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会場:ゲームポット本社
ゲームポットの運営タイトルとしては、「スカッとゴルフ パンヤ」に続く大ヒットとなった「FEZ」だが、運営・開発周りは激動している。まず2006年にスクウェア・エニックスからゲームポットに運営が移管され、翌2007年には開発会社のマルチタームが「ハンゲーム」で知られるNHN Japanに吸収合併されている。ここまでが、昨年末のインタビューまでの動きだ。 その後も「FEZ」はNHN Japanで開発が続けられたが、2008年に入り、開発協力会社としてフェニックスソフトの名前が挙がり、さらにその数カ月後には開発をフェニックスソフトに完全移管すると発表された。現在はゲームポットが運営、フェニックスソフトが開発という体制に落ち着いている。今回、この新体制の代表者に集まっていただき、この1年の動きを振り返りつつ、先日の「ゲームポットフェスタ2008」で発表された新要素についても詳しく伺った。
お答えいただいたのは、ゲームポットの「FEZ」運営プロデューサー和賀潤氏と、フェニックスソフトの「FEZ」ディレクター藤本哲哉氏。そして「FEZ」のライセンス元であるスクウェア・エニックスより「FEZ」プロデューサー小山博典氏、アシスタントプロデューサー李潤玉氏にも同席していただいた。
■ フェニックスソフトの誕生で3社が再結束した1年
和賀潤氏 : 今年の7月から始めさせていただきましたが、期間が長すぎて中だるみしてしまったと感じています。ただ決勝大会は、たくさんのユーザー様に集まっていただいて、非常に盛り上がったと思っています。試合もスキルバランス変更の影響で、職構成などが変わって、去年と全く違った戦い方が見られて楽しかったです。 大会を行なうのは、ユーザー様に戦争以外のモチベーションを提供したいという思いからなのですが、「バンクェット」は敷居が高い大会になりますので、来年はもう少し敷居を下げた、今年行なった「メルファリアシャッフルトーナメント」のような誰でも気軽に参加できる大会を、もう少し短いスパンで行なっていきたいと考えています。 ――ではこの1年を振り返っていきたいと思います。先日、60万IDを突破したと発表されまして、去年から約20万IDの伸びとなるわけですが、どのような感想をお持ちですか? 和賀氏 : 同時接続数は、サーバー負荷の問題などもあってあまり伸びていないのですが、ユニークユーザー数は伸びていて、新規ユーザー様の定着率も高いようです。今年は開発移管など、こちら側の事情によってあまりアップデートを行なえなかったので、来年はアップデートを充実させるとともに、新たなユーザー様、既存のユーザー様をもっと引き込み、さらに「FEZ」を満足してプレイしていただけるような環境を作っていきたいと考えています。
――細かい話を伺う前に、現状、不透明になっている運営・開発体制を整理させてください。3社の仕事の分担は、どのようになっているのでしょうか。
――例えば新しい企画は、どんな流れで進めていくのでしょうか? 小山氏 : 「FEZ」の運営開始当初から3社(6月以前はNHN Japanを含む)で毎週定例会議を行ない、その場で企画を各社から持ち寄っています。どの企画を採用するかは3社で協議して決定しています。 ――わかりました。では次に開発移管の動きについてですが、どのような理由から現在の体制に移ったのでしょうか? 小山氏 : 最初はマルチタームさんに開発をお願いしていたのですが、NHN Japanさんに吸収合併されました。その後NHN Japanさんより「FEZ」の開発体制について、弊社とゲームポットさんに相談がありました。そこで3社間で協議した結果、開発会社を変えるのが「FEZ」にとってベストであろう、という結論になりました。 それで、どこの開発会社に移管するのかというところで、やはり「FEZ」を全く知らない会社さんにお願いするというのはリスクがあるので、開発協力として携わっていたフェニックスソフトさんに移管することになった、という流れです。 ――フェニックスソフトさんの開発陣は現在何人ですか? 藤本哲哉氏 : 15人くらいです。移管当初よりも増えています。 ――去年インタビューさせていただいたNHN Japanの方は、今日は誰もいらっしゃいませんが、開発スタッフは総入れ替えの状態ですか? 小山氏 : いえ、総入れ替えというわけではありませんが、ほとんどは新たに加わったメンバーで、マルチターム時代に「FEZ」の開発に関わっていた人や、NHN Japanから移ってきた人は一部ですね。 ――移管直後は社内ではかなりの混乱があったのではないですか? 藤本氏 : 会社を作ってすぐ、アップデートに向けての開発作業をしなければいけない状況でしたので、大変でした。 小山氏 : ソースを引き継いで別の人間が見ることになるので、非常に困難な作業でしたが、フェニックスソフトさんはうまく対応していただけたと思います。 ――当初は動きの鈍さも見えましたが、最近は新クラスを発表されたりと、動きがよくなってきたように見えます。ようやく新しい体制に馴染んできたということですか? 藤本氏 : 移管当時は大きなアップデートを行なうのは難しい状況でしたが、今はようやく新クラスのような大きな要素を追加できる体制が整ってきました。そういった大きなアップデート以外にも、ゲーム内に変化を与えるようなアップデートは定期的に続けていけるようにしたいですね。 小山氏 : 「FEZ」のソースは構造上、新クラスの追加を想定しておらず、開発は皆様が思われているよりも非常に困難な作業になります。フェニックスソフトさんには、半年足らずでよく作っていただけたなと感謝しています。 藤本氏 : 新クラスについては、どれぐらいの時期に実装できそうかというメドが見えた時点で発表したいと話していまて、ようやく実装のメドが立ったので、今回発表するに至りました。ユーザー様には、発表から実装まであまり待たせないような形で進めていきたいと思っています。 ――ちょっと後ろ向きな話ですが、NHN Japanさんの時代に、3つの新クラスを始め、いくつかの新要素が発表されていました。これがフェニックスソフトさんに移管された際にご破算になったのですが、何か引継げなかった理由があるのですか? 李潤玉氏 : NHN Japanさんから提案された臣クラスは、実装までに多くの時間がかかり、通常のアップデートと平行して開発を行なうのは非常に困難でした。そこで再度企画から見直して、今回の新クラスや新スキルといった形にまとまりました。 和賀氏 : 内容的には完全にご破算になっているわけではなく、要望の多かったクラスなどは、新たな企画に引き継ぐ形でユーザーさんに提供できるよう検討しています。 藤本氏 : 現実的なラインに落とし込んだ形ですね。
――次にスクウェア・エニックスさんの動きについてお伺いします。先日、「FEZ」が「スクウェア・エニックス メンバーズ」でサービスを開始しました。これはどういう狙いがあるのでしょうか?
小山氏 : NHN Japanさんの「ハンゲーム」でも「FEZ」のチャネリングサービスを始められて、そのチャネリング先をもう1つ増やしましょう、といった話で始めました、というだけの話です。ただ、そこでユーザーさんに誤解されまして、「運営が移管する」という様相になってしまいました。ゲームポットさんに移管したタイミングで、スクウェア・エニックスが前面に出る形にしないほうがいいだろうと、あまり情報発信をしないでいたのが、逆に誤解を受けたのかと感じています。 小山氏 : 運営をどこにお任せするのがいいのかという話で、現状ではゲームポットさんにお願いするのがベストな選択であると考えています。12月からは「疾走、ヤンキー魂。」がスタートしたりですとか、ゲームポットさんと協力してやっていこうというスタンスで動いています。 ――ついでに誤解を解決しておきたいのですが、ゲームポットさんのタイトルの中で「FEZ」だけ「ゲームポットポイント」に対応していないのはなぜですか? 和賀氏 : 単純にシステム的な作業の遅れです。今後は「FEZ」も「ゲームポットポイント」に入れようと動いています。 ――それもユーザーの誤解を招く一因でしたので、これで色々と明確になったと思います。
李氏 : タイミングが見事にかぶっていたので……そこまで深読みされてしまうとは思っておりませんでした。ユーザーの皆様には、ご心配をおかけしてしまい申し訳ございませんでした。
■ 新クラス「フェンサー」は3すくみの影響なし。さらに2クラスの実装を目標
藤本氏 : 80%くらいは終わっています。今はスキル実装のためのシステム拡張をやっておりまして、あとはグラフィックス素材の作成やパラメータの調整ですね。「フェンサー」のスキルは今までにない仕組みを使っている部分もありますので、その辺りのプログラムはほぼできています。 小山氏 : 半年前に発表してもいいレベルまで企画ができていたのですが、「絶対できる」というところまで出さないでいて欲しいとフェニックスソフトさんから要望があり、「ゲームポットフェスタ2008」で発表することになりました。 藤本氏 : 新クラスは新しい効果を持つスキルの作成や、各レベル帯ごとの装備品、キャラクタのモーションの制作など、数多くの要素を一度に実装する必要があったため、あまり早いうちからは言えませんでした。 ――以前は3クラス発表されましたが、今回は1つだけですね。この形にされた理由は何でしょう? 藤本氏 : 3クラス揃って入れられれば、それに越したことはないのですが、当然、開発にかかる時間も増えますので、結果としてユーザー様を待たせてしまうことになってしまいます。またゲームバランスを考えると、1クラスずつ入れてテストを行ない、落ち着いた所で次のクラスを入れる形のほうがいいという判断で、順次実装していく形をとりました。 ――続いて「フェンサー」の詳しい仕様についてお聞きします。防具は「ウォリアー」と共通になるのですか? 藤本氏 : いえ、「フェンサー」専用の防具を作っています。 ――武器は片手でレイピアを持つわけですが、盾は装備できないのでしょうか? 藤本氏 : 盾は装備できません。 ――既存クラスには3すくみのダメージ補正がありますが、「フェンサー」はどう扱われるのでしょうか? 藤本氏 : 3すくみとは違う位置付けになりますので、クラス間のダメージ補正は入りません。「フェンサー」の場合は、急所を突くというコンセプトで、1撃のダメージは比較的大きいものの、装甲が薄く、回避スキルなどを使ってうまく立ち回るクラスになります。単純なダメージとしては、どのクラスに対しても高くなるとは思います。 ――発表では連続攻撃ができるとか、大ダメージを与えるという話がありましたが、具体的にはどんなスキルがあるのでしょうか? 藤本氏 : 1撃のダメージが大きいものは、スキル発動後の隙がとても大きく、とどめを刺したあとに他の人から狙われやすいので、使いどころが難しいスキルとなっています。連続攻撃については、1発のダメージは大きくありませんが、連続して上げられれば大きなダメージを期待できます。 ――それぞれ、別のスキルとして存在するわけですね。 藤本氏 : はい。また回避スキルも充実していますので、ヒット&アウェイを基本とした戦い方になるかと思います。 ――結構充実している、ということは1つではないのですか? 藤本氏 : はい。いくつかスキルとして存在します。 和賀氏 : 「ゲームポットフェスタ2008」でも、2つお話させていただきました。「バク転」と「カウンター」のスキルですね。 ――「フェンサー」に続く新クラスは検討されているのでしょうか? 藤本氏 : 一応、大枠はあるのですが、まだゲームポットさん、スクウェア・エニックスさんと協議をしている最中です。 ――具体的にはどういうものにしようという話までは進んでいないのですか? 李氏 : まだ発表できないのですが、具体的にどういうクラスにするかといったところや、大体のスケジュールについてはほとんど決定しています。 小山氏 : 「フェンサー」と同様、最終的に確定したものをお出ししようということです。実装直前のタイミングで発表させていただこうと考えています。 ――新クラスはあと2つでいいのですか?
藤本氏 : 目標としてはあと2つですね。
■ 新スキル「大剣」は既存スキルとは別枠での実装を検討
藤本氏 : まだ企画段階で、スキルそのものの詳細は言えませんが、両手ウォリアーのスキルはほぼ使えるようにし、そこに大剣用のスキルを追加しようと思っています。 ――ということは、今ある両手スキルツリーの中に、大剣専用のスキルツリーが加わるのでしょうか? 藤本氏 : 大剣専用のスキルツリーを用意することは考えていません。あくまで追加という形で考えています。 ――それは今の両手斧などでは使えない、大剣専用のスキルになるのですか? 藤本氏 : そうですね。大剣を装備していれば使える形になります。 ――スキルポイントがトータル40ポイントというのは変わらず、現状は他のスキルツリーに振っているポイントを大剣スキルに割り振る形で覚えるのですか? 藤本氏 : その部分に関してはまだ未定で、スキルポイント消費による習得とするのか、それともまた別の条件を設けるのかは検討中です。 小山氏 : 通常の習得型にすると面白味に欠けます。高レベルのユーザーさんは、すぐにスキルを覚えて使えることになるので。 ――すると例えば、何かのクエストをクリアしたら使えるようになる、という形もありえるのですか? 藤本氏 : そういった方向でも検討しています。 ――スカウトとソーサラーの新スキルについてはいかがでしょうか? 藤本氏 : まだこれから企画していく段階なので、詳細は決まっていませんが、3クラスといっても、武器の種類はそれ以上にあるので、それぞれに入れなければと思っています。両手ウォリアーに関しては大剣という形で入れて、あとは片手ウォリアー、弓スカウト、短剣スカウト、ソーサラーという形ですね。ソーサラーは単体として入れるのか、属性系統別に入れるのかというのは検討中です。 ――それらの実装は大剣スキルと同時にはならず、順次実装という形になるわけですか?
藤本氏 : そうです。
■ 国王介入は再調整。新マップは高低差の大きな新システムで実現
藤本氏 : 廃止ではありませんが、仕様を一度見直す必要があると考え、下げることにしました。元々、国王介入のシステムは、戦争にランダム的な変化をもたらすために実装したのですが、両軍がイーブンではない変化だったため、ストレスに感じる部分のほうが大きくなってしまいました。イーブンではない状態でユーザー様のモチベーションをどう持たせるのか、あるいはイーブンではない状態で納得できる状況はどんなものかなど、再度検討が必要だと考えています。 ――新マップは3つ入るということですが、デザインにおけるテーマや方針はあるのですか? 藤本氏 : ミニマップだとわかり辛いのですが、かなりの高低差があるマップになっています。今までの戦場は、比較的平坦なマップにでこぼこがあるという形だったのですが、今回発表させていただいた新マップは東から西にかけての坂道が、とても急な坂になっています。システム的には従来のマップの高低差の限界値を拡張し、より急勾配なものを作れるようになりました。 李氏 : チュートリアルマップを想像していただくとイメージしやすいかもしれないですね。 藤本氏 : あと森の部分に木のオブジェクトを植えてあるのですが、普通のプレーヤーキャラクタであれば間を抜けられるものの、大きな召喚獣などは進めなくなってしまう場所があるので、そこを戦略的に使ってもらいたいですね。 ――他の2つのマップについてはいかがでしょうか? 藤本氏 : 中央に水辺があり、その間に中州みたいなものを配置しているマップで、オベリスクを置きにくいので、領域をどう広げていくかがポイントになります。あとは段々畑のように、広い範囲で棚を作ったようなマップも実装されます。 ――ほかに近日中のアップデートで何かお話しいただけることはありますか? 李氏 : 近日中ですと、2009年1月の共通装備で、これまでになかった形のものが入ります。 藤本氏 : 今年の8月くらいに、共通装備の強化システムの変更と、部位一体型装備を入れました。共通装備は強化のおかげでユーザー様の使用頻度が上がっていると思うので、そこに向けて共通装備兼、部位一体型装備として、今までは作れなかった形のものを入れようかと思っています。おそらく、「えっ?」と感じると思います。 小山氏 : 賛否両論かもしれない(笑)。
李氏 : 面白可愛い系ですね。
■ 目標や闘技場などの改良を検討中
藤本氏 : 100対100に関しては、単純に負荷の問題がありますし、20対20も現状のエリアの繋がりだと、戦争から溢れてしまう人が出てきてしまう可能性があるので、あまり安易にいれないようにとは考えています。ただ全くできないという話でもないので、工数や負荷の問題の目処が立ったら考えていこうと思っています。 ――人が少ない時間帯に戦争が開きにくいことがあるので、少人数戦場は欲しいところです。逆にマップの繋がりを変更するような計画はありますか? 藤本氏 : 話としては出ていて、検討はしているという段階です。 ――目標達成のメリットが、現状はオフィシャルショップが開くという1点なのですが、課金アイテムを使う人が増えてきたということもあり、意味が薄れています。この辺りはどうお考えですか? 藤本氏 : オフィシャルショップとは別に新しい要素を用意し、そこに目標達成などの戦争の結果を絡めることで、戦争のモチベーションを上げるという形のものを、現在検討しています。 ――去年も伺いましたが、レベル40になってから戦争に出るメリットがないままです。何かアイデアはありますか? 藤本氏 : これに関しても話は常々出ています。単純にレベルキャップを外した場合、当然それによるメリットもまた考える必要があります。しかし単純に攻撃力や耐性値が上がる形にすると、今よりもレベル差による強弱が開いてしまい、戦争に出始める低レベル帯の人達が勝てない状況が生まれてしまいます。その辺りも考慮が必要だと考えています。 和賀氏 : 現状はそのモチベーションを埋める役割として、大会などを行なっています。バランスに影響を与えないというところでは、例えば段位のようなものを入れて、プレーヤースキルを上げることがモチベーションになるというものを、とお話しはさせていただいています。 ――今の所はランクがありますが、これを拡張するという方向ですか? 和賀氏 : それも含めて検討中です。 ――次に闘技場について、新ルールがしばらく導入されていませんが、何か考えられていますか? 和賀氏 : 闘技場に関しては、「バンクェット」の期間を除くと、ほとんど「モンスタースマッシュ」しか利用されていないという状況です。色々と楽しいルールもありますので、もっと多くの方に遊んでいただけるコンテンツにするため、闘技場システムの変更や、無料化などができないか協議しています。 ――「バンクェット」などを見ていると、闘技場に観戦モードがあってもいいかなと思います。 和賀氏 : そういった話は出ていました。ただ闘技場を利用される方が、まだ一部しかいないので、まず闘技場そのものの改善が先なのかと思っていますし、その前にメインコンテンツである戦争や、新要素の導入が先になるという動きです。 ――闘技場の成績が残るようにはなりませんか? 和賀氏 : フェニックスソフトさんに工数をかけないように、ゲームポット側でできるものとして、WEBでランキングを用意するといった形はできるかもしれません。 ――次に既存クラスについて、新クラスが目前ではありますが、バランス調整を行なう予定はありますか? 藤本氏 : 今の所は考えていませんが、新クラス導入時に必要であれば、合わせて調整します。まずは新クラスを入れてからになると思います。 ――召喚獣について、先日大幅に調整されて、一部元に戻されたりもしました。この調整の狙いと結果について教えてください。 藤本氏 : 「FEZ」はゲームが始まって領域を広げ、後はPvPで戦うだけという形になりがちなので、もう少し領域の取り合いをして欲しい、というのが開発の狙いでした。「ジャイアント」については若干強すぎたため、後に調整を行ないました。 「ドラゴン」に関しては、今まで逆転要素にしては出現が不確定だったり、そもそも逆転できないという状態でした。そのため、基本的なコンセプトを変えて調整してみてはどうかということになり、早めに出現することでちょっとの差を均衡に戻してあげるという形で調整を行なったのですが。すると今度は、逆にドラゴンがでないようゲージ差を調整する戦い方が生まれてしまいました。なかなか上手くいかないなといったところで、一旦調整前の状態に戻しています。 ――今後はどうしようとお考えですか? 藤本氏 : 我々のコンセプトとして、やはりアクションとストラテジーという2本があって、ストラテジーの部分も強く出していかないと「FEZ」の特徴は強くなっていかないと思うので、召喚獣も含めた形で調整したいと考えています。 ――新しい召喚獣はいかがでしょうか? 藤本氏 : 新しい召喚獣や建築物は常々考えてはいるのですが、何はともあれ新クラスというところです。今年のアップデートで壁や橋を実装した際にも、なかなか調整が難しい要素だというのは感じています。慎重に検討していこうと思っています。 ――次はエンチャントについてですが、「サモンアタックゲイン」はそろそろ新しい使い道ができませんか? ルーレットでもハズレアイテムと認識されています。 和賀氏 : 長らく仕様の再検討をしていますが、まだ決定していません。ルーレットでは全く使用されないアイテムを入れたくないので、「ハイパワーポット」や「ハイリジェネレート」、「ビルドアタックゲイン」などと合わせて、一時的に景品から外す予定で進めています。 ――新しいエンチャントアイテムを入れる予定はありますか?
藤本氏 : エンチャントは位置付けが難しく、新クラスにも影響してくるので、現状は新しいものは考えていません。例えば新しいエンチャントを入れた際に、新クラスの新しい機能と同じような立ち位置になると元も子もありません。ここもまずは新クラスを優先するという形です。
■ サーバー周りは強化を図りつつ、キャラクタ移転サービスも検討
和賀氏 : チュートリアル導入時の不具合によるトラブルに加え、同時期にハードウェアによるトラブルが重なって発生してしまいました。ユーザーが増えて負荷が上がったために発生したという可能性も考えられるのですが、あくまでサーバー障害のタイミングが重なってしまった形です。大変ご迷惑をお掛けいたしました。 ――次にサーバー関連では、先日もお話が出ました、Atziluthワールドの動作が重いという問題の原因は特定しつつあるのですか? 和賀氏 : 負荷問題に関しては、データ量が問題に挙がっています。メンテナンスの際に新しいハードウェアへの入れ替えや、不要なデータの削除を行なっていますが、まだ改善しない状況です。プログラム側の対応となると、フェニックスソフトさんのほうでデータベース構造から作り直す必要がありますので、新規実装を止める形となり、かなり重い問題になっています。 とはいえ、今の状態を続けていくのは問題がありますので、現時点での対応策として、Atziluthワールドから新規ワールドや既存のワールドに向けて、キャラクタデータを移転する仕組みを作りたいと考えています。2009年の頭にアンケートを取って利用者数を測ってから、実施に移る予定です。もちろん、根本的な所も改善可能な箇所から手を入れていかなければならないとは思っています。 ――サーバー関連でもう1つ、SNSも非常に重い状態になっています。これは改善の見込みがあるのでしょうか? 和賀氏 : こちらも同様の問題ですが、2009年の1月中旬ごろにバージョンアップを予定しています。負荷の軽いバージョンを用意していて、これで負荷が解消される見込みと聞いています。追加される機能もあると聞いていますが、まずは負荷問題を解消するため、その部分を先に上げてもらえないかと相談しています。合わせてハードウェアも交換する予定です。 ――SNSで、プレミアム会員のような有料サービスを実装する計画はありますか? 小山氏 : 考えてはいますが、どんなものにするかはまだ結論が出ていません。まずは負荷問題の解決が優先されるべきだと考えています。 ――では軽くなることを期待した上で、戦争の流れが見えるFlashアプリのようなサービスは実装できませんか? 和賀氏 : SNSを開発するときに案として出ていましたし、入れたいとは常々思っています。ただ位置情報のログなどを全てサーバー側から出さなければならないため、サーバーの負荷が上がってしまいます。そこを改善できたらという形になります。 ――次にセキュリティ対策関連で、先日、「nProtect」を外されました。ユーザーの目にはセキュリティ対策が減ったようにも見えますが、現状どうなっているのでしょうか? 和賀氏 : 弊社の他のコンテンツで使っているセキュリティツールがありまして、そちらのほうがよりクライアントに対する負荷が軽く、セキュリティレベルも高いと判断しまして、「FEZ」にも導入しました。 ――では別のセキュリティツールが入っているのですね。 和賀氏 : はい。名称を出すと、抜け道も見つかりやすくなるので、公開していません。現在もチートに関して抜け道があることは把握しているので、そこは随時手を入れてまいります。さらにセキュリティレベルを上げたバージョンも用意しています。 ――さらに違う方向の質問です。「ゲームポットフェスタ2008」で物販が大行列になって、欲しいものが買えなかったという方が結構いらっしゃいました。通信販売などで追加対応はしないでしょうか?
和賀氏 : できればやりたいのですが、社内に通販ができる体制が整っていません。他の企業さんとのタイアップでできないか相談しています。また、人気の高かった商品に関しては、今後もオフラインイベントなどで再販していきたいと考えています。ちなみに会場で販売されたグラニフさんのTシャツに関しては、店舗のほうでも販売される予定です。
和賀氏 : 江頭2:50さんに関しては……エンディングを迎えるところです(笑)。 ――もう終わりですか! 和賀氏 : 今年いっぱいですね。ユーザー様同士で協力するイベントというのが今までなかったのと、江頭2:50さんはネット上でもかなり人気があるので起用させていただきました。今回はミッションでただ戦争に勝てばいいという形になってしまいましたが、次回はもう少し複合化させて、みんなで協力してこうしよう、とユーザー様がイベントの流れを作れるような、こちらの用意したシナリオを進めるだけではないイベントをやっていきたいですね。 ――その時には残念ながら、江頭2:50さんではないと……。 和賀氏 : そこは未定です(笑)。別の方になるか、また江頭2:50さんが再降臨されるかは検討段階です。 ――わかりました。では最後に、お1人ずつユーザーに向けてメッセージをお願いします。 和賀氏 : 今年はサーバーの負荷問題が多発し、ユーザー様には満足なサービスをご提供できなかったことを深く反省しております。来年はフェニックスソフトさんが新要素の充実を頑張っていただけるということで、弊社としてはまずゲームができる環境をご提供できるよう、負荷問題の解消や、アップデートの不具合をきちんとチェックできる体制を整えます。また、「バンクェット」などの大会や、毎月行なっているゲーム内イベントを、いただいたご要望やご意見を活かし、より多くの皆様に楽しんでいただけるように頑張っていきたいと思います。 藤本氏 : 今年はチュートリアルや首都改変など、新規ユーザー様向けのコンテンツが多く、また開発が移管した直後は試行錯誤を繰り返しながらの実装で、ユーザー様からご指摘いただくことも多くありました。来年は新クラスの実装を始め、新規ユーザー様に限らず、既存のユーザー様にも楽しんでいただけるような要素を追加していきますので、これからも「FEZ」にご期待いただければと思います。 李氏 : ここ1年を振り返ると、スクウェア・エニックスの動きが活発化したように見えたことで、ユーザー様に「また移管か?」といった不安を与えてしまい申し訳なく思っています。今年は公式設定本を出したり、「ヴァルキリープロファイル」とのタイアップを行なったりしましたが、来年も新規のユーザー様を呼び込み、既存ユーザー様にも喜んでもらえるような展開やコラボレーションをやっていこうと思いますので、引き続きよろしくお願い致します。 小山氏 : 「FEZ」は3年目を迎えますが、まだまだ成長させていかなくてはならないコンテンツだと思っています。今後もユーザー様に新しい驚きを提供し続けていきたいと思います。
――ありがとうございました。
□ゲームポットのホームページ (2008年12月26日) [Reported by 石田賀津男]
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