Xbox Conference 2002 Summerレポート

日本におけるXbox Liveの展開について詳細が発表される
スターターキットには「ファンタシースターオンライン (仮)」を同梱

6月11日 発表



■ スタータキットに「ファンタシースターオンライン(仮)」が同梱される

 マイクロソフト株式会社は11日、恵比寿ガーデンプレイス内のザ・ガーデンホールにおいて、Xbox関連の記者発表会「Xbox Conference 2002 Summer」を開催し、先日アメリカで開催されたE3で発表された、Xbox向けのオンラインサービスである「Xbox Live」の、日本における展開について発表を行なった。

 マイクロソフトXbox事業本部オンラインサービス統括部統括部長の小出雅弘氏によって発表された日本でのXbox Liveの展開についての基本的な内容は、先日E3で発表された内容をほぼそのまま踏襲していた。常時接続のブロードバンド環境に特化したオンラインサービスであり、マイクロソフトがサーバーの設置や管理、顧客管理、ユーザー認証、課金システムなどといったオンラインゲームに必要となるホスティング業務の全てを担当し、ユーザーおよびメーカーに均一でシームレスなネットワーク環境を提供するとしている。また、全てのXbox Live対応ゲームで、Xboxボイスコミュニケータを利用した音声チャット機能が提供される。Xbox Live対応ソフトの販売方法は、基本的に現在のパッケージソフトと同じ流通網を通して販売され、オンラインでの販売については考えていないそうだ。

 Xbox Liveは常時接続のブロードバンド環境を前提としているが、その接続形態については基本的に制限はない。ADSLやケーブルテレビインターネット、FTTHなど、いわゆるブロードバンド環境であれば、その種類を問わずXbox Liveを利用できる。インターネットサービスプロバイダ(ISP)についても制限はない。また、Xbox LiveのプロトコルはNATを越えることを前提として開発されているため、ADSL回線にブロードバンドルータなどを接続しているような環境でも問題なく利用できるようだ。

 ただし、フレッツ・ISDNなどのナローバンドによる常時接続サービスについては、接続形態として想定していない。Xbox Liveでは、マッチメイキングの時点で接続されている回線の品質(スピード)をモニターしており、ある一定の品質に達しない場合にはマッチメイキングが行なわれないようになっているそうで、フレッツ・ISDNでXbox Liveを利用しようとした場合には、マッチメイキングの段階ではじかれる可能性が高いようである。

マイクロソフトXbox事業本部オンラインサービス統括部統括部長の小出雅弘氏。Xbox Liveの日本における展開について語る Xbox Liveのビジネスモデル。オンラインゲームに必要となるホスティング関連のサービスはマイクロソフトが一元的に提供。またXbox Live対応ソフトは一般の流通を通して販売される 日本で発売されるXbox Liveスタータキットの詳細。Xboxボイスコミュニケータと12カ月分のXbox Live使用料、Xbox Live対応ソフトが同梱となり、6,800円で発売される


 ユーザーは、「Xbox Liveスタータキット」を購入し、Xbox Liveに必要となる機材などを入手することになる点も、E3で発表されたとおりだ。Xbox Liveスタータキットに含まれるものは、Xbox Liveの12カ月分の利用料と、音声チャット用の専用アダプタ「Xboxボイスコミュニケータ」、さらにXbox Live対応ソフトと、北米版スタータキットとほぼ同じだ。また、スタータキットの販売価格も、E3で発表されたように、通常タイトル1本分の価格である6,800円での提供となる。

 ただし、日本向けスタータキットは、北米版と大きく異なる部分がある。それは、付属するXbox Live対応ソフトだ。北米版では、レースゲームの「ReVolt」が付属することになっているが、日本向けのスタータキットでは、すぐに遊べるパックインゲーム(含まれるゲーム数はまだ確定していない)に加え、セガの「ファンタシースターオンライン(仮)」が同梱となるのである。

 ファンタシースターオンライン(PSO)は、単体で発売されたとしても相当数のセールスが期待できるタイトルであり、そのタイトルをスタータキットに同梱するというのは、かなり思い切った戦略だ。課金についてはまだサービスが先と言うこともあり未定の部分も多いが、スタータキットに収録されることで、多くのユーザーが遊べることができるのは間違いない。

 会場には、PSOのプロデューサーであるソニックチームの中裕司氏が登場し、小出氏とともに開発中のXbox版PSOを利用したオンラインプレイのデモが行なわれた。中氏は、Xbox版PSOの特徴として、Xboxボイスコミュニケータを利用した音声チャットによるコミュニケーションを行ないながら冒険ができるという点をあげ、実際に会場でも小出氏と会話によってコミュニケーションを取りながらのデモプレイが行なわれた。ボイスコミュニケータによる音声チャットは、実際に発声した声が相手に聞こえるまでに約1秒ほどのタイムラグがあるようだったが、当然これまでのPSOのように文字によるコミュニケーションによるプレイとはプレイスタイルが大きく異なり、プレーヤーの印象も大きく異なることになるだろう。またPSOには、声をロボットや子供の声に変化させるボイスエフェクト機能が用意されており、知らない人としゃべることが恥ずかしかったり戸惑うような場合に便利に活用できるだろう。

日本で発売されるXbox Liveスタータキットには、セガの「ファンタシースターオンライン(仮)」が同梱される。Xbox Liveスタータキットを購入するだけで、ファンタシースターオンラインを実質無料で楽しめるのだ 壇上に登場したソニックチームの中裕司氏。Xboxボイスコミュニケータを利用した音声チャットがXbox版PSOの特徴と説明 小出氏と中氏によって、実際にXbox版PSOをプレイしつつ、音声チャットによるオンラインプレイのデモが行なわれた



■ 夏にベータテストが実施され、秋に本サービスが開始される

 Xbox Liveは、現時点で主要DSLキャリアやCATVオペレータなどと共に、接続検証を行ないつつ開発の最終段階にさしかかっているそうだ。そして、6月下旬を目処として、主要ISPと協力し、接続検証を中心としたテクニカルベータが実施される。そしてその後、実際にXbox Live対応タイトルを利用した消費者向けのベータプログラムが開始されるそうだ。
 先日のE3の会場では、Xbox Liveベータテスト登録用の専用端末が用意されていたが、今回の発表会では日本でのXbox Liveベータテスターの募集等に関しての具体的な発表は行なわれなかった。今後追って詳細について発表されることになるそうだ。

 ところで、今回の発表会の冒頭、マイクロソフト常務取締役Xbox事業本部長の大浦博久氏が壇上にあがり、以下のようなコメントをおこなった。
 「'80年代から'90年代前半にかけて、マイクロソフトは表計算の世界ではロータス1-2-3に圧倒的なシェアを取られ、ワープロの世界ではWord Perfectや一太郎を追いかける3番目の位置に、またGUIの世界ではMacintoshに圧倒的なシェアを握られていました。マイクロソフトは常にあらゆる分野でトップシェアを取っていたわけではありません」。

 もちろんこれは、日本においてXboxが低迷している現状を受けてのコメントだ。しかし現在では、それらの分野全てにおいてマイクロソフトがトップシェアを獲得している。大浦氏は、「マイクロソフトは、一度やると決めたらものすごくしつこい会社です。徹底的に投資をし、徹底的に時間をかけ、徹底的に開発し、徹底的にヒューマンリソースをつぎ込み、確実にXboxユーザーを増やすための戦略を立てています」と続け、今後Xboxについても、トップシェアを獲得するまで絶対に引かない、という決意のほどを表明した。

 もちろん、マイクロソフトの意気込み通りに進むかどうかは、どういったタイトルを揃えられるか、という部分にかかっている。ただ、Xbox Liveを中心としたXboxのネットワーク戦略に関しては他を圧倒している部分が多く、そのリソースをうまく活用できるタイトルをそろえられれば、現状を一気に打破できる可能性が出てくる。PSOをスタータキットに同梱したというのは、その布石であるとも考えられるが、今後も同様の思い切った戦略をどんどん展開してもらいたい。

マイクロソフト常務取締役Xbox事業本部長の大浦博久氏。日本におけるXboxの現状を認識しつつ、今後も攻めの姿勢で臨む意気込みを表明 大浦氏のコメントを文字通りそのまま表したキャッチフレーズ。これがかけ声だけでないことを大いに期待したい


□Xboxのホームページ
http://xbox.jp/
□ニュースリリース
http://xbox.jp/news/xbox/x_release20020611.html
□関連情報
【5月21日】Xbox向けオンラインサービス「Xbox Live」の詳細が発表される
北米・日本・欧州で2002年秋に開始予定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020521/e3_xbox.htm

(2002年6月11日)

[Reported by 平澤寿康 / Photo by 矢作晃]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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