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★PCゲームファーストインプレッション★

自由度の高いキャラクタ育成と、重厚なストーリー
あらゆる要素を強化したダークファンタジー

「ダンジョン シージ2」



 マイクロソフトが初の本格RPGタイトルとして発売した「ダンジョン シージ」は、ひたすら戦闘に没頭できる高いゲーム性、シームレスかつ雰囲気のある世界観、そしてレアアイテム収集を目的として、どこまでもやりこめる要素を持つという、いわゆる「Diablo」タイプの新しいゲームとしてファンの間で大きな評価を得た。さらにエディターの公開にともない、多くのオリジナルModやシナリオがユーザーの手で作られ、インターネット上のファンの交流も活発に行なわれた。

 「ダンジョン シージ2」は、そんなファン達が待ち望んだ作品だ。ゲームシステムからグラフィックスまですべてを一新、数多くの新要素を追加した作品となった。今回は9月9日に発売が決定した日本語版のβバージョンの感触をお伝えしたい。


■ 間口の広いインターフェースで、重厚なファンタジー世界を体験

 物語はアランナと呼ばれる世界で展開する。かつて、まだアランナの歴史が浅かったころ、「ザラモスの剣」と「アズナイの盾」という2つの魔法の武具をもつ大きな軍勢が、激しい戦いを繰り広げた。その戦いは大規模な自然破壊をもたらし、アランナを荒廃させた。大地に住む生き物は、その姿を大きく変え、長い時が流れた。

グラフィックス、システムなどすべての要素をパワーアップした「ダンジョン シージ2」。シングルプレイのシナリオのボリュームはたっぷりで、重厚な世界観をじっくりと楽しめる
 シナリオには難易度があり、レベル39までの「傭兵」、レベル69までの「歴戦の戦士」そしてそれ以上の「精鋭の勇士」これらは下位のレベルをクリアすることで挑戦できる、一回ゲームをクリアしてもどこまでもゲームをやりこみ、キャラクタを育てていくことが可能なのだ。
 何世紀もたった後、ヴァルディスという若い王子が失われていたザラモスの剣を発見し、己の軍勢を率いてもうひとつの武具、アズナイの盾の破片を探しはじめた。プレーヤーキャラクターは親友であるエルフのドレヴィンと共に傭兵としてヴァルディスの軍勢に加わる。植物のような肌をした女性だけの種族ドライアドの寺院を攻撃する任務だ。

 しかし、ザラモスの剣に魅入られたヴァルディスによって敵もろとも主人公達もなぎ払われる。主人公はドレヴィンが庇ってくれたことで一命を取り留めるが、ドライアドに捕らえられてしまう。友を失い、戦いに疲れた主人公は、しかし、ドライアドの苦境を知るにつれて、ヴァルディスがこの世界に大きな災厄をもたらそうとしていることを知り、自分の戦う相手を見つけていく……。

 本作、「ダンジョン シージ2」は、こうしたアランナの世界を美しい3Dグラフィックで再現し、群がるモンスターと戦いを繰り広げていくRPGである。複数の仲間を同時に操り敵と戦うその感触はリアルタイムストラテジーの感触に近く、操作はあくまで簡単で、直感的である。

 基本的な操作は、左クリックで移動場所を指定し、右クリックで敵を攻撃。カメラはAとDキーで左右に回転、WとSで視点の角度を上下させることができる。拡大縮小はマウスのホイールで行なう。拡大するとキャラクタの装備や敵の仕草などが細かく確認できる。敵に囲まれた場合や1人が集中攻撃を受けた場合などは、スペースキーでポーズをかけ、冷静に戦況を見直していくことも重要だ。

 キャラクタには、近接攻撃、遠距離攻撃、自然魔法、戦闘魔法という4系統からなるスキルを持っている。といっても、戦闘中にこれらスキルをフルに活用する必要はなく、あらかじめ特定のスキルを指定し、そのスキルを集中的に使うというプレイスタイルを採る。弓などには弾切れがなく、攻撃を行なうごとに経験値がたまり、成長していく。

 魔法に関しては前作に比べ使い勝手が増している。具体的には、魔導書に「自動詠唱の魔法」を指定できるようになっており、ここに回復魔法を入れておけば自動で回復をしてくれる。かなりゲームが快適になった印象がある。

 ゲームにはジャーナル機能があり、さまざまな情報が閲覧できる。「ハンドブック」ではゲーム内の操作が細かく確認できる、他にもクエストの進行状況や内容の確認や、モンスター辞典などもある。本作で追加された新しい機能も簡単に確認できるので、プレイに非常に役立つ。

 相棒の存在や、特徴的なドライアドの街、捕虜としてのスタートや、さまざまなサブストーリーなどなど、「ダンジョン シージ2」はストーリーと演出が凝っており、ぐいぐいと話に引き込まれる。日本のゲームとは違う、かなり殺伐としたストーリーではあるが、欧米の「ダークファンタジー」に魅力を感じる人には文句なくオススメできる作品である。

 薄暗いダンジョンや蛮族の潜む密林、とげとげしい態度で接してくるNPCなど、ダークファンタジーならではの「アクの強さ」は、日本のRPGファンには少し縁遠い部分があるかもしれないが、筆者はこの独特の感触が大好きである。本作は、非常にわかりやすいゲームシステムと、やりこむほどに楽しくなっていく多彩な育成要素を持ち、従来の欧米産RPGに比べ、間口が広くなった印象がある。多くの人に楽しんでもらいたい作品である。

ゲームの要所にはムービーが入る。特にスタート時のムービーは映画を意識した壮大なもので、作品世界にグッと引き込まれる
ヴァルディス軍の傭兵として戦う主人公。粗野なモルデンの兵隊達、地中から出現する巨大な貝から襲いかかってくるドライアド軍など、独特の世界観を強く感じることができる
使い捨ての駒として扱われた主人公は友人を失い、ドライアドの捕虜に。最初は生き残るためだけにドライアドに協力する主人公だが、やがてこの世界に大きな災厄が迫っていることを知る
滝の向こうに何か光が? 本作にはたくさんの「寄り道」が用意されており、これを探索するのも大きな楽しみである 同種族での争いを目撃。今作ではストーリー性が強化されている。街の住人達もさまざまなクエストを主人公に持ちかけてくる クエストではストーリーを楽しむと共に、キャラクタを強化できる有用なアイテムや情報を得ることができる


■ 多彩なスタイルを持ったキャラクタを育成できるスキルシステム

 「ダンジョン シージ2」は、プレーヤーキャラクタを人間、エルフ、ハーフジャイアント、ドライアドの4種族から選ぶことができる。ハーフジャイアントは男性のみ、ドライアドは女性しか選択できない。それぞれの種族には初期のボーナスがあるが、特段の有利、不利はない。好みで選択するのが良いだろう。

木の精霊として知られるドライアドだが、本作では血肉を持ち独自の社会を形成している。彼らの住む街は巨大な樹の上にあり、ゴンドラで行き来している
ドライアドが女性だけ選択できるのに対し、ハーフジャイアントは男性しか選べない。キャラクタは体表の色から髪型までさまざまなパターンが用意されている。髪の毛がフサフサのハージャイアントはちょっと違和感があって面白かった
 キャラクタのスキルは近接攻撃、遠距離攻撃、自然魔法、戦闘魔法の4つだ。ゲームを進めて行くにはこれらのスキルをバランス良く育てるよりも、ひとつに集中させていくのが有利だ。努力をすればプレーヤーキャラクタのみでシナリオを進めていくことも可能なようだが、それではかなり難易度が高い。ゲーム内に登場するNPCとパーティーを組んで進めていくのがいいだろう。

 キャラクタをあるスキルのエキスパートに育てて、パーティーでバランスを取っていくのがゲーム攻略の基本である。パーティーに加える事のできるNPCはそれぞれ初期スキルを持っているが、プレーヤーの思うまま新しいスキルを覚えさせ、育てることでまったく違う戦士に育てることができる。この自由度の高さは本作の大きな魅力である。

 4つのスキルにはそれぞれスキルツリーが設定されており、これを伸ばすことでより個性的なキャラクタに成長させることができる。今作ではこのシステムにより、さまざまな「タイプ」のキャラクタ育成が可能になった。例えば近接攻撃のエキスパートを育てる場合、スキルの取り方によって、盾をたくみに使いこなす防御に秀でた剣士、両手武器を振り回す強力な戦士、エルフの剣技を学んだ2刀流のバーサーカー、といった戦闘スタイルを選択できる。

 さらにクリティカルを出す能力を集中してあげたり、ひたすらタフに育て上げたりということもできる。レベル制限の壁があり、いきなり極端な育成はできないが、同じ近接攻撃の専門家でも、次にプレイするときはまったく違う戦士を育てたい、と思ってしまう自由度がある。

 もちろん、魔法使いも召喚系や回復系、ダメージ重視、といった細かい個性化ができ、遠距離攻撃では「クロスボウにこだわる」といったキャラクタを育成できる。選択するパーティーメンバーの顔ぶれだけでなく、育て方でも違いが見えてくる。マルチプレイでは、こういったプレーヤーのこだわりの部分でも楽しい話題になりそうである。

 スキルツリーの項目を埋めていくことで「パワー」が使えるようになる。前方に範囲攻撃を行ったり、短時間爆発的に防御力を高めるなど、ゲージが溜まったときに発動できる「必殺技」的な強力な技である。筆者のキャラクタはまだ低レベルであるため、一度使ってしまうと再使用まで時間がかかってしまうため、その存在を忘れそうになるが、パワーの使用にこだわるという育成も可能だろう。

 本作のシングルプレイは難易度はそれほど高くなく、無謀に突っ込んでいかなければそこそこゲームは快適に進行する。しかし、強力なモンスターが数多くひしめいている場所も多い。その場合は、このパワーが戦いの大事な要素になる。どのパワーも非常に派手であり、レベルが高くなったキャラクタはこのパワーをたくさん使って戦っていけるようになりそうだ。そうなった時、どれだけ派手な戦いが出現するのか、とても楽しみである。

スキルツリー。盾、両手持ち、2刀流と、さまざまなタイプのキャラクタに育成可能だ。上位スキルをあえて取らず、基礎能力にこだわるという育て方もできる 使い勝手が良くなった魔法システム。自動詠唱のところに回復魔法を入れておくと、キャラクタ達の生存確率が大きくアップする パーティー全体の能力を強化する呪文を詠唱。自然魔法の使い手は、支援系や回復系に優れているが、攻撃能力をとことんまで強化する育成も面白そうだ
両腕に武器を装備し、エルフが生み出したという剣技をハーフジャイアントにさせてみる。大きな体で素早い攻撃を繰り出す戦士の姿はとてもカッコイイ 2刀流可能なキャラクタが使用できるパワー、「ウェーブス オブ フォース」。前方に衝撃波を飛ばし、多くの敵に大ダメージを与える 戦闘魔法の使い手は敵の生命力を奪う「デス魔法」や炎の魔法を得意とする。召喚系は自然魔法でもあるスキルだが、召喚モンスターはまったく異なる


■ アイテム合成、ペットシステム……ふんだんに盛り込まれたやりこみ要素

 この他にもまだまだ個性的なキャラクタを育成できる要素がある。もちろん、レアアイテム収集は前作から受け継がれている。ゲームが進むごとにどんどん強力なアイテムが入手できるようになる。次はどんなアイテムが出てくるか、と言う期待感は本作のプレイ意欲を倍増させてくれる。

ゲーム前半に登場するペット商では、アイスエレメンタル、荷運びラバ、スコーピオンクイーンを購入可能。ダイアウルフの噂もあるようだが……
アイテムを食べさせることで成長するペット。現状手に入るアイテムではゲージが少ししか上昇しない。ついついムキになってアイテムを与えてしまう。金欠に注意したい
 さらに本作では、「エンチャント」という要素が加わった。街の魔術師の力によって、アイテムに特別な能力を付与することができるのだが、これには「エンチャント可能な」という名前が付いたアイテムを入手し、さらにエンチャント用のアイテムを選ばなくてはならない。エンチャントは一回きり、しかも使用できるアイテムの数は限られている。ついつい取っておきたくなるところである。

 現状ではあまりぱっとしない武器しか作れなかった。ゲームが進むとすぐにこれ以上の武器が出てきそうである。それでも、「自分の意志でカスタマイズした武器」という気持ちは大きかった。ランダムではない、自分だけのアイテムというのは大きな魅力を持つと実感させられた。

 ペットも大きく強化された要素である。「ダンジョン シージ2」のペットはエレメンタルやスコーピオンといった戦闘のできるモンスターを飼うことができ、さらに彼らにアイテムを「食べさせる」ことで成長させることができるのだ。本作は大量のいらないアイテムが出てくるゲームである。特に中盤以降は、プレーヤーの目も贅沢になってきて、そこそこのアイテムでは満足しなくなる。この時これらのアイテムをペットに食べさせればパーティーの戦力も上がる。ただ、アイテムを食べさせるということは換金できないと言うことだ。ペット育成には非常に大量のアイテムが必要になるし、お金がなくて回復アイテムが買えなくなってしまうペット育成にアイテムを上げすぎてしまうと言うことは気をつけたい。

 ゲームの展開は育成の他に、「探索要素」でも大きく変わってくる。本作は基本的なストーリーは1本道なのだが、さまざまなサブクエストや、膨大な「寄り道」がある。そこでもまたモンスターがひしめいていて、魅力的なアイテムが眠っている。本作のシナリオは大ボリュームで、それを進めていくだけでも充分なやりごたえがあるが、寄り道をすることでさらに楽しくなってくる。マップを丹念に歩きたくなってしまうのだ。

 寄り道は、戦闘が多くなり、危険も増すが、それ以上にキャラクタの成長が望める。筆者の感触では寄り道をしていくことで本編を進める難易度がかなり下がっている印象を受けた。初心者こそ丹念な捜索を行ない、キャラクタの育成を心がけた方がいいようだ。またサブクエストはこの世界の住人達への思い入れを強くしてくれる。世界観をより楽しむためにもサブクエストに挑戦したり、周りの風景をじっくりと見つめてもらいたい。

戦いの場で活躍するアイスエレメンタル。その姿はまだ小さい。成長すればかなり強力な「砲台」になりそうである 椅子に座っているドライアドがエンチャンターである。彼女が強化をできるのは、「エンチャント可能な」と名前がついたアイテムだけである 材料グリッドにエンチャントアイテムを入れることでパワーアップが可能に。大幅なパワーアップはゲーム後半に登場するようだ
光り輝くハンマー。前作同様アイテムの魔法の効果が視覚的に表現されている。黒い斑点は敵のHPを吸収する力を持っている証だ 何かを訴えかけようとする幽魂。まだ彼らの話を聞くことはできない 瞬間的にパーティーの力を増してくれる「チャント」が使用できる魔法のサークル。このチャントの捜索など、本作にはまだまだ探索要素が存在する


■ マルチプレイでは、専用のキャラクタデータも使用可能に

 最後に「マルチプレイ」にふれておこう。今回のプレイでは、すでにβテストが終了してしまっていたためプレイできなかったので、概要の紹介だけしておきたい。

 本作のマルチプレイはLAN、インターネット、Game Spyの3つに対応している。このうちLANとインターネットではシングルプレイで使用しているキャラクタをそのまま使うことができるが、Game Spyを使用する場合は、専用のキャラクタを作る必要がある。

 GameSpyでのマルチプレイに限り、キャラクタデータをGame Spy側に保存するため、セキュアなゲームプレイが実現される。これは「チート対策」と言い換えても良いが、これにより同作のマルチプレイが一気にポピュラーな存在になりそうだ。

 マルチプレイではシングルプレイのシナリオを複数のプレーヤーと楽しむことができる。また、プレーヤーキャラクタ以外にもNPCを冒険に参加させられるようになったのはうれしいポイントだ。普段はホストだけ立ててキャラクタとパーティーを育成し、レベル帯をあわせたプレーヤーを募って冒険を楽しむ、というプレイも可能だ。シングルプレイをせずに、オンライン専用ゲームのようにGame Spyのデータを強くしていくプレーヤーもいるだろう。

今作ではプレーヤーキャラクタだけでなく、シングルプレイで育成したNPCキャラクタやペットも参加させられるようになった。Game Spyのデータはサーバーで保存されるので、ネットカフェなどからでもキャラクタデータを使用することができる。シングルプレイでやりこんだキャラクタにこだわりたい人は、Game Spyで仲間を募り、インターネット接続に呼ぶ、と言うことも可能だろう


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(C)2002-2005 Gas Powered Games Corp. All rights reserved. Gas Powered Games and Dungeon Siege are the exclusive trademark of Gas Powered Games Corp.


【ダンジョン シージ2】
  • CPU:Pentium III 1.0GHz以上(Pentium 4 2.0GHz以上推奨)
  • メモリ:256MB以上(512MB以上推奨)
  • HDD:2.5GB以上
  • ビデオカード:VRAM 32MB以上 (64MB以上推奨)


□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/games/
□「ダンジョン シージ2」のページ
http://www.microsoft.com/japan/games/dungeonsiege2/teaser/default.aspx
□関連情報
【8月8日】マイクロソフト、人気RPGシリーズ最新作 WIN「ダンジョン シージ2」日本語版を9月9日発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050808/ds2.htm
【7月27日】マイクロソフト、「ダンジョン シージ2」の発売を決定
グラフィックス、システム、すべてを一新したシリーズ最新作
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050727/siege.htm
【5月23日】マイクロソフト、MAC版「ダンジョンシージ」
6月24日発売決定。発売記念キャンペーンも実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050523/dun.htm
【2004年9月24日】Microsoft、「Dungeon Siege 2」スニークプレビューレポート
クリエイターChris Taylorが語る「DS II」の魅力とは!?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040924/msds2.htm
【2004年1月23日】PCゲームレビュー「マイクロソフト ダンジョンシージ 拡張パック:アランナの伝説」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040123/dgs.htm

(2005年8月8日)

[Reported by 勝田哲也]


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