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価格:6,090円 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの国内ビジネスを担当するソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン (SCEJ) は、7月14日にプレイステーション 2用サルつかまえアクション「サルゲッチュ3」を発売した。 1作目から、ピポサルをゲッチュする瞬間の爽快感は変わらずに、今作で“変身”や“ピポサルの逆襲”など各種新要素を盛り込んだだけではなく、サービス精神旺盛で多種多様なゲーム要素が詰め込まれている。
新要素の導入に関する経緯から、「ゲッチュ!」の演出について、そして「MESAL GEAR SOLID」がどうやって実現したのかまでを、「サルゲッチュ3」を担当したSCEJスタジオ第1制作部プロデューサーの太田直仁氏に伺った。 ■ シリーズ3作目の制作は難しい
太田直仁氏: ソニー・コンピュータエンタテインメントに来てからは、前作の「サルゲッチュ2」と今回の「サルゲッチュ3」がいちおう代表作になるのかしら。 -- では、「サルゲッチュ2」が終わったら、すぐに「サルゲッチュ3」に関わられたのですか? 太田氏: 何やってたんだろう(笑)。「サルゲッチュ2」日本版の制作が終了したあとは、海外向けの各国版を制作してましたね。「サルゲッチュ2」は、諸事情で各国版の制作にとても時間がかかってしまい、「サルゲッチュ3」の制作に着手するのがかなり遅くなってしまったんです。ですから「サルゲッチュ3」の制作プロジェクトが正式に発足したのが、一昨年の10月くらいですね。もちろん、その前から準備はしていたのですが、(制作に要した期間は)2年とか2年弱といったところでしょうか。 -- なぜ、時間がかかってしまったのですか?
太田直仁氏: 難しい質問ですね(笑)。ひとつ言えることは、「サルゲッチュ2」の場合、対応言語が多かったんですね。北米版と、欧州用の多言語版、中国本土向けのバージョンを作ったりですとか、結局はリリースしなかったのですが、韓国語の検証を行なったりですとか、けっこう時間がかかってしまいました。「サルゲッチュ3」も前作以上に各国から引き合いが来ていますので、もし仮に『サルゲッチュ4』をつくるとすれば、(移植作業に時間がかかってしまい)また遅くなりそうな心配がありますけど、今回はそうならないように頑張りますという感じです(笑)。 ■ 今回新しく導入された「変身」と「ピポサルの逆襲」
太田直仁氏: これは一般論の話になりますが、「続編で3作目」というのは商品として成功させるのがとても難しいんです。特にハードが代替わりしないなかでの3作目はハードルが高くて、さてどうしたものかと思っていたのですが、これまで通り2本のアナログスティックを使用した「直感・見たまま・簡単操作」という、アナログな感じの良いところはもちろん受け継いで……とはいえ今回から新しく入ってくるお客さんもいますし、逆にこれまでシリーズを楽しんできたお客さんもいますから、「変身」と「ピポサルの逆襲」という要素は、全てのお客さんに楽しんでいただくにはどうしたらいいのかな……という課題に対するひとつの回答ではありますね。 「変身」については、まず変身すれば当然見た目のグラフィックスが大きく変わると。「サルゲッチュ2」のときは、プレーヤーキャラクタについてはガチャメカをいくつか増やしたんですけど、プレーヤーの手に持った先っぽの部分しか変わりませんのでパッと見でわかりづらいですし、これは反省点にもなりますけど、なにかひとつドカンと突き抜けたような変化があまり感じられませんでした。もちろん見せ方で変化は作れるのですが、まずはビジュアル的なインパクトの違いですね。さらに「変身」だと全身が使えますので、ゲームのアクションという意味でも色々な増やしかたが可能になってきます。その両面から「変身」を採用しました。 そもそもアクションゲームというのは、「サルゲッチュ」にかかわらず、もちろんゲームをクリアすることも目的ではあるのですが、動かしているだけでなんだか楽しいなぁという感覚が非常に大切だと思うんです。そういったところを表現するうえでも、「変身」というシステムを導入することでより (アクションゲームの理想に「サルゲッチュ3」が) 近づけるんじゃないかなと思ったんですね。 “ピポサルが逆襲してくる”という点については、「サルゲッチュ」シリーズの場合、ピポサルを見つけた瞬間から1対1の駆け引きというか勝負があるわけです。この“対決”に深みを与え、より楽しいと思ってもらうためには、ピポサルが怒ったり逆襲してきたり、挙げ句にガチャメカをピポサルに取られて逆に捕まえられちゃったりだとか、そういったことを入れることで、サルという動物が小憎らしい……いえ、かわいらしいんですけど(笑)、他の動物では出せないような、サルの持つ味というかポテンシャルを引き出すことができると思うんです。 その頃は直接関わっていたわけじゃありませんので、これはあとから聞いた話なんですけど、初代の「サルゲッチュ」を制作していた当時、必ずしも“最初にサルありき”というわけではなかったみたいなんですね。ゲームのアイディア的には、キャラクタが網を持って走り回るという……どちらかというと「ぼくのなつやすみ」などに近いとでもいうのでしょうか。網をもって虫を捕まえるといった感じの、左右のスティックを駆使したアクションというシステム方面からゲームの企画がスタートしていたそうで、(捕まえる)対象となるキャラクタがまだ固まっていない時期があったみたいなんです。
そこで、網を持っていて、アナログスティック2本のスティックを使ったゲームで「つかまえる!!」という感覚が得られるゲームということで制作が進むなか、一方でキャラクタのデザインも進めていたところ、ピポサルというキャラクタのデザインが絶妙にツボにはまって「おっ! これ良いじゃん!!」ということで決まったみたいなんです。ゲーム作ってるとこういうことがときどきあるんですよね。デザインとして素晴らしいキャラクタがポンッと出てきて、良い感じでゲームにピタっとはまるという。ある意味では“運命的な出会い”といえるかもしれません。 ■ 「ゲッチュ!」の瞬間には最大限気をつかっている
太田直仁氏: それはもう、一同最大限に気をつかっているところですね。シリーズを通じてこだわりつづけているスタッフもいますよ(笑)。それと、捕まえた瞬間の爽快感は、「サルゲッチュ」、「サルゲッチュ2」、「サルゲッチュ3」とそれぞれ少しずつ変わって感じられるように工夫しているつもりでもあるんです。 たとえば捕まえる瞬間、音声で「ゲッチュ!」って流れると思うのですが、これって、ヒーローの必殺技の決めゼリフと一緒で、この言葉で「おまえを捕まえたっ!!」という感じを出しているんですね。ここでも、ボイスを出すタイミングだとか、シリーズによって毎回微妙に違うのですが、網を振りかぶるところの演出もスローになっていたり、微妙にぼんやりとした表現など視覚エフェクトも色々使っています。「ゲッチュ!」と言っているタイミングに合わせて、バンッと網が対象であるピポサルにぶつかるとか、捕まえる瞬間に網の柄(棒の部分)がググッとしなるのですが、そういうタイミングにシンクロさせて低音の「ブォーン」という音が鳴るところだとか、細かいところをあげはじめるとだんだんキリがなくなってきますけど、いいのでしょうか?(笑)。 このほかにも、「ゲッチュ!」の瞬間にコントローラがブルブルッと振るえるようにしてありますが、実は左右両方にあるモーターのうち、左側のモーターしか回っていないんです。というのも、両方同時に回すと物理的な振動そのものはたしかに大きくなるんですけど、左右の振動が変な相殺をして、変に引っかかったような感触が手に残って気持ち悪いんです。たとえば野球の打者が手打ちで打球を引っかけてファウルになっちゃうような感じでしょうか。2回、3回ならともかく、何百匹もサルを「ゲッチュ!」しつづけるわけですから、長く遊んでいるほど気になるようになるんですね。ですから左のモーターだけ、それも最短時間でグッとMAX近くまであげて、シュッと下げるんです。これも乱数やピポサルの個体差、ピポサルを捕まえる状況などの要素を交えて微妙に変えているのですが、おおむね一気にピークまで上げてシュッと収束するといった感じで振動がついています。この振動と、音声、低音の効果音と視覚効果など、色んな要素がきっちり合わさっているんですね。 こういった部分は、たとえば格闘ゲームなどでは突き詰めてチューニング(ゲームの調整)されていたりすることが多いのですが、他のゲームではなかなかそこまで突き詰めて作られていなかったりするんです。「サルゲッチュ」の場合は、この「ゲッチュ!」がゲームのなかで最大のカタルシスですし、やっぱりありとあらゆる部分で気をつかっている部分でしょうね。「ゲッチュ!」について話しつづけると異様に長くなりますから、そろそろこのあたりでご勘弁ください(笑)。 格闘ゲームみたいにそういったところを突出させて突き詰めていくと、とんがったゲームになりがちなんですね。でも、このゲームの場合はふつうに幅広いお客さんに楽しんでほしいという気持ちがまずありきですから、こういった細かな演出はあまり意識してもらわなくてもかまわなくて、素朴にゲームを遊んで単純に面白いと感じていただくための“縁の下の力持ち”だと思っています。 -- ゲームに直結した質問ですが、ピポサルを捕まえるとき、網を上から振りかぶって捕まえますよね? 横に振っては捕まえられないですよね? 太田直仁氏: それはピポサルとプレーヤーの位置関係で、縦で振ったり横で振ったり、網を振るモーションが変わります。あとは右スティックの倒し方ですね。スティックを倒してクイッと横に回すようにすると横振りになりやすいかも。ただ、シリーズものの宿命というか、こういった動作も毎回同じだとつまらないので、「サルゲッチュ2」とは違った演出になっています。「サルゲッチュ2」はどちらかというと……そうですね“ホームランバッター”のような「ゲッチュ!」なんですけど、「サルゲッチュ3」では“首位打者”型とでもいいますか……たとえが難しいのですが、今回の方がちょっと上品かもしれません(笑)。 -- 単純に下手なだけなのですが、横にピポサルがいて横に振ると捕まえることができるのに、真正面に向かって縦に振ればそりゃ捕まらないだろう! あーこのピポサルがムカツク!! ……という状態なのですが(笑) 太田直仁氏: ときどき誤解を受ける部分でもあるのですが、ピポサルがいる方向に向かって正確にスティックを倒せば実は絶対にピポサルを捕まえることができるんです。どんなにすばしっこいピポサルでも、強いピポサルでも。もちろん距離と角度の範囲内でということはあるのですが。ただ、その範囲から少しでもズレてしまうと、けっこう逃げられちゃうんですね。もちろん身体能力の高いピポサルはガンガン逃げますし、身体能力の低いピポサルはわりと簡単に捕まえることができます。 たとえば、ムエタイの格好をしたピポサルなどはすごくすばしっこいのですが、正確にまっすぐピポサルのいる方向に網を振り下ろすことができれば確実に捕まえることができます。ちなみにサヤカという女の子でプレイすると、キッズアイドルという設定ですので、ピポサルの目がラブラブハートになってのぼせちゃって、敵のリアクションが変わって逃げなくなったりするピポサルがいるんですけど、そういった意味ではすこし簡単になるかもしれません。男の子と女の子の両方やってはじめて「あぁ、ほんの少し簡単かな」と感じる程度ですが。 ちなみに、ピポサルを「ゲッチュ!」するためにはひとつコツがあって、右スティックを倒すときに人間は親指の付け根の関節を起点に動かすため、無意識のうちにほんの少しだけ右にずれた方向に倒してしまいがちなんです。ですから、初めのうちは気持ち左側に入れる感覚でスティックを倒してみるとわりと「ゲッチュ!」できたりします。それは指関節の構造上仕方ないところで、そういうのも考慮したうえで左に少しズラして網を倒したようにプログラム的に上手く補正してはどうだろうと、制作チーム内部でもよく議論にのぼるのですが、ユーザーさんの手の大きさに差があったりとか、逆に正確に入力できる人もたくさんいるわけですから、もし下手な補正をかけてしまうと今度はそういった人たちが違和感を覚えてしまいます。そういったことから、結局、今のところはそういう補正は入れないことに落ち着いていますね。捕まえにくいという声が頻発するようでしたら、そのような補正は今後も検討しつづけなくてはいけないかもしれませんけど。
ただ、「逃げられて悔しくて、それでやっと捕まえた。ヨッシャ!!」という感じも含めて気持ちよさの一部かなぁとも思っていますので、上手な人は上手なりに、下手な人は下手なりに、そういう懐の深さというものを常に意識して作っていますね。ゲームが苦手な人でも頑張れば何とかクリアしてもらえる難易度だとは思います。あまり簡単にクリアできてもゲームとして歯応えがありませんし、そこらへんはゲーム全体としてのチューニングの問題になりますが、いつも難しいですね。そこはもうプロの腕の見せどころです(笑)。
■ 「変身」機能は使える!!
太田直仁氏: そういうところで「変身」を使ってもいいと思いますよ。たとえばファンタジーナイトになればけっこう強いですし、網がなくても変身した状態で右スティックを下に押し込めば「ゲッチュ!」できますので。また、「変身」した方がおおむね「ゲッチュ!」判定が強いんです。ですから、そのあたりに気づくと「変身って使えるな」と感じていただけると思います。気づいてもらえないと「使えないなぁ……」とか言われたりするのですが(笑)。 -- 確かにファンタジーナイトですと重たい鎧を着ているせいか、スピードが遅いですし、ガチャガチャ歩いているうちにピポサルに逃げられて、網で捕まえた方が早い……と思ってしまいますね。 太田直仁氏: 最初のうちは確かにそう感じると思うんですよ。でも、実はその近くには“網好きなピポサル”が潜んでいて網を持っていかれ、逆に「ゲッチュ!」されて「あぁ~あ…」となってしまったりするんです。まさにそういった意図的なチューニングなんですけどね(笑)。けど、最初にもらえる変身のファンタジーナイトは実はけっこう強くてですね、それが実感されてくるのは後半からむしろ終盤になってからなんですよ。 -- では、私などは今まさに手のひらの上で踊らされているわけですね(笑)。変身はいくつか用意されているかと思うのですが、もちろんステージ構成と密接に結びついた上でのことですよね? 太田直仁氏: そうですね。「変身」は1周目では6種類、2周目にはいるとオマケでもう1種類使えるようになり、これを使いこなしていくことになりますね。 これは「変身」の使いどころだけではなく、ガチャメカ、ピポサルの配置、いわゆるザコキャラと呼ばれる敵キャラクタの配置、ステージのギミック、地形など、全体の構成をまずは机の上で考え、そして話し合いを重ねながら作り上げていくという感じですね。ここで変身能力のこの部分を使うから地形はこういったかたちで……でも、それならこの機能は要らないから泣く泣く削る……といった感じです。ですから、「変身」は“6つ”という種類数が先にあったのではなく、ステージ分量から構成まで総合的に考えて構成したうえで最終的に6つになったという感じです。
変身能力的には、ワイルドウエストキッドというガンマン系のキャラクタは当然飛び道具系ですね。ファンタジーナイトは防御が強く、一発一発の殴る力が強くなっています。ミラクルニンジャは壁を走ったりムササビの術など移動系の能力に長けています。あと……色物風な(笑)キャラとしては、マジンを召還してピポサルを踊らせてしまうマジンダンサーでしょうか。そして、連続攻撃が可能で肉弾戦に強いドラゴンカンフー。総合能力は高いけど操るのが難しいゲッチュマン。もちろん我々の制作期間も限られていますから、どうしても決めてしまわねばならない時期があって決定したということもありますが(笑)、基本的には能力的に役割分担をさせて、ステージ構成なども含めて総合的に決定しています。
■ 「MESAL GEAR SOLID」ができるまでは苦労の連続だった -- 今回のミニゲームで非常に力が入っているなと感じる「MESAL GEAR SOLID」ですが、こちらを制作することになった経緯を教えてください。 太田直仁氏: 「サルゲッチュ2」が発売された頃に、コナミの小島監督と雑誌で対談させていただく機会があったんです。もともと小島監督の息子さんがすごい「サルゲッチュ」好きだったそうなんですね。それで、監督が息子さんと一緒に「サルゲッチュ」をプレイされているうちに、「なんだか、『METAL GEAR SOLID』と似ているなぁ…」と感じられたと言うんです。たぶん「サルゲッチュ」の背後からそろりそろりと近づいていって「ゲッチュ!」するあたりでしょうか。そういったゲーム性とかゲームシステムとして似通っているところで話が盛り上がりまして、いつか一緒に何かやれたら面白いですねといった話をしていたんです。 はじめは、「変な名前のサルがたくさんいるのがいいねぇ」といった話で、小島監督が「ピポサルの名前を考えて提供しますよ!」という話だったんです。もう3年近く前の話ですね。でも、いったんそこでその話はしばらく途切れていたんです。 翌年、アメリカの某パーティ会場でたまたま監督とお会いしたんです。ちょうど「METAL GEAR SOLID 3」を発表されたときで、小島監督が「今回発表した『METAL GEAR SOLID 3』の舞台はジャングルなんですよ! ジャングルといえばサルがぴったりですよ!! サル、どないですか!? メタルにサル出しませんか!?サル!!」とか盛り上がりまして。こちらもまさか急にそんな話になるとは思ってませんでしたけど、「こちらこそぜひ! うちのキャラクタでしたら喜んで出しますよ!!」などとお話ししてたんです。二人ともかなり酔っぱらっていましたけど(笑)。 でも、さすがにお酒が入った場面での会話でしたし、再度正式にお話を通さなければと思いまして、1カ月後くらいに、コナミさんへお伺いして正式な話を少しずつ始めていったんです。そのときには具体的なところまではぜんぜん決まらなくて、「まずは飲み会しましょう!(笑)」みたいなことになって、サルゲッチュチームがコナミさんの近所のお店に行って本当にメタルギアチームと飲み会をしました(笑)。その後、ちゃんとした打ちあわせも重ねていきまして、だんだんお話が進んでいったという感じです。そういった意味では、自然な盛り上がりでしたね。 そんなある日、コナミさんの方から「猿蛇合戦」という「サルゲッチュ」モードを作りたいという打診が届いたんです。僕としては「『サルゲッチュ』ファンが『METAL GEAR SOLID』に興味持ってくれるかもしれませんし、『サルゲッチュ』も『METAL GEAR SOLID』ファンの方に認知してもらえるかもしれませんし、素晴らしいじゃないですか!」とお返事しましたね。 すると、今度はある日ビデオテープが送られてきて、パカッと開けてみたら「猿蛇合戦チェック用」と書かれてまして、テープを再生して見てみるとゲーム画面が写っていたんですよ。その時点で「猿蛇合戦」はすでにものすごく作り込んであって、これはすごいなぁってびっくりしてですね。すでにピポサルなどのデータはお渡ししてあったんですけど、データを渡したからといってゲームができあがるわけじゃありませんから、ビデオ見て非常にびっくりしてですね、「うわ、向こうはこんなに本気だったんだ…!」とあらためて思い知らされたんですよ(笑)。 もっと小さなオマケの、1分くらいで終わる単位のゲームなのかなと勝手に思ってたんですけど、えらく本格的なゲームでしたので、これはヤバイなって思いまして。うちなんか1分どころか30秒程度の……いや、最初はミニゲームにしようとすら思ってなかったんです。スネークの格好をしたピポサルがなぜかサルゲッチュ本編に出てきたりとか、そのスネークのピポサルを捕まえたら、「METAL GEAR SOLID」風のゲームオーバー演出のようにしてみたらどうかとか、ピポサルがびっくりしたらあのピロリンって音が鳴って頭の上に“!”が出たらどうだろうとか……といったような、しょせん小ネタ集にすぎなかったんですよね。 でも、そのコナミさんのビデオを見て、「そんな小ネタじゃダメだ!」と。相手がこんな本気で作っているのにウチだけ小ネタ集じゃまずいなぁということで、本腰入れましょうということで、これまでの小ネタ案はまるっきり白紙に戻して、急遽本腰を入れることにしたんです。でも、作り始めたのがものすごく遅くてですね、2004年の秋とか冬になってからですよ。昨年秋の「東京ゲームショウ」で作りますと発表したときには本当にまだぜんぜん作っていませんでしたので、今にして思えばよく完成したものだなぁと(笑)。 おまけに、専任の「MESAL GEAR SOLID」チームが別にあったわけではありませんから、その分、単純にスタッフみんなの仕事が増えたんですよね。春ぐらいにはみんな死人のようになって作っていましたから(笑)。「サルゲッチュ」の本編だけでも危機的な状況なのに、まさに修羅場度120%という感じでした。表現上“ミニゲーム”という扱いですが、正直“ミニ”の域は超えていると思いますよ。 スネークの声は大塚明夫さんに担当してもらっていますが、ピポスネークも担当してもらっていて、あの渋い声でマジメに「ウキッ」とか言ってもらったりしたんですよ。ある意味「METAL GEAR SOLID」では絶対に体験できないアナザーワールドで、バカげたことを大マジメにやってもらっていますので、そういったところもファンのみなさんに楽しんでいただける部分なんじゃないかと思います。
■ PSPとの連動は? -- PSPでも「ピポサル アカデミ~ア」と「サルゲッチュP!」が発売されていますが、「サルゲッチュ3」との連動は考えられなかったのでしょうか? 太田直仁氏: 思い返せば、この2タイトルはかなり過酷なスケジュールでして(苦笑)、何か連動したいのは山々だったんですが、スケジュールの問題というのが一番大きな理由でしょうね。そして、「サルゲッチュ3」にも先の「METAL GEAR SOLID」をはじめとするピポサル以外のさまざまな連動がありましたので、さすがに余力が……(笑)。ですから、今後についてはわからないですし、もちろん前向きですよ。せっかく携帯機とコンソール機というふたつのプラットフォームがありますので、なにかうまいつながり方ができればいいなぁとは思っています。 -- では最後に、一言メッセージをお願いできますでしょうか? 太田直仁氏: 最近、よく「ゲーム離れ」という言葉を耳にしますけど、ゲームの作り手としてはそれは非常に寂しい話だと思っておりまして、ゲームを遊ぶ人はもちろんのこと、いつのまにかゲームから離れてしまった人ですとか、ふだんあまりゲームを遊ばない人にとっても、できるだけ間口を広く懐が深くなるようにして、どんな方に遊んでもらってもそれ相応に楽しいと感じてもらえるという、ある意味では「理想を目指して」作ったのがこの『サルゲッチュ3』です。多少なりともその試みは成功したという手応えはありますし、なにより「やっぱりゲームって面白いな!」と少しでも多くの方々に感じていただけたら嬉しいです。そして、もっともっとゲームの楽しさに目を向けてもらえればと。 ゲーム大好きな方、たまにはゲームをやってみようかなと思っている方、久しくゲームを遊ばなくなってしまった方、そんなあらゆる方々に遊んでもらいたいと思っています。そして、遊んでもらえたら絶対に「サルゲッチュ3」は面白かったと感じていただけると思いますし、ひいては「ゲームって面白いなぁ」ということを実感していただけたら本当に幸せですね。
(C) Sony Computer Entertainment Inc.
□SCEJのホームページ (2005年7月27日) [Reported by 船津稔]
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