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★PCゲームファーストインプレッション★

オンラインだからこそ体験できる
楽しくも奇妙な学園ライフ

「ヨーグルティング」



 平和な学園に起きた、『無限放学現象』(Endless Vacation Phenomenon:通称 EVP)、学校の授業がなくなり、大部分の先生たちがいなくなってしまった。かわりに現れた、謎の怪物達。生徒達は力を合わせ、学園に潜む大きな謎に立ち向かっていく……。

 “学園”を舞台に、ユニークなキャラクタ達が活躍するオンラインRPG「ヨーグルティング」、本作のクローズドβテストが9月1日より4日まで行なわれた。今回は、そのテストの様子と明らかになったゲームシステムを紹介したい。

 なお、本日(9月5日)、ガンホーより「ヨーグルティング」のオープンβサービス開始日が発表された。開始は9月12日15:00から。「先行登録キャンペーン」に登録していたユーザーはこの開始日より先行して「プレオープンβサービス」をプレイできる。プレオープンの開始は9月9日15:00からとなっている。もちろんデータはオープンβにそのまま移行する。

 併せて、サーバー名の名前も発表された。従来のサーバーは、「ハーモニカ」、プレオープン時に追加されるのが「カスタネット」、オープンβ時にはこれにさらに「フルート」がオープン、3つのサーバーでプレイできるようになる見込みだ。


■ 一味違うプレイを生む、“学園もの”というテーマ

 「ヨーグルティング」には「エスティバー学園」と「宵月学院」というふたつの学園が登場する。エスティバーはミッション系の学校を思わせるきれいな雰囲気を持った学校で、建物も新しく、大きな図書館があったりする。宵月は、ちょっと建物は古めかしく、幽霊が出る旧校舎などがある。

キャラクタ作成画面。外見以外にも、生年月日や自分が持つ携帯電話の番号なども設定する
エスティバー学園。ミッション系の学校を思わせる雰囲気がある。先生は中国風の服装を着た人物が多い
宵月学院。エスティバーに比べるとちょっと古ぼけた雰囲気を持つ。オカルト部が暗躍していて、幽霊がらみの事件が多発する
 今回のβテストで筆者は宵月学院の生徒として学園生活を楽しんだ。フィールドを歩き回って感じたのは、ちょっとしたノスタルジーだった。ちょっと古ぼけた感じの教室や、購買部、実験道具の並んだ理科室や、職員室、保健室のベッド、校舎の外の桜並木、学校の裏の丘にある神社……。

 机や椅子といった細かいオブジェクトひとつひとつに、どこか懐かしい、筆者にとっては遠くに過ぎ去った高校や中学での生活を思い起こさせるものがある。本作のグラフィックスは日本の最新のコンシューマーゲームに比べれば、ちょっと古さも感じる。その質感がまた、一世代前のアドベンチャーゲームを思い起こさせ、ノスタルジーを喚起させるのだ。

 プレーヤーの中にも本作に特別な感慨を持った人が多くいたようだ。学園のあちこちで生徒達が座り込み、ちょっと“だらだらした”会話を楽しんでいた。こういった風景はどんなMMORPGでも見られるおなじみのものだが、4日間という限られたクローズドβテストでありながら、座って、ただチャットを楽しむというプレーヤーが多かった様に思える。

 まったりした雰囲気をウリにする作品は多数あるが、本作のプレーヤー達の空気は、オンラインで学園もの、という題材ならではではないかと筆者は思うのだ。下校時の教室で、図書館で、部室で、駅で、喫茶店で、仲間達と過ごした目的も何にもない暇つぶしの時間、筆者にはプレーヤー達がそんな時間を過ごしていた日々を思いだし、ゲームの中で楽しんでいるように見えた。

 もちろん、積極的にゲームを楽しんでいる人達も多い。本作は学園部分はMMOで、モンスターとの戦いなどはMOで進行する。MO部分の展開は非常にスピーディーで、思う存分戦いが楽しめる。フィールド部分がまったりしているように見えるのも、戦闘とそれ以外をきっちりとわけているからかもしれない。

 MO部分は「エピソード」と呼ばれ、例えば「廊下に箱のオバケが現われたから倒してくれ」、とか、「お墓に出るモンスターを退治してくれ」といったものがあり、基本的には敵を倒すことが中心になる。全体的に敵の数は多いが攻撃力は低めで、多くの敵をバリバリなぎ倒していく爽快な戦闘が楽しめる。

 このエピソードに関連して「クエスト」が発生する。これは主に先生が依頼してくるのだが、箱のオバケの破片を集めてくれ、とか、モンスターを倒したときに出るクエストアイテムを集めてクリアしていく。クエストをこなすと報酬が得られる他、大きなストーリーにつながっているのが特徴で、宵月学園の場合、オカルト研究部の「暗田」というキャラクタが色々暗躍しているようだ。

 クエストを進めていくことで彼に振り回されていく学院の状況が見えてくる。暗田がどんな野望を持っているのか、一年生のクエストでは明らかにならない。これからの展開が楽しみだ。

広い図書館や、裏庭には動物の檻などがあるエスティバー。今回はあまり見て回れなかったため、オープンβテストではじっくり見て回りたい
幽霊が出る旧校舎や、桜並木のある宵月学園。地方の学校を思わせる懐かしい雰囲気がある
右下のデフォルメキャラクタはゲーム序盤でさまざまなポイントを教えてくれる。キャラクタのアレンジはちょっと全体との絵柄が合わない感じもする 宵月学院の保険医、妖艶先生。名前と外見のギャップが面白い 宵月の購買部は、何故かゴミが散乱している。韓国の購買部はこうなのだろうか? 他にも全教室に暖房設備があったりと、韓国の学校の様子が伺える部分も
ゲームを進めていくことで挑戦するエピソードが増えていく エピソードクリア時にはポイントに応じて順位が決められる。上位を目指そう 順位が高ければアイテムボックスの選択が有利に、レアアイテムを狙えるか?


■ カジュアルでスピーディーな「ヨーグルティング」の戦闘システム

 「ヨーグルティング」の操作は、W、A、S、DとFPSでおなじみのキーが視点変更で、マウスのクリックで移動と攻撃を行なう。つまりFPSとまったく逆の操作方法で、当初かなり違和感を感じた。また、標準設定では、ゲーム視点をキャラクタの向きに応じて自動で動かす機能が装備されているか、これはすぐにOFFにしてしまった。本作の障害物に関する透明化や、視点に関するスムースな移動といったプログラム技術はもう少し、という感じで、人によっては酔ってしまうかもしれない。

多人数でエピソードに挑戦、他の人よりも多く敵を倒さなければ、順位は上がらない
強化していくと武器が光る。付加がつくと武器はかなり強力になるが、もし失敗すると破損してしまう。+3以上は破損の確率が上がっていく
 また、障害物の引っかかりや、敵キャラクタへの攻撃の精度にも少し不満があった。本作は仲間との競走要素もあるため、スムースなゲームシステムを要求する部分が強い。より快適な操作性を望みたい。

 ゲーム部分をもう少し掘り下げてみよう。本作ではブレード、グローブ、ミューラー、スピリットという4つの武器が存在し、これが他のRPGにおける職業の概念になる。グローブを装備したキャラクタは前方に強力な攻撃を行なうことができ、ブレードはグローブよりさらに広範囲に攻撃できるが威力は劣る。ミューラー、スピリットはともに遠距離攻撃が得意だ。

 各武器には「スキル」が設定されている。ミューラーとスピリットは特にこれが強力で、囲まれた敵を一掃できるのは爽快だ。スキルは敵を攻撃することでゲージが溜まっていく。今回プレイしていて、ミューラーとスピリットは通常攻撃よりもスキルをメインにして戦っていく印象があった。攻撃スピードではブレードとグローブにかなわないところもあって、彼らが戦っているところから少し離れて敵の密集地帯に突撃、ポイントを稼ぐという戦い方をしている人が多かった。プレーヤー間での回復や連携といった要素は感じられず、みんながバラバラに敵を倒していくという展開がほとんどだった。

 本作のユニークなところは、プレーヤーがいつでも自由に武器、そしてプレイスタイルを交換できるところだ。武器を交換するだけでまったく違った戦法で戦える。敵の出現パターンに合わせて交換することも可能なのだ。ゲームではクエストを進めるために、エピソードでよい成績を残さなくては行けない場合もある。より高い評価を得るために、武器を交換したり色々試すのも良いだろう。

 ただ、筆者の場合は「武器強化」の要素のためにブレードを中心にプレイしていた。武器強化はエピソードをクリアできるアイテム100個を結晶に精製し、武器に付与するというもので回数を重ねることで威力が増していく。本作の強化は韓国産MMORPGの定番である強化を重ねればリスクも上がっていくシステム。筆者は「バロソード+5」の作成に成功したおかげで、かなりゲームを快適に進めることができたが、もし失敗していたら各エピソードでの成績が落ち、展開もずいぶん遅くなってしまったかもしれない。意外とシビアな難易度設定のように思う。

 すべてのキャラクタは1年生からスタートする。キャラクタの学年を上げるには決められたエピソードで高評価を得る必要がある。エピソード自体は、とにかく一回クリアすれば次のエピソードが登場するようになっているので、進級のみを考えるなら、指定されたエピソードを集中的にプレイしていけばいい。エピソードで高い評価を得るためには、強い武器と、敵の出現する大まかなポイントの把握、そしてさらにスピードが重要になる。このスピードを上げるためにも、他の多くのプレーヤーとエピソードに挑戦する方がいいだろう。

 エピソード中には常にチーム内での順位が表示されていて、プレーヤーの気持ちを煽る。順位はアイテムを取る優先順位に関係していくので、上を目指したいが、この順位はどうも敵を倒した数のみを対象にしているようで、シナリオに貢献せずひたすら敵を倒しているだけで高得点になってしまうこともあった。このあたりはちょっと違和感を感じた部分である。

 ゲームシステムの感触としては、かなりの“軽さ”を感じた。現状、改善して欲しい点もあるが、韓国でテストが繰り返された作品なだけにプレイの感触は快適だった。視点移動とマウスの操作さえ覚えれば、あまり細かいことは考えずクリック連打でゲームを進めることができるだろう。

 今回「ヨーグルティング」を触ってみて感じたことは、韓国産MMORPGのラインの延長にありながら、明らかに新しい方向に進化している、という感触だ。敵との戦闘のスピーディーさ、短く終わるエピソード、回復アイテムを持っていれば何とかなってしまう難易度の低さと、それでいながらやりこんでいくことでゲームがどんどんうまくなっていく感触。ただひたすら目標のないレベル上げ作業を強要されるゲームとは違う、小さな達成感の積み重ねが本作にはある。

 「ファンタシースターオンライン」などの非MMO型の影響も感じられるが、簡単なゲーム性、かわいいキャラクタに、凝った制服やアイテム、なによりも学園ものというプレーヤー間で共通の認識を生む幅広いテーマで本作ならではのオリジナリティを出すことに成功している。この作品の登場で、韓国のMMORPG業界がどう変化していくのかも注目したい。

グローブ「ザリンゴビフィスト」のスキルザリン爆熱拳。魚の形をしたエネルギーが床から飛び出してくる ミューラー「ドローン」を装備、立ち姿が踊りになる スピリット「アクアマリン」のアクアドロップ。まわりを攻撃する強力なスキルだ
MO部分では、アイテムを運んだり、バリケードを破壊するといったパズル要素がある。エピソードをクリアするためには様々な条件があり、何度もプレイして確認することも必要だ
エピソードにはPvP要素があるものもある。相手チームを攻撃しながら、ゴールにボールを運ぶのだ ボスが出てくるエピソードも。ボス出現の前にはムービーが挿入される ボスは今までの敵とはけた外れの攻撃力がある。回復アイテムは忘れないように準備しておきたい
2年生に進級。よりよいアイテムを装備でき、クエスト、エピソードも増える ロード画面ではエピソードやクエストのバックストーリーが説明されることも テスト終盤には、アフロヘアや、犬耳(?)などのユニークなアイテムを装備したプレーヤーも


■ 他校の訪問、ちょっと寂しい終業式など、テストならではの空気を満喫

 ふたつの学園は地下通路でつながっている。筆者は少しだけエスティバー学園に行ってみたのだが、エスティバーから宵月に来る生徒に比べて、宵月からエスティバーに行く生徒は少ないようで、「あ、他校の子だ」と言われることが多く、まるで転校生になったような気分がして、ちょっと面白かった。今回はあまり歩き回ることができなかったが、ゲームをやりこんでいけば、2つの学園のエピソードをたっぷり体験できそうだ。

テスト初日。多くのプレーヤーが学園内を散策し、情報交換をしていた
テスト終盤までずっと入り口前で踊っていたプレーヤー達。「ダンス部」を結成していたようだ
 この限られたクローズドβテスト中、「風紀委員」と名乗る運営側のプレーヤーが積極的にゲームに参加し、盛り上げてくれた。オリエンテーリングやゲームのシステム説明など以外にも、エピソードに混じって手伝ってくれることも多かったのである。エピソード中、「どうやれば評価が上がりやすいのか?」という質問に答えてくれただけでなく、「本来は一回で他のところに行くんですが、もう一回やってみましょう」と、実践してくれた。

 風紀委員のファンになったプレーヤーもいたようで、「オープンβの時は、どこのサーバーに行きますか? 絶対そこでプレイします!」という人もいた。正式サービス時に彼らは同じようなペースで活躍してくれるのだろうか? そうなると、人気の高いアイドル的な風紀委員も出てくるかもしれない。

 今回のテストで、一番ユニークに感じたのはプレーヤー有志によって結成された「ダンス部」の存在だ。「ヨーグルティング」ではキャラクタにミューラーを装備させるとその場で踊り出す。テスト中、宵月学院にいつ訪れても、学院の入り口の前で踊っている人達がいたのだ。筆者もミューラーをつけて踊っていたのだが、どうやら経験値がたまるなど、ゲームとしての具体的なメリットはないように感じた。それでも多くのプレーヤー達が踊っているのである。座って方向を合わせたり、「/happy」というコマンドで行なうアクションでパフォーマンスをしたりと、独特のアレンジを加えて楽しんでいた。

 とはいっても、ゲーム内でのアクションは通常の立っている時とコマンドのアピールだけ。ミューラーのアクションは戦闘時にはアクションはもう少し多彩になるが、フィールド上でははっきり言って「立っている」だけである。「スター・ウォーズ ギャラクシーズ」のエンターティナーなどと比べるまでもなく、MMORPGの一般的な水準で考えても、あまりにやれることが少ない。にもかかわらず、みんなが並んで、そして通りかかる人達に声をかけている。そして、見ていたプレーヤーが、どんどん輪に加わっていくのだ。

 冒頭でも触れたが、本作が“学園もの”だからこそ、現出した光景なのではないだろうかと筆者は思う。校庭のグラウンドで、ただひたすら踊る、単調でも良いから、みんなとなにかをやって、先生に止められる心配もなく楽しく過ごす、その雰囲気があるからこそ、自分もミューラーを買ってきて、列に混ざりたくなる。この空気を感じられたのは、とても楽しい経験だった。

 本作では、コマンドで顔の表情が変えられたり、簡単なアクションはできるが、物足りなさを強く感じる、もっともっとこの部分を充実させて欲しい。本作にはたくさんの制服が登場する。小道具はそろっているのだから、後はアクションだけだ。オープンβサービスや、正式サービス時にはプレーヤーの有志による演劇や、廊下でのストリートパフォーマンスがどんどん増えてきそうである。彼らを応援する意味を含めて、充実させていってほしい。

 クローズドβテスト終了時には、学園生達が校庭に集まり、終業式が行なわれた。特別なイベントなどはなにもなく、4日間プレーヤー達をサポートした風紀委員が挨拶をし、みんなが腰を下ろし、風紀委員の声に応え、そして最後はみんなが口々に別れの言葉をタイプしていった。ちょっと切ない雰囲気ではあったが、「オープンβで再会しよう」というプレーヤーの声が多かった。

 「ヨーグルティング」の“学園もの”というテーマは、プレーヤー達の間に、他のゲームにはない、ユニークな空気を生み出していると強く感じた。オープンβテストでは、より多くのプレーヤー達が、本作でどんなコミュニティーを形成していくか、興味のあるところだ。

ゲーム内では頻繁に風紀委員が登場し、ゲームの説明やオリエンテーリング、さらには冒険の手伝いをしていた プレーヤー達によるダンスイベント。思わず混じりたくなってしまう 終業式。オープンβでの再会を願うプレーヤー達の声が多かった

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【ヨーグルティング】
  • CPU:Pentium III 1.0GHz以上(Pentium4 1.8GHz以上を推奨)
  • メモリ:256MB以上(512MB以上推奨)
  • HDD:2GB以上
  • ビデオカード:VRAM 64MB以上(128MB以上推奨)


□ガンホーのホームページ
http://www.gungho.jp/
□「ヨーグルティング」公式ページ
http://www.yogurting.jp/
□関連情報
【8月4日】ガンホー、MMORPG「ヨーグルティング」
オリジナルグッズをアニメイトで限定販売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050804/yg.htm
【7月28日】「ヨーグルティング」制作チーム特別インタビュー
ユニークなシステム満載の学園MMORPGの魅力に迫る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050728/yogurt.htm
【7月28日】ガンホー、学園MMO「ヨーグルティング」の記者発表会を開催
ユーザー登録を即日スタート、クローズドβサービスは9月1日開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050728/yogurte.htm
【2004年11月17日】ガンホー「ヨーグルティング」ファウンダーインタビュー
「『ラグナロク』以上のムーブメントを起こす!!」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041117/yog.htm

(2005年9月5日)

[Reported by 勝田哲也]


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