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スクウェア・エニックス、「FF XI」1~2月分のアップデートを実施
新エリア「アル・タユ」や「ENMクエスト」等々、今回も盛りだくさんの内容

2月24日 導入



 株式会社スクウェア・エニックスは、2月24日、MMORPG「ファイナルファンタジー XI」(FF XI)のアップデートを実施した。同作のアップデートは2004年12月9日以来、77日ぶりとなる。今回はいつにも増して盛りだくさんの内容で、要点をピックアップしながらざっと紹介していこう。

6人を越える編成でも、ミッション時におけるBCの連戦をしやすくなった。リンクシェルや知人へのヘルプも気軽に行なえるだろう
 既報の記事でも大きな注目を集め、プロマシアミッション最大の山場と噂されていたエリア「アル・タユ」は、新リージョン「ルモリア」と共に今回導入された。アル・タユへ実際に侵入するには、今回のアップデートで導入された、プロマシアミッションの第8章に挑戦する必要がある。本稿の執筆時点で、既にアル・タユへ侵入しているプレーヤーもちらほら見受けられ、新ミッションの難易度は極端に高いということはなさそうだ。ほっと一安心といったところである。

 アル・タユ導入の知らせを受けてプレーヤー間では現在ミッションブームが巻き起こっているが、その難易度の高さに辟易している人も同様に多い。この問題に対しては今までも少しづつ改善策が採られていたが、今回のアップデートにより、BCクリア時の脱出先を複数地点から選べるように変更された。つまり、他メンバーのヘルプといったことが容易になったのだ。6人編成に拘らずに積極的に人数を集められるため、パーティ編成が格段に行ないやすくなったといえよう。総合的に判断すると、現在の「プロミヴォン」をはじめとするプロマシアミッションの序盤は、ゲームバランス的にまったく不具合がない。かつて苦汁をなめた読者も、そろそろ誤解を解いてみてはどうだろうか。

現在のENMクエストは、6人で挑戦するタイプが12種類がある。挑戦時のレベル制限に関しては、30~75の間で4種類の難易度に分けられている
 そしてアル・タユの導入、いや、それと同じくらいの可能性を感じさせる、新たなイベント戦コンテンツが「FF XI」に導入された。その名は、「エンプティーノートリアスモンスター」クエスト、略して「ENMクエスト」という。ENMクエストの舞台は、プロマシアエリアのバトルフィールドである。印章戦のバトルフィールド(BCNM)に比較的似た戦闘がこの地で繰り広げられ、勝利するとアイテムや経験値を得られるというのが主な内容だ。

 ENMクエストは従来のBCNMとは違って、「獣人印章」や「オーブ」を必要とせず、たとえ戦闘不能になっても経験値ロストが無いという点がポイントである。つまりプレーヤーが負うべきリスクが非常に少ないため、例えばレベル差のある知人と気軽に挑戦して、アイテムのみならず経験値をも定期的に狙うことができるのだ。これまで「FF XI」に登場したイベント戦コンテンツのどれとも微妙に異なっており、その魅力や真の狙いなどは、本稿では到底紹介しきれないボリュームがある。ENMクエストについては機会を改めてじっくりと紹介しよう。

ウィンダス港には、新しい釣りシステムについて教えてくれるNPCが追加されている。かなりゲーム性を重視した仕様変更だ
 次に挙げるのは、釣りシステムの大規模な改革だ。どのように変わったのかというと、魚が餌に掛かった時点で、逃げようと水中でもがくようになる。そしてプレーヤーは魚の動きに応じて釣り竿を左右に動かし、体力をじわりじわりと減らしながら釣り上げるといった、ミニゲームの要素が取り入れられているのだ。今回の仕様変更に応じて、魚の「体力」と冒険者の「疲れ」というパラメータが新たに追加されており、かなり奥が深くなった印象である。

 今回釣りシステムが大幅に変更された背景には、無人状態による「寝釣り」問題、ひいてはリアルマネートレード(RMT) への対策が含まれていることは言うまでもないだろう。現在は、プレーヤーがしっかりと画面を見ていなければ魚を釣り上げられないため、寝釣り行為は事実上不可能といえる。さらに追い打ちとして、RMTの資金源のひとつとされていたNPCへの魚の売却価格も、従来の半額に変更された。同社は前回の「FF XI」アップデート時から、対RMTの様々な方針を打ち出してきており、その結果は確実に表れてきている。規約違反者のプレイオンラインからの強制退会処分も、是非とも定期的に行なってもらいたいところだ。

 寝釣り問題が事実上解決の方向に向かった今、次に見るべきは倉庫関連のシステムである。「FF XI」はジョブチェンジシステムや、挑戦時にレベル制限が設けられたコンテンツを多数導入しており、1人のキャラクタが確保すべきアイテムは膨大といえる。その一方で、これらのアイテムを収納するスロット数はまったくといっていい程に足りず、中級者以上の大半のプレーヤーは苦肉の策として、倉庫専用のキャラクタを別に作成しているのが実状だ。とはいえキャラクタ間のアイテム移動にはかなりの手間が掛かり、その結果レベル制限コンテンツの手伝いや、更には合成作業を行ないにくい、といった面に弊害が表れている。言うならば倉庫関連のシステムの不備が、「FF XI」の数多くの魅力的なコンテンツの妨げとなっているのだ。

手持ちのマネキンを、他種族・性別のタイプに交換してくれるサービスも導入。モグハウスの中が華やかになることだろう
 この問題に対しては、調度品の一種である「マネキン」をクエストで入手した冒険者に限り、これを最大で7種類購入できるNPCが新たに追加された。マネキンはExRare属性となっているため、全種族・性別分をあわせると最大8個をモグハウスに設置できる。マネキンの販売価格は単品で25万ギルと相当値が張るものの、仮に8つ集めると48のスロットが増える計算になり、それなりの効果があるだろう。また、それとは別にアーティファクト(計6個)を、「だいじなもの」として梱包してくれるNPCも新たに追加されている。

 この2項目の導入によって、アイテムが倉庫を圧迫する問題は多少改善されている。とはいっても実際にマネキンを購入できるのはハイエンドプレーヤーに限られるため、初~中級者にとっては遠い先の話といえなくもない。またアーティファクトの梱包についても、多くのジョブにとっては一部のパーツは末永く使うことになるため、まとめられては困る人もいるだろう。倉庫システムの問題を根本面から解決するには、例えば同一アカウント内の別キャラクタでもアイテムスロットを共有させたり、モグハウス内からでも宅配送付施設を利用可能といった修正が必要なのではないだろうか。

ジョブバランス関連はFF XIでもっとも慎重さを要する作業である。今回の盾の仕様変更は、まるで針の穴に糸を通すかのような絶妙さを筆者は感じた
 ジョブバランス関連については、「盾」の仕様が修正されたのが大きい。従来は盾の効果発動時に「攻撃をかわす」という仕組みだったが、「被ダメージ減少」となったのだ。また盾の効果発動率も全体的にアップしたため、単位時間あたりの被ダメージ量は、大幅に減ることが予想できる。ナイトと忍者という「FF XI」における2つの盾役ジョブのバランスは、方向性こそまったく異なれど、それぞれの特色がきっちりと活きるのではないだろうか。なお、この修正によって恩恵を受ける他のジョブは、スキルキャップを見る限りでは「ナイト>戦士>白魔道師>シーフ・赤魔道師・獣使い」の順となっている。

 そして、キャラクタのレベルが上限の75に達した後の成長システム「メリットポイント」は、各ジョブの能力に特化する形で大幅に用途が拡大された。例えば「バーサク効果時間アップ(戦士)」や「トリプルアタック発動率アップ(シーフ)」等といった項目が、1ジョブあたり5~7種追加され、キャラクタを成長させる楽しみがさらに増えているのだ。

ジョブの長所をさらに伸ばす形なのがユニーク。必要なポイントを得るには長い時間を要するため、上級者にとっても手応えがあるだろう
 「FF XI」は製品版稼働から3年弱が経過しており、既に多くのプレーヤーがレベルキャップに達している。ゲーム全体のバランスを崩さずに、上級者に対しどのようなコンテンツを提供するかという問題は、円熟期に入ったMMORPGが絶対に避けられない問題の1つだ。安易なレベル上限の拡張は混乱を招くだけであり、さらに「FF XI」の場合はサポートジョブシステムもあるため、非常に取り扱いが難しい問題だと思われる。簡単な例を挙げると、仮にレベル上限が80に拡大され、誰もがサポートジョブの赤魔道師で「コンバート」を扱えるようになった世界を想像してみてほしい。

 かつて「EverQuest」はこの問題に対して、メリットポイントと同系統のシステムを3本目の拡張パック「Shadows of Luclin」以降で導入し、実際に成功した例がある。恐らく「FF XI」のメリットポイントも、今後さらに仕様拡大される可能性は高いだろう。例えば、固有ウェポンスキルや新アビリティの追加といった線は大いに考えられる。メリットポイントは今後の充実が大いに楽しみなシステムだ。

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□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp
□「ファイナルファンタジーXI」の公式ページ
http://www.playonline.com/ff11/home/index.html
□関連情報
ファイナルファンタジー XI連載~ヴァナ・ディール定点観測~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/backno/rensai/ff11ren.htm
【2月10日】スクウェア・エニックス、「FF XI」2月下旬アップデート内容の一部を公開
“失われた神都”「アル・タユ」が遂に秘密のヴェールを脱ぐ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050210/ffup2.htm
【1月19日】スクウェア・エニックス、インテル発表会に「FF XI」をデモ出展
未実装の新エリア“アル・タユ”を初公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050119/altaieu.htm
【2004年12月9日】スクウェア・エニックス、「FF XI」10~12月分のアップデートを実施
RMT問題はゲーム内のシステムを変更することで抑制
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041209/ffup12.htm
【2004年12月1日】スクウェア・エニックス、「FF XI」開発便り10~12月号を公開
業界大手が遂にリアルマネートレード対策へ乗り出す
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041201/ffup12.htm

(2005年2月24日)

[Reported by 川崎 政一郎]


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