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TGS2004ブースレポート~NVIDIA・ATI編~ |
先行してUS版Xboxの製品が国内に出回っていた「Full Spectrum Warrior」は、マイクロソフトブースではXbox版、NVIDIAブースでPC版という具合で、邦訳されたバージョンが初めて公開された。プレイヤーはアメリカ陸軍の訓練教本に沿って動くAIを操作し「無秩序に陥った街」の中を警戒しながら進み、敵中で孤立した味方兵士の救出や町中に潜む敵勢力の掃討などを行なう。プレイヤーが主に操作できるのは4人×2チームの計8人の兵士達、アルファチームで敵を牽制しながらブラボーチームが敵に近づき倒すといった連携の重要さを実感させられるゲームとなっている。展示でプレイできたのはまだ邦訳が終わったばかりのβ版で、ステージ1をメインに楽しむことができた。
実際に筆者も遊んでみたが、TPS(サードパーソンシューティング)のような外見から「WSADキーでチームを前後に動かして、マウスで視点・照準移動かなぁ」と思いつつさわったら全然違った。プレイヤーは動かしたいチームを選択し、マウスで移動したい地点をクリックして指定してチームを動かす。射撃に関しても敵がいそうな一定範囲を指定するだけでAIが自動的に判断して射撃を行なってくれる。一見アクション系かと思いがちなゲーム画面なのだが、その実中身はガチガチのRTSだ。とはいっても、数十数百のユニットをいっぺんに動かさなければならない一般的なRTSと違って動かすのは8人、それもチームリーダー、ミニミ機関銃を持つマシンガン担当、M203装備のM16を持つグレネード担当、そしてライフルマンの4名で構成されたチーム2つだけだ。そのため通常のRTSのように戦略的な視点ではなく、一兵士の思考を頭の中でなぞる必要がある。ちなみに、曲がり角などの多い建物の密集地帯などではどこから敵が出てくるか分からず、「安全確認、よしいくぞ!」とチームを進めた瞬間に撃たれるということを何度か経験した。敵が潜みそうなところはどこなのか、2チームで最低限どこを警戒しながら進むべきなのか、見た目以上に頭を使いそうなゲームだと言えるだろう。
また、客層としてはマイクロソフトブースでXbox版をプレイしたユーザーがPC版を遊びに来たり、ミリタリー好きのユーザーが指名で探しに来たりといった様子で「好き者」にはたまらない引力を持つゲームであることがうかがえる。やはりPC版のゲーム画面の方が美麗という印象が強いようで、Xbox版に比べ大きなアドバンテージとなっているようだ。ちなみにこのXbox版とPC版の間で1回アメリカ陸軍のチェックが入っており、Xbox版とPC版では用語や一部ゲーム内容などに微妙な違いが出ているとのことだ。ただ、惜しむらくは1台しか試遊台しかなかったことだ。個人的には複数出して展示しても惜しくないゲームではないかと思っているので、非常にもったいない。ちなみに展示地点の横にある看板では発売日が11月に決定した点が記載されていた。発売まで後少し、楽しみに待ちたいタイトルの1つだ。
ミリタリー好きにはたまらない引力を持つ「Full Spectrum Warrior」。周囲の声を聞いていると「この壁際でのカバーリングや射撃姿勢が……」という濃い感想も聞こえてきた。ヘビーなミリタリーマニアの目に晒されても十分に耐えられるだけの底力を持っているゲームだと言えそうだ |
完全邦訳が終わり、米アクティビジョンのチェックを経て10月9日に3,980円にて発売されることが決定した第2次世界大戦を舞台にしたFPS「Call of Duty」の拡張パックだ。今回の展示内容は製品同等版のレベルであり、セーブデータを利用して英・米・ソ3国のミッションを体験できるようになっていた。メインで遊んでいたのはPCゲームに注目しているお客さんと言うよりは「戦車に乗って遊べる!」という点に気づいた子供達だったようで、試遊台は子供連れが多かった印象だ。また、コンシューマー機のユーザー達の目から見てもCoD:UDが描く映画のような演出は興味深かったようで、解説の人に説明をしながら遊んでいる人の姿が目についた。
基本的にはシングルプレイを遊ばせていたのだが、戦車戦であるクルスクステージやB17に乗ってメッサーシュミットを打ち落とす英国ミッションなど、ド派手かつ目を引くステージを中心に展示を行なっていた |
ナムコが初めてリリースするPC専用のRTS。プレイヤーはゲームの舞台となる星系に存在する星々を片っ端から占領していき、最終的にはすべての星を占領したプレイヤー(マルチ対戦は最大で8人までとなる)の勝ちとなる。プレイの流れだが、ゲームスタート時点で1つの星しか持たないプレイヤーは、まず近隣の植民可能な星を見つけることが必要だ。そして、植民可能な星を見つけたら、次に移民船を建造して自陣へとその星を組み込む。この流れを繰り返していき自分の領域を広げていくわけだ。当然他プレイヤーと遭遇すれば戦闘になるぞ。ちなみに注目したいのが占領した星々を結ぶ「スターライン」システムだ。New Space Orderでは、占領した星は一定期間に一定量の資源、資金、資材を生み出すのだが、このスターラインによって結ばれている星々では資源、資金、資材という3つのエネルギーリソースを共有することが可能だ。よってプレイヤーはこのスターラインシステムを上手く結ぶように星々を占領していく必要がある。このスターラインの途中にある星が敵に占領されたりしてリンクが途切れた場合、分断された自陣同士でのエネルギーリソースの共有はできなくなる。自陣の勢力を一気に削がれてしまうので、スターラインが複数引けるように意識して星々を占領していく必要がある。
主な戦闘ユニットとしては戦艦(グー)、護衛艦(チョキ)、潜宙艦(パー)の3種類が用意されており、カッコ内の関係を基準として三角関係によるバランスが保たれている。だが、単純にこの関係が適用されるわけでなくユニットには向きによる有利不利も適用されるので、護衛艦に背後から潜宙艦が攻撃を仕掛けると勝つこともあり得るそうだ。内政面に関しては植民惑星の占領→エネルギーソースの生産増加という要素しかないようで、ゲーム性はかなり戦闘面に寄ったものになる。戦闘に勝利するためには、索敵によって敵の星系のつながり方などをつかんでスターラインの接続が弱いところを重点的に狙う必要がありそうだ。ちなみに本タイトルはもともとナムコによるRTSの第1弾として3年前から実験的に開発が始まったもので、当時もっとも隆盛を誇っていたRTS「Age of Empire」シリーズの影響は少なくないようだ。会場では開発者によるデモプレイをデモファイルの形で記録したものを見せる形で展示されていたが、現在ナムコが運営するインターネットカフェ「知・好・楽」の一部店舗にて振れることが可能となっている。
プリレンダリングされた3Dモデルを2Dに落とし込んで表示するという、RTSが2Dから3Dへと移行する過渡期に見られた手法で画面が構成されている。そのためか、画面には少々古くささを感じてしまうのも事実。そういった意味では実際に振れて見たかったのが正直なところだ |
新システム「System N2」を利用した筐体でムービーを流していたカウンターストライクネオ。2005年以降このシステムを利用したタイトルが続々とリリースされる予定となっている。以前から噂されているSourceエンジンを利用したカウンターストライクなどのリリースを期待したいところだ |
現在蒲田や池袋にあるLEDZONEで稼働しているシステムは、Windowsベースで稼働しており、ゲーム中に筐体がフリーズするなどWindows故の問題に晒されることも多かった。しかし、今回専用筐体を開発したことでこれまでのアーケードシステムと同様の使い勝手やメンテナンス性を提供することが可能になりそうだ。これまで、カウンターストライクネオはシステム運営面での負担が大きい点や、Counter-Strikeというルールが複雑なゲームをストレスなく遊んでもらうために補助を行なう店員の教育に時間がかかると言った問題点があった。そのためナムコは気軽に既存のゲームセンターなどに導入できるシステムではなく、まだ一般へ浸透させる時期ではないとして、限定された実験店舗での提供しか行なってこなかった。しかし、今回発表された専用筐体が上手く稼働し始めれば、近い未来に全国どこでもカウンターストライクネオが楽しめるという状況になるのかもしれない。
11月25日に発売が予定されている「The Lord of the Rings: The Battle for Middle earth」だが、こちらは開発進行度60%の東京ゲームショウ特別バージョンを展示。11月に発売されるのは日本語版の予定だが、今回は英語版での発表となった。内容は7月にアメリカで行なわれたEA Campで発表されたものから大きく変わっていない様子で、筆者はサウロン軍でプレイできるアイゼンガードマップを遊ぶことができた。セーブ&ロードを行なうと調子が悪くなったりVideoオプションを変更するとフリーズするということで、満足に遊ぶということができる状態ではなかったのは残念だったが、戦闘面でのシステムに問題は感じられなかった。ちなみに筆者はマップ中央の河を渡河してこちらに向かってこようとする敵兵達を、弓兵と歩兵の混成軍を正面において引きつけ、横から騎馬兵に突っ込ませて蹂躙するといった遊び方をすることができた。
実際に遊んでみた感想としては、従来のRTSに比べ、歩兵に対して騎馬兵を突っ込ませると大量の歩兵がいようと片っ端からなぎ倒していくが投げ槍をもった兵に対して突っ込ませると逆に一方的に狩られるといったユニット間の有利不利がはっきりしているようで、戦略やユニットの配置などを十分に考えないと一方的にやられてしまうことが多い。実際にプレイする際はそこら辺に注意しなければならないだろう。
米粒のような小ささから、Warcraft3のような大きさまでグリグリとズームできるゲーム画面。キャラクター1体1体の芸も非常に細かく、見ているだけでも楽しいゲームになりそうだ |
11月11日に発売予定のMedal of Honorシリーズの最新作である「Medal of Honor: Pacific Assault」や、すでに発売されている「ザ・シムズ2」なども展示されていた |
また、最新のグラフィックエンジンによるジャングルなどの表現も秀逸で、熱帯植物が生い茂るジャングルの中では敵の姿がまったく見えず、一方的にこちらが撃たれると言った状況に追い込まれることもあった。そして特に注目したいのがこれまでメディキットによる体力回復だったシステムがメディックによる体力回復に変わっている点だ。体力が0になって倒れる、もしくはやばい状態になった場合、プレイヤーはメディックを呼んで治療を行なうことができる。このメディックの治療、回数制限はあるもののプレイヤーを「メディキットの位置を記憶する」という行為から解放しており、パターン化された攻略ではなくその場その場にあわせた動きで遊べるのはうれしい点だ。ちなみに体力を失って倒れた場合、メディックが来る前に敵兵にとどめを刺されるとその場でゲームオーバーというのもおもしろいシステムであった。
ブースでは、ベンチマークに出演しているNaluをモチーフとしたコンパニオンさんが資料を配っていた |
ATIの担当者はキャンセルされた原因に対しては明確な返答をくれなかったが、Half-Life2の発売やリリース時期に関しては複雑な裏事情がある。2001年に開発元であるValve softwareとVivendi Universal Gamesの間で「リリース候補バージョンになり、ソースコードが渡されたゲームに関してはVUG側が6カ月のソースコード調整期間を持つ」という合意が為されている。一方でValveは9月中旬に「Half-Life 2」のリリース候補のソースコードをVUGに渡したことを発表しており、またValveが提供するゲームランチャーソフト「Steam」を経由して、オンラインでの「Half-Life 2」のゲームデータ配布をすでに始めている(このプログラムはValveからSteam経由で制限解除の信号が送られて初めて遊ぶことが可能になる)。評価用とはいえゴールド版相当するレベルのソースコードがVUGに渡されたことを知っており、なおかつすでにSteam経由での配信が始まっている以上、ユーザー側のプレッシャーはパブリッシャーであるVUG側にのしかかってくることになる。
しかし、現実問題としてVUG側としてはSteam経由での販売とパッケージ版の販売時期をそろえたい、もしくはパッケージ版を先にリリースしたいのが本音だろう。一方Valve側としてはSteamを経由して「Half-Life 2」を販売したいというのが本音。VUG側の判断次第では6カ月以上販売が伸びる(ソースの調整とはいえ)可能性もある。「Half-Life 2」が完成に近づき、こういったValveとVUG間の政治的な問題が浮上している時期に東京ゲームショウでの展示が突然キャンセルされるというのも無理もない話といえる。
Counter-Strikeユーザーとおぼしきお客がいっぱい群がっていた「CS: Source」。すでにβ版が始まっているとはいえ、未経験者にとっては興味津々のコンテンツだったようだ |
Counter-Strikeユーザーとおぼしきお客がいっぱい群がっていた「CS: Source」。すでにβ版が始まっているとはいえ、未経験者にとっては興味津々のコンテンツだったようだ |
ちなみに展示内容は3章あるシングルミッションの中から1章分を遊ぶことができるスペシャルバージョン。まだバックグラウンドでデバックプログラムが稼働中のバージョンと言うことだったが、表示面等での重さなどはあまり感じられなかった。さて、実際に遊んでみるとプログラマブルシェーダー2.0を使った事による陰影表現や、森の木々の細かさ、キャラクターの書き込みなどゲーム画面の面で驚かされることが多い。詳しいゲーム内容に関しては、別途制作者であるChris Taylor氏のインタビュー等をごらんいただきたい。
(2004年9月26日)
[Reported by tyokuta@ukeru.net]
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