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Vivendi、「Warcraft III: The Frozen Throne」発表会を開催
ビル・ローパー氏、アドオンの魅力を大いに語る

3月6日開催



 米Vivendi Universal Gameのアジア方面を統括しているVivendi Universal Game Asia Pacificは、3月6日、都内で記者発表会を開催した。発表会の内容は、Vivendi傘下デベロッパーのBlizzard Entertainmentが今年1月に正式発表した最新作「Warcraft III: The Frozen Throne」に関するもので、Blizzard副社長ビル・ローパー氏自らデモンストレーションを行なってくれた。

プロジェクタに写っているのは「Warcraft III: The Frozen Throne」β版のタイトル画面だ
これも新しいタイルセット「Ice Crown」。雪原とダンジョンで構成される
序盤から使えて比較的高い効果を持つBlood Mageの「Flame Strike」
Shadow Hunterの「Healing Wave」。回復手段の少ないオーク種族にとっては重宝しそうなヒーローだ
中央でナイフの束をオークに向けて投げているのがWarden。このあと後ろにBlinkで離脱する
防御の薄いナイトエルフ陣営待望の盾ユニットMountain Giant。とにかくでかい
ニュートラルヒーローのひとりPandaren Brewmaster。画面は酒を飲んで口から豪快に炎をはく「Breath of Fire」を使っているシーン
Vivendi Universal Game Asia Pacific日本支部代表藤野氏。現在スタッフはAsia Pacific全体で40名ほどだという
 「Warcraft III: The Frozen Throne」は、Blizzardの人気シリーズ最新作「Warcraft III: Reign of Chaos」に新たな内容を追加するアドオンソフト。「Warcraft III: Reign of Chaos」は、2002年7月の発売以来、北米や韓国を中心に全世界で200万本を売り上げ、RTS界売り上げトップの地位を堅守している。

 日本で「Warcraft III: Reign of Chaos」は、カプコンが1月31日に日本語版を発売したばかりで、1カ月後にアドオンの発表会とはいささか短兵急過ぎる印象もあるが、今回の新作発表会は表向きカプコンは無関係で、Vivendi Universalの主催で行なわれたものだ。このため、発表会では日本での取り扱いについての話はまったく出なかった。とはいえ、今回の発表会でもカプコンの同作プロデューサー以下、スタッフのほとんどが出席しており、また実際、ローカライズに関するノウハウも豊富に有していることなどから、よほどの事がない限り、日本でカプコンがアドオンを取り扱うのは確実と見られる。

 ちなみに、Vivendi Universal Game Asia Pacificは、現時点ではまだ株式登記された正式な子会社ではなく、日本、上海、香港、台湾などの出先支部を総称した名称。現地で発売が確定している、もしくは確実視されるタイトルに関して、本社と契約先との橋渡しが主な仕事内容で、同社自体が直接現地で自社タイトルの販売を行なうということはないようだ。

 さて、発表会は、ビル・ローパー氏がノートPCで実演しつつ、適時解説を加えていくというスタイルで進められた。彼が使用しているクライアントは、今週末から全世界でスタートするβテスト用のクライアントではなく、オフラインプレイの可能な特別バージョン。

 ひととおり見た印象では、グラフィックやサウンド、新要素の実装など、表向きの仕様はほぼ完成状態に近いようで、本編同様の雰囲気できびきび動作していた。あとはβテストで、細かいバランス調整を加えるだけといった感じだ。もっとも、このバランス調整に時間が掛かるのが同作のオンラインタイトルの特徴であり、「今夏」という発売予定はあくまで暫定的なものでしかない。

 彼のデモは、新しいタイルセット(マップタイプ)の紹介からスタートした。アドオンでは3つのタイルセットが追加され、これらのタイルセットを使ったマップが多数収録される。今回デモされたのはそのうちのひとつである「Sunken Ruins」。

 Sunken Ruinsは水域を主体にした島嶼型マップで、飛行ユニット中心の前哨戦、ボートを使った上陸作戦や、上げ下げ可能な橋の存在、水域を渡れるスペシャルアイテムといった要素を合わせて実装することで、従来以上のタクティカルな戦闘が楽しめるところが特徴。

 続いて、アドオンの最大の楽しみといえる新ヒーローの紹介が行なわれた。今回、新ヒーローは各種族に1体ずつ、そして全種族が任意で雇えるニュートラルヒーローが全5体。計9体の新ヒーローが追加される。

 最初にお目見えしたのは、ヒューマンの新ヒーローBlood Mage。Blood Mageは、歩行系の遠距離攻撃を得意としたスペルキャスターで、アビリティはサークル内に複数の火柱を撃ち込む「Flame Strike」、受けたスペル攻撃分のマナを吸収する「Mana Shield」、一定時間、対象(敵味方問わず)の攻撃能力を無効化する代わりに完全無敵にする「Banish」、そして究極アビリティがフェニックス召喚の4つ。彼の強みはなんといってもBanishで、相性の悪いヒーローを一時的に無力化したり、瀕死の味方ヒーローを安全に戦場から離脱させたりといったことが可能になる。

 アンデッドのヒーローはCrypt Lord。既存昆虫ユニットCryptの親玉的存在で、高いHPと物理攻撃能力を持つ大型ユニットだ。アビリティは敵を空中に突き上げて気絶させる技や死体からCryptを生み出す技などが確認できた。究極アビリティは、ハエのような生物をはき出し、周囲の敵をブンブン攻撃するというもので、その姿は「Starcraft」におけるプロトスの飛行空母キャリアーのインターセプター攻撃を彷彿とさせる。重戦車のような活躍が期待できるヒーローだ。

 オークの新ヒーローShadow Hunterは、力押しの戦術を得意とするオークとしては珍しく一騎当千タイプではなく、前線支援タイプのヒーローだ。中でも有力なアビリティは味方ユニットへの回復能力で、しかもFar SeerのChain Lightinigのように、効果が次々にバウンドして複数の味方を同時に回復することができる。究極アビリティは、周囲の味方を防護のオーラで包みこむというVoodoo。この間、彼が動くとその効果が解ける仕組みで、使い方によっては驚異的な粘りを持つ軍団が編成できそうだ。

 そして今回、個人的にもっともBlizzardらしいヒーローだと感心しきりだったのが、ナイトエルフの新ヒーローWarden。Wardenとは森の神ではなく、Kalimdorの総督の意で、対ヒーロー戦に特化したカウンターアビリティの数々が素晴らしい。見た目効果ともに抜群なのが、任意の位置にテレポートするBlinkアビリティ。これを使うことで敵との距離を自由にとったり、敵の攻撃を受けずにいきなり目の間に踏み込むことができる。

 デモでは、扇状に配置された雑魚モンスターに対して、扇状にナイフを投げつけるアビリティを使用し、全員が攻め掛かってきたところを、敵の真後ろにテレポートし、再度ナイフ投げを実行し、無傷で敵5、6体を全滅させていた。ゲームジャンルは異なるが「ウルティマオンライン」で、ボックス狙いで攻め掛かってくるHigh DEX戦士数騎をテレポリングで翻弄しつつ、縦横にスペルキャストする魔法使いを見るようで、ひどく印象に残った。ちなみに究極アビリティは、戦況に応じて能力を換えるシャドウを召喚する能力。自勢力が敗勢なほど能力が高くなり、その強さは戦況を一変する可能性を秘めているという。

 Wardenは戦術によっては対戦時に無限のパワーを発揮しそうなヒーローだと感じ、さすがBlizzardだと感心しつつも、その一方で、RTSの局地戦をここまでテクニカルにしていいのかという不安も覚えた。同氏は「本編は難しいという声が多かったので、アドオンでは初心者も意識した改良を施した」と語り、その具体例として、建物の連続建設機能やウェイポイント指定機能の追加を挙げたが、もしこれをもって本気で初心者対策を施したと捉えているのなら、同氏は「難しい」という評価の本質がわかっていないか、あえて無視しているかのいずれかだろう。アドオンは確実にRTS上級者向けの内容になりつつあるというのが、デモを見ての筆者の正直な感想だ。

 ところで、気になるシングルプレイキャンペーンは、ヒューマン、アンデッド、ナイトエルフの3陣営が「Frozen Throne」を求めて再び争いを開始するThe Frozen Throneキャンペーンと、オークの首領スロールのその後を描いたオークキャンペーンの2本立てだという。同氏によれば完全新作のつもりで開発に取り組んでいるという。プレイする日が楽しみだ。

 なお、発表会の最後に、昨年のWCG 2002(韓国が主催するPCゲームの世界大会)の「Age of Empires II」部門で個人優勝を果たしたHALEN氏が激励に駆けつけた。いまや彼は国内のRTS関連のイベントではひっぱりだこの存在だが、今回はWCG 2003に「Warcraft III」が正式種目として決定した絡みで出席したようだ。司会進行役の「今年のWCGは『Warcraft III』に出場しますか?」という、聞いてるプレスのほうがドキッとさせられる質問に対して、彼はうまく答えをかわしていた。彼の選択はもはや業界における政治的要素のひとつになっているようだ。

絶えず上機嫌だったビル・ローパー氏。HALEN氏が「Age of Mythology」と「Warcraft III」とどちらで出場するのか気になるところだ

グラフィックエンジン、サウンドなどは、本編とまったく同質。プレイスタイルも変わっていない。しかし、ヒーローやユニットのバリエーションが増えたことで、頭にたたき込んでおくべき知識はさらに広がった

(C) 2003 Blizzard Entertainment. All rights reserved.

□Blizzard Entertainmentのホームページ(英文)
http://www.blizzard.com/
□「Warcraft III: The Frozen Throne」のホームページ(英文)
http://www.blizzard.com/war3x/
□関連情報
【2003年2月17日】Blizzard、「Warcraft III: The Frozen Throne」のβ募集を開始
全世界1万人規模で実施されるBattle.net Beta Test
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030217/bli.htm
【2003年1月23日】Blizzard、「Warcraft III: The Frozen Throne」を発表
最終章の追加、中立のヒーローなど新要素満載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030123/war3tft.htm
【2002年7月22日】PCゲームレビュー「Warcraft III: Reign of Chaos」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020712/war3.htm
【2002年12月3日】「Warcraft III: Reign of Chaos」Playable Demo
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021203/demo1203.htm

(2003年3月6日)

[Reported by 中村聖司]


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ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

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