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Taipei Game Show 2009現地レポート

Funtown本社訪問レポート
台湾初となるXbox LIVE Arcadeで「Funtown Mahjong」を開発、
「Warhammer Online」の台湾展開を大々的にアピール

2月12日~16日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:大人150台湾ドル(約450円)
    子供100台湾ドル(約300円)


 Funtownは台湾のオンラインカジュアルゲームにおいてトップのシェアを誇るメーカーである。大型のMMORPGが台湾でサービスされ、いくつもの企業がパブリッシングメーカーとして脚光を浴びる中、Funtownは自社開発のゲームをサービスするメーカーとしてどちらかといえば地味なイメージのメーカーだった。

 2007年、Funtownは世界中にオンラインゲームコンテンツを配信する台湾Gigamediaに買収されたことによりゲーム開発・運営とともに、パブリッシング事業を開始することになる。2007年のTaipei Game Showで最大のブースを構え米Flagship Studiosの開発した「Hellgate:London」のパブリッシャーとして華々しく存在感を誇示した。

 しかし「Hellgate:London」の開発は難航し、結果としてFuntownのパブリッシング事業は柱としてのタイトルを失ってしまう。2008年のTaipei Game Showでは新たに韓国Mgameが開発する「Holic(日本名:「ルナティア」)」、韓国Neowizと米EAの共同開発の「NBA Street Online」のパブリッシングを発表するが、こちらも2008年中にはサービス開始に至らなかった。

 Funtownは2009年のTaipei Game Showの出展は見送ることになったが、2009年1月1日に「Holic」の正式サービスをスタート、さらに1月28日には台湾メーカーで初となるXbox LIVE Arcadeで「Funtown Mahjong」のダウンロード販売を開始した。2009年のFuntownのパブリッシング、自社開発はどのような展開を見せるのか、今回台北市北部の湖區堤頂大道にあるFuntown本社で、FuntownCEOのYautlan Chen氏にインタビューを行なった。


■ 「Warhammer Online」を台湾で展開、「Holic」も台湾ユーザーにあわせたカルチャライズを目指す

FuntownCEOのYautlan Chen氏。日本のゲームやプロ野球が大好きとのこと。年末は「クロノトリガー」に夢中になったという
若者たちが集まるショッピングビル「New York New York」にビルの前面に展開する「Warhammer Online」の広告。力の入ったプロモーションだ
 Funtownは台湾のオンラインカジュアルゲームメーカーとして知られている。Funtownはオンラインの麻雀ゲームとして世界で最初期にスタートし、現在も台湾のカジュアルゲームとして1、2を争うシェアを誇る。Chen氏は「台湾でオンライン麻雀ゲームをプレイしたことのある人はすべてFuntownのゲームのプレーヤーだ、といっても過言ではありません」と語る。

 Funtownは麻雀ゲームのみならず、ポーカーや大富豪などオンラインのカジュアルゲーム全般を手がけている。そのメーカーがアジアだけでなくヨーロッパなど世界中にオンラインゲームコンテンツを配信する台湾Gigamediaに買収され、世界戦略を視野に入れたコンテンツを制作するとともに、様々な国のオンラインゲームを台湾国内でサービスするパブリッシャーとしての役割を担うようになった。

 Funtownは2007年のTaipei Game Showで大々的に「Hellgate:London」を出展、しかし現在に至るまでこのタイトルはサービスできていない。Taipei Game Show2008では「NBA Street Online」、「Holic(日本名:「ルナティア」)」を出展したが、2009年1月1日に「Holic」ようやく正式サービスにこぎつけた。

 「NBA Street Online」は今後、グループ企業で中国でパブリッシング事業を展開しているグループ企業T2と協力した形でカルチャライズ作業を行ない、サービススケジュールを組み立てている。「Hellgate:London」は開発元と協議中で、今のところサービスの明確なスケジュールは決められないとのことだ。オンラインゲームパブリッシャーとしてはかなり苦戦しているのが現状だ。

 パブリッシングの一方、Funtownは麻雀ゲームの開発、改良も積極的に展開している。2008年は麻雀ゲームにインターネット間で音声通話ができるスカイプの機能をプラスして好評を得た。インターフェイスの改良や、有名タレントを起用したキャンペーンなど様々な施策をしており人気を博しているという。

 2009年のFuntownは大きなプロジェクトを立ち上げる。米Mythicが開発する「Warhammer Online」の台湾でのサービスである。台湾では2009年の3月に1万5千人の規模のクローズドβテストを行ない、4月の中旬にオープンβテスト、正式サービスを展開していく予定だ。サービス形式は月額サービスで、1カ月450元(約1,350円)を予定している。

 「Warhammer Online」はFuntownの2009年の中心となるタイトルとして大きくアピールしていく。Taipei Game Showが毎年開催される台北世界貿易中心のある台北市信義区は、超高層ビル“台北101”をはじめ、映画施設やレストランが集まる観光スポットとなっている。Funtownはその中でも若者たちが集まるショッピングビル「New York New York」にビルの前面を覆う「Warhammer Online」の巨大広告を設置してタイトルのアピールを行なっている。

 Funtownは「Warhammer Online」をサービスの柱として設定し、展開にあわせて「Wartown」というポータルサイトを立ち上げる。「Holic」もこのポータルサイトで扱い、FuntownのMMORPGを扱うブランドとして独立させ、様々なゲームをサービスしていく予定だ。

 韓国Mgameが開発する「Holic」は台湾ならではのレベルの必要経験値を調整などを行なっている。サービスが2009年の1月になってしまった原因はギルドシステムなど、Funtown側が必要と考えるシステムが未実装だったことだという。今後は台湾オリジナルアイテムを投入するべく開発に働きかけている。

 Funtownは「Holic」のプロモーションには“超萌”というキーワードでかわいらしさをアピールしている。オリジナルアイテムはアクセサリによりよりかわいらしさを追求できるアイテムを提案している。こちらの実現は今後となる。ゲーム内のアイテムを装備したキャラクタは似たような格好になる傾向がある。課金アイテムでユーザーがこだわりの格好をできる方向性を目指していく。

 一方で「Holic」はゲームの大きな目的として「国家間の戦争」を掲げている。かわいらしさと、戦争という2つのコンセプトを持つこの作品をどう運営していくのか? Funtownではファンの声から「Holic」でフォーカスしたい部分は戦争やアクセサリではなく、「ペット」と「変身」にしていきたいという。

 「Holic」では低レベルの時からペットや、モンスターに変身できるアイテムが入手できる。台湾の運営ではこの要素をさらに強化し、今後「変身ができるゲーム」、「たくさんのペットがいるゲームだ」という要素をアピールしていく。この他、ユーザーが迷路を造ることができる要素をピックアップして、コミュニティを活性化していきたいという。

 2007年に「Hellgate:London」をメインコンテンツとしてパブリッシングをスタートしようとしたFuntownは結果として2009年が正式活動を開始する年となった。現在、FuntownはカジュアルゲームをサービスするFuntownのページと、MMORPGをサービスするWartownのページを全く別なポータルとして準備し、2つのページをつなぐリンクもない、徹底した独立方針で運営をしていく。

 「MMORPGをサービスして、従来のカジュアルゲームとまったく違うユーザーの反応に最初は驚かされました。MMORPGのプレーヤーはゲームの中のキャラクターを財産として、ゲームの世界で“生活”を楽しんでいます。彼らのコミュニティ、ユーザーの交流にWartownでのコミュニティ機能を充実させていきたいと思います」とChen氏は語る。

 Funtownは毎年1万人以上のユーザーを集めて、カジュアルゲームを楽しむオフラインイベントを開催している。2009年には新しいチャレンジとして300人規模の「Holic」のオフラインイベントを開催する予定だ。MMORPGのオフラインイベントは初挑戦と言うことで、ネットカフェなどと連動した企画を進行中とのことだ。

台北市の北部にあるFuntownのオフィス。現在250人ほどのスタッフが働いているという

【Holic】
かわいらしいキャラクタが活躍する「Holic」ゲームの目的としてRvRが設定されているが、変身やペットなどゲーム世界を充実させる方向でアップデートされていくという

【Warhammer Online】
「Dark Age of Camelot」を開発した米Mythicが手がける「Warhammer Online」。激しいRvRが楽しめるMMORPGだ


■ Xbox LIVE Arcade「FunTown Mahjong」を販売、年内に第2弾のカジュアルゲームも

Taipei Game Show2009のMicrosoftブースに出展していた「FunTown Mahjong」。台湾初のXbox LIVE Arcadeタイトルだ
Funtown社内で行なわれている通信対戦のテスト。セットトップボックスやPCとの対戦がテストされている
 Funtownはもう1つ大きなチャレンジを行なっている。それがXbox LIVE Arcadeで1月28日よりダウンロード販売された「FunTown Mahjong」だ。体験版の他、完全版が800マイクロソフトポイントで販売されており、全世界で購入できる。ソフトは英語版であるが、このゲームを通じて世界のプレーヤーと麻雀の対戦することができるのだ。

 Chen氏によればこのソフトの開発には2年かかり、非常に難航したという。苦労した点はXbox LIVEの仕様が開発中に変更されたり、通信機能での連動に時間がかかった。しかしサービス開始5日で6万ダウンロードという好調なセールスで、現在もユーザーが増加している。「世界的に台湾のゲームメーカーであるFuntownの名前がアピールできたの意味は大きいと思います」とChen氏は語る。

 Funtownはポーカーや大富豪など麻雀以外のテーブルゲーム、カジュアルゲームの開発実績がある。「Funtown Mahjong」の次のソフトとしての企画も提案中で、可能なら年内での発売を目指しているという。Funtown社内では通信機能のテストを行なっており、Xbox 360とPC、さらにケーブルテレビのセットトップボックスでの対戦をテストしていた。

 Xbox 360とPCのプレーヤーが同じサーバー上でコミュニケーションを行なうことができるソフトは「ファイナルファンタジーXI」や「SHADOERUN」などがあるが、それほど多くない。「Funtown Mahjong」がハードの垣根を越えた対戦を実現できれば面白そうだ。

 Funtownでは自社開発のゲームはカジュアルゲームが中心で、大型のMMORPGなどの開発は現在行なっていない。最近、台湾のゲーム業界はWEBブラウザで動くWEBゲームの開発が盛んで、Funtownの開発チームも中国市場を視野に入れたWEBゲームのMMORPGを企画している。こちらのタイトルは開発中のためサービス時期やタイトルも未定だ。

 中国は都会以外の地域でもインフラが広がりつつあり、地方では自宅から低スペックのPCでインターネットへ接続するユーザーも増えている。WEBゲームはそういったユーザーを視野に入れたコンテンツだ。「中国は地域、地方によってユーザー層が多様で難しいです。だからこそ挑戦するのは面白いです」とChen氏は語る。台湾ユーザーはグラフィックスなどが充実したゲームを好むが、中国では2DのMMORPGが爆発的なヒットをしたりと独特の展開を見せているという。

 Chen氏は最後に、「私たちはオンラインゲームパブリッシャーとして新しい事業を進めるとともに、開発はカジノのようにオンラインカジュアルゲームを充実させていきたいと思います。Xbox 360は新しいチャレンジですが、まずPCでの充実を計っていきます。オリジナルカジュアルゲームには日本の皆さんにもチャンスがあれば楽しんでいただけばと思います」と語った。

 FuntownとWartownはそれぞれポータルとしてサービスを行なっている。いざ2つのポータルをみてみると、それぞれのリンクもなく、Funtownはカジュアルゲーム、WartownはMMORPGのパブリッシングを全く独立した形で進めていくようだ。カジュアルゲーム開発、Xbox LIVE Arcadeへのアプローチも別ラインという印象で、Funtownというメーカーの中に3つの独立したラインが走っているように思える。これらのラインが何をもたらしていくか、注目したい。

【Funtown Mahjong】
Xbox LIVEを通じて対戦を楽しむことができる「Funtown Mahjong」。今後もカジュアルゲームを開発していく予定だ

□Taipei Game Showのホームページ
http://tgs.tca.org.tw/
□Funtownのホームページ
http://www.funtown.com.tw/
□Wartownのホームページ
https://member.wartown.com.tw/intro.html
□関連情報
【2008年1月25日】Funtownブースレポート
巨人も登場するユニークな「NBA Street Online」や「Hellgate:London」など
パブリッシングタイトルを積極的にアピール
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080125/igs.htm

(2009年2月17日)

[Reported by 勝田哲也]



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