。

 取り組みとして、SCEJは「新ハードには視聴制限機能 (パレンタルロック) を搭載していく。PSPにはすでに搭載されており、プレイステーション 3でもサポートしていく」と解説。「いまの子ども達には生まれたときからゲーム機がある状態。しかしこれまでゲームとのつきあい方は考えてこなかった。教育の場にもゲーム機を活用してつきあい方を考えていきたいと思う。しかし、現状では教育現場にゲーム機なんてけしからんという風潮がある。そういった点では東京都と協力していきたい」と今後の抱負を述べた。

 マイクロソフトの黒田氏は「Xbox 360にはCEROに基づいた視聴制限機能を導入しているが、保護者の認知度が向上することが重要」と、今後もアピールしていくという。そういった点ではゲームの制作時点から社内外に対して情報をいち早く入手し、アドバイスをしているという。さらにパッケージにレーティングのマークを入れるよう協力をソフトメーカーに働きかけており、業界として「わかりやすいパッケージ」を模索していきたいとコメントした。


CESAの専務理事であり、調査広報委員長を務めるスクウェア・エニックスの和田洋一氏、ナムコの猿川昭義氏、コナミ石塚氏などメーカーも出席
 ここでソフトメーカー側としてスクウェア・エニックスの和田洋一氏が「青少年の犯罪とゲームなどが関係があるのかどうかはきちんと検証しなければならない。軽々しく判断してはいけない」と牽制しながらも、「しかし、ゲームが誕生して20年。大人向けのものも現われ始めた。そういった中で、ひとつの手段として自主規制を始めた。ゲーム業界は、世の中に対するコミュニケーションを取ってこなかったことに対して反省し、作り手側もそういった配慮を自覚していなかったかもしれない」と反省点も挙げ、業界として努力を行なう意向を示した。ナムコの猿川氏もゲームと青少年の犯罪との繋がりについて「科学的な根拠はまだ証明されていない」としながらも「社会的反響を考慮して取り組まなければならない」とした。

 協議会に参加した販売店側の立場として日本テレビゲーム商業組合の新谷理事長も「自主規制に積極的に取り組んでいる」とし、200店舗のデータと断わりながらも80%強が、商品の陳列の工夫、店頭でのレーティングの説明、ポスターの掲示のいずれかを行なっているといい、「100%に近づくようやっていきたい」とコメントした。

 また、全国にTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブの横山氏は「1,800万人いるTSUTAYAの会員は、購入の際にポイントが蓄積されることから、70%の会員がレンタルの時だけでなく購入時にもカードを提示する。そのカードには年齢のデータも入っているため、そこで年齢の確認が可能となっている。100%徹底できているわけではないが、CESAのポスターなども掲示し近づけるよう努力している」と語った。東京都側はこれら販売店側のコメントに対して「自主規制は販売店の協力がなければできない」とし、よりいっそう徹底させて欲しいとの意向を示した。


コーエーの小松氏も積極的に発言
 これら業界が取り組んでいる現状の説明について東京都側は「CEROの“18歳以上対象”というのは、情報提供であって強制力ではない。ゲーム業界として (対象商品を) 18歳以下には販売しないんだという明確な意志決定ではないととらえている」と厳しい見方を示した。その上で、「テレビゲームを製造する業界として、売らないという明確な意思表示をして欲しい。東京都として、家庭用テレビゲームについて、条例第9条の2の『表示図書類』として表示を付すように提案する」と続けた。

 この「表示図書類」の表示というのは、18歳未満には販売しないという意思表示を持った表記である。では、現行のCEROレーティングによる“18歳以上対象”という表記でいいのかという点について東京都は「いや、まずは『表示図書類』として認定した上での表示を行なって欲しい」との意向を示した。この点については「この場で決定するのではなく、業界としてどのように表示するのか検討して欲しい」と“宿題”を出した形となった。

 東京都はさらに、長時間ゲームをプレイする事への不安感にも言及。一部出版社による「小学校高学年・中学生ユーザーが1日に2時間程度ゲームをプレイしている」というデータを引き合いに出し、「この年齢では、友達と遊んだり家族との会話は大切」とし、「取り組み方を考えられるか検討していく」と続けた。東京都 青少年・治安対策本部の舟本氏は最後に「初回と言うことで色々な意見を聞けて良かったと思う。提案を持ち帰って検討して欲しい」とコメントし締めくくった。

 和田氏が「ゲーム業界は世の中に対するコミュニケーションを取ってこなかった」とするコメントはある意味正しく、ゲーム業界ではすでにオンライン・オフライン問わず、ゲームによるコミュニケーションの重要性について考えられているのに対し、都側の「ゲームは1人で遊ぶもの」という業界側とは食い違った見解が出されたことひとつをとっても興味深いと言える。CEROのレーティングについてアピールした業界側と、「表示図書類」による統一表記を提案した都側の接点は、これから議論と共に見いだされていくことと思われるが、今後も注目していきたい議論である。

□東京都のホームページ
http://www.metro.tokyo.jp/
□ニュースリリース
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2005/10/40fac300.htm
□関連情報
【6月7日】カプコン、神奈川県のゲームソフト有害図書類指定に
遺憾の意を表するコメントを掲載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050607/capcom.htm
【7月19日】CESA、「年齢別レーティング制度」を活用した
販売自主規制を開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050719/cesa.htm
【7月21日】マイクロソフト、Xbox 360に「保護者による設定機能」搭載
CEROレーティングによるアクセス制限を実現
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050721/xbox.htm

(2005年10月19日)

[Reported by 船津稔]



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