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会場:ガンホー本社
本稿では、今回の発表会に先立ち、ガンホー本社にて「ヨーグルティング」について詳しく話を聞く機会があったので、その模様をご紹介したい。今回話を伺ったのは、コンテンツ開発部第二開発グループマネージャーの鳥山主税氏と、マーケティング部 第三企画グループの古志野史嗣氏のおふたり。鳥山氏は、ご存じのように同社のMMORPG「A3」の制作担当として、豊富なオンラインゲーム運営実績を持つ。古志野氏は、マーケティング担当というよりは、いつもラグナロ娘にツッコまれていた司会のお兄さんというイメージが強いが、小島氏に並ぶ名物マーケティング担当して今後の活躍が期待される人物である。 ■ 韓国で受けいれられた“本格的”学園ものMMORPG「ヨーグルティング」
古志野氏: ガンホーが扱っているタイトルを大きく分けると、8頭身のハードコア系と、SDキャラクタのかわいい系になると思いますが、そう考えると確かに「ヨーグルティング」は、「ラグナロクオンライン(以下、RO)」や「エミルクロニクルオンライン(以下、ECO)」とかぶる部分もあります。とは言ってもゲーム性や世界観で充分差別化は行なえると思っています。 「ヨーグルティング」は学園ものであり、いわゆるファンタジーの世界観とは明確に違います。ゲーム性も普通のMMORPGとは違い、MOの要素も含んだものになっていて、実際遊び方そのものがROとは違うんですよ。実際にプレイしてもらうとその違いは伝わると思います。 編: ちなみに韓国での「ヨーグルティング」の人気はどのぐらいですか? 古志野氏: 正確な数字は発表されていませんが、累計で50万は超えていると聞いています。 鳥山氏: 現状サーバーは7ワールドで動いているので、そこから判断していただければ、というところです。昨今のβサービスの中では悪くない数字です。 編: MMO+MOという特異なゲームデザインは、韓国では受け入れられていると見て良いのでしょうか? 鳥山氏: 受け入れられていますね。MMO+MOというより、学園モノという言わば日本の文化が受け入れられていると感じる部分もあります。大多数の方は戦闘戦闘戦闘とひたすら強さを求める感じですが、それ以外の楽しみを求めるユーザーが非常に増えています。そういった面で「ヨーグルティング」は題材自体が面白いということもあって、固定のユーザーを取り込めたと思います。 編: つまり、“学園モノ”という素材そのものが強みであると? 古志野氏: ぶっちゃけそこが一番ウリなんだと思いますよ。去年の東京ゲームショウでは、プロモーション映像だけの出展でしたが、それでも多くの人が興味を持っていただけたので、前評判の高さは感じています。 編: 確認しておきたいのですが、「ヨーグルティング」の社内でのポジションはどのあたりになるのでしょうか。カジュアルゲーム寄りになるのですか? 鳥山氏: ゲーム性自体はオンラインアクションに近いものがありますが、捉え方としてはMMOの大作であるというところです。どちらかと言えばROに近いです。
■ 「ヨーグルティング」独自の運営方針とは!?
鳥山氏: まだ決まっていません。韓国ではアイテム課金になりますね。日本では現在検討中です。 古志野氏: ゲーム性では、アイテム課金でも月額課金でもどちらでもいけると思っています。現在の日本のマーケットを考えて判断したいですね。日本でのβサービスでのユーザーの意見や、韓国の課金の状況などを見て考えたいです。 鳥山氏: 「ヨーグルティング」は、ゲーム性の他に運用面で多少違うところがあります。宣伝のところでも新しい試みをやっていきますが、運用面では弊社が今まで積み上げてきたノウハウとは別のアプローチも考えています。基本的にGMのあり方や、世界の演出も考えています。これは今、色々考えている部分です。 編: たとえば、韓国での「ヨーグルティング」のGMのあり方というのはどのようなものを考えているのですか? 古志野氏: ユーザー寄りのキャストキャラクター的な要素の強い存在ですね。せっかく学園ものなのでそこをうまく見せていきたいですね。 鳥山氏: 韓国におけるGMの運用は、あくまでいろいろ会話をしてユーザーをサポートしていく立場なのですが、私達としてはゲーム性としてはどうなんだろう、と思う部分がありまして、それにアレンジを加えたものを日本で展開していきたいと思います。 GMのキャストキャラクター的展開というのは他のタイトルでもやっています。「A3」や「タントラ」でフラグシップによるオリジナルシナリオの展開をしていますが、こういった流れは継承していきます。ここは日本オリジナルの展開です。 「ヨーグルティング」ではMMO+MOという特性を活かした展開もできると思っています。イベントやりますよといって大きくやるのではなくて、近所のお兄さん的に動いて色々伏線を張ったりとか、やり方はいろいろあると思います。これにゲーム本編のストーリーを絡めたりとか、こういうところは開発元と話を進めつつ、発展させていこうと思っています。 編: 韓国でのMO部分のキャパシティーはどのくらいになりますか? 鳥山氏: 学校の部分、すなわちMMOの部分と、エピソードをプレイするMOの部分の人数比率はほぼ半々になっています。MO部分でのキャパシティーは1ルーム当たり最大で32人です。エピソードは現在100くらいありますが、全部のエピソードで32人のプレーヤーが同時に遊べるというわけではなく、エピソードによっては最大で4人というものもありますし、12人のものもあります。 キャパシティはエピソードのストーリーごとに変わっていきます。みんなでやれば簡単になるというエピソードもありますので、バランス的にわざと人数を押さえて挑戦するとか、逆に対人戦などは多人数の方が面白いですね。ゲームバランス面を考慮して参加人数を抑えているエピソードもあります。 編: MMO部分をプレイしているユーザーと、MO部分を楽しんでいるユーザーがギルドチャットなどで外と中で同時に会話をすることが可能ですか? 鳥山氏: それはできます。MO部分に入った時点でシステム的には別になってしまうのですが、耳打ちを送ったりは可能です。また、MOの所をプレイしているユーザーは同じルーム内のどこからでも声が届くようになっています。 編: ユーザー達が任意でMOに入れるとなると、小さいルームをどんどん作っていってしまって負荷がかかり、その結果ゲーム全体のパフォーマンスが落ちたり、新しいルームを作れなくなってしまうプレーヤーとが出てきそうですが、そのあたりはどうなのでしょうか? 鳥山氏: そういう危険性はあると思います。ただ、現状の韓国の運用レベルにおいてはそういう障害はなかったと考えています。システム的にはMO部分に障害があってもMMO部分には影響がないように設計されていますので非常にうまくいっています。 編: チートなどの不正対策はどうでしょうか? 鳥山氏: 開発元のNEOWIZはパブリッシャーとして「pmang(ピーマン)」というゲームポータルを展開していますが、ここで培ったQA(品質管理)の技術が「ヨーグルティング」にも活かされています。QA専門のチームがデバックや不正ツールの対策などをフィードバックしています。韓国ではスピードハック系のツールが多いのですが、これに対する修正と共に、日本ではパケットチートが問題になっているのでこれに焦点をあててほしいというお願いもしてきました。不正ツールなどの対応はかなり厳しくやっていますね。
■ 積極的に取り入れられる日本側の意見、価値観
鳥山氏: 開発元の社内サーバーではもうガリガリ動いています。韓国でQAのチェックが最終段階に入っていて、後は日本でのQAという感じですね。 編: 現在、日本語版の開発というのは、ローカライズだけでしょうか? 鳥山氏: ローカライズはこちらで行なっていきます。僕はCB(クローズドβテスト)2の時から「ヨーグルティング」を見てきたんですが、ゲーム性でいくつか足りないと思う部分がありました。そのような部分をすべてレポートして開発に送っています。これについての開発元との話し合いをずっと続けてきています。韓国で7月に行なわれるアップデートの内容の中にも日本で提案したアイデアが2~3入っています。 編: それは例えばどのようなものでしょうか? 鳥山氏: ビジュアル面で言えば「イスに座る」というアクションが反映されてますね。学校のゲームなのにイスに座れないのはおかしいだろうとずっと言ってきたのですが、これがついに実装されました。他にもプレーヤーの利便性を向上させるものが色々追加されました。 編: 以前のインタビューでは学校が複数登場するかも、というお話がありましたがMMOの部分でもう少し詳しい話をお願いします。 鳥山氏: 現在学校は2つです。日本でのクローズドβ開始時にも2つです。それぞれの学校には6学年まで学年があり、エピソードも各学校ごとに用意されていてまったく違うストーリーが楽しめます。 ふたつの学校はまったく違う世界に存在するというわけではなく、プレーヤーはふたつの学校を行き来ができるようになっています。学校を行き来するためのエピソードがあってそれをクリアすることで移動できます。移動した先で、もう1つの学校のストーリーも楽しめます。学校の学年は元の学校に準じたものになってもう1つの学校での進級というのはできません。 進級するとプレイできるエピソードの数が増えます。「エスティバー」と「宵月」という学校があるのですが、エスティバーで2年に進級すれば、宵月でも2年生向けのエピソードがプレイできます。 編: 学校にはどんな機能があるのでしょうか。 鳥山氏: 基本的にはアクション要素をのぞいたコミュニケーションが主になります。クエストをもらったりルームを作ったりするのがMMO部分になるのですが、他にもユーザー間のトレーディングやNPCとの売買などを行なえます。 編: 学校はいわゆる他のMMOで言うところの街のような場所になるのですね。もっと学校らしい、学校ならではの部分はないのでしょうか? 鳥山氏: 学校風の要素としては学年を進級するための試験があります。 編: 給食があるというお話を聞いたのですが。 鳥山氏: ありますね、腹の足しになるのか、という話ではあるんですが、プレーヤーは毎日「ヨーグルト」を給食としてもらえます。このヨーグルトはエピソードをプレイするのに必要なカロリーを満たす効果があります。増えたカロリー分だけエピソードをプレイできます。今のところカロリーを増やしてくれるアイテムはヨーグルトだけですね。 編: 「ヨーグルティング」というタイトルは、いわゆる食品のヨーグルトとは違うというお話を聞いたのですが。 古志野氏: 本来造語として作られたタイトルなんですが、食品ともかけてもいるんでしょうね。「ヨーグルティング」の中に食品のヨーグルトを出して語感として引っかけている部分があります。日本としては、給食には焼きそばパンや揚げパンも登場させて欲しいですね。回復アイテムとしての食べ物は他にもあります。三角牛乳とかもありますよ。ヨーグルトだけは別格です、「キーアイテム」なんです。 編: ヨーグルトの存在によって、あまりプレーヤーが先行しないようにコントロールしている部分もあると? 鳥山氏: そういう意味合いもあります。ヨーグルトは他のプレーヤーから売ってもらったり、トレーディングをすることはできません。実はこのところが今後の課金方式に関係してきます。この部分は現在韓国でテスト中ですね。 編: メーカー側がヨーグルトをリアルマネーで販売するということもあるわけですか? 古志野氏: そういうケースもあり得ると思っています。たくさんのエピソードをプレイし続けてカロリーを消費してしまうと、ヨーグルトを食べるまでは他のエピソードができなくなってしまいます。このシステム自体が変更になる可能性もありますし、カロリーを消費しなくてもエピソードに参加できるようになるかもしれません。
■ 日本のアニメに強く影響を受けた膨大な数の「制服」
鳥山氏: 色々な制服、ゲーム的な発想でいえば防具ですね。このほかに、「TANTRA」の花火のように、自分の周りに特殊なエフェクトを発生させるもの、また能力をブーストさせる薬のようなアイテムが候補に挙がっています。 編: 他のアイテム課金制のゲームと比べて今までなかったようなアイテムはありますか? 鳥山氏: 結構ありますが、まだ韓国でも発表していませんので現時点では言えません。韓国の有料化の前に発表されます。 古志野氏: さらに現時点で面白いアイデアがたくさんあるんですよ。日本で課金サービスが開始される頃にはそのアイデアも目に見える形になってくると思います。仕様書を見たときに「これは面白い」というアイデアがたくさんありました。 鳥山氏: ゲームに登場する制服は非常に多くのものが用意されています。エスティバーとヨイツキはもちろんそれぞれの制服がありますし、男女、さらに夏服、冬服があります。他にもネコ耳がついたものなど色々なものがあります。ゲーム内での制服はそれぞれ部活動をモチーフにしたものでして、剣道部や手芸部など多彩なものが用意されています。2つ学校がありますから、かなりの数の制服が登場します。それを集めるだけでも楽しめますね。 編: 制服のデザインはすべて韓国で行なっているのですか? 古志野氏: イラストのひとつひとつを見ても、本当に日本の文化が好きなんだな、というのが伝わってきますね。今の日本のアニメのタッチなんですよ。 編: こういった現在の日本のアニメ風のタッチというのは、どんな作品にインスパイアされているのでしょうか? 鳥山氏: ほんとに色々ですが、最近だと「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」あたりではないでしょうか。古いところでは「機動戦士ガンダム」シリーズや「エヴァンゲリオン」などからも影響を受けていますね。 編: 韓国のゲームでは、「可愛い女の子がたくさん」という感じの作品も多いように思いますが、日本のアニメはどちらかというと男の子主体であって、ちょっと違うな、と感じる部分もあるのですが、こういった傾向は韓国の文化なんでしょうか? 鳥山氏: 流れとしては日本が通ってきたところだと思います。文化的に、日本の文化が伝播するのに時間がかかっている、だから今流行っているのは日本のちょっと昔の流行だと思います。 古志野氏: 日本でも美少女系から、女性層のファンも取り込むかわいい男の子が登場する作品が増えて来るという流れがありました。韓国でもこれからはそういった流れになると思います。「ヨーグルティング」でも、カッコイイ男の子を増やしてくれ、という要望を出しています(笑) 編: 韓国でROは現実の性別とキャラクタの性別を同じにしなくてはいけないというようなこともありましたが、「ヨーグルティング」に関してはどうなのでしょうか? 鳥山氏: ゲーム内の性別が問題になるようなことはありませんね。作成時に自由に選んでいただけます。 編: となると、学園におけるキャラクタの男女比はイコールにはならなそうですね。 鳥山氏: 女の子がやや多い、というところでしょうか。韓国のユーザーは自分の性別に合わせたキャラクタを作る人が多いですね。ほぼ同じくらいという感じですね。 古志野氏: 日本では女の子だらけになるかもしれないですね。どうなるか楽しみです。ただ、女の子が多くなってくると不思議なもので、男の子キャラクタでゲームに参加する人が増えてくるんです。最終的には均衡がとれてくるんですよね。 編: ゲームのシステムやエピソードで男女の性別が関わってくるようなものはありますか? 鳥山氏: エピソードではまだないですね。ただ、制服はそれぞれ男女がありますから、性別の違うアイテムをもらっても仕方がないから売ろう、というところでつながりが生まれたりします。カップルで挑戦するしかけなどのアイデアも出てきています。 編: 部活動といった要素はありますか? 鳥山氏: 制服でその概念は使われていてそれ以上のシステムはまだないですね。ギルド的なものは「同好会」として表現されています。 編: そうなると制服というのは無限にあるのではないですか? 古志野氏: アイデアレベルではものすごい数が用意されています。セットで入手できるものではなく、基本的にバラバラなので、上をジャージにして下をスカートにするといった格好も可能です。靴とかも用意されていますね。 鳥山氏: 装備できるのは頭、上半身、下半身、靴、そして手ですね。制服によっては該当部分にパーツがないものもあります。また、ゲーム内での職業、ミューラーというヘッドフォンを装備して踊りながら戦うジョブに就いたキャラクタは戦闘時は頭に他のものを装備することはできません。色々な組み合わせをして楽しんでもらいたいですね。 編: 逆にファンタジー的な騎士の鎧とかはないのですか? 古志野氏: どこかの部で登場するかもしれませんが、基本的に学園ものの世界観にはずれるものはないですね。 編: MMORPGでは戦闘とともに生産も大事な要素となっていますが、「ヨーグルティング」ではプレーヤーは何かを作ったりできるのでしょうか? 鳥山氏: 生産に関してはずっと要望を出していますね。「日本では生産の要素が必要なんだ」という要望は出し続けています。将来的にいつになるかはわからないですが、生産要素も含まれていきます。個人的には「お弁当」を作りたいですね。料理とか。そういう学校にちなんだ生産を増やしていきたいですね。 古志野氏: 日本からの良い意見は随時とりあげるという開発体制はできています。韓国産でありながら日本よりにゲームができているというのは本作の強みだと思います。 編: ターゲットとなる年齢層はどれぐらいを想定していますか? 古志野氏: 20歳前後、大学生前後を想定してますね。学園ものということで、何とか高校生のユーザーを増やしていきたいと思っています。小中学生にはまだ早いのかなと。実際に学校に通っている人は学校というコミュニティーがあるので、ゲームで外のコミュニティーを作ろうという意識が持ちにくいのかなと。ただうまくいけば、1人のユーザーをきっかけに学級全体がゲームを始めるというようなこともあると思っています。そういった期待もあって、なんとか取り込めないかと頭を悩ませています。 韓国ではもう少し年齢層の低いユーザーもターゲットになりますが、日本ではまだ難しいですね。低年齢層のユーザーを想定すると、漢字にふりがなを振る必要なども出てくるでしょうから。 編: 「ヨーグルティング」に関しては開発にかなり時間がかかっているという印象を受けますがどうでしょうか? 鳥山氏: このゲームの前身となった「ルシアード」の開発会社を2002年にNEOWIZが買い取って、そこから方針転換をして開発が進んでいますから、それを考えるとかなり長い期間をかけていますね。 編: そう考えると表現的な部分やシステム的にかなり古くなってしまう部分などがあるとか、そういった部分での心配はありませんか? 鳥山氏: 「ルシアード」の頃から比べると、システム的な部分ではかなり刷新されていまして、古くささを感じる部分はありませんでした。ここにさらにNEOWIZの新しい技術が投入されていて、どんどん進化している状態です。 NEOWIZは特にネットワークのシステム面で高い技術を持っていますね。サーバー周りのチューニングやシステムの作り方といった部分です。 古志野氏: CB2からCB3になったときなど、バージョンアップされるたびにシステムやインターフェイスもどんどんアップデートされています。随時新しいものを取り入れているので、バージョンアップの度に別のゲームかと思うぐらいです。 編: 「ヨーグルティング」をプレイするにはどのくらいのマシンスペックが必要でしょうか。
鳥山氏: ガンホーのタイトルだと「TANTRA」くらいのスペックですね。2世代前のグラフィックカードでも充分動くと思います。
■ 「ヨーグルティング」のコアシステムであるエピソードとクエストの魅力について
鳥山氏: 2つの学校を合わせて100のエピソードが用意されています。これに加えて今後も随時追加されていきます。エピソードは早いものは2分でクリアできるものから、長くて20分程度ですね。もちろんプレーヤーの力量や数によって時間は変わっていきます。ボス戦などは演出も凝っていて、たどり着くまでの道のりが長い場合もあります。エピソードは何度も繰り返しプレイできるようになっています。 「クエスト」という要素もあって、これはNPCから依頼を受けるという形で進行します。クエストを受けた状態で特定のエピソードをクリアするとクエストアイテムというものを入手できます。それを規定数持って行くとクエストクリアということになります。 また、複数のエピソードをプレイすることでクリアできるクエストもあります。実はすべてのエピソードがクエストに絡んでいるんです。クエスト=エピソードではなくて、エピソードはそれぞれ独立した存在ですが、クエストは複数のエピソードにまたがっていることもあるという感じです。エピソードは何回も挑戦でき、クエストはゲームのストーリーに密接に関係しているのです。 編: 各エピソードのプレイスタイルはどのような感じですか? 古志野氏: エピソードは競争要素もあって楽しいですよ。横殴りという概念もないので、みんながどんどん乱入していきます。エピソード中は常に自分の順位が表示されていて、貢献することであがっていきます。この貢献度でアイテムを選択する順位が決まってくるので常に競争ですね。 エピソード中に得たアイテムというのは「アイテムボックス」に貯められていくんですね。エピソードが終わった時点で順位による優先順位が発生する。画面ではプレーヤーの数に応じたアイテムボックスが表示されます。例えば8人プレイなら8個。この8個のうち1つをプレーヤーが選択する。 この時に2番の箱を複数のプレーヤーが選んでしまった場合、一番順位の高い人がアイテムをゲットできます。重なっていた人は他の箱を選択しなくてはならなくなる。最初の箱を選ぶのはみんな一斉ですから、順位が低くても他の人が同じ箱を選ばなかったらそのアイテムをゲットできるわけです。ここで読み合いになりますね。 アイテムボックスの中にはエピソードによっては複数のアイテムが入ってきます。アイテムボックスの状態では、中のアイテムはポーションや剣といったようにジャンルはわかるのですが具体的なアイテム名はわからない。ここでも読み合いになるわけです。順位が高くても価値の低いアイテムを選んでしまうということは十分にあります。 分配が終わった時点で中身が明らかになります。この後「もう一回やろう!」とか、「アイテムを交換しよう」といった形のコミュニティーが生まれます。 編: 半期に一度掲示板で順位が張り出されたりとか、そういうギミックはありますか? 古志野氏: ゲームの中ではまだないですね。せっかく学園ものなので中間テストや期末テストのような形で表示するようにしていきたいと思っています。これは今まさに企画中の要素です。 編: 韓国でプレイをしていて、ここは日本の学校とは違うな、と思ったところはありますか? 古志野氏: 違和感を感じるより日本の学校をよく研究しているなと感心させられますね。 鳥山氏: こういったまったりとした雰囲気を持ったゲームというのは、最初韓国では受け入れられないのではないかと思っていたんですよ、韓国ではそういうタイプのゲームは少ないので。
■ ストーリー性を重視し、エンディングを設定
古志野氏: 「ヨーグルティング」はご存じのように、ある日いきなり学園に異常がおこり、先生がほとんどいなくなって、残された生徒達が謎を解いていくというバックグラウンドストーリーになっています。エピソードを進めていくと謎が解けていく。最終的に今起きている現象の秘密を解き明かせばそこで結末となるわけです。「ヨーグルティング」には結末が存在しているんです。いままでのMMOにはなかなかないですよね。 編: 普通に1日数時間ずつプレイして2、3カ月ぐらいで終わるかな、という感じですか? 古志野氏: いえ、明確にゴールが見えている作品というのではなく、学校ごとにそれぞれ完結型のストーリーが存在するということです。レベル上げなども必要になりますし、そんなに早くは終わらないですね。 古志野氏: ストーリーが完結するというところで、「コンシューマーのRPG」を意識している部分もあります。終わりがないゲームはRPGじゃないじゃないか、という人がいると思います。僕自身もそれでMMORPGには今まで手を出してはいなかった部分があったのですが、結末があるんだよ。というところを見せてあげれば、コンシューマーのRPGファンも取り込めるのではないかと思っています。 編: コンシューマのファンの取り込みと言うことを聞くと、ECOをかなり意識しているなと感じるのですが。 古志野氏: 僕たちはあんまり詳しくECOの事は知りませんでしたからね。ECOを意識しているというより既存のMMORPG全般で取り組めてないところは何だろうと考えたときに、それはコンシューマ市場のユーザーだろうと。そのためにもストーリー性を打ち出していくことがが、突破口として重要なのではないかと思いました。 編: ゴールを迎えてゲームをクリアしてしまったら、通常のオフラインゲームならユーザーは他のゲームに移りますよね。「ヨーグルティング」はそれでオッケーなのでしょうか、それとも“2周目”をプレイするような仕掛けを考えているのですか。 古志野氏: それが先ほどちょっとだけ触れた、「それだけじゃない要素」なんです。 鳥山氏: 本作の学年は6学年までなんですけど、もちろんその先の要素も構想としてはあります。小学校、中学校という概念は本作にはないので、それがどういった形になるかはまだ言えないのですが。 ちなみに学年とレベルはまったく別なものです。実は「ヨーグルティング」のレベルはゲーム内では数値として見えないんです。敵を叩くとダメージが数字となって出るゲームはたくさんありますが、「ヨーグルティング」にはそういった要素はほとんどありません。数値化されているのはステータスとかで、HPも数値ではなくてバーで表示されます。ユーザーの中には数字表記を嫌う人もいまして、レベルだ経験値だとやたら数字を出さず、簡単にプレイできることをアピールして取り込んでいこうと思っています。 古志野氏: 学校を増やして、新しいストーリーを展開させるというのも方法のひとつだと思っています。7学年8学年と上に行くかもしれません。 編: 以前のインタビューで堀さんは日本版の学校を作る言うアイデアを話していらっしゃいましたが、確かに新しい学校が増えればまたやりたくなりますね。 鳥山氏: 学校を増やすという計画も出てきていますが、学校を増やすと新しいエピソード、新しいクエストと新しい制服などリソースが増えますよね。アップデート規模がかなり大きくなるので、そこは時期的にも開発元と協議をしていこうかと思っています。 後、日本からの提案としてなんですけど、もう日本オリジナルとか、日本限定というのはこの際やめていこうかと考えています。逆に日本発のアイデアをグローバルに展開してほしいという協力体制にしています。 いままで開発側が「日本だけに」といってやっていると、他のパブリッシャーがうちもうちもといった形で開発元にどんどん依頼が増えてくるという悪循環になりがちでした。そうじゃなくてゲーム内容をワールドワイドで共有して一緒に楽しくしていこうじゃないかという考え方ですね。
■ 「ヨーグルティング」の今後の戦略 編: 昨年のTGSの発表からここまで沈黙を守ってきたのはどういった意図があるのでしょうか。 鳥山氏: 開発ベースの話では、韓国での開発のタイミングもありまして、CB2、CB3、CB4を通してみて、日本市場で通用するクオリティーはどこかということの見極めを行なっていた部分はありました。 編: 私の認識ではちょっと開発に時間がかかりすぎているのかなとも思いました。 鳥山氏: 逆にガンホーの発表が早すぎたかなと思っています。昨年のTGS直前で僕らも驚いたという感じだったので(笑)。 編: 今年はプレスカンファレンスをやって、βテストをやって、TGSで大々的に紹介という感じですか。 古志野氏: そうですね。まだ、βテストが先かTGSが先かは決まっていないのでこれから詰めていきます(編注:クローズドβテストは9月1日スタートに決定)。 編: βテスト中に先ほどお話ししていたGMの展開など、何か凝ったことを考えていらっしゃいますか? 鳥山氏: 運営が少し違うぞ、というところをオープンβサービスの中頃から見せていきたいですね。そこで運用レベルでのテストを行ない、正式サービスの方向性を考えていこうと思います。 編: 最初は何ワールドくらいにするつもりですか? 鳥山氏: 数は今のところ言えませんが、クローズドβテストは負荷テストも兼ねているので最初は1台で行ないます。 編: 「ヨーグルティング」は韓国ではβテストにものすごく時間をかけた印象がありますが、日本のテストはその数分の1というところですか。 古志野氏: 韓国で時間をかけてクオリティーを高めてくれた分、日本で抜本的に見直すという部分はないと思います。 編: コミュニティーに対する働きかけは水面下で行なっているのですか。 鳥山氏: やっていますね。Webの方で展開していこうと考えています。ガンホーが今までやっていかなかった公式サイトでのコミュニティーをやっていこうと思っています。期待していてください。
編: ありがとうございました。
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□ガンホーのホームページ (2005年7月28日) [Reported by 中村聖司 Photo by 勝田哲也]
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