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Eidos UKレポート英Eidosの開発トップDavid Roseインタビュー |
言うまでもなく報道陣はまったくお呼びではない社内限定イベントだが、タイトル担当者が彼らに対して説明に訪れるレアな機会でもある。というわけで、Eidos本社で2003年タイトルのプロデューサーに集中的にインタビューを行なったので順を追ってご紹介していきたい。
インタビュー1本目は、Core DesignやIon Stormといった傘下デベロッパーの全タイトルの制作を統括するDavid Rose氏に2003年のストラテジーを聞いた。以降、「Republic: The Revolution」のクリエイターDemis Hassabis氏、「Time Splitter 2」のクリエイターDavid Doak氏、「Pretorians」のプロデューサーMichael Souto氏と続いていく。
なお、David Rose氏は、開発のトップとはいえ、開発そのものに直接タッチしているわけではないので、多少表現にあいまいな部分があることをあらかじめご了解頂きたい。また、最も注目となる「Tomb Raider: The Angel of Darkness」に関する情報は追ってお伝えする。
■ 2003年のEidos Interactiveはどうなる!?
編集部(以下、編) 2002年のEidosは粒ぞろいでしたが、業界全体としては少しおとなしい印象がありました。2003年はどうなりますか?
David Rose(以下、D) 今年のEidosは強い。過去のEidosは「Tomb Raider: The Angel of Darkness」と「Championship Manger」という2本のシリーズもので引っ張ってきたが、今年からはそれが5本になる。
編 なるほど。残りの3本は何ですか?
D 「Hitman」と「Time Splitter」、そして「Deus EX」だ。今後は従来のタイトルも含めこれらの新作を定期的にリリースしていくことになるはずだ。
■ さらに深く、万人向けになったSFアクション「Deus Ex 2: Invisible War」
Warren Spector率いるIon Storm久々の新作SFアクション「Deus Ex 2: Invisible War」 |
D 現在αぐらいの段階だ。レベルの環境作りやゲームバランスの調整を行なっている。来月には具体的な情報が出せるようになるだろう。E3とCOMDEXで完成に近いバージョンを出展する予定だ。
編 発売時期はいつ?
D 今年の6月だ。
編 前作との関連性はどのようになっているのでしょうか?
D 舞台設定は同じだ。ただ、グラフィックは大幅に強化している。ダイナミックオブジェクト、ダイナミックライティングなど、見た目はまるで別のゲームのように映るだろう。ストーリーについても当然関連性があるが、細部についてはWarren Spectorに一任しているので、ここで話すことはできない。プレイしてのお楽しみだ。いずれにしても、前作と同じようにアクション要素あり、RPG要素あり、そして高度な知的作業を要求される彼らしい作品になるはずだ。
編 北米では映画化が決定したようですが、映画との関連性は?
D 「Deus EX」の映画化はちょうど「Tomb Raider」と同じような状況で、ゲームと映画を同時にリリースすることによる相乗効果を期待して決定されたものだが、我々としてはゲームと映画はまったく別のものという認識がある。素材は同じだが、プレイにより受ける印象は異なるだろう。
編 ちなみに前作のトータルの販売本数と、今回の目標販売本数はどれぐらいでしょうか。
D 前作はPC版とPS2版を合わせて85万本ぐらい売れた。今回は特に期待している。さっきいったように「Deus EX」シリーズはフランチャイズ展開を考えている重要なタイトルなので最低ミリオンはいきたい。
編 なるほど。同シリーズが素晴らしい作品なのは理解しているのですが、ややハードコア寄りで、日本での感覚からするとシリーズ化する理由がわかりにくいところがあります。同シリーズをフランチャイズすると決めた理由はどのあたりにありますか?
D それはやはりストーリーの深さだろう。単にガンアクションだけでなく、謎解き、パズル要素など、プレイしながら頭を使うシーンが多く、それを乗り越えて展開されるストーリーが多くのユーザーの支持を集めていると考えている。
編 それでは“2”ではさらにストーリー性を高めつつ、高度な知性とアクションを要求されるゲームに仕上がると考えていい?
D そのとおり。ただ、純粋にゲームに難易度に関しては前作よりは易しくしてある。もちろん、ゲームとしての深さは変えないつもりだ。というのは、前作は難しすぎて最後までたどり着ける人が少なかった反省があるから、今回はグッと間口を広げて誰でも深いゲーム世界を堪能できるようにしたいためだ。たとえば、「Hitman 2」ではEidosではじめて一般ユーザーのテスターを導入して、インターフェイスや難易度に関して徹底的にリサーチを行なった。発売の際にそこから非常に大きい効果を生み出せたので、今回も同様のリサーチを行なうつもりだ。
編 なるほど。私自身は前作をプレイして、アビリティ関連のルールがごちゃごちゃしていてわかりにくかった印象があります。この辺は今回どうなっているのでしょう?
D このあたりのインターフェイスも大幅に変わっている。システムは簡略化し、誰でも理解しやすい内容に改良にした。このあたりもテスターからのリサーチを参考にしている。
編 発売プラットフォームは最終的に何に決まったのでしょうか
D PC版は決定している。コンソールは状況を見ている段階だ。コンソール市場は重要なので発売したいところだが、果たしてPC版と同じグレードのグラフィックが維持できるかどうかわからない。ただし、発売しないということはない。コンソールはインターフェイスがPCよりも格段に優れているし、アクションファンはコンソールをメインに移している。タイミングと開発の問題だ
編 いまの質問と若干かぶりますが、PC版はグラフィックが非常に綺麗ですが、最終的な必要スペックはどの程度を想定していますか?
D やはり前作よりは高くなるが、ハイエンドマシンでしか動作しないということはない。PCゲーマーが現在所有しているマシンで動く範囲に収めるつもりだ。全体の解像度やテクスチャの解像度、ライティングの有無など、スケーラブルな部分を多く持たせることで多くのユーザーに対応するつもりだ。
グラフィックで特筆すべきなのは、ライティングとシャドウの処理。ライティングはすべてリアルタイム処理で、シャドウは光源の量と数に従って、滑らかな陰影を映し出す。「Doom III」に匹敵するテクノロジーだ |
■ 「Commandos 3」はどういうゲームになる?
昨年6月に制作発表された「Commandos 3」 |
D 前作「Commandos 2」はとにかくフィールドが広大過ぎて、クリアの仕方がわからなかったり、クリアするのに数日かかるようなミッションもあった。これでは最後までクリアするユーザーが限られてしまうし、全体として難しすぎる。3はその反省から、ひとつのミッションを短くし、その代わりバラエティに富んだゲームプレイを楽しめるようにするつもりだ。グラフィックについても格段に強化し、従来は風景の一部だった建物を破壊したり、爆風によってその一部が壊れたりなど、よりダイナミックな内容になる。
編 時代設定はどうなっているのでしょうか。
D これまでどおり第二次世界大戦だ。スターリングラードからスタートして、途中ベルリンを経由し、最終的にはノルマンディにたどり着く。キャラクタも前作と同じ人物が登場する。新キャラもいるかもしれない。
編 発売時期はいつを予定している?
D 6月で考えている。Pyroなので難しいかもしれないが(笑)
編 ミッションのボリュームは前作よりも減ることになりそうですか・
D ミッションの数はこれまでと同じ程度。ただ、1ミッションのクリア時間は短くなっているので、ボリュームは減っている。これはすべてのユーザーにゲームをクリアしてもらいたいためだ。今回も複数の解き方を用意するし、内容もよりバラエティに富んでいるので、前作以上に楽しめるはずだ。
編 シリーズ通しての懸案である対戦プレイは実現しますか?
D する。LANやインターネットを使って他のユーザーと対戦できる仕様を盛り込むつもりだ。ただし、ステージによって対戦に向き不向きがあるので、対戦についてはこれからゆっくり検討していかなければならない
編 最後の質問ですが、スニークアクションの元祖的存在である「Thief」シリーズの最新作「Thief III」は発売されるのでしょうか?
D すでにプロジェクトは動いている。今年のクリスマスシーズンに発売する。Warren Spectorが陣頭指揮を執っている。「Thief III」については現段階ではこれ以上のことはいえないが、期待して待っていてほしい。
編 ありがとうございました。
□Eidos Interactiveのホームページ
http://www.eidos.com/
□「Tomb Raider」シリーズのホームページ
http://www.tombraider.com/
□「Deus EX 2」のホームページ
http://www.deusex2.com/
□関連情報
【2002年5月21日】「トゥームレイダー」シリーズのEidosがE3前夜祭を開催!
各ゲーム機&PC向けビッグタイトルが続々登場! その1
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020522/eidos.htm
【2002年6月24日】Eidos Interactive、「Commandos 3」を正式アナウンス
スターリングラードをはじめとした豪雪のソ連領が舞台
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020624/comIII.htm
(2003年1月30日)
[Reported by 中村聖司]
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