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会場:台北世界貿易中心
入場料:大人200台湾ドル(約700円) Taipei Game Show 2008は、他の国のゲームショウに比べると小規模なスペースで、Gamaniaなどが出展を見送っただけでなく、大手のSoftstarやSoftworldなども小さなブースを出すのみといった感じで、ゲームメーカーのショウにかける意気込みというものは今一歩という印象を感じざるを得ない。 しかし、ユーザーの熱意、特に「ゲームに対する意識」というものは年々確かに高くなっている。ユーザーは積極的に試遊台の画面をのぞき込み、友達とゲームの内容を話し、遊びながら感触を確かめる。出展しているメーカーの中には、試遊台を多く用意し、コンパニオンやスタッフがユーザーをフォローするなどイベントに対する理解はユーザー、メーカーの間では浸透している事は確かに感じた。来年はユーザーの熱意をメーカーや主催者が受け止め、もっと大きく、さらにユーザーが楽しめるゲームイベントとなることを望みたいところだ。 本稿ではそんなTaipei Game Show 2008の出展メーカーの中で、強くユーザーにタイトルをアピールし、大きな人気を得ていたUSERJOYとIGSの2つのメーカーと注目タイトルを紹介したい。台湾ユーザーの「良質のゲームに会場で触れてみたい」という要望に応え、見ているだけで興味を惹かれるコンテンツを出展し、しっかりとサポートも行なっていたメーカーである。
■ お年玉袋でゲーム内アイテムを販売? 多くのタイトルを出展したIGS。「蒼天」と「We Dancing Online」を大きくアピール
IGSブースでユニークだったのがMMORPG「封神2」やオンラインダンスゲーム「We Dancing Online」アイテムの店頭販売だ。会場ではオンラインでも買えるアイテムを“割引して”販売していた。人気は非常に高く、いつまでも人の列はとぎれることがなかった。高額紙幣である1,000台湾ドル(約3,500円)を無造作に何枚も出す風景などは、日本のグッズ販売でもよく見られる風景だが、そのプレーヤーの熱意には驚かされるものがある。 カウンターでアイテムを購入するとアイテムコードが書かれた紙をお年玉袋のような袋(日本のものと比べると赤くて大きい)に詰めて渡してくれる。Taipei Game Show 2008は台湾の旧正月近くに開催される。今回はその正月前の開催だったが、アイテムのコードを入れた袋がいかにも「お正月風」で面白く感じた。
今回のIGSは韓国Wemadeが開発する三国志をテーマにしたMMORPG「蒼天」とオンラインダンスゲーム「We Dancing Online」を大きく出展し、アピールしていた。特に「蒼天」は木で作られた砦風のコーナーを作り、10台以上の試遊台を設置し、大きなモニターに画面を写し出した上に積極的にイベントでも取り上げるという力の入った出展を行なっていた。
● 三国志の攻防を再現する「蒼天」。「真・三國無双」シリーズとの差別化をどこまでできるか?
本作ではプレーヤーは魏、呉、蜀の3国の内いずれかに属し、戦場を駆け抜けていくことになる。選ぶことができるキャラクタタイプは4種類で、両手に武器を持ち素早い攻撃を繰り出す「剣客」、平均的だが防御力が比較的高い「武士」、破壊力がある代わりにスピード感にやや欠ける「力士」、反対にスピードが速く通常の攻撃力は小さいもののクリティカルヒットが出やすい「侠客」から選択する。 「蒼天」では中国大陸を舞台とした広大なマップが用意されている。大陸にはいくつかの城があり、それを囲むように拠点が設置されている。侵攻するプレーヤー達はまず拠点に攻め込み、そこを自国の勢力下に置いたところで中心である城を目指す。その地方を支配している勢力に属するプレーヤー達は進行してくるプレーヤーを迎え撃つことになる。 戦場の規模が本作のセールスポイントで、1地域では30vs30という最大60人での対戦が楽しめる。中心の城の地点では100vs100の200人のキャラクタが入り交じる戦いが楽しめるという。 今回出展されたバージョンでは協力プレイのみで、対戦要素は楽しめなかったか゜、「ゲームパッド」に対応しているところに興味を惹かれた。「真・三國無双」を非常に強く意識していることはすぐにわかるが、比べるとキャラクタの動きは少しもっさりしている。しかし、グラフィックス、エフェクトともに美しく、NPCと激しく戦う場面と、爽快なアクションは単純なコピーゲームとは違った高い技術と製作者のこだわりがある。 力士キャラクタはパワフルでその力の入ったアクションをするし、武士の攻撃はスピードが速いなど、キャラクタの特性もよく出ていて、キーのレスポンスそのものは良好で、見た目だけでなくゲームの根本もしっかりしていることを感じさせられた。サポートもこまめにスタッフが歩き回りプレーヤーに細かくアドバイスをするなど好感が持てた。
現在のバージョンではまだ実現していなかったが、NPCがたくさんいる戦場にさらに200人のプレーヤーキャラクタが激しく争う戦場を実現できれば「真・三國無双」シリーズや「真・三國無双Online」とは全く違う戦場が実現するはずだ。現在のバージョンでも多くの台湾ユーザーの注目を集める魅力がある。ここからアイデアをどこまで実現できるか、注目したいところだ。
■ USERJOY、宇宙人側はRTS、人類側はFPS2つの異なるゲームスタイルで戦うユニークなオンラインゲーム「Field of Honor」を大きくアピール
「Field of Honor」は巨大な虫型宇宙人と装甲服と未来の兵器に身を包んだ人類が激しく戦う、という世界観で、マッチングロビーに参加して戦うMO形式のゲームである。2008年1月2日からアイテム課金による正式サービスを開始しており、会員数で20万人、最大同時接続者数3万人という人気を集めている。 本作ではプレーヤーが宇宙人と人類にわかれて戦うのだが、ユニークなのは宇宙人側のプレーヤーはRTSとして宇宙人の軍団を操作し、6人編成のプレーヤー兵士と競う、という点だ。 戦いは2:6というプレーヤー比率で行なわれる。2人の宇宙人側プレーヤーはRTSとして虫型宇宙人を生産するプラントやトラップを設置し、コストを消費して異星人の兵士を生産し、人類側プレーヤーを追いつめていく。人類のプレーヤーはFPSとしてそれぞれのキャラクタを操作し、宇宙人プレーヤーが差し向ける宇宙人と戦うことになる。 戦いの時間は10分間。この間に人類側を全滅させれば宇宙人側が勝ちだ。宇宙人が使うユニットは人類のキャラクタの数倍もあり、大きく膨らんだ腹部や、とがった脚を持ち、撃たれたときに飛び散る体液など生理的嫌悪感を催す。これに対抗する人類側は巨大な火器を使いこなし、ムキムキの筋肉を銀色の装甲服で包んでいる。見た目だけなら欧米産のFPSを思わせるかなりアクの強いデザインである。 人類側の兵器はショットガンや膨大な弾をばらまくマシンガン、さらに広範囲に毒の霧を発生させるグレネードランチャーや狙撃ライフルなど装備のバリエーションが多かった。出展されたバージョンは人類側の装備が充実しており、能力もブーストしているためかHPも多かった。 対する宇宙人側はルールを把握しきれていないようで攻撃も散漫なためか人類側が有利なまま終わる戦いが多かった。実際に人類側でプレイしてみると地形でキャラクタがわずかにひっかかったりと、細かいところのチューニングはまだまだ必要だとも感じた。実際のプレーヤー達はどのように戦っているか興味がひかれるところだ。 来場者の人気は非常に高く、試遊台は常に黒山の人だかりだった。宇宙人側は行列ができるほどの人気だった。グラフィック、演出が派手で「どのようなゲームか」ということがはっきりとわかるデザインだと言うことが人気の秘密だったと感じた。試遊台にはセクシーなコスチュームに身を包んだコンパニオンが配置されていて彼女たちが優しくサポートしてくれる、というのも人気を集めた1つの理由かもしれない。
今回Taipei Game Show 2008に出展されたタイトルの中でもトップクラスのユニークで面白い切り口を持っていたタイトルだ。日本でも是非サービスして欲しい。
□Taipei Game Showのホームページ (2008年1月25日) [Reported by 勝田哲也]
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