圧倒的なビジュアルインパクトで迫るMMORPG超大作 |
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見上げるような巨大なキャラクタも丁寧にモデリングされている。呼吸のたびに胸がふくらんでは縮むといった演出も行なわれていた。芸が細かい |
● グラフィックエンジンはDirectX 9を視野に入れて順次パワーアップ
AC2でもっとも注目すべきは、なんといってもそのグラフィックエンジンということになる。
開発元Turbine Entertainmentの技術担当でCreative Directorを務めるJason Booth氏は、グラフィックスについてかなり内部的な話までしてくれた。
まず、プレーヤーキャラクタは3,000ポリゴン程度で構成されているという。MMORPGのキャラクタグラフィックスとしては、トップクラスのディテールだといえる。ドラゴン等の見上げるような超巨大なクリーチャーは5,000ポリゴンにまで達するという。
プレーヤーキャラクタのボーン数(≒いうなれば動きの自由度)は30前後、大型キャラや多間接キャラになると100を超えるとのこと。これは格闘ゲームのキャラクタに迫る複雑度だ。
肌の凹凸はもちろん、地面や岩肌にもプログラマブルピクセルシェーダーを活用したパー・ピクセル・バンプマッピングを適用。さらにキャラクタの防具、武器等の金属オブジェクトにはスペキュラ・マッピングを適用して独特の光沢感を出している。
キャラクタのスキンは4つのレイヤーから構成されており、バンプマップ等が適用された表皮層や、傷や血を表現するための専用の層まである。たとえば、敵の攻撃を受けて腕に傷を受けたりすると、そこにちゃんと傷跡が付くのである。ダメージを受けた際、ヒットポイントが数値上で減るだけでなく、ビジュアル面においてもその内容を実感できるわけだ。
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敵にダメージを与えるたび、その体に傷がつく |
自然環境や地形表現も、かなり高い精度で表現されており、鍾乳洞のようなダンジョンシーンでは、その地形表現だけで10万ポリゴンを超えるという。地面に生えている草木はテクスチャベースでなく個別にジオメトリを持っており、パラレルに風でなびく。
空に浮かぶ雲は、ただスクロールさせているだけではなく、よく観察すると微妙に形を変えながら流れていく。Booth氏にこのテクニックについて聞いたところ「一見パーティクル(粒子表現)システムを使っているように見えるだろう? しかし、実は動的なテクスチャアニメーションを使ったテクニックで、意外にも比較的軽い処理なんだ」と種明かしをしてくれた。
地形描画においては、遠方の地形は頂点を間引きつつ描画する最近流行のダイナミックLODシステムを採用。遙か遠方までが見渡せる、エピックスケールなビジュアルを実現している。
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草木に注目。これらがすべて風になびく |
「今回IGFで公開したAC2は、実は4カ月前のバージョンのグラフィックエンジンを使用している。最新バージョンではプログラマブル・シェーダーをより積極的に活用しており、水面の表現やモーションブラーの表現などを追加している」とBooth氏。さらにATIのビデオチップRADEON 8500の新機能でDirectX 8.1でもサポート、自動的にポリゴンを補間することで、より生物的なキャラクタモデル表現を可能にする「TrueForm」テクノロジーにも対応しているとのこと。そういう意味では、現時点におけるAC2は数少ない“DirectX 8.1完全対応のゲームソフトのうちのひとつ”だということができる。
【スクリーンショット】 | ||
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こちらは新しいバージョンのエンジンからのスクリーンショット。マルチパスレンダリングされた水面の表現に注目 |
「ユーザーにとっては非常に魅力的でありがたいことだが、なぜここまで貪欲に最新テクノロジーを取り入れたのか?」という質問に対してBooth氏は「理由のひとつとして、AC1がややビジュアル面でパンチが足りなかったという反省がある。そしてもうひとつは、エンジン制作担当者が最新テクノロジーを使った実験が好きだからだ(笑)」とコメントしてくれた。
ということは、DirectX 9が今年後半出てくるわけだが、それに早速対応する可能性もあり得るのか?」に対しては「当然あり得る」と力強い返事が返ってきた。
エンジン名は「TURBINE G2エンジン」という自社名をそのまま付けた命名がなされている。G2は第二世代(Generation2)の意味が込められていると思われる。
「これだけ最新テクノロジーを詰め込んだエンジンなら、エンジンのみを他社にライセンスするビジネスも始められるのでは?」という問いかけに対しては「具体的なコメントはできないが、そうした展開も十分あり得る。このエンジンには自信を持っている」という含みのある答えが返ってきた。
インタビューに答えてくれたTurbine Entertainment、Creative Directorを務めるJason Booth氏 |
■ プレーヤーの行動ひとつひとつが物語を紡いでいく ~Freelancer~
「Starlancer(スターランサー)」の世界観を受け継ぎつつも、新たな宇宙大航海時代の冒険をゲーム化したのがこの「Freelancer(フリーランサー)」だ。
Phil Wattenbarger氏。「日本のみなさん、Freelancerをよろしく」 |
舞台は、人類が恒星間航行技術を手に入れ、宇宙大航海時代に突入した遙かなる未来。設定的は前作にあたる「Starlancer」から数百年が過ぎているものの、基本的に関連性はなく、Wattenbarger氏曰く「FreelancerはStarlancer2ではない」とのこと。
プレーヤーは一機のスペースシップを与えられ、宇宙で生活のために様々な仕事を請け負う「フリーランサー」すなわち「賞金稼ぎ」となる。登場する敵をただ撃ち倒すのが目的ではなく、あくまでも宇宙で生活していくのが目的になるため、プレーヤーは生活のために、自分のスペースシップを利用して何らかの経済活動を行なわなければならない。
仕事は、ギルド的な党派(Faction)に属してそこから発注を受ける形となる。仕事内容は多種多様で、危険な任務ほど得られる賞金が高い。最も基本的かつ安全な任務は、たとえば鉱物採取惑星や農業惑星の基地から荷物を受け取り、これを別の惑星や基地へ運ぶというような運び屋家業だ。安全な分、賞金も安い。宇宙地図に記載されていないような未知宙域の探検任務や、重要人物の渡航の護衛任務など戦闘が絡みそうな危険な任務は、その分賞金が高くなる。
プレーヤーは世界を救うヒーローではなく、最初はあくまでも一宇宙市民でしかないが、どんどん仕事をこなしていくことで、銀河に名をはせるスーパーヒーロー(というか有名人?)へと成長していく。
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エピックスケールで描かれる宇宙はこの上なく美しい |
たとえば、プレーヤーがある輸送船の護衛任務に就いたとする。この輸送船を襲ってきた宇宙海賊を撃退し、あるキャラクタを殺してしまったとする。すると、別の任務でこのキャラクタの親類がプレーヤーに対して復讐を試みてきたりする。しかし、逆にプレーヤーが宇宙海賊的な党派に属し、先のキャラクタとともに輸送船の襲撃に成功したとすれば、その親類は別の任務で登場してきた際、好意的に接してくるのだという。
また、それまでなんの関心も示してくれなかったゲーム中のキャラクタが、有名になると「おまえがスペースシップ××号を駆る、あのミスター○○か」というふうに、一目置いてくれるような違った反応を見せたりするようにもなる。
Dynamic Reputation……その名の通り「動的な評判」システムというわけだ。
ミッションは、ほぼすべてが自動生成される。任務をクリアするごとに、クリア前とクリア後で宇宙市民達のプレーヤーに対する反応が刻々と変化していくことになる。
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巨大戦艦や宇宙戦艦を僚機とともに攻略するスペースコンバットものでお馴染みのミッションも当然あり |
● オンラインRPG的な要素も取り込み中!?
スペースシップは全部で20種類、党派は50種類、スペースステーションは120にもおよぶという。なお、スペースシップは目が飛び出るほど高価だが、お金持ちになれば複数持つこともできるという。
ゲーム中の操作はジョイスティックに対応しておらず、キーボードとマウスで行なう。視点は基本的にコクピット一人称視点。敵をロックオンしてビーム兵器や宇宙魚雷で狙い撃つというような、お馴染みのスペースコンバットシミュレーター的な要素が多分に取り入れられており、戦闘シーンのゲーム性とアクション性はかなり高く、やりがいがある。
今回の展示でいくつか明らかになったことがある。ひとつは、マルチプレイに対するスタンスだ。
元々シングルプレーヤーに的を絞ったゲームデザインをしてきたわけだが、Diablo的な複数のプレーヤー同士で戦隊を組んで冒険に参加できるようなマルチプレーヤーモードの搭載も考えているとのこと。任務に成功すれば当然賞金は山分けとなり、その任務の際の行動がDynamic Reputationにも影響するようなシステムになるらしい。いってみれば、オンラインRPG的な要素を取り込もうとしている……という感じだろうか。
そして、もうひとつはキャラクタのビジュアルを真剣に起こし始めたという点。これまで公開されてきたバージョンにおけるキャラクタは文字や音声だけで、顔や姿などのビジュアルが一切なく、スペースシップの形状やスタイルだけが唯一の個性で、あえて無機質な世界観で統一されているような感があった。
しかし、今回展示されたバージョンでは、賞金稼ぎたちが集う「酒場」のようなものまで登場し、そこで他の賞金稼ぎと接触したり、任務を依頼されたりといったシーンが見受けられた。出てくる人物達はポリゴンベースでモデリングされた3Dキャラクタで、その表示はすべてリアルタイム3Dグラフィックス。しかも、かなり人間くさいドラマを演じていた。
ゲーム中のビジュアルでも、スペースシップのコクピット中にはその人間キャラクタがちょこんと座っているという変貌ぶり。前回、E3で公開されたバージョンから、ビジュアル面や世界観の面でかなりの方向転換がなされたものと思われる。
発売は2002年秋を予定。マイクロソフトによれば、本作を日本向けにローカライズして発売するかどうかは未定だという。
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人間キャラクタのビジュアルが存在することが判明 |
■ Dungeon Siege
オンラインRPGファン期待の新作が、この「Dungeon Siege」。8人まで同時プレイ可能で、シングルプレーヤーでも最大8人のキャラクタを作成してパーティを組んで冒険ができる。
キャラクタメイキングの際にユニークなのは、いわゆるクラス(職業)的な設定がないという点。キャラクタビジュアルこそ多様に設定できるが、ゲーム開始時における各キャラクタごとの能力差はなく、以後はプレーヤーのキャラクタに対する扱い方で、成長の仕方がダイナミックに変わっていくシステムが採用されている。
つまり「戦士が剣術に優れる」というような属性はこのゲームにはなく、むしろ、そのキャラクタを「戦士的に活用するか」もしくは「剣術に優れるように育てるか」ということで、キャラクタの成長方針が決まっていく。
担当者にいわせれば「それぞれのキャラクタにどんな役割を持たせてプレイするかを、各自が楽しんでいくゲーム」だという。なるほど、本当の意味での「ロールプレイング(役割を演じる)」ゲームというわけだ。
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ダンジョン間の移動はシームレスに行なわれる |
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戦闘シーンのアクション性は低め。カジュアルゲーム層は安心だが、アクション派にはやや物足りない感もある |
特徴的なグラフィックスにはかなりインパクトがあるが、意外にもビジュアル面でそれほど重い処理は行なっていないとのこと。キャラクタごとのポリゴン数は、この手のゲームとしては破格の多さではあるが、GeForce3やRADEON 7500などの高性能なビデオカードは必要なく、GeForce2 MX程度のビデオカードがあれば十分にプレイできるという。これも、より多くのカジュアルゲーマーにも楽しんでもらいたいという配慮の表れだろう。
「Asheron's Call」とは対照的に「最新テクノロジーは使わずとも、インパクトのあるビジュアルを実現しよう」といった方針でエンジンの作り込みが行なわれたものと思われる。しかし、筆者が試した限りでは、光源との位置関係でその表情を変えるボリュームシャドウ処理もマジメに行なわれており、一般的な3Dアクションゲームのビジュアルと比べても見劣りしない。
会場ではPentium4 1.3GHz、メモリ128MB、GeForce3 Ti200にて、非常に快適に動作していた。
発売は今年4月。普段RPGをプレイしないようなユーザーにこそ、RPGの面白さを知らしめる内容になっている。身構えず気軽に挑戦するといいだろう。
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自称“軽いエンジン”とのことだが、このシャドウイングには要注目。影はキャラクタや家屋にも正しく投影される。立派 |
(2002年3月1日)
[Reported by トライゼット 西川善司]
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