★PCゲームレビュー★
高解像度に対応し、かつてない戦場の臨場感を実現
「真・三國無双3 ハイパー」 |
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- ジャンル:アクション
- 発売元:コーエー
- 価格:6,090円
- 対応OS:Windows 2000/XP
- 発売日:2004年4月1日(発売中)
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「真・三國無双3 ハイパー」は、2003年2月にプレイステーション 2向けに発売された「真・三國無双3」の移植版である。プレーヤーは武将達を操り、「三国志演義」の物語を追体験する。移植にあたり、高解像度表示に対応。オリジナルのPS2版に比べキャラクタ表示、遠景の表示が倍になり、戦場の臨場感を増している。
「3」と数字が入っているが、本作をプレイするのに前作までのプレイ知識は必須ではない。エピソードは本作で完結し、英雄達が乱世に立ち上がりやがて互いに争っていく展開、数々の有名なエピソードをダイジェストで体験できる。さらに多くの武将をじっくりと育成できるやりこみ要素もある。本作がシリーズ初挑戦になるという人にもオススメできるタイトルだ。
■ 高解像度により変化する戦いの感触
「真・三國無双」シリーズはPS2版で既に「真・三國無双4」が発売されている。筆者は本作のレビューのため、「4」もプレイしてみたのだが、当然のことながら「3」と比べてみるとシステムの洗練度や、よりキャラクタへ焦点を当てた演出など、確かな進化を感じさせられた。
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このスクリーンショットのみ1,600×1,200ドットで撮影した。遠くのキャラクタも見ることができ、戦場の迫力は格段に増している |
PC版である本作「真・三國無双3 ハイパー」の開発時期から考えればしかたがないかもしれないが、なぜ最新作の「4」の移植ではないのか、という疑問はどうしても感じてしまう。さらにPS2版では「真・三國無双3 猛将伝」といった「3」のエンジンを利用した追加ディスクも発売されており、PC版は後発のソフトなのだから、これらの要素も含めて欲しかった、というのが正直なところだ。
とはいえ、本作にはPC版ならではの独特な面白さがある。「真・三國無双」シリーズの一番の特徴は、視界を埋め尽くすほどの敵兵を武将達が超人的な技でなぎ倒す爽快感にある。本作を高解像度でプレイすれば、体感できる戦場の広さ、押し寄せてくる敵の数といった“戦いの臨場感”はPS2版を大きく上回る。同シリーズをプレイし続けているファンにとっても注目の価値は充分ある。
広大な戦場を3Dグラフィックスで表現する外国製のFPSの場合、ともすれば物陰に隠れて銃を抱えて震えていたい、と思うほどの恐怖を感じさせられるが、本作は違う。進んで我が身を危険にさらし、圧倒的な不利な状況をひっくり返してみたい、不死身のヒーローになったような感覚に酔えるのだ。本作がシリーズ初挑戦という人には難易度を“易しい”に設定し、まずこの爽快感を体験することをオススメしたい。
本作はキーボードでもプレイ可能だが、やはりコントローラでのプレイが望ましい。オリジナルであるPS2版ではほぼ全部のボタンを使用するように設計されているため、PS2を模したコントローラの方がプレイしやすいだろう。できれば説明書にPS2版のボタン配置も併記して欲しかったところだ。
ちなみに、本作はすでに制作が発表されているオンラインゲーム「真・三國無双BB(仮称)」のベースになる作品となる。この作品を元に、オンラインの対戦ができるアクションゲームにブラッシュアップされていくのだ。この戦場を複数のプレーヤーと駆けめぐり、刃をかわすというのは、どんなものになるのだろうか? 期待が膨らんでくる。
ちなみに本作は二人同時プレイに対応しているが、その方法は画面分割のみとなっている。動作環境にインターネットへの同時接続環境が必要となっているのだから、オンラインでの協力プレイもフォローして欲しかったところである。
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三国志演義の英雄達。各武将をそれぞれ育成可能である |
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物語を体験できる無双モード |
チャレンジモードではアクションゲームの腕が試される |
画面分割による協力プレイが可能 |
■ 戦況を1人でひっくり返す英雄気分を堪能
「真・三國無双3 ハイパー」は「三国志演義」をテーマにしたアクションゲームである。プレーヤーは魏、呉、蜀の三国から武将を選び、ゲームを進めていく。ゲームが進むごとに武将の能力は増していき、選択できる武将も多くなる。やりこむごとに爽快感は増してくる、長く楽しめるゲームだろう。
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無双乱舞発動! 周囲の敵をなぎ倒す爽快感のある攻撃だ |
戦場には大軍が争う戦場の中で1部隊を率いる武将として参加する。各武将はそれぞれ部隊を率いて戦うが、多くは膠着状態になっている。CPUの操る武将同士は消極的な戦いを繰り返しているだけである。ここにプレーヤーの操る武将が現れると戦況は一変するのだ。プレーヤーが剣を振るえばあっと言う間に敵は蹴散らされ、敵武将は倒れる。プレーヤーは縦横に戦場を駆け回り、次々と敵武将を倒し、戦況を好転させていく。
ステージによっては敵陣深くに切り込んで行くことも可能だが、多数の兵士と複数の武将に狙われると、いくら強いプレーヤーキャラクタでも勝ちが薄くなる。無謀すぎる戦いは避けたいところだ。戦場を見渡し、味方が不利になりそうなところに積極的に介入して自軍の味方を増やしてから、敵本陣へ突撃する。プレーヤーキャラクタがいくら超人的な強さを持っていても、味方の力もそれなりに必要となってくる、かなり大味な味付けながら、ちゃんと軍団に所属していると感じさせるこの感触が、本シリーズの人気の秘密だろう。仲間と共に戦う、この感触を本作はきちんと再現している。
武将の攻撃方法は大別して通常攻撃、チャージ攻撃、無双乱舞の3つがある。チャージ攻撃は通常攻撃やジャンプと組み合わせると周囲の敵をなぎ倒したり、敵1体に大ダメージを与えたりと使いこなすごとに面白くなってくる。
無双乱舞は範囲攻撃で、発動すると派手なエフェクトが入り、周囲に大ダメージを与える。ゲージは敵を攻撃したりダメージを受けることで溜まっていく。かなり速いペースで満タンになるので温存して使い所を考えるという戦略よりも溜まったら即使うという戦い方になるだろう。
特に体力が少ない時に発動する「真・無双乱舞」はエフェクトも一層派手になり、非常にカッコイイ。体力が少ない時はさらにゲージが溜まりやすくなるので、連発できるようになる。硬派なアクションゲーマーにとってはツッコミを入れたくなるようなゲームバランスだが、難局を必殺技の連発で切り抜けるこの感触は自分が強くなった様な興奮を味わえる、「わかりやすい」面白さを表現したゲームであることを感じさせられた。
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こちらはジャンプしてからのチャージ攻撃。各武将の能力を把握しておこう |
馬に乗り、敵を蹴散らす。やや攻撃が当てにくく、操作性に難があるが、爽快感は高い |
象にまで乗ることができる。踏みつけるだけで敵にダメージを与えることが可能だ |
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スタート前のセッティング画面。アイテムなどゲームをやりこむほどに有利になっていく |
武将をひたすら攻撃する。狙った敵に攻撃を当て続けるのは、本作では少々難しい |
可愛いかけ声で敵をなぎ倒していく孫尚香 |
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諸葛亮の無双乱舞はなんと“ビーム”を発射する |
夏候惇は攻撃範囲が広い初心者向けのキャラクタである |
曹操は少し攻撃範囲が狭い。うまく立ち回り的確に攻撃を当てるように心がけたい |
■ 本作ならではのアレンジで「三国志演義」を体験
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圧倒的な強さを見せる呂布。彼に勝つことはできるのだろうか? |
本作はリアルさよりも、ケレン味と爽快感を追求した作品である。この方向はテーマである「三国志演義」へのアレンジにより一層強められる。かわいいかけ声で屈強な男達をなぎ倒す、格闘ゲームの美少女戦士のような孫尚香、何故かトンファーを持ってる孫策、軍師である諸葛亮すら戦場で兵士に向かってその扇をたたきつける。
史実から三国志を読み解こうとしている歴史ファンにとってはびっくりするどころか、呆れてしまうくらい思い切った方向性でデフォルメされている。きらびやかな衣装をまとった美男美女によって演じられるSFXバリバリの「三国志演義」、それが「真・三國無双」の世界である。
本作は思い切ったアレンジを行ないながら、「三国志演義」ならではのエピソードを混ぜ込んであり、ファンをニヤリとさせるだろう。曹操、劉備、孫堅のいずれ中原を争うことになる英雄達が馬を並べて戦う“黄巾賊との戦い”、名場面として名高い“赤壁の戦い”などなど、「三国志演義」の有名エピソードがダイジェストで展開し、三国志への興味をかき立てる。
筆者がお気に入りなのは“虎牢関の戦い”をはじめとしたステージに登場する呂布の圧倒的な強さだ。うまいプレーヤーならば勝てるのかもしれないが、筆者は一騎打ちを挑まれても断り、近付かれれば馬に乗って逃げて他の部隊をぶつけるという非常に勇気のない戦いで彼を釘付けにし、主である董卓の首を狙った。筆者にとって呂布への戦い方は、ただ逃げるだけだった。彼の強さは、戦場では倒せず、計略によってしか倒すことのできなかった「三国志演義」最強の武将をうまくゲームで再現していると感心させられた。
キャラクタの会話などでも物語を思い起こせる演出がうまく入る。物語を知っている人は文章で読んだ戦場が3Dグラフィックスで表現されているという興奮を体験することができるだろう。黄巾賊の首領、張角がおもいっきり妖術を使ったり、劉備の妻となるはずの孫尚香がずっと呉の武将だったり、なによりも諸葛亮の妻月英が美人だったりと詳しい人にとって本作はツッコミどころが満載な部分もあるが、そういったポイントを笑い飛ばしつつ、楽しんでもらいたい。
気軽に楽しめ、やりこむことでさらなる面白さが見えてくる作品である。大軍を向こうに回し、雑兵どもをなぎ倒す。その超絶な強さを体験できる。「三国志演義」をユニークなベクトルで再現し、お気に入りの武将をたっぷりと時間をかけて育て上げることができる。シリーズ最新作のPS2版「4」も捨てがたいが、本作ならではの戦場の表現力にも大きな魅力を感じさせてくれる。
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無双モードで挿入されるムービーシーン |
フリーモードでは史実とは違うキャラクタでの参戦も可能 |
黄巾賊を討伐するために後の英雄達が一堂に会す |
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宛城で奇襲にあった曹操は脱出路を探す |
董卓を狙う連合軍の前に呂布が立ちはだかる虎牢関の戦い |
有名な赤壁の戦い。諸葛亮は風向きを変えることができるだろうか |
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南蛮との戦い。フリーモードならば、本来ここにいないはずの張飛でも挑戦できる |
長坂の戦いでは、逃げる劉備と追う曹操。それぞれでまったくゲームの感触が異なる |
辞典モードではゲームの背景などを詳しく学ぶことができる |
本作に関して、ゲーム性と切り離した部分で少し不満がある。本作はオンラインの常時接続環境が必要となっているのだが、ゲームを起動するごとにまるでMMORPGの様にオンラインで認証をしなくてはならないのだ。これはコピー対策を目的としており、コーエーの姿勢は理解できるが、同社のシステムの場合、仮に何らかの理由で認証サーバーがダウンした場合、完全なスタンドアローンのオフラインでしか楽しめない本作が、オンライン上の処理のためだけにプレイできないと言う非常に奇妙なことになってしまう。
オンライン認証は「Half-life 2」のSteamといったシステムが存在するが、こちらの設定は最初の1度きりである。本作では立ち上げの度に毎回パスワードを要求される。セキュリティーを考えてのこともあるとは思うが、賛成できないシステムだ。コーエーは「信長の野望 革新」でもこのシステムを採用するようだが、それはユーザーのことを考えての決断であるか、もう1度考えてもらいたい。コピー対策のためだけにオフラインゲームにもかかわらず、ユーザーが常時オンラインでいなくてはならないというのは、疑問が残るシステムである。
(C)2003-2005 KOEI Co., Ltd./KOEI NET Co., Ltd. All rights reserved.
【真・三國無双3 ハイパー】
- CPU:Pentium 4 1.6GHz以上(2.6GHz以上推奨)
- メモリ:256MB以上(512MB以上推奨)
- HDD:1.7GB以上
- ビデオカード:VRAM 64MB以上(128MB以上推奨)
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□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「真・三國無双3 ハイパー」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/smusou3/win.htm
□関連情報
【4月4日】コーエー執行役員松原健二氏インタビュー(後編)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050405/koei_02.htm
【4月4日】コーエー執行役員松原健二氏インタビュー(前編)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050404/koei_01.htm
【3月9日】PS2ゲームレビュー「真・三國無双4」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050309/muso.htm
(2004年4月25日)
[Reported by 勝田哲也]
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