【特別企画】
【FFXIV FAN FES】「FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL 2019 in Paris」レポート
東京ファンフェスはこう攻略せよ! 遊びきれないほどのアクティビティが詰まった2日間に密着
2019年2月5日 00:59
2月2日3日の両日、「ファイナルファンタジーXIV」のファンイベント「FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL 2019 in Paris」がフランスパリで開催された。吉田直樹氏率いる「FFXIV」チームが拡張パックのタイミングに合わせて実施しているワールドツアーの一環で、10月のラスベガスに続いて2回目となる。来月3月には東京での実施が予定されており、現在徐々に秘密のヴェールを脱ぎつつある「漆黒のヴィランズ」についてすべての謎が明かされる見込みだ。
7月2日サービス開始が発表された「漆黒のヴィランズ」については、レポートやインタビューを通じて最新情報をお届けしてきたが、「漆黒のヴィランズ」関連のアナウンスメントは、あくまでファンフェスの一部に過ぎない。改めてファンフェスとは何なのか、パリファンフェスではどういったアクティビティがあったのか、来たる来月の東京ファンフェスでは何が期待できるのか。そういった部分を含めてファンフェスレポートの締めくくりとして「FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL 2019 in Paris」全体のレポートをお届けしたい。
3シーズン目を迎えた「FFXIV」ファンフェス。単独イベントとしては世界最大規模に
ファンフェスは、開発スタッフとファンとの直接交流の場を設けることを目的に開催されるオンラインゲームならではのオフラインイベント。古くは「Ultima Online」や「EverQuest」の時代から存在していたが、ビジネスとして、あるいは定期イベントとして確立させたのは、Blizzard Entertainmentが年に1度開催しているBlizzConが最初だ。
もともとは「FFXIV」のファンフェスと同様、「World of Warcraft」単体のファンフェスとして2005年にスタートし、徐々に扱うタイトルを増やし、現在ではBlizzConの名の通り、Blizzardタイトルすべてのファンイベントに成長。2018年11月に開催されたBlizzCon 2018は2日間で4万人の来場者を集め、世界最大規模のファンフェスとなっている。
このBlizzConのムーブメントを世界でいち早くキャッチアップしたのは、実は「FFXIV」の姉妹作である「ファイナルファンタジーXI」だ。BlizzConスタートの翌年、2006年にファンフェスを米国でスタートさせている。ファンフェスの内容は、開発者パネルやコスプレコンテスト、コンポーザーのコンサートをメインコンテンツとした、現在の「FFXIV」ファンフェスの土台となるものだった。
「FFXI」ファンフェスは、残念ながら2006年、2007年、2008年の3回で幕を閉じた(ファンフェスとは別に、日本でも同等のファンイベント「ヴァナフェス」を2012年まで実施している)。理由はゲーム自体の人気の低下と、そもそも開発サイクルが、年1のファンフェスを開催することを前提にしたものではなかったことではないかと推測される。筆者も2007年と2008年に2度参加したが、特に2008年は規模も縮小し、発表内容も目玉に乏しく、寂しい内容だった記憶がある。
「FFXI」ファンフェスの流れを引き継ぐ形で、2014年からスタートし、2年おきに開催されている「FFXIV」ファンフェスだが、「FFXI」と「FFXIV」ファンフェスの違いは、大別して2つあると思う。1つは日本や北米のみならず、欧州でも開かれているところだ。「FFXI」は最初から最後まで欧州攻略がうまくいかなかった。「FFXIV」は欧州開催にこだわっており、ロンドン、フランクフルト、パリと、毎回開催国を変えながら、欧州ファンの獲得に成功している。後述するが、欧州の「FFXIV」ファンは、“濃さのケタ”が違っており、“ファンタジーの母国”である欧州を穫ることの重要性を、参加者の1人として実感した。
2つ目は、吉田直樹氏と祖堅正慶氏という稀代のエンターテイナー2人が開発チームにいるということだ。筆者は、ほぼすべての「FFXIV」ファンフェスに参加しているが、彼らのステージは、回を経るごとにどんどん進化している。単に実施する、顔を見せる、交流するというだけでなく、どうすればもっと喜んで貰えるのか、楽しんで貰えるのか、感動を与えられるのか、毎回練りに練られたステージになっている。
吉田氏は、初日の基調講演から、2日目のトリを飾るTHE PRIMALSのライブまで、ほぼすべて出ずっぱりで、同じ人間として、よく体力、気力が続くものだと驚かされる。実際には、ステージがすべて捌けた後に、メディアインタビュー(1日目、2日目)にも応じており、まさに超人的だ。世界的に見てももっともパワフルなゲームプロデューサーといっても過言ではない。
一方、祖堅氏も、その実像は、クリエイティブに対してひたむきで真面目、家族思いのファミリーマンだが、その実態を覆い隠すようにして、祖堅氏独特のセンスで、いくつかのピエロを演じる。それがファンフェスに圧倒的な個性をもたらしている。朴訥な喋りをする祖堅氏、演奏が下手くそな祖堅氏、奇天烈な挙動でゲストを困らせる祖堅氏、外国語がまったくわからない祖堅氏。すべて祖堅氏が計算し尽くした上で演じているものだが、毎回予想が付かないため、ファンには楽しくて堪らない。その反応を見て祖堅氏自体も演技をパワーアップさせている。
初日のピアノコンサートで、本来真面目なピアノコンサートを、ちょくちょく現われてはオタマトーンなどで混ぜっ返そうとする祖堅氏と、2日目のトリを飾るTHE PRIMALSのロックコンサートでエネルギッシュにコンサートをリードする祖堅氏は、まるで別人のようだ。東京ファンフェスではそういった部分も含めて鑑賞するとより楽しめると思う。
遊び尽くせないほど大量のアクティビティ。遊んで倒して会場限定アイテムをゲットせよ!
ファンフェスでは初日は基調講演、2日目はプロデューサーレターライブと、開幕直後から重要イベントがスタートする。これらが終わると共に、メディアはプレスルームでレポート執筆に勤しむわけだが、主役のファン達は何をしているのかというと、アクティビティに参加しているのだ。そのままぶっ続けで各日のトリを飾るライブコンサートが始まるまでアクティビティに参加する剛の者もいれば、ステージの合間にちょこちょこトライする人もいる。その向き合い方は人それぞれだが、ファンにとっての大きな楽しみになっているのがアクティビティだ。
このアクティビティも、回を経るごとにパワーアップしている。アクティビティの原点は、ゲームショウにおけるバトルチャレンジだ。古くはタイタン討滅戦のようなバトルコンテンツをクリアすれば、参加者全員がTシャツを貰えるというシンプルなものだったが、現在はスタンプラリー制に進化し、バトルコンテンツやミニゲームの報酬としてスタンプを溜めることで、それと引き換えにオリジナルアイテムが貰えるというものになっている。
今回用意されていたアクティビティは、バトルコンテンツが3種類、ミニゲームが8つ、そのほか、アートギャラリーやタトゥーパーラー、ボードゲームエリア、サインボードなども含めるももっと多くなる。
いずれのアクティビティも、30分から1時間近くの待ち行列ができており、大変な人気振りだ。人気の秘密は、リワードのオリジナルアイテムだ。コロポックルのキーリングや、グーブーのアイロンワッペン、自動翻訳マグネットなど、そんなに高額なものではないが、非売品のオリジナルアイテム、しかもいくつかのアクティビティに参加すれば1つ2つは貰えるというハードルの低さから参加者が多いのだと思う。
筆者もできればいくつかリワードをゲットしたいなと思ったが、ステージイベントの兼ね合いで行列の長さに気後れしてしまうのが正直な所。効率よく回るためには、ステージイベントが終わる直前に席を立って並び始めたり、比較的関心の低いステージイベントをまるまるパスして並ぶのが良いと思う。
コスプレ大会に、eスポーツと、充実のステージイベント
ステージイベントといえば、吉田氏の基調講演やPLL、祖堅氏のコンサートばかりがクローズアップされがちだが、ユーザー参加型のイベントも人気を集めている。
中でももっとも人気を集めていたのがコスプレコンテストだ。コスプレコンテストは、ファンフェス定番のユーザー参加型イベントと言えるが、その熱量の高さはヨーロッパがダントツだと思う。
そもそもコスプレイヤーが非常に多い。フル装備のみならず、一部のパーツのみの軽度のコスプレも含めれば全体の数割はコスプレをしている印象で、何百人もいてとてもではないがすべてを押さえられない。しかも、多くのコスプレイヤーはチェックインの段階からコスプレを終えている。今回の会場は、ラスベガスのようなホテルではなく、幕張メッセのような多目的ホールでもなく、郊外にポツンとあるライブ会場だ。コスプレをしたまま地下鉄に乗ってきているわけで、そのカルチャーを受容しているところが凄いなと思わされる。
コスプレコンテストでは、予選を勝ち抜いた30組のファイナリストが出場したが、ただ好きだから着てみましたとか、着ぐるみ作って見ましたというレベルではなく、それぞれに凝ったストーリーが存在し、観ているだけで楽しめた。優勝したのはロシアから訪れたというクリブのコスプレイヤー。クリブは、インスタンスダンジョンのひとつ「神聖遺跡古アムダプール市街」に登場するボスだが、「漆黒のヴィランズ」のトレーラーで、主人公に立ち塞がる強大な敵として再び脚光を浴びたボスキャラクター。10月のトレーラー公開からわずか3カ月ほどで準備してくるそのスピード感と、クオリティの高さに満場一致での大賞受賞となった。
そのほかにも特別賞を受賞したゼノス、朱雀、マトーヤも、凄まじいこだわりで驚かせてくれた。東京ファンフェスでは、パリファンフェスのトレーラーでは黒魔道士(?)のヤ・シュトラや、占星術師のウリエンジェ、ガンブレイカー衣装のサンクレッドなどが公開されたが、これらのコスプレが早くも登場するかどうかにも注目したい。
それからもうひとつ盛り上がったイベントが「FFXIV」のPvPコンテンツThe Feastのヨーロッパ大会決勝「The Feast Regional Championship(FRC)」だ。公式のeスポーツイベントとしては過去最大規模のもので、リージョン別に勝者を決める。優勝者には、優勝トロフィーと3年分のゲームタイム、そしてインゲームの称号が与えられる。
個人的にはeスポーツとしてのFRCは、試合の見せ方、解説の仕方に、ビギナーでもわかるような、せめて「FFXIV」ユーザーなら駆け引きがしっかり理解できるような工夫がもっと必要だと感じられるが、ヨーロッパはPvPコンテンツのユーザーが多いのか、開幕前から熱心なファンが最前列に陣取り、試合が進むごとに客席が埋まっていった。3月の東京ファンフェスでも、日本最強を決める「FRC 2018 Japan ファイナル」が開催される予定。どのような戦いが繰り広げられるのか注目したい。
サイン会、記念撮影イベント、グッズ販売など、ライブイベントを見逃すな!
このレポートで最後に伝えたいのは、ファンフェスでは公式スケジュールには記載のない会場限定のゲリラ的なライブイベントがたくさんあるということだ。
筆者が運良く遭遇できたものだけでも、リードキャラクターアーティスト生江亜由美氏のサイン会、THE PRIMALSの撮影会、「FFXIV」初のボードゲーム「FFXIV ゴールドソーサーくじテンダーパーティー」のデザイナー宇藤慶彦氏のサイン入り即売会などがあり、そのほかにもおそらく吉田氏やコージ氏との交流会などもあったのだと思う。
いかんせんメディアは、プレスルームに篭もらざるを得ないタイミングが長いため、こういうゲリラ的ライブイベントは見逃しがちなのだが、ファンフェスに参加する最大の魅力は、ある意味でF.A.T.E.的なライブイベントに参加でき、自分だけの思い出を作れるところだと思う。
3月の東京ファンフェスに参加される方は、ステージイベントやアクティビティに参加するだけでなく、常に会場を見渡しながら人だかりや歓声が聞こえてくる場所を探し、その渦に飛び込んでいくと良いと思う。このレポートを通じて、Twitchの配信だけでは味わえないオフラインイベントとしてのファンフェスの魅力の一端をお伝えできれば幸いだ。
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