Xboxキーマンインタビュー |
マイクロソフトXbox事業部オンラインサービス統括部統括部長の小出雅弘氏。いろいろな質問に快く答えていただいた |
会場:幕張メッセ
Xbox Liveを利用する場合、ベータプログラムだけでなく本サービスでもクレジットカードの登録が必須となる。この点は早期の改善を期待したい |
今回のゲームショウで、日本でのXbox Liveの責任者といってもいい、マイクロソフトXbox事業部オンラインサービス統括部統括部長である小出雅弘氏にお話をお伺いする機会を得たので、日本でのXhox Liveのサービス展開やソフトの拡充など、Xbox Liveに関する気になる点を直撃してみた。
■ ベータプログラムへの反応は当初の見込み以上で、これからもまだ伸びるでしょう
--早速ですが、ベータプログラムへの応募状況はどのような感じですか?
● 結構いい感じですよ。9月9日に申し込みの受付を開始しましたが、その時点で利用できるタイトルを発表していなかったにもかかわらず、3日で応募が5,000人を越えました。おそらくゲームショウ期間中には10,000人を越えると思います。
--その数字は、当初の見込みよりもかなり早かったですか?
● そうですね、早いです。そして、今回ベータプログラムで利用できるタイトルとして「ファンタシースターオンライン エピソード1&2」がプレイできる、といことが発表できましたので、さらに数字は伸びると思います。
--ベータプログラムでは利用時にクレジットカードの登録が必須となっていることで、利用しなくても利用できないユーザーがかなりいるようです。本サービスではこの点はどうなりますか?
● 本サービスでも、利用時にクレジットカードの登録が必要となります。この点については、非常に申し訳ないと思っています。Webマネーなどの導入も検討していますが、初年度はクレジットカードのみとなるでしょう。Xbox Liveの課金システムは、「MSN Extra Storage」やアメリカの「bCentral」などと同じバックエンドになっています。そのため、そのバックエンドがクレジットカード以外の支払い方法をサポートすれば、Xbox Liveでもクレジットカード以外の支払い方法が利用できるようになります。ただ、やはり初年度は無理ですね。ただ、Webマネーやプリペイドなどをできるだけ早い段階で導入できるように努力はしています。
--Xbox Live本サービス開始時期には、スタータキット同梱の2タイトルに加えて、同時発売の4タイトルがプレイできることになりますが、それ以降のXbox Live対応タイトルの出荷予定はどのようになっていますか?
● なるべく多くのタイトルを出したいとは考えていますが、具体的にはまだ見えてきていないんですよ。同時発売のタイトルの次は、おそらく「MechAssault」になると思います。春前には発売できるかもしれません。また、サードパーティから2、3タイトルが発売されると思います。その後は、今回発表した「フィッシング・ライブ・オンライン」や「トゥルーファンタジーライブオンライン」などが順次発売されていくことになります。
--ということは、基本的には日本ローカルのタイトルが中心に提供されていくことになるのでしょうか?
● 日本のファーストパーティが製作しているタイトルと、日本のサードパーティが制作しているタイトルだけで、おそらく8割ほどを占めることになると思います。もちろん、「MechAssault」のように、米国のMicrosoft Game Studioが制作しているタイトルや米国のサードパーティが制作しているタイトルも複数持ってきたいと考えています。
--では逆に、日本で開発されているタイトルが米国向けに移植されることも考えられますか?
● もちろんです。現在日本で開発されているXbox対応タイトルのほとんどがワールドワイドを意識していますので。「ブリンクス」がいい例ですが、これは北米やヨーロッパでも十分期待できると思います。当然Xbox Live対応タイトルについても同様ですね。
--米国のタイトルについては、日本でプレイする場合でもワールドワイドでの対戦プレイが可能になるのですか?
● それはゲームによります。Xbox Live対応ゲームには「タイトルID」というIDが用意されているんですが、基本的にそのタイトルIDが同じ場合のみ対戦できるようになります。そのため、全てのリージョンで同じタイトルIDに設定されているゲームについてはワールドワイドで対戦プレイが可能となりますし、リージョンごとにタイトルIDを変えれば、リージョンごとでクローズすることも可能となります。
--ゲーマータグは全世界共通のIDですから、北米版Xboxを日本に持ち込んで、日本で北米版Xbox Live対応タイトルをプレイすることも可能になるわけですが、その点についてはどのように考えていますか?
● もちろん可能ですね。ただ実は、この件についてはあまり深くは考えていません。結局Xbox Liveのシステムは、Xboxの外側にあるわけですから、どこからアクセスしているのかというのは関係ないことになります。また、Xbox Liveのゲーマータグは、もともとメモリユニットにコピーして持ち歩けるようになっていて、どこからでもアクセスでき、どこからでもプレイ可能となっていますから。
--ゲーマータグをメモリユニットにコピーできるとなると、セキュリティ面が心配ですが?
● ゲーマータグには、4桁の数字を利用した「PIN」コードを登録できるようになっています。キャッシュカードなどの暗証番号のようなものですね。それを利用することで、勝手に他人がゲーマータグを利用できないように制限をかけることが可能です。もちろん、PINコードの管理などはユーザー任せとなりますが、これである程度はセキュリティを保てると考えています。
--Xbox本体側のセキュリティはどうなっていますか?
● Xbox LiveのネットワークそのものがXbox専用となっています。つまり、パソコンはXbox Liveに接続できないので、基本的には問題はないと考えています。ただ、ハッキングなどの不穏な試みが行われるとは思います。それに対して対策は施す考えでいます。
--では、Xbox LiveにXbox以外のプラットフォームのマシンが接続されるということは?
● それは、セキュリティの問題上からも、現状ではあり得ません。もちろん、マルチプラットフォームで楽しめるゲームも魅力ではありますが、現時点のXbox Liveのシステムでは、接続時にXbox本体のIDなどもチェックしますので、このセキュリティの仕組みが利用されている以上、他のプラットフォームはXbox Liveに接続できないのです。
--Xbox Liveサーバーのキャパシティは大丈夫ですか?
● 私たちには、1億2千万のユーザーを抱えるhotmailのサーバーシステムを正常に稼動できているという実績があります。ですので、Xbox Liveのサーバーシステムも十分なキャパシティを持っていると考えています。Xbox Liveの場合、ユーザー認証が行なわれ、マッチメイキングがされれば、その後はゲームサーバーに行くか、ピアツーピアで接続されることになります。ですので、Xbox Liveサーバーに問題が起こることはまずないでしょう。
--Xbox Liveのデモを見ていると、ボイスチャットでかなりのタイムラグが見受けられるようですが
● 確かに、ボイスチャットの際には若干のディレイが発生します。国際電話と同じようなものですね。ただ、実際にプレイしていると、ディレイを感じることはありません。会場でのデモの様子を見ているとディレイが手に取るようにわかりますが、実際にプレイしているとディレイは全く感じられません。第3者の立場で見ているからわかるだけですね。
2003年春以降には、「フィッシング・ライブ・オンライン」や「トゥルーファンタジーライブオンライン」など、期待のXbox Live対応ソフトが登場する | ブースで「PSO 1&2」のプレイの様子を外から見ていると、音声チャットのタイムラグを感じるが、実際にプレイしているとほとんど気にならない |
Xbox Liveスタータキット。現時点ではXbox本体にXbox Liveスタータキットが同梱されたスペシャルパッケージのようなものの発売は予定していないそうだ |
● 今のところはありません。もちろん、ショップレベルでそういった形で販売されることは十分考えられます。
--特定のISPと組んで、ブロードバンド回線の導入も絡めたプログラムの提供は考えられていますか?
● それは考えています。現段階ではまだISPの数がまとまっていないので、具体的な名前をあげることはできませんが、すでに複数のISPと話は進めています。近い将来具体的な内容などを発表できると思います。
--Xbox Liveでオンラインゲーム以外のコンテンツを提供する予定はありますか?
● 今のところ全く考えていません。Xbox LiveはXboxユーザーのみのクローズドのネットワークです。つまり、Xbox Liveの会員数が最大の顧客数になります。そのため、オンラインゲームサービスのみである程度の会員数に達しないと、その他のビジネスが成り立たないのです。パソコンなどのユーザーを取り込めるのなら話は変わりますが、Xbox Liveはクローズドのネットワークですから、それはありえません。Xbox Liveの会員数が100万人を突破するほどになれば、ムービーの配信なども十分ビジネスになるでしょう。しかし現時点では、とにかくゲームに注力して一定の利用料金を取る、というのが基本のビジネスモデルとなります。
--オンラインのゲーム販売などは行なわれますか?
● Xbox Liveでは、実行形式ファイルのダウンロードはできないようになっています。あくまでもゲーム本体は通常のソフトの流通に流して販売します。もちろんライブラリや差分のデータのダウンロードは可能ですが、ゲームそのもののダウンロードはできなくなっています。
--Xbox Liveで利用する特別なデバイスの提供の予定はありますか?
● 現時点では、ボイスコミュニケータと「ファンタシースターオンライン エピソード1&2」に同梱されるUSBアダプタのみです。それ以外については今のところ予定はありません。キーボードを利用するソフトについても、今のところ「ファンタシースターオンライン」だけですので、USBアダプタが他のソフトで利用されることもありません。ソフトによって、キーボードなどのデバイスが利用できた方がいいような場合にはサポートすることになると思いますが、現時点ではそういったソフトもありません。
--先ほどベータプログラムの申し込みの出足がいいという話がありましたが、そこから判断して、初年度にXbox Live本サービスに加入するユーザー数はどの程度になると考えていますか?
● 現時点では、そのあたりはまだもめているんですよ。今のところ、ワールドワードで今年末までに数万ユーザー、2003年末に数十万ユーザー、といったあたりを狙いたいと考えています。この数字には日本は含まれていません。ただ、Xboxユーザーの約50%がすでにブロードバンド回線を導入しているというデータがありますから、アタッチレートはかなり高くなると考えています。しかしながら、実際にどの程度のユーザーがXbox Liveに加入するか、まだ読み切れていないというのが正直なところです。
--日本で普及しているXboxの5台に1台ぐらいがXbox Liveに接続されれば、かなりイイ感じだと思うのですが?
● そうですね、その程度接続されればイイ感じですね。そのあたりは当然狙っています。Xboxにはイーサネットもハードディスクも内蔵されていますから、Xbox Liveに接続してそれらを活用してもらいたいですね。
--発表されているXbox Live対応ソフトの中でイチオシはどれですか?
● どれも楽しいので、イチオシをあげるのは難しいですね。あえて選ぶとすれば、スタータキットに同梱されている「ファンタシースターオンライン」と「頭脳対戦ライブ」ですね。特に「頭脳対戦ライブ」は料金かかりませんので、とことん遊んでもらいたいです。
--「トゥルーファンタジーライブオンライン」は非常に期待度が高いと思われますが?
● 日本では、こういったスタイルのMMORPGが好まれる傾向があります。そういった意味からも、Xbox Live初のMMORPGとなる「トゥルーファンタジーライブオンライン」は、力を入れてプロモーションを行なっていこうと考えています。
--では最後に、Xbox Liveに対する意気込みをお聞かせください?
● とにかく、タイトルをたくさんそろえて、皆さんに楽しんでもらえるように頑張っています。ぜひXbox Liveに接続して、実際に楽しんでいただきたいと思います。今後も楽しいタイトルをどんどん送り出すために努力していますので、期待してください。
--どうもありがとうございました。
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□Xboxのホームページ
http://xbox.jp/
□Xbox Liveのページ
http://xbox.jp/live/menu.html
□関連情報
【9月12日】マイクロソフト「Xbox Live」対応ゲーム発表
Xbox「トゥルーファンタジー ライブオンライン」、「フィッシング ライブオンライン」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020912/xboxl.htm
【9月5日】Xboxのネットワークシステム「Xbox Live」
ベータプログラムの参加募集を開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020905/xboxlive.htm
【6月11日】日本におけるXbox Liveの展開について詳細が発表される
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020611/live01.htm
(2002年9月21日)
[Reported by 平澤寿康]
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