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Cyberathlete Professional League開幕
ゲームをとことん楽しむ“ヘビーゲーマー”達の祭典

7月27日~8月1日開催(現地時間)

会場:GAYLORD TEXAN RESORT & CONVENTION CENTER

 「PLAY HARD. GO PRO.(真剣にプレイしろ、そしてプロになれ)」を合言葉に、PCゲームを使った対戦を「e-Sports」と呼ばれるプロフェッショナルなレベルに引き上げることを目的としたゲームイベント「Cyberathlete Professional League(CPL)」の2004年夏季大会「Cyberathlete Extreme Wolrd Championship(CPL2004Summer)」が、アメリカはテキサス州ダラスのリゾートホテル「GAYLORD TEXAN RESORT & CONVENTION CENTER」にて、現地時間の7月28日よりスタートした。

 CPL2004Summerの会場は「自分のPCを持ち込んで、世界中から集まったPCゲーム好きとLAN経由で、イベントの間中ゲームを遊びまくろう」というBYOC(Bring Your Own PC)エリアと、お題とされるゲームでの腕を競うトーナメントエリアで構成されている。トーナメントエリアでは、世界55カ国1,500名という規模で行なわれた世界予選を勝ち抜いた招待チームと現地で登録を行なった参加チームによるトーナメントが行なわれる。このトーナメントは毎回の大会によってお題となるゲームが変わるシステムになっており、今回は「Unreal Tournament 2004」、「Painkiller」、「Counter-Strike」、「Call of Duty」、「Halo PC」の5ゲームのトーナメントが行なわれる。

 これより8月1日まで、参加者達はBYOCエリアで日頃オンラインでしか会えない仲間達とLAN環境でゲームを遊び倒し、トーナメントエリアでは総額275,000ドル(約3,000万円)という賞金と「世界ナンバーワン」という名誉をかけて戦うことになる。弊誌ではこのCPLの模様を数回に分けてお伝えしていくつもりだ。まずはCPL前日の模様からお伝えしていこう。

会場はホテルとコンベンションセンター、各種リゾート施設が一緒になった複合施設。メインゲートから、ホテルエントランスにまで行くのに、車で数分を要するというほどの広さだ


■ “ヘビーゲーマー”達の祭典と化したコンベンションホール

 さて、先ほどCPL2004Summerの会場はBYOCエリアとトーナメントエリアに分かれると書いた。この2つのエリアは、まさしくヘビーゲーマーのためのエリアだがその性格はまったく逆の雰囲気を持っている。

 BYOCエリアのBYOCという単語は、Bring Your Own PCの頭文字を取ったもので、文字通り「自分のPCを持ち込み、LAN環境で遊ぶ」ためのエリアだ。幕張メッセや東京ビッグサイトの1ホールと同じ広さのホールにはびっしりとPCが並んでおり、どのPCでもゲームが動いているというのはちょっとしたカルチャーショックを受ける光景だ。

 そこで稼働しているゲームは、今回の種目である5タイトルに加えて「Quake III」や「Half-Life」のMODである「Natural Selection」、「Starcraft」など。そのどれもがLAN経由で誰かと対戦している最中で「ここに来ればどんなゲームでも仲間を見つけることができるのではないだろうか」と思わせてくれた。

 そして、このエリアではこれまでオンライン上でしか会えなかったゲーマー同士がLANという環境で出会えたということもあって、言葉が通じなくてもゲームという共通言語を使ってわきあいあいと遊んでいる。日頃会えないゲーム仲間に会い、強いと言われているプレーヤーと言葉を交わし、ゲームを介して語り合う、そんな「心底ゲームが好き」な人々が集まるエリアと言えるだろう。

参加者達は、アメリカやカナダなど北米を中心にPCをもってCPLに参加してくる。多くは自分の車に積み込んで陸路で持ってくるようだ

スッカラカンのBYOCエリアに参加者達がなだれ込み、そこがPCで埋まっていくのはまさに壮観の一言。夜になって会場のあかりが落とされると、さらに幻想的な雰囲気を醸し出す。1000台のPCが同時に稼働している姿というのは壮観だ

大会が始まる前のトーナメントエリア。柵で区切られ、選手の近くにギャラリーがこないように配慮されている
 その一方、トーナメントエリアはBYOCにただよう「なんでもあり、わきあいあい、とにかく遊べ」という雰囲気はいっさい感じられない。BYOCエリアの1/4ほどの広さに、オフィシャルで整えられたPCが数百台ならび、そこでは今日という日にあわせて、一定期間練習に練習を重ねてきたヘビーゲーマー達が、その技術を思う存分発揮して真剣な面持ちでゲームをしている。トーナメントエリアは選手と審判、そしてマスコミ以外の人が入場することは認められておらず、純粋に「競技として」ゲームをするために作られたエリアだ。

 さて、BYOCエリアやトーナメントエリア以外にも、CPLの会場にはスポンサーエリアと呼ばれるゲーム関連企業のブースが集まったエリアがあり、CPLというイベントに集まったゲーマー達の目を楽しませている。

 ぱっと目についた範囲で興味深い展示をしていたのがNVIDIAブースだ。ヘビーゲーマーからの支持を取り付け「ゲームならGeForce」という雰囲気を作りたいNVIDIAは、GSC GameWorldの「S.T.A.L.K.E.R.」を初めとした技術協力をしているゲームをデモンストレーションしていたほか、先日発表されたSLIを使ってGeForce 6800 Ultraを2枚連動させた技術デモ、GeForce 6800 Ultraを導入した30台ほどのPCを設置してミニ大会を開き、ゲーマー達にGeForce 6800 Ultraの優位性をアピールしていた。

 また、IntelはCPLのメインステージを含む一帯をブースとしてスポンサードしており、Centrinoテクノロジを使ったノートPCと無線LANを提供して、参加者達がステージを楽しみながら大会の進行状況などの情報を得ることができるような仕掛けをしていた。また、Medal of Honarシリーズの最新作である「Pacific Assault」なども展示されていた。

NVIDIAブースの展示風景。20台のPCを使ったミニイベントでは、Tシャツなどを初めとしたグッズなどが勝者に贈られていた

Intelがスポンサードするメインステージ上では、CPLの直前に行なわれたトーナメントの入賞者達に向けて、Intel Pentium4が送られていた。また、このステージではコンサートなども行なわれている

 会場ではNVIDIAとIntel以外にも台湾のマザーボードメーカーであるMSIやABIT、チップセットメーカーであるVIA、サウンドカードメーカーであるクリエイティブなど、PCパーツに関わるハードメーカーが軒並みブースを出展していた。その中でも特に大きなブースを出していたのが日立で、ゲーマー向けに自社のHDDを使ったPCを用意してゲームを遊んでもらい、激しくHDDにアクセスするPCゲームにおいても自社のHDDはストレスなく動いていることを体感してもらっていた。

 余談だがCPLの1週間ほど後に開かれるid Software主催のイベント「QuakeCon」では、CPLとは逆に、CPUはAMD、ビデオカードはATIという形でスポンサーが付いており、互いに対抗しあっている構図はおもしろい。これも高いスペックを要求するPCゲームを熱心に遊ぶゲーマーがハードの買い換えに金を惜しまないことをハードメーカーが知っているからであろう。

マイク付きヘッドセットのメーカーであるPrantronicsは、Counter-Strikeのようなゲーム中でボイスチャットを使うゲームのユーザーに向けて、製品を展示していた。また、台湾のマザーボードメーカーであるMSIは、Pentium4用のPCI Express搭載マザーボードをメインに展示していた

日立のブースでは、同社の400GBのHDDを使ったPCでゲームを遊ばせていたほか、車にPCを埋め込んで「Need for Speed Underground」を遊ばせるデモンストレーションを行なっていた。これは、車のような振動の多い環境でも日立のHDDは完全に動作しますよということをアピールしているのだろう。操作はワイヤレスのパッドなどで行なうようだ


■ 約10日間の“ブートキャンプ”をくぐり抜け、さらに強化されたFour Dimension

会場に向かう4DNのチームメンバー。左から3番目は総監督を務めるAce Gamer.netの犬飼氏
 さて、「Counter-Strike」の日本代表であるFour Dimension(4DN)は、CPL2004Summerが開かれる約10日前に現地に乗り込み「ブートキャンプ」を行なって大会に臨んでいる。“ブートキャンプ”とは、CPLやESWC(Erectornic Sports World Cup)といったe-Sportsの大会前に行なわれる強化合宿の事をさす。大会に参加する予定のチーム同士が一所に集まってぶっ続けでゲームをプレイし、それまでオンラインで練習をしていたチームメイトが顔を合わせてLAN環境でのイベント前調整を行なうのだ。

 LANとオンラインを比べると、世界トップレベルの世界ではパケットのラグによってキャラクタの表示や照準などの感覚が大きく変わる(ゲームにより程度の差こそあれ、感覚が変わるのはすべてのゲームに共通する)ため、LANで行なわれる大会に参加する場合はチームメイトが一堂に集まりこういった合宿を行なうのが通例となっている。今回、大会までの約10日間のブートキャンプを行なうために、4DNのメンバーは7月15日にダラス入りしている。

 Four DimensionのXrayN選手によると、約10日間のブートキャンプは新しい発見の連続だったようだ。CPL2004夏季大会日本予選をぶっちぎりの強さで勝ち抜き、日本国内のユーザー主催の大会では敵なしの4DNだったが、アメリカやブラジルのトップチームが集合するブートキャンプに参加して練習試合をしたところ、日本で文句なしの技量を持っているにもかかわらず13-0(CPLなどの大会では13ポイントを先取すると勝利となる)というスコアで子供扱いをされてしまったそうだ。

 通常、海外に来てこういったカウンターパンチをもらうとたいてい萎縮してしまうものだが、4DNの場合は違った。一緒にブートキャンプを行なっているアメリカのRivalというチームにXrayN選手の知り合いがいたため、彼らにアドバイスをもらって徹底的に練習に励んだそうだ。指摘された問題点の中で大きなものは以下のような内容だったそうだ。

・投げものを食らったら投げもので返せ

 世界レベルともなると、目つぶしであるFB(FlashBang)の投げ込み方が全然違ってくる。同じ3個のFBを投げるにしても1個ずつ投げる位置や角度(どう避けてもFBの効果が発生するように)、タイミング(投げ込まれたFBをよけたところへもう1個投げ込めるように)、すべてが計算されて投げ込まれる。これによって、互いの死角をカバーリングしながら進んでいる敵複数名を一気に無力化するわけだ。

 しかし、これらのFBをただ素直に食らってしまっては、一方的に撃たれるだけになってしまうので、ここで投げもので返すということが重要になってくるそうだ。FBを投げ込まれて食らってしまっても、こちらもFBを投げ返す。これによってFBが効いていることを前提で突っ込んでくる敵に対して、FBをカウンターで効かせることができ、場の状態を投げ込まれる前の状態まで仕切り直すことができるというわけだ。

・フェイク(騙し)の改善

 「Counter-Strike」では爆弾を設置する箇所が2カ所マップ中に用意されているため、爆弾設置を防がなくてはならない特殊部隊側は、戦力をあえて分散させるシフトをとって各爆弾設置場所を守らなければならない。そのため、テロリスト側がどちらの設置場所を攻めるかはっきりした時点で、特殊部隊側はシフトを解いて全力でテロリストに対抗することになる。この“テロリストがどちらの設置地点を攻めるか”という判断の部分でフェイクが入る余地があるわけだ。

 これまで日本におけるCounter-Strikeの試合では、フェイクをするにしても銃を撃ったり投げもの(グレネードやFBなど)を物陰から投げ込んだりして音で威嚇することが多かった。しかし、世界のレベルだとそれでは通用しないのだ。世界のレベルでは、フェイクを仕掛けるにしても掛ける側の人間が姿を見せて隙あらば相手を倒す位の勢いでフェイクを仕掛ける必要があるのだ。

 また、日本ではラウンド単位の概念だったフェイクは、"2ラウンド前に成功したラッシュ(全員で一気に攻め込むこと)と同じように攻め込んでおき、あえて途中で方向を変えて別の設置場所へ向かう"といった具合に、フェイクも試合全体を通して仕掛けるようにする必要があるというわけだ。

 これ以外にも細かい問題点はあったわけだが、4DNはどの問題も解決できるまで徹底的に考えて意見を出し練習を行なった。その甲斐あってか、約10日間のブートキャンプを終了した時点で「自分たちは強くなった」という自信がついたそうだ。そして、ブートキャンプも終わりに近づき、各チームがCPL2004 Summerへ向けての締めくくりとして参加する大会「Pre-CPL LAN Tournament」に参加した4DNは、初日にワンサイドゲームで倒されたチームを含む16チームによるダブルイルミネーショントーナメントを堂々と勝ち抜き4位という栄冠を得た。これにより4DNはCPL2004Summerに参加するチーム達から、日本というFPS後進国からきたチームではなく、ライバルの1チームとして見られるようになったわけだ。


■ 世界レベルの猛者達とのガチンコ勝負は今日から!

 この原稿を書いている時点で、CPLは2日目に突入している。昨日の初日は本戦トーナメントの予選が実施されており、選手の多くはBYOCエリアで今日からの本戦トーナメントに向けた調整を行なっている。和気藹々としているBYOCエリアも、そこかしこで空気の張った緊張感をもって練習試合をしているチームが見受けられる。4DNもブートキャンプでの前評判などから海外の強豪チームから練習試合を申し込まれており、練習試合の背後では多くのギャラリーがのぞき込むという状況になっている。

 4DNは日本予選を勝ち抜いていると言うこともあって、本格的な試合は2日目からになる。現地での下馬評では今回のCPLではダークホース的という評判の同チームだが、これまでの日本代表を1回戦でことごとく屠ってきたCPLのトーナメントで、どのような戦いぶりを見せてくれるのかが楽しみだ。

有名プレーヤー達が練習試合を始めると、どこからか口コミも手伝って多くのギャラリーが背後に立つ。大会で当たるであろうチームの戦術や戦略などを情報収集するという意味合いに加えて、あこがれのプレーヤーのプレイを間近で視たいという思いもあるのだろう

□CPL2004Summerのホームページ(日本語)
http://www.acegamer.net/cpl/2004summer/
□CPL2004Summerのホームページ(英語)
http://www.thecpl.com/league/
□関連情報
【6月29日】CPL2004 夏季大会日本予選観戦レポート
優勝はチーム力と個人技能の両輪を磨き上げた4DN
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040629/cplsum.htm
【6月25日】短期集中連載:CPL 2004 夏季大会の楽しみかた
CPLの概要とCSの観戦方法、マップの見所などを一気に紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040625/cplpre.htm

(2004年8月2日)

[Reported by tyokuta@ukeru.net]


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