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Microsoft、「Dungeon Siege 2」スニークプレビューレポート |
会場:ホテルニューオータニ幕張
今年のE3で初公開され、その全面的な拡張ぶりで大きな話題を呼んだMicrosoftの人気シリーズ最新作「Dungeon Siege II」。現在、同作は2005年春の発売に向けて開発が順調に進められている。マイクロソフトは、東京ゲームショウで恒例となっているスニークプレビューを今年も実施した。
今回来日したのは、「Dungeon Siege」シリーズシリーズの開発元Gas Powered Games社長兼ゲームデザイナーのChris Taylor氏。自身から直接、最新バージョンのリアルタイムデモの解説を受けながら、じっくり話を聞くことができた。本稿では、E3 2004以来、約半年ぶりに「Dungeon Siege 2」の最新情報をお伝えする。
なお、当イベントの仕掛け人であるマイクロソフトは、「Dungeon Siege 2」の日本での取り扱いについて現時点で旗幟を鮮明にしていないのだが、過去に東京ゲームショウでスニークプレビューを実施したタイトルで、日本で取り扱わなかったタイトルはない。Chris Taylor氏自身も最新作の日本市場での展開に絶大な自信を持っていたようなので、発売はまず間違いないと考えてよさそうだ。
■ プログラマブルシェーダー2.0採用の次世代アクションRPG
前作に比べ圧倒的に細かく、そして美しくなったグラフィックス。 |
屋内やダンジョンに入ると、自動的に屋根が取り払われ、内部が見えるシステムはそのままだ |
画面を覆うほどの派手なパーティクルエフェクト。ズームインして戦えば迫力満点だ |
なぜこのように規模が拡大したかというと、ユーザーの期待に応えるためだ。前作を発売してから、プレイしたユーザーからもっと広くて、もっとも深みがあって、もっと複雑なゲームを出して欲しいという要望が多数届いた。そうした声に答えるために開発しているのが「Dungeon Siege 2」というわけだ。
E3の時はまだ完成度が低く、あまり具体的な話はできなかったが、現在は開発もずいぶん進んでいる。今は全3章の物語のうち、3章目の開発に取りかかっている。今日はこれまで見せてない映像や仕様をご紹介できると思う。
編集部 全3章で、現在3章目の開発をやっているということは、マスターアップは近い?
Chris氏 その通り。10月中にはすべての開発を終えるべく、全力で取り組んでいる段階だ。それでは少しゲームを動かしてみよう(マウスで操作し始める)
まずインターフェイスについてはダイアログ(ポップアップウィンドウ)がより多く、細かくなった。これは細分化されたスキルツリーや、新しくキャラクタごとに用意されるヒロイックパワーを操作しやすくするためだ。解像度に応じてインベントリのサイズも変わってくるが、どの解像度でプレイしても扱いやすいように気を配ったつもりだ。
編 グラフィックスも大変パワーアップしてますね?
Chris氏 新開発のゲームエンジンで、プログラマブルシェーダー2.0のスペシャルエフェクトをふんだんに取り入れている。キャラクタ別に用意されているヒロイックパワーのエフェクトにも使っている。
この動物はペットのDire Wolfだ。プレーヤーたちと行動を共にでき、共に戦ったり、イベントリーにアイテムを収納したりできる。ペットはほかにもファイアエレメンタルや前作で登場したラバなど、10種類前後登場する。
ペットの育成方法は少し変わっている。これまで不要なアイテムはいちいち町に戻って売っていたが、「DS2」では不要なアイテムは、ペットに食べさせてしまう。こうすることによってペットは経験値を獲得し、レベルを上げるという仕組みだ。ペットは町で購入することができ、主人公を除くパーティーメンバー全員をペットにすることもできる。もちろんペットにもインベントリスロットが用意されていて、沢山アイテムを持たせると、背中に積み荷のグラフィックスが追加されるといった演出も行なっている。「DS2」のペットシステムは見た目にもより楽しめるようになっていると思うよ。
マップも非常に大きくなっている。前作では小さなエリアの集合体だったが、今回は前作のフィールドの数倍に相当する非常に広いマップを採用している。
編 全3章ということですが、マップの広さは前作の何倍ぐらいなのでしょうか?
Chris氏 一応、このマップが1枚で1章に相当するが、塔や町、ゲートポータルの先のエリアなど、それぞれ複数の階層が用意されているため、実際の広さはもっと広くなる。もっとも、一応ストーリー展開上3つの章に区切っているが、実際のゲームプレイは連続しており、ローディングなしでシームレスに展開されるため、いまどのマップを移動していると意識することはあまりないだろう。
ゲームをひととおりクリアするのに必要な時間はだいたい50時間を目安にしている。もっとも1度クリアしても、未到達のエリアや謎がかなり残されているため、繰り返しプレイしたくなるだろう。
■ 1人でも6人でもバランスの採れたゲームプレイが楽しめるスケーラブルな新システムに注目
強大な敵を仲間と協力して倒す。マルチプレイの醍醐味が存分に味わえそうだ |
キャラクタのアニメーションもかなり豊富になっている |
Chris氏 プログラムの最適化を徹底的に行なった。パフォーマンスの改善やバグ潰し、それから移動のスムーズ化、インターフェイスの改善などだ。今回はグラフィックスが進化しただけでなく、キャラクタ別のスペシャルエフェクトが多数用意されているため、パフォーマンスの改善には力を注いだ。
編 「DS2」のストーリーはどのような内容でしょうか。
Chris氏 ネタバレになるのであまり話せないが、前作から数百年が経過した世界を舞台にしている。主人公は傭兵として、バルディスという人物に雇われる。主人公は敵対している勢力に囚われたりなど、壮絶な経験をしていくことになる。
編 かなり濃厚なストーリーになるようですが、マルチプレイモードはどうなるのでしょうか?
Chris氏 基本的には前作と同じように、キャンペーンモードをオンライン上で複数のプレーヤーと冒険できるという内容だが、新しい試みをいくつか取り入れている。
ひとつは1人で複数のキャラクタを操作できるようになったことだ。前作ではマルチプレイモードでは1キャラしか操作できなかったが、今回は最大6キャラまで1人のプレーヤーが操作できるようになっている。キャラクタのキャパシティは、参加人数にかかわらず12キャラまでで、3人なら1人あたり4キャラ、4人なら3キャラということになる。
編 最大12キャラというのは何か意味があるのでしょうか?
Chris氏 単純に技術上の限界で12になった。これはナローバンドユーザーにも対応したためだ。仮に「DS2」のマルチプレイモードをブロードバンド限定にすれば、キャラクタ数はもっと上がる。
ちなみに12人のキャラクタのいずれもが召喚スペルをマスターし、モンスターを召喚すれば24キャラクタ登場することになる。これはエンジニアとしては最悪のシナリオだが(笑)、想像してもらえれば前作のマルチプレイとの違いがよくわかるだろう。
編 マルチプレイのゲームモードは、協力プレイだけ?
Chris氏 協力プレイに加えて、プレーヤー同士が戦うPvPモードも導入する。システム的な変更点としては、マルチプレイはGame Spyのサーバーを採用し、キャラクタデータをサーバーに保存できるようになっている。これによって、たとえば自宅と会社のマシンで、同じキャラクタを使ってマルチプレイを楽しむことができるし、チートを行なうユーザーも経るだろう。
編 E3で初めて「DS2」に触れたとき、もっとも驚いたのが、キャラクタのレベルやパーティーの規模に応じて、敵の出現する数が変わるというスケーラブルなゲームデザインが搭載されるということです。
Chris氏 このシステムの採用は、前作の課題でもあり、今回もっとも力を入れた要素のひとつだ。マルチプレイでは、シングルプレイのキャラクタをインポートして使えるようになっているため、スケーラブルにしないとバランスの取れたマルチプレイを楽しむことができない。
今回は、スケーラブルなシステムに加えて、キャラクタレベルに応じて、ゲーム難易度にイージー、ノーマル、ハードに加えて、ベテラン、エリートの2つの設定を追加している。これらのモードでは、敵が強い変わりにより強力なマジックアイテムを得ることができるようになっている。レベルが上がってもやりがいの冒険が続けられるというわけだ。
編 スケーラブルということは1人パーティーと、6人パーティーとで、出現する敵の数が異なってくるという理解でいいのですか?
Chris氏 そのとおり。DS2ではパーティーのパワー(戦力)、キャラクタ数、プレーヤーの数に応じて出現するモンスターの数が変わるようになっている。ちなみに前作でもソロでプレイすることも可能だったが、今回はこのシステムに加え、マルチクラスシステムを採用することで、どういうキャラクタでもある程度の戦闘能力が持てるようになった。前作だとプリースト系のキャラクタだとソロプレイは難しかったが、「DS2」ではソロプレイでも十分に楽しめるだろう。
編 非常に素晴らしいシステムでわくわくしますが、開発でもっとも苦労されたことは何でしょうか?
Chris氏 非常にいい質問だ。今回もっとも大変だったのは、コンテンツの管理。開発を進めていくうちにデータ量が膨大になって、最終的にはCD4枚分程度のボリュームになってしまった。ジオメトリ、サウンド、スクリプト、ダイアログ、これらのデータを一元管理するのがとにかく大変だった。
編 なるほど。そうすると前作で好評だった「Siege Editor」の開発も難航していそうですね。
Chris氏 Siege Editorは出したいのはやまやまだが、製品版に同梱という形は無理だろう。Siege Editorは、もともと我々が開発に使っていたツールをエンドユーザー向けに公開するというもので、リリースする前に整形しなければならない。我々が開発に使う分にはすでに十分な機能を備えているが、一般に公開する場合には誰でも使いやすいツールでなくてはならない。すべての機能について解説をほどこしたドキュメントも書かなければならない。現時点でいつリリースすると約束することはできない。
編 そうすると、発売直後はとりあえずMODの開発はできないと考えていいですか?
Chris氏 残念ながらそういうことになる。MODは愛しているし、DS2でもぜひ作って欲しいと願っているが、簡単に約束はできない。過去に痛い目に遭っているからね(笑)。
編 今回Game Spyのシステムを採用したのは、クライアントに依存しないオンラインプレイの実現と、チート排除が目的ですか?
Chris氏 Game Spyを採用したことによりチート問題は前作に比べてかなり防げると考えている。ただし、完全に排除しようとしたら専用サーバーを建てなければできないが、それには莫大なリソースが必要になる。今回はそこまではやっていない。
編 DS2で注目してほしいところはどこでしょうか?
Chris氏 ストーリー、会話、そして冒険。ファンタジー世界における限りない可能性を実感してほしい。隅々まで冒険してあっと驚くような体験をしてほしい。我々としては巨大なテーマパークを作ったつもりだ(笑)
編 少し気の早い話ですがGas Powered Gamesの次回作について話を聞かせてください。
Chris氏 すでに北米ではアナウンス済みだが、RTSを2006年発売に向けて現在開発している。基本的には私がかつて開発した「Total Annihilation」を進化させたゲームになるが、タイトルそのものの使用権はGas Powered Gamesにはないので、別の名前でのリリースになる。パブリッシャーはElectronic Artsだ。
編 マイクロソフトさんがいるところでアレですが(笑)、なぜEAなんでしょうか?
Chris氏 あまりうかつなことはいえないが、MSとEAのポートフォーリオを見比べて、EAのほうがメリットが大きいと判断したからだ。もう少しわかりやすくいうとMSにはすでに優秀なRTSのラインナップがいくつもあるのに対し、EAはないとそういうことだ。
編 それでは最後になりますが、日本の「Dungeon Siege」ファンに向けて一言お願いします。
Chris氏 前作「Dungeon Siege」が日本でも広く受け入れられたことを大変嬉しく思っています。「Dungeon Siege 2」はあらゆる点で前作を上回る内容に仕上がっているので、ぜひ期待してほしい。長時間プレイして頂いて、フィードバックを返してくれるとありがたい。私は日本語が読めないので、返事は出せないが、その内容は真面目に受け止め、今後のゲーム作りに役立てたい。今後ともGas Powered Gamesへの支持をよろしくお願いします。
編 ありがとうございました。
ゲームの舞台は前作と同じだけに、前作とどことなく似た風景が広がる。しかし時代は数百年後になっている。前作と比較する旅もなかなかおもしろそうだ |
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□マイクロソフトのホームページ
http://www.gungho.jp/
□Gas Powered Gamesのホームページ
http://www.gaspowered.com/
□「Dungeon Siege 2」のページ
http://www.gaspowered.com/ds2/
□関連情報
【5月13日】E3 2004 Microsoftブースレポート PCゲーム編
ベストセラーの続編「Dungeon Siege 2」、「Zoo Tycoon 2」が登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040513/e3mspc.htm
(2004年9月24日)
[Reported by 中村聖司]
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