北米市場でのXbox Liveの本サービスが、11月15日午前0時よりついに始まった。今回、現地時間11月14日に行なわれたXbox Live記念イベントの取材のためアメリカに来ることになっていたため、北米版Xbox Liveの正式サービスも実際に体験できた。あわせて、アメリカでのXbox Liveスタータキットの販売状況などもチェックしたのでレポートすることにしよう。

■ ロサンゼルスでは多くのショップで売り切れも、盛り上がりには欠ける印象だった

　Xbox Live本サービス開始となる11月15日、我々取材班は、ハリウッド周辺のコンピュータゲームショップやおもちゃ店などをいろいろとまわってみた。しかし、足を運んだどの店もすでに売り切れか予約受付となっており、Xbox Liveスタータキットは売っていなかった。ただ、中には「ついさっき最後の1本が売れた」というところもあったため、根気よく探してみたところ、探索開始から約3時間ほどでようやく在庫（それも最後の1個）のあるショップを見つけ、Xbox Liveスタータキットを手に入れることができた。

　この状況を見ると、アメリカではXbox Liveがかなり盛り上がっているかのように感じるかもしれないが、実際にはそういった雰囲気ではなかった。昨年のXbox発売日には、ニューヨークのトイザらスでかなり大規模な販売イベントが行なわれたが、Xbox Live開始となる今回は、販売店と共同で何らかのイベントを行なうということは全くなかった。また実際に販売店を見ても、中にはXbox Liveスタータキットのパッケージをいくつか展示してアピールしているところもあったものの、ほとんどの店はXbox Liveに関して特別なディスプレイを施すようなこともなく、ほぼ通常の営業となっていた。

　アメリカではXbox Liveベータプログラムの参加人数が35,000人とかなり多く、当然そのベータユーザーは本サービスにそのまま移行できるため、わざわざXbox Liveスタータキットを購入する必要はない。つまり、ヘビーなユーザーの多くはすでにXbox Liveに接続する環境を持っているため、本サービス開始日に多数のユーザーがこぞってXbox Liveスタータキットの購入に走るということがなかったのではないだろうか。

　とはいっても、北米のゲームチェーン店である「electronics boutique」では、足を運んだ全店で「事前予約分のみで完売」となっていたため、おそらくコアユーザーの間では熱気はそこそこ高いと考えていいだろう。もちろん、実際に15日にどれだけの数のXbox Liveスタータキットが出荷されたのか現時点では不明だが、こういった状況を考えると、あまり多くのXbox Liveスタータキットが出荷されなかった可能性が高いのではないだろうか。

　また、Xbox Live対応ソフトについては、Microsoftの「NFL Fever 2003」や「MechAssault」、SEGAの「NFL 2K3」や「NBA 2K3」などは多くの店頭で陳列されているのを確認した。また一部の店では「Unreal Championship」や「Tom Clancy Ghost Recon」を陳列しているところもあった。ただ、これらは通常のXboxタイトルと同じ陳列棚に無造作に置かれているだけで、Xbox Liveタイトル専用のコーナーを設置している販売店はどこにもなかった。

　ちなみに、我々取材班は11月18日より開催されるCOMDEX Fall 2002の取材のため、Xbox Liveスタータキット購入後、ロサンゼルスからラスベガスに移動した。そして、ラスベガス移動後、ラスベガスにある家電量販店に行ってみたところ、こちらではかなりの数のXbox Liveスタータキットが在庫としてあり、余裕で購入可能となっていた。ただ、それ以外のゲームショップやおもちゃ店などではXbox Live関連の告知が全くと言っていいほどなく、Xbox Liveスタータキット自体もどこにも見あたらない、といった状況だった。地域による温度差もあるのかもしれないが、それにしても今回実際に見て回った販売店の状況を見る限りでは、かなり盛り上がりに欠ける印象を受けた。

　北米市場でのXbox Liveスタータキットの販売価格は、以前より発表されていたとおり49.99ドルで、ソフト1本分の価格となっている。パッケージの内容物は、ヘッドセットである「Xbox Communicator」と、DVD-ROMディスク「Starter Kit Disk」が1枚となっていた。Starter Kit Diskには、XboxのシステムプログラムをXbox Liveに対応させるためのアップデート機能と、「Whacked!」と「MotoGP」のデモ版などが入っている。収録されている2タイトルは基本的にはデモ版ではあるが、もちろんXbox Liveに接続してオンラインで対戦プレイが可能となっている。

多くの販売店は、Xbox Live関連の特別なディスプレイを施すこともなく、通常営業とまったく同じだった	このようにXbox Live関連の製品をテーブルに陳列して販売している量販店もあったが、ごく少数派だ

■ ただし、Xbox Live内部は大盛況

　販売店の状況を見る限りでは、あまり盛り上がっていない印象を受けたものの、実際にXbox Liveに接続していくつかのゲームをプレイしてみたところ、Xbox Live内部ではかなり大盛況であることが確認できた。今回は実際に、Xbox Liveスタータキットに同梱されている「Whacked!」と「MotoGP」、そして「MechAssault」、「Unreal Championship」の4タイトルを実際に体験してみたが、どのゲームも常に多数のホストゲームが表示され、しかも内容を更新するたびに次から次へと新しいホストゲームが追加されていた。

　実際にロビーサーバーに接続しているプレーヤー数が表示されるわけではないが、これだけのホストゲームが作られていれば、実際に接続している人数もかなりの数に上ると言っていいだろう。また、これだけ多数のプレーヤーが同時にプレイしているとはいえ、実際にプレイしても速度面の問題は全く発生しなかった。ボイスコミュニケーションに関しては、当然相手がアメリカ人のためほとんどコミュニケーションが取れなかったものの、もちろん動作自体に問題はなかった。

　日本に比べてブロードバンド環境の普及率の低いアメリカでは、Xbox Liveのブロードバンド環境必須という条件はかなり高いハードルとなるはずだ。もちろん、既存の35,000人のベータユーザーは本サービスにそのまま移行できるとはいっても、すべてのユーザーが常にXbox Liveに接続しているわけではない。もちろん、時間帯によってもかなり変化するはずである。今回プレイを試したのは現地時間の土曜日の昼という時間帯だったが、それでも各ゲームともかなり多数のユーザーが接続して実際にプレイしていた。この状況を見ると、Xbox Live自体が盛り上がっていないということはなく、本サービス開始直後である現時点では、十分盛況であると言っていいだろう。

購入した北米版の「Xbox Live Starter Kit」。ヘッドセット「Xbox Communicator」が外から見えるデザインとなっている	Xbox Live Starter Kitの内容物。「Xbox Communicator」と、体験版の「Whacked!」と「MotoGP」が収録されたディスク「Starter Kit Disk」だ	Xbox Live対応タイトルはこの冬にかけて全14タイトルが登場する。今回はその中から「MechAssault」と「Unreal Championship」の2本を購入した
Unreal Championshipのゲームメニュー。メニューから「PLAY LIVE」を選択すれば、Xbox Liveに接続される	Xbox Liveに接続されると、このようなロビー画面が表示される。ロビーでは、ホストゲームの作成や既存のホストゲームの検索、友達として登録したユーザーの検索などが行なえる	このように、稼働しているホストゲームは常にかなりの数が表示される。実際にかなりのユーザーがXbox Liveに接続してプレイしていると言っていいだろう
Xbox Liveスタータキットに付属するStarter Kit Diskには、「Whacked！」と「MotoGP」のインタラクティブデモが収録されている	「MotoGP」のデモを起動してみたが、こちらも「Play Live」を選択すればXbox Liveに接続される	こちらも非常に多くのホストゲームが動いていた。ちなみに「Unreal Championship」よりもその数は明らかに多く、「MotoGP」の人気はかなり高いようだ

□Xboxのホームページ (英文)
http://www.xbox.com/
□「Xbox Live!」のページ
http://www.xbox.com/LIVE/Xbox%20Live-Media%20Event/
□Xboxのページ (和文)
http://xbox.jp/
□「Xbox Live!」のページ (和文)
http://xbox.jp/live/
□関連情報
【11月15日】北米で「Xbox Live!」が正式サービスをスタート
～記念パーティにはサミュエル・L・ジャクソンなどビッグネームが来場～
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021115/live1.htm
【11月15日】Xboxキーマンインタビュー
小出雅弘氏に日本でのXbox Live限定ベータプログラムについて聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021115/live2.htm

(2002年11月18日)

[Reported by 平澤寿康 / Photo by 矢作晃]

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