★ GCゲームレビュー ★
GC版では絵が美しくなったということにスポットを当てられがちだが、謎解きやシステムにも更なる新要素が加えられ、MAPも大幅に追加されている。前作の素地を活かした別のゲームとして遊べるので、前作をしっかりやり込んだという人ほど、逆に新たなシステムや罠に、驚きながら新鮮なプレイができるのではないだろうか。 また、筆者のようにかつて遊んだのだが、細部まで覚えていないという人にも問題なく遊べる。「こんな部屋あったあったねぇ懐かしい」という部分もあれば、「あれ、こんな謎解きあったっけ?」という部分もあって、わくわくしてプレイできた。
そして、まだ本作を未プレイという人は、GCで一層怖さを増したバイオハザードの世界に、前知識なく触れることができるという意味で、とてもラッキーだと思う。
■ 究極のサバイバルの幕開け ニューゲームをスタートすると、まずゲームについて思うことを質問される。これは選択式になっており、「登山のようなもので、困難の先にこそ達成感があるもの」か「ハイキングのようなもので、無理なく目的地に辿り着けるもの」のどちらかを選択するのだが、これによって難易度が変わるという仕掛けになっている。その後、2人の主人公、クリス・レッドフィールドとジル・バレンタインのうち、どちらかを選択する。ジルは所持できるアイテムの数が多いとか、それぞれ最初に入手するアイテムが異なるほか、幕間に出会うサブキャラや、ストーリー展開が異なる。
今さらゲームの説明をするまでもないが、一応生き残って洋館を脱出するのが目的だ。館の中の気になる場所を調べて、仕掛けを解きながら探索範囲を広げていくのが序盤の行動になる。敵から攻撃され、傷を受けたら「ハーブ」などの回復アイテムで癒しながら、セーブを行なってゲームを進めていく。セーブを行なうための「インクリボン」や、最初の武器ハンドガンのマガジンなどは、あまり豪快に使っていると進むに連れてジリ貧になってしまう。敵を一掃することが目的ではないので、武器の弾などはできるだけ温存し、邪魔になる敵だけ倒して探索を進めていくほうがいい。
しかし今回のゾンビは、1度倒したからと言って安心できない。時間の経過などによって、「クリムゾン・ヘッド」化して更に凶暴になって復活するのだ。皮膚の色が赤みがかったクリムゾン・ヘッドは、見た目の凶悪な印象もさることながら、移動も敏捷で爪による攻撃も素早い。プレーヤーが走って逃げても同等のスピードで追いかけてくるなど、ノーマルのゾンビとは比べ物にならない厄介な相手だ。このため、無闇やたらと倒していると後々泣きをみる羽目になる。 「ハイキング」のジルでゲームをスタートしたので、弾数は余裕、とばかりにゾンビを倒しまくっていたら、屋敷内が復活したクリムゾン・ヘッドだらけになってしまった。それも、利用頻度の高いセーブポイント前の廊下に複数出現させてしまったため、毎回セーブを行なう度に扉を開けた瞬間、左によけて右に回って、柱をぐるっと回って攻撃をかわし、扉に滑り込む、という感じで緊張感溢れる追いかけっこ状態となって、本当に参った。 前作でも、弾数節約の関係から無闇にゾンビを倒すのは考えものだったが、今回はそれ以上に「敵を倒すかどうか」の判断が後のプレイに影響を及ぼす。とはいえ、ゾンビは頭部を吹っ飛ばすか、倒した後に「携帯用燃料ボトル」を使用して燃やしてしまうことで、復活不能にすることも可能。これは、後々屋敷内で発見するメモ書きでわかったことだった。最初から全てを親切に教えてくれるわけではない、この辺りの多少突き放してくれる加減がとても「バイオ」らしくていい。
また、本作のゾンビは部屋が切り替わったからといって油断は禁物。脱出してきた部屋の扉がどんどん押されていたら要注意、ついには扉を開けてヤツらが出てくるのだ。前作では階段の昇降をすると画面が切り替わったのだが(扉を開けるときのように)、GC版ではそれがない。このため、ゾンビも階段を昇降してプレーヤーを追ってくる。逃げ切ったと思ったハンターが、階段下からジャンプして追いついてきたときは、本当にびっくりして思わず声を上げた。普通に考えれば、敵が階段を移動したって別におかしくないのだが、前作の常識をもって臨んでいるからこそ、驚かされた部分だった。 プレーヤーはゾンビだけではなく、様々な異形の生物を相手にしなければならない。素早い動きで襲いかかり、噛みついたらなかなか離さない猟犬「ケルベロス」や、集団で襲ってきて混乱を誘う「クロウ」、毒を持って巨体で迫り来る大蛇「ヨーン」などももちろん健在だ。また、は虫類のような身体を持つ「ハンター」など、人為的に作られたモンスター達も更にリアルになって存在感を増している。銃で倒すことができないまま、プレーヤーを追ってくるオリジナルの敵もかなり不気味だ。
■ 操作に慣れて自在にキャラを操ろう 前作と同じく、視点が自由に変えられるわけではないので、特にキャラクタが遠方や確認しづらい位置になると、通路や敵との位置関係を感覚に頼らなければならない。また操作は、コントロールスティックでも十字キーでも行なうことができ、上に入れれば常に前進し、画面内でキャラがどちらを向いていても変わらない。久々の操作に慣れるまでは、よく曲がり角にひっかかり、そのせいでゾンビに捕まって納得のいかない思いをすることもあった。そのたびに、横移動を一発操作で行なわせてほしいと切に望んでいたが、クリムゾン・ヘッドと追いかけっこしている間に、段々鍛えられてへっちゃらになっていった。操作については、多少の慣れが必要だ。
1度クリアすると、いよいよそこからサバイバル本番といった感じで、イージー、ノーマル、ハードが選択できるようになる。また、クリアしたデータでニューゲームを始めれば「クローゼットの鍵」がアイテムボックスにあらかじめ入っていて、これはキャラが衣装を替えられるおまけ要素となっている。着替えた服装はムービーにも反映される。
■ 言うまでもなく向上した画質、恐怖の表現 研究にまつわる悲劇的なストーリー、人間が人間でなくなっていく過程の恐怖など、断片的に情報をもたらされるが故に想像力をかき立てられ、物語の中に引き込まれる。そして、この恐怖に満ちたストーリーを盛り上げるのに今回大きく貢献しているのが、リアリティを増した画面の表現だ。 デモもさることながら、プレイ中の画面の表現力には、ものすごく恐怖心を煽られる。ゾンビなどの表現も更にリアルになっているが、あまり残酷にならないように心掛けたということで、確かにグロテスクな表現に凝った、スプラッターな洋ゲーなどに比べれば、血の表現なども実におとなしいと思う反面、精神的な恐怖感をもたらす効果がふんだんに使われている。ゆらめく炎が強いコントラストを描き出す、地下への階段を下りていくと、そこに鎖で封印された錆びた棺桶が吊されているなど、グロテスクではないがこの上なく恐ろしい。 鏡に写った自分の姿にビクビクしてみたり、窓ガラスや、ガラスのパネルなど、反射するものに映った自分には毎度驚かされた。また、地面に動く自分の影にもおどおどしたし、半透明のビニールカーテンの向こうをこっそり歩いているゴキブリにすらビクっと立ち止まった。ちょっと小心者すぎるだろうか? いや、きっとそうなるのは私だけではないはずだ。 個人的に探索していて恐ろしく感じたのは、洋館よりも後の方に出てくる中庭だ。洋館や研究室などは確かに恐いシチュエーションなのだが、何と言っても山道のような中庭には、ちょっとした田舎道を歩いていれば本当にありそうな風景にゾンビがうろついているところが恐い。洋館に迷い込んで閉じこめられる機会はめったにないと思うが、こういった山道はともすれば歩く可能性がありそうなので、現実にだぶらせて想像してしまい、本当に恐ろしかった。
本作をプレイして、これからGCで展開する「バイオ」シリーズにも期待が持てた。また、今後に控える新作の新たなストーリーにも期待したいところだ。
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□カプコンのホームページ (2002年4月19日) [Reported by 河本真寿美] |
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