インタビュー

【FFXIV FAN FES】「FFXIV 漆黒のヴィランズ」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー

東京はパリの3倍の規模! ガンブレイカーやヴィエラ、ヨルハなどについて聞いてきた

2月2日、3日開催(現地時間)

会場:Grande Halle de La Villette in Paris

 パリで開催されていた「ファイナルファンタジーXIV」のファンイベント「FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL 2019 in Paris」が閉幕した。初日の基調講演は、前回のラスベガスとは内容の異なるトレーラーが公開され、新ジョブ「ガンブレイカー」をはじめ様々な新情報がお披露目された。正式サービス開始日も7月2日に決まり、あと5カ月後にローンチすることも明らかにされた。

 初日終了後、ちょっとした“事故”が起きた。ファンフェスでは恒例となっているプロデューサーの吉田直樹氏を囲むメディア向けのQ&Aセッションが開かれたのだが、ゲームメディア以外のメディアも数多く参加した結果、「漆黒のヴィランズ」に関する質問がほとんど出ないという前代未聞の内容になったのだ(参考記事)。

 これでは世界中の「FFXIV」ファンがガッカリするというか、筆者自身もユーザーの1人として大変ガッカリしたので、帰国後に改めてメールインタビューを申し込もうと考えていたが、吉田氏本人が当日の夜に電光石火の勢いで先手を打ってきた。

 「Q&Aセッションの内容は『FFXIV』ファンが納得する内容になっていない」という理由から、日本から参加したメディアに対して、「2日目終了後に短時間のぶら下がり取材を受ける」と連絡してきたのだ。というわけで、吉田氏にはイベント終了後の打ち上げの時間を割いてインタビューを行なってきた。限られた時間だったため、漏れてしまった質問もあるが、前日のQ&Aセッションに比べれば、多少は「漆黒のヴィランズ」寄りのインタビューになったのではないかと思う。ぜひお楽しみ頂きたい。

【プロデューサー兼シンガー吉田直樹氏】
インタビューに応じる1時間前の吉田直樹氏。トリを飾るTHE PRIMALSのライブコンサートで白虎着流し姿で登場。コージ氏にプロデューサー兼シンガーと突っ込まれていた

――吉田さんがコスプレ姿を披露した新ジョブ「ガンブレイカー」について聞かせて欲しい。まずはなぜDPSではなくタンクにしたのか?

吉田氏: タンクにした意味は2つある。そもそもこれ以上、DPSをこのジョブの数に対して足すと、バランスを取りきれなくなる。ただでさえ近接DPSが多いので、これ以上足すというアイデアはなかった。

 あともうひとつは、そろそろ世界でリクエストされる青魔道士のような「FF」シリーズのジョブは実装することができてきたということもある。格好良さ、見た目を考えたときにガンブレードを使うジョブというのは引きも強いし、4タンクにして綺麗にバランスを取りたいというところもあった。先頭に立って戦うタンクというこれまでとは違うタンクが作れるのではないかというところが噛み合ったのでガンブレードで行こうということになった。

 意外とタンクと予想されていた方は多かった。コミュニティの予想を見ていても7割ぐらいはタンクだろうという感じだった。そういう意味ではプレーヤーもジョブの数のバランスとか、「FFXIV」のゲームデザインのポリシーなどはわかってもらえているのかなと思う。

【ガンブレイカー】
基調講演でガンブレイカー(サンクレッドver)で登場した吉田氏

――現在タンクは3ジョブで絶妙なバランスで進んできているが、1ジョブ入ることでどうなるのか。ざっくりどういう特徴のあるタンクなのか教えて欲しい。

吉田氏: それに答えるのは正直5月まで待って欲しい。新しいアクションを含めて、最終的に4タンクでどういう棲み分けにするのか。3タンクでパッチ4.5までやってきたなかで、タンクを使う方の好み、メインタンク、サブタンク、防御バフあるなしといった要素がある中で、3タンクだと三角形になってよろしくないなというところもあって、メインタンク2、サブタンク2というバランスにするのか、それともメインサブどっちもできるようにするのか。現在アクションを調整しながら落としどころを探しているところ。5月にバトルに関して詳細を発表しようと考えているのでそれまで待って欲しい。

――ガンブレイカーのバトルスタイルについて「斬った瞬間にトリガーを引く」と発言されていたが、それは実際にコマンド入力するのか、それともそういう設定だということなのか?

吉田氏: 毎回それをプレーヤーにやってもらうとパッドプレーヤーは腱鞘炎になってしまう(笑)。基本的には絵作りで処理しつつ、それが体験できるようなアクションというのは、味付けとして入れていく予定。いつものようにベースコンセプトとして、各ジョブ毎にゲーム体験が変わるというところを重視しているので、今回もガンブレイカーならではシステムを持った状態でリリースするつもり。そこもバトルアクションと一緒に5月のタイミングでお披露目できるかなと考えている。

――ガンブレードは「帝国のものとは違う」と発言していたが、なぜそういう設定を持たせたのか?

吉田氏: それは単純に1.0のストーリー設定に僕が絡んでないから(笑)。帝国式のガンブレードは、僕が「FFXIV」に加わる前に設計されたものなので、「これガンブレードなの?」、「みんなが見たがるガンブレードと違うよね」というのが「FFXIV」を引き継いだときのイメージ。帝国式のガンブレードは銃剣になっている。銃は銃で、それに刃が付いている。でも、プレーヤーが望んでいるのはスコールからはじまったガンブレードではないのか。実装するならその方が喜んで貰えるのではないか。ただ、当然、世界設定にも取り込むつもりで、これまで帝国式ではないガンブレードが今まで日の目をみなかった理由などは、ジョブクエストで綺麗に補完するつもり。

――魔弾の仕組みを教えて欲しい。

吉田氏: 5月まで待って欲しい(笑)。

【バトルスタイルは?】
ガンブレイカーの基本性能については5月まで待つ必要があるようだ

――パッチ4.3で物語が完結した際、新たな次の脅威として帝国が現われ、ガンブレードが新ジョブとして追加されるのではないかと盛り上がったが、実際にガンブレイカーを実装しようと決めたのはいつのタイミングなのか?

吉田氏: パッチ4.1ぐらいの頃には決めていた。だいたいそれぐらいの時期には、次の拡張のゲームデザインをやっているタイミングなので、そこらへんではほぼほぼ入れることを決めていた。それぐらい長期計画をキッチリやっていて、今月中に次の2年間の計画を全部立てなければいけない。皆さんには数年先に話すことも決めていく。

――今回、出なかったことについて聞きたい。今回2つ目のジョブについてまったくヒントがなかった。それは何故なのか?

吉田氏: なぜ毎回ヒントなるものが出ると思っているのかがわからない(笑)。僕のTシャツがヒントになっているというのを、偶然なのに、皆さん良く妄想されるなと思っていて、そんな意識はない。東京まで1カ月ちょっとあるし、次は何だろうねと考えて頂く時間も必要なのではないか。あ、知ってた、やっぱり、わかってたよりもその方がおもしろいのではないか。世界観的なところも含めて、出せないことが多いのは事実。サプライズはプレーヤーの皆さんに感じて頂きたいので。

【Tシャツヒントはなし】
2016年10月にラスベガスで開催されたファンフェスでは、Tシャツで赤魔道士の存在をアピールしていた吉田氏。どうもこのパターンは飽きたらしい

――昨日のQ&Aセッションで唯一盛り上がった質問が男ヴィエラに関する質問だと思う。吉田さんのことだから男ヴィエラは出すと思っている。ただ、男ヴィエラは「FFXII」でも稀少で表に出てこない設定になっている。その点についてどういう風に「FFXIV」に馴染ませていく考えなのか?

吉田氏: さあどうだろう。僕はあまのじゃくだから、「きっとこうだろう吉田は」と言われると外したくなる(笑)。そうくるならこうしちゃおうかなというところもある。実は先日完結したリターントゥイヴァリースの中に、「FFXIV」の中でのヴィエラの設定は、もの凄く詳細に語られている。そこは松野さんと連携して、だいぶヒントは含まれているのでをそちらをチェックしてみて欲しい。松野さんには素晴らしいテキストを書いていただいた。

【男ヴィエラはいる?】
男ヴィエラは果たして存在するのか、その謎は東京ファンフェスで明らかになるようだ

――予約特典のエーテライトイヤリングは、既存の経験値増加系のアイテムと効果は重複するのか?

吉田氏: 一定数値までは重複する。ただし、リミットはかけている。アイテムレベルも、プレーヤーのジョブレベルと共に上がっていくという新しい仕組みになっている。レベル1から付けっぱなしで、自動的に強さも上がっていく。その方が皆さんに使っていただきやすい。かねてから話をしていたもので、予約をしていただければ、「漆黒のヴィランズ」の前にお届けするので、その準備のために使って貰えればと考えている。

――素晴らしい仕組みだと思うが、この仕組みを使った何か新たな展開は考えているのか?

吉田氏: いいえ。ある意味、特定の部位のアイテムを無価値にするシステムなので、乱用はしない前提で作っている。乱用すると、グラフィックスの違い以外に特徴がなくなってしまう。エウレカの中でしか効果を発揮しないなどの地域限定効果ならあるかもしれない。それ以外では、必ず僕の確認が必要という状態にはしてある。

【エーテライトイヤリング】
予約特典として入手できるエーテライトイヤリング。そのインパクト抜群のビジュアルもさることながら性能にも注目が集まる

――アライアンスレイドについて、「ニーア」シリーズの開発元であるプラチナゲームズは開発に参画するのか?

吉田氏: リソースデータの共有はしてもらうので、そういう意味では参画に近い。ただ、リターントゥイヴァリースでもそうだったように、ボスバトルなどは「FFXIV」の開発チームが作るので、開発という意味では参加はしない。

【ヨルハ:ダークアポカリプス】

――同じクリエイターとしてヨコオさんにどのような印象を持ったか?

吉田氏: 第一印象はもの凄く頭の良い方。発言も実は計算されていると感じるし、特に僕のタイプとは違うなというか、比較はしたことがないが、強いて言えば“傷痕”というか、何かを残そうとされる方。ご自身が作ったものを、プレイされた方、読んだ方に対して、なんでもいいのでガリッとひっかいたような後を残したい。それがモノを作っているという意味だと、そこまでストレートに仰るかどうかはともかく、そう考えているだろうなというパワーを凄く感じる。とにかく面白い方。食事を一緒にしていて、ゲームの話をして盛り上がれる数少ない知り合いの方だなという感じ。

【ヨコオタロウ氏】

――ヨルハを発表について、ウェルカムな方、拒否反応、色々あったと思うが、ユーザーからの反応は想定内か?

吉田氏: これももうちょっと「漆黒のヴィランズ」の情報公開が進めば、「なるほどね」というところも出てくると思う。いずれにしても「FFXIV」に溶け込めるようにというところは、齊藤陽介さんもヨコオさんも大事に考えて下さっている。やはり「FFXIV」のコミュニティに拒否反応をされたくない、その上でひとつ残したいということを強く感じる。それは僕らも同じで、「ニーア」のコミュニティの皆さんに余計なことするなよと思われたくない。どちらのコミュニティにも喜んで貰えるものにするというのは全員共通で考えているところ。それをしっかりゲーム体験に落とし込んで、ぜひまた予想のつかないなという感じでお待ちいただければ。

――ヨルハについて、齊藤さんとの仕事はいつ以来?

吉田氏: ゲーム制作では「ドラゴンクエストX」以来。

――齊藤さんはプロデューサーだが、齊藤さんはこのプロジェクトにどういう関わり方になるのか?

吉田氏: おそらくスクウェア・エニックスいちのプロデューサー。お互いあんまりプロデューサーだと思っていなくて、おそらく齊藤さん自身も自分がプロデューサーだとは思っていない。おもしろいことをやりたいというだけで、職業分類上プロデューサーと呼んでいるだけ。

 齊藤さんはゲームデザインもできる人なので、それぐらい引き出しが多く、モノを考えることに長けている人。役割もあって現在仕掛けをする側に回っているが、懐は広いし、ヨコオさんに限らず、ディレクターがやりたいと思ったことをやらせる。「ドラゴンクエストX」もそうだったが、プロデューサーはディレクターを信じること、これが面白いと言えば絶対100%信じるべきだし、それを作る人を集める、反対する人がいれば説得する、両方幸せじゃないなら外れた方が良い。それぐらい人にかけるタイプ。今回も役割については一切話してなくて、こんなのやったらおもしろいよねということをお互い言っているだけ。

【齋藤陽介氏】

――特別な関係性といえるのか?

吉田氏: 特別かどうかはわからないが、2人とも忙しくて飲みに行く機会が年に1~2回ぐらいしかないが、今後は仕事で会わなきゃいけないので、飲みに行く回数が増えそうで嬉しい。

――ビデオレターでヨコオさんは「全然出来てない」と発言されていたが、現在の開発の進捗状況は?

吉田氏: 少なくともヨコオさんの頭の中にこうやってみたいというのは明確にあって、その話はすでに聞いている。あとはそれをベースにどうやって「FFXIV」の世界観にいかになじませるか。それは僕らの方でも話が終わっていて、結論についてのキャッチボールをしているところ。

――企画について話を伺った時どう思ったか?

吉田氏: 「ああ、さすが」だなと。僕らは確かにやんないだろうなと。本当におもしろいことができそう。これ以上の話は、齊藤さん、ヨコオさんの3人の機会を持ちたいと考えているので、そのタイミングでより詳細なことをお話しできると思う。

――松野さんは、ヨコオさんにバトンタッチするとツイートされていたが、リターントゥイヴァリースを実際にクリアしてみて、完全に終わる感じが全然しなかった。続きは検討していないのか?

吉田氏: (笑)。松野さんの作品群の素晴らしいところは、その作品だけが完結すればいいという作り方をされていないところ。歴史物、時代物、キャラクターもので存在感をつくるというのが松野さんのゲームデザインだと思う。広がりという点では、今回松野さんが書いてくれたことは良い意味で、エオルゼアの歴史や設定を侵蝕してくれているので、それがまた絡み合って、新しい何かを生む可能性はあるんじゃないかと。僕からは何も注文はしておらず、松野さん自身が新しいテキストを書いて、確認させていただいた上で実装した。また機会があれば、違った形でやれればとおもしろいなと思う。なにせ僕は松野信者だから(笑)。でも本当にリターントゥイヴァリースはよかった。ギリギリまで攻めたので、拒否反応をされる方もいるのかなと思っていたが、「FFT」をプレイされていた方が結末を喜んでくれたのは良かった。

【リターン・トゥ・イヴァリース「楽欲の僧院:オーボンヌ」】

――「漆黒のヴィランズ」では、トレーラーの出し方、見せ方が従来とは変わったと感じている。前回のラスベガスから「おやっ」と思ったが、今回のパリでは少しずつ見せるポイントを変えていっている。ミスリードを誘う見せ方をしていて、ストレートに解釈すると、真実まで遠ざかるのだろうなと(笑)。

吉田氏: そのとおりでございます(笑)。前回までのトレーラーのパターンに僕が飽きたというところが大きい。予測もされやすくなっていて、あまのじゃくな性格なのでパターンを崩したいというところもあった。今回は映画の予告編のように、出来上がった1つのシーンから良い場所だけ抜いてきて構成していて、振り返ってみれば「これ8話のラストじゃねえかよ」みたいなことを意識している。トレーラーの中でもわざわざボイスを入れるということをやっている。吐息、斬り合いの声はこれまでも入っていたが、ハッキリとしたセリフをいれたのも、そこを意識している。

 セリフは一字一句僕が書いていて、こう取るだろうなとか、こう取られるけど実はこうなんだよなというところは、最初から考えていて、全体のシーンを書いてから、北米のファンフェスはこことここ、欧州のファンフェスはこことここを使うという風にやっている。祖堅には北米と欧州は同じ曲で行けると思うけど、東京は全然変わるから2回は書いてもらうからねと言っている(笑)。東京ファンフェスは入り方からして違う形になると思う。

【FINAL FANTASY XIV: SHADOWBRINGERS Extended Teaser Trailer】

――東京ファンフェスで公開される最終的なトレーラーを見ると、「何だよそうだったのか、騙された!」って思うんじゃないかと(笑)。

吉田氏: どうだろう(笑)。メインシナリオと一緒に見ないとわからないところはあると思う。「FFXIV」のトレーラーは「凄そう」で良いと思っていて、「なんかわからんけど凄いそうだな」、「ファンタジーだな」と。既存プレーヤーの皆さんは、メインシナリオをプレイしているからこそ、これってああだろう、こうなって、ここにパッチが来たらこう繋がるんだろうかと想像できるようにしてある。ただ、「漆黒のヴィランズ」のシナリオに実際に入らないと意味がわからないという部分はあると思う。バトルシーンひとつとってもかなり追加シーンが多いので。あとはビジュアルワークスの作業が間に合うのかということだけが心配。欧州ファンフェス用のトレーラーも完成したのは出発の前日だったから(笑)。

――今日のPLLで発表された、バルデシオンアーセナルについて、「FFXI」のプレーヤーとしてとんでもないものを持ってきたなと感じた。これはどういうコンセプトで持ってきたのか?

吉田氏: そこは中川任せで、中川にゲームデザインを託してるところがある。僕はコンセプトしか話してない。中川は「FFXI」のガチの経験者で、キャラ名言ったらわかるぐらい。ほかにもいろんなエッセンスを取り込んでいて、僕の方からも過去に自分が遊んだMMOについて、ネタを共有してやってみたらということはアドバイスした。

【バルデシオンアーセナルのボスはAbsolute Virtue】

――やる前に警告を出すというのがおもしろい。

吉田氏: 「Diablo」のハードコアだとキャラロストするので、事前に警告が出るようになっているが、それと同じ事にしておこうと。ショックがデカい気がしていて。ワイプして、レベルダウンして、外に放り出されるという。「3分で終わったけど」っていう(笑)。デスペナがあって、蘇生できない。戦力がどんどん削られていくわけで、緊張感がデカい。普段気軽に避けられているものも、緊張で避けられないかもしれない。「単なるAOEなのに!」っていう(笑)。そういう意味ではボス単体のギミック自体はそこまで難しくはないと思っている。ただ、リトライができない。ワイプして即リスタートというわけにはいかないので、そこの落としどころは調整した。

――「FFXI」ネタとしてフェイスについても聞かせて欲しい。今回新しい情報を出さなかったのは、開発が遅れているのか、それとも別の理由があって東京に残してあるのか?

吉田氏: まだ話せないところも多いということ。主要NPCが戦いに参加する仕組みなので、当然メインストーリーにも関連しているから。たとえば、誰が参戦するのか? 今、暁のメンバーがみんな倒れていっている状態で、いち早く倒れたサンクレッド、ヤシュトラ、ウリエンジェは、今回のトレーラーを見れば活躍の機会がありそうだということはわかったと思う。ネットを見ていたら、別時間軸のヤシュトラではないのかとか、時間が戻ってるのか、飛んでるのかとか、そういう予想もでていたが、さあどうだろう。これ以上は言えない(笑)。いずれにしても開発が遅れてるわけではない。4月下旬には僕が全通しチェックをする予定になっている。

――開発パネルのゲストに生江さんに白羽の矢を立てた理由は?

吉田氏: ファンフェスの企画は、各リージョンに責任を持たせるためにも、自分たちで考えなさいと言っている。たとえば、日本の場合、日本のプレーヤーがレイドまで行っている率が非常に高いのでバトルコンテンツのセッションの反応が凄く良い。かなりコアなところまで話しても、あのギミックはああだったとわかって貰える。北米もレイドコミュニティが強いので、バトルバトルバトルっていう感じ。一方、ヨーロッパは絵のイメージが強く、みんないろんな楽しみ方をしているので、あまりバトルにフォーカスしすぎてもぽかーんとなってしまう。

 もうひとつは、拡張版の作業が凄く詰まっているので、動かせるセクションが限られている。生江自身が言っていたが、キャラクターアートセクションは5.0の作業が終わっている。リクエストを貰った上で、アートセクションは稼働できそうだったので、前回の欧州ファンフェスがもうひとりのリードコンセプトアーティストの茂木だったので、もし生江が受けてくれるなら、生江にお願いしたいと考えた。生江はヨーロッパのデザインに刺激を受けていて、でも1度も海外に行ったことはないという。生江に「イヤだったら拒否してもらっても良いが、フランスも見られるしどう?」っていう話をして、ギリギリまで悩んでたみたいだが、来てくれて良かったと言ってくれたので良かった。10年以上の誤解も解くことができたし。

【生江亜由美氏】

――さっそく「FFXI」のWikiが更新されていた(笑)。

吉田氏: あれはちょっと可愛そう。10年前のあの時期ブログに出たこととくっついちゃった。「FFXIV」なら放送とかで「違うよ」と話ができるが、「FFXI」はオンラインコミュニティがまだ閉塞感があった時代で、開発とプレーヤーのキャッチボールできていたかというとそういう空気でもなかったと思う。今は「FFXI」は僕の管轄なので、リフレンダーとかも含めて、北米も力を入れていて、ユーザーの皆さんもうてばひびくので積極的に盛り上げていきたいと思っている。最近は実は「FFXI」のこともやっている(笑)。

――キャラメイクが可能なベンチマークプログラムの配布計画は?

吉田氏: 現在制作中。Vコンテのフィードバックを渡した状態でこちらに来て、Vコンテ第2弾が完成したというメールが飛んでいた。日本ファンフェスの前に公開することはないが、ローンチよりは前のタイミング、おそらく春のPC買い換えのタイミングで出して行くことになると思う。間違いなく新しいバージョンのベンチはある。ヴィエラのキャラメイクもできるというところも売りなので、しっかり搭載した状態で公開したい。

――拡張にあたって今回グラフィックスの水準、引き上げは行なうのか?

吉田氏: 前回やっているので今回はやらない。ただ、単純にDirectX 9、32ビットOSのサポートが終了するというところは大きい。それによって2GBのメモリ制限からも解放されて、デバッグも含めて楽になる。今はまだパーツ交換が利かないようなマシンでもチェックしていて、「本当にチェックする必要があるんですか?」といわれていた。世界中のPCの水準も調べて、それによって上がるゲーム体験もあると思う。ただ、今はまだ全然気にしなくて大丈夫だと思う。

 その一方で、グラフィックスに期待してるところが大きいというのがファンフェスを回って感じたこと。ただ、難しい。MMOのグラフィックスエンジンの載せ替えは良い面もあれば、悪い面もある。一気にユーザーを振り落としてしまう可能性もあれば、収益に繋がらない可能性もあるので、スタンドアロンのゲームのようにはいかない。MMORPGとしては凄いけど、ジャッジは慎重にすべきかなと。今はまだ具体的な計画はないが、市場の動向を見ながらという感じ。

――いよいよ来月はホームの東京ファンフェス。ヨーロッパがこれだけ盛り上がったのだから、ホームグラウンドの東京ではもっと盛り上がることを期待しているが、見所を教えて欲しい。

吉田氏: まず規模。15,000人! ヨーロッパは4,500人だから3倍の規模になる。ファンフェス史上最大規模になる。幕張メッセ4、5、6ホールぶち抜き。1人TGSみたいな(笑)。ステージがおかしな作りになっているので、会場に来られたら「はぁ?(笑)」と感じて貰えると思う。単独のゲームでここまでやるんだということを来場者の方には感じて貰いたい。

【パリファンフェス】
パリのファンフェスも単独イベントとしてはかなり大規模なものだったが、東京ファンフェスはなんとこの3倍の規模になるようだ

――東京ファンフェスはネタが多いと思う。新ジョブ、レイド、イシュガルド復興、フェイスなど、話すべき内容が盛りだくさんで、90分の基調講演で収まるのか?

吉田氏: そこは主要トピックスに絞ると思う。全部を話すわけではない。なぜならそこからまだローンチまで、4月、5月、6月とあって、徐々に情報を濃くしていきたい。だから東京で全部フルオープンにするつもりはない。こういうものは多すぎてもダメ。ピンポイントでプレーヤーにもささるし、一般のまだゲームに触れてない方にもわかりやすいような内容で盛り上がりを出した上で、どんどんそれをブレイクダウンして、最後にマスPRをしていく。

 東京ファンフェスでは大ネタから。フェイスは実機じゃないとわかりにくいところがあると思う。どのぐらいの精度で来てくれるのかとか、切り替えられるのとか、メインシナリオクリアするとどうなるのかとか、話すことがたくさんあって、それは基調講演よりも実機を交えたPLLのほうがいいと思っている。

 ちなみに、東京ファンフェスの基調講演の内容はまだ1mmも書いていない(笑)。僕の頭の中にしか基調講演の中身はないので、それを表に出してステージを作って行くことになると思う。いずれにしても「FFXIV」をプレイして良かったと思えるように、残念ながらチケット外れた方もTwitchで精一杯おもしろくしようと思うので、ぜひ視聴していただければと思う。ゲストも結構凄いので!