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G-Star 2008現地レポート番外編

韓国ゲームショップ特別レポート 完全保存版
韓国経済危機でPS3がついに値上げ、中古市場が依然盛況

11月13日~16日開催(現地時間)

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

入場料:4,000ウォン(前売り2,000ウォン)
子供2,000ウォン(前売り1,000ウォン)


 韓国は名実共にオンラインゲーム大国であり、その開発意欲、消費意欲ともに、世界を圧倒している。近年は、大手メーカーの大作オンラインゲームが不振にあえぎ、業界再編の動きが活発化したが、グローバル展開と表裏一体という側面もあり、それは必ずしも韓国オンラインゲーム業界のプレゼンスの低下を意味するものではない。G-Star会期中にも、NCsoftの「AION」が同時接続者数20万人を突破し、サーバーが耐えきれないため、広告を自主的に取り下げるといったニュースを聞くと、やはり韓国ばかりは別格だと思わざるを得ない。

 そうしたオンラインゲーム市場の沸騰ぶりの陰で、なかなかメジャーにならないのがコンシューマ市場だ。2007年は、任天堂の参入、ニンテンドーDSの発売開始、100万台達成と明るい話題に事欠かなかったが、Nintendo of Korea、SCEK、Microsoft Koreaの3大プラットフォーマーが揃ってスタートした2008年は、Wiiが思ったより販売実績を伸ばせず、それ以外の分野でも、日本まで届くような大きな話題は作れなかった。

 しかし、そうしたマクロな視点ばかりで市場を見ていてはいつまで経っても実態は見えてこない。韓国にも熱心なコンシューマゲームファンはいるはずで、彼らの実態を現場でリサーチすることは決して無意味ではないはずだ。そこで今回は、ゲームショップを通じて、韓国コンシューマゲーム市場を覗いてみることにした。

 過去に姉妹作としては上海編台湾編がある。併読していただくと、同じアジアでも違いが鮮明になってさらに楽しめること請け合いである。


■ 韓国コンシューマゲームの新たなメッカ「国際電子センター」では中古市場が盛況

ソウル南部にある国際電子センター。ヨンサンやミョンドンと比較しても良質のゲームショップが多く、多くのゲーマーが集う
ゲームショップのフロアで目に飛び込んでくるのは中古品。新品もあるが、中古も安くて良いよという売り方をする
新品は値が張るだけでなくモノがないため、大事に飾られている。中古天国の韓国ならではの風景と言っていい
売買に電卓は欠かせない。価格交渉もありだ
 今回は韓国コンシューマゲームのメッカとして若者の間で人気を集めている「国際電子センター」、韓国一の家電街ヨンサン、若者の街シンチョン、学生街ホンデイプク(弘大入口)などを巡った。今回メインの取材地となった国際電子センターは、ゲームメーカーの本社がひしめく新興都市 江南地区にほど近いソウル南部にあるITモールタワーである。ゲームのみならず、あらゆる家電、携帯電話、映像コンテンツなどを扱っている。

 アジアに数多く存在する電脳タワーと作りはまったく同じで、1フロアごとにカテゴリ分けされ、同じ商品を扱った数十のテナントが軒を連ねている。全体的に客の入りは少なく、閑散としている。アイコンタクトすればとりあえず声をかけてくるが、店側もあまり売る気はない。アジアでは恒例の風景である。

 そうした中で異彩を放っていたのがコンシューマゲームを専門に扱っているフロアである。やはり日本を含む他のゲームショップに比べると人の数は少ないが、売る気のある店員と買う気のあるユーザーがしっかりいるため活気がある。中央吹き抜けのエスカレーターゾーンを取り囲むようにびっしりテナントがひしめいているが、不況の影響からか、フロアの奥の方は空白や休業店が散見された。

 このフロアで目を引くのが、なんといっても中古品である。新品は奥の棚に大事にしまわれ、中古品が手元のラックにギッシリ棚差しされている。目にとまった比較的新しいPS3タイトルの中古品を棚から抜き取り値段を聞くと37,000ウォン(約2,600円)ということだった。買い取り価格はというと35,000ウォン(約2,450円)で、その差額はわずか2,000ウォン(約140円)しかない。

 それで商売になるのかという気もするが、中古品はどういうわけか無税扱いになるため、むしろ新品を取引するより利幅が大きいという。在庫リスクに関しては、基本的に価格調整のみで対応していると言うが、韓国では一定のコレクター層も中古品を求めるため、それほど問題にはならないのだという。発売から1年以上経過したタイトルは、ジャンク扱いとなり10,000~20,000ウォン(約700円~1,400円)でセール品扱いとなる。

 中古品には価格表のようなものはなく、個々に値札も付いていない。それではどうやって値段を管理しているのかというと、オンラインで価格をリサーチするサイトが存在し、実質的な価格は店側ではなくユーザーが決めているという。その価格設定にあまりに外れたショップは、ユーザーから叩かれ、たちまちモノが売れなくなるという。中古品を新品と同じ店で売りまくることの是非はともかくとして、意外とユーザー本意のシビアな市場が成立していることがわかった。

 新品に目を移すと、先に取り上げたPS3タイトルの新品の値段は46,000ウォン(約3,200円)、定価でも52,000ウォン(約3,640円)。為替レートの関係で、今現在は極端に安くなっているが、もともと韓国のコンシューマゲームの価格設定は欧米や日本より安くなっている。ただ、中古市場が幅をきかせているため、なかなか新品が売れないという構造的欠陥に悩まされている。

 現在、韓国では1万本でヒットだという。「New Super Mario Brothers」や「脳トレ」、「Nintendogs」など20万本以上の大ヒットを記録したタイトルも存在するが、これらは例外中の例外で、欧米や日本でミリオンセラーを達成するタイトルでも1万本程度で頭打ちとなり、あとは中古市場で商品が循環することになる。

 韓国で展開するプラットフォーマーは、平行輸入品に対しては、発売時期を早めたり、リージョンコードを設定したり、あるいは平行品を扱った店舗に対して取引停止等のペナルティを与えることによって、ほぼ駆逐することに成功している。しかし、中古品に対してはまったく有効な手を打てていない。

 その理由としては、法的にはまったく合法であるという点と、そもそも論として、新品だけでは、ゲームショップとしてビジネスにならないほど商いの規模が小さいという点が上げられる。新品と中古品を完全に分離させれば、ゲームショップは壊滅してしまうため、メーカーとしてもそこまで踏み込めないわけだ。

 ゲーム市場を育てるためには中古市場に対して抜本的な対策が必要なように思うが、ショップ側に改革に耐えられるほどの体力がない。ここはメーカーが一丸となって10年先、20年先を見据えた長期的なストラテジーを考えていく必要があるように思えた。

【中古品】
どこの店舗でも大量に在庫がある中古品。全プラットフォーム、国内外あらゆる国のゲームが置いてある。価格は30,000ウォン前後が多いが、セール品ともなるとわずか3,000ウォン(約210円)で買うことができる

【ソフトウェアの販売状況】
取材当時は「Gears of War 2」の発売直後ということもあり、同作がもっとも人気だった(上段)。常時人気なのは「DJ MAX」シリーズ。Wiiはすべてローカライズされているところが売りだが動きは鈍かった


■ PS3が6万ウォン値上げ。Wiiは韓国リージョンの設定が不評

今回取材協力をいただいた店舗のユニークな展示方法。プラットフォーマーへの遠慮などはなく、いかにとびきりのハードの在庫をアピールするかに苦心している
ゲームショップの至る所で見られたPS3のポスター。388,000ウォン(約27,160円)とあるが、11月13日以降、448,000ウォン(約31,360円)に値上げされている
2008年4月に韓国でデビューを果たしたWiiだが、ショップでの露出はそれほどでもなかった。写真はヨンサンでのもので、国際電子センターはコアゲーマーが多いためか、PS3とXbox 360が人気だった
品薄だったDMBチューナー。日本のワンセグチューナーと外見は同じで、これをPSP-2005もしくは3005に装着することでTVの視聴が可能となる
 ハードに目を移すと、これがまたソフト以上に話題が多かった。まず、PS3の在庫が払底していた。ショップに張られたポスターには388,000ウォン(約27,160円)とあるが、店に在庫を聞くとすべての店に置いておらず、「仮に置いていたとしてもその価格では売ることはできない」という。言ってる意味がよくわからず、再度、店に売れない理由を聞くと、SCEKが近日中に値上げを予定しているため、いまはどこにも在庫がないのだという。

 後日談となるが、翌日SCEKで取材を行なうと担当者はその事実を認め、11月13日には価格改定のリリースが流された。新しい価格は448,000ウォン(約31,360円)。Xbox 360の60GBモデルの368,000ウォン(約25,760円)と比較すると、値上げの前後で20,000ウォンから80,000ウォンの差が開いてしまった。日本での60GBモデルに相当する、初期の80GBモデルが518,000ウォン(当時のレートで約63,000円)だったのに比べると安くなってはいるが、PS3の割高感は歴然としている。

 SCEKは急激な為替レートの変動による輸入コストの上昇を理由に挙げているが、その一方で、MSや任天堂は、値上げによるイメージダウンを避けるため、早々と価格据え置きを表明した。韓国でのPS3はもともとの価格設定に無理があったこともあり、二重の意味で逆風となっている印象だ。価格設定にしても、為替相場にしても、本来のゲーム機としてのポテンシャルとはまったく関係ない部分だけに、ぜひこの逆風をしのぎきってもらいたいところだ。

 なお、今回の価格改定はPS3だけでなく、PS2は30,000ウォン値上げして178,000ウォン(約12,460円)、PSPは価格据え置きの228,000ウォン(約15,960円)となっている。ちなみにWiiは220,000ウォン(約15,400円)で、なんと韓国ではPSPとWiiの価格が逆転してしまっている。

 さて、そのWiiだが、無事2008年4月26日にリリースされているが、ショップに聞く限りではユーザーの反応は「いまいち」だという。これまでのセールスは6万台(弊誌推計)。ショップもユーザーも12月に発売を予定している「Wii Fit」待ちで、本格的にモノが動き出すのはそれからになるだろうという予測をしてくれた。

 Wiiは、日本のみならず全世界で押しも押されぬ大ヒットハードだけに、韓国での不調ぶりは解せないところだが、聞いてみると実に生臭い理由があった。韓国のWiiは、韓国リージョンが独自に設定されており、韓国語版のソフトしか動作しない。つまり、日本や欧米からの並行輸入品が一切動作しない。その上で、Nintendo of Koreaでは、ローカライズしたものではないと韓国での販売を一切認めない方針をとっている。結果として、韓国のWiiは、動作するゲームソフトが、海外に比べて限られてしまっているため人気がないのだという。

 ただ、上記はあくまでショップ側、遊び手側の言い分で、並行品に対して厳しい態度で臨む任天堂のアプローチは市場の保護、育成という点で非常に理に叶ったものであり、海外ビジネスとして王道を行くものとして最大限に評価できる。これまでアジア市場では、正規市場より並行市場のほうが大きいほど、個々の市場が小さいため、あえて個別にリージョンを設定せずに、「アジア地域」というぼんやりとした枠組みでビジネスを行なうことが通例となっていた。

 今回任天堂がWiiに韓国リージョンを設定したのは、韓国を単一の商圏として認め、市場として真剣に考えているという何よりの証拠であり、おそらく任天堂としても初速が鈍いのは織り込み済みで、5年、10年でのスパンで市場を見ていることが予想される。Wiiが根付くかどうかは、韓国コンシューマ市場を見る上で、ひとつの分水嶺になるかもしれない。

 さて、ポータブルゲーム機は、PSP、ニンテンドーDSともに堅調だった。売れ行きもよく、在庫もふんだんに見ることができた。勢いという点では、韓国でPSP-3005(日本のPSP-3000に相当)とDMBチューナー(日本のワンセグチューナーに相当)が10月26日に発売されたばかりだったため、PSPのほうがやや元気が良かっただろうか。

 なお、日本で11月1日にリリースされたばかりの新型機ニンテンドーDSiも一部の店舗で扱っていた。もちろん日本からの並行品で、価格は275,000ウォン(約19,250円)とプレミア価格が付いていた。Nintendo of Koreaの正規版の発売時期は未定ということだ。

【ハードウェアの販売状況】
ゲーム機の外箱はふんだんに置かれているが、実はゲームハードの品揃えは最小限に止められている。単純に在庫リスクを抑えるためだという。各ショップの規模が小さく、スケールメリットが出せない環境がモロに出てしまった格好となっている。ユニークなアイテムとしては、いくつかの店舗でこっそり置かれていたニンテンドーDSi。NHNの企画で販売されている「モンスターハンターフロンティアオンライン」推奨ゲームパッドなどを見つけた


■ 日本と似て非なるローカライズとレーティングの扱い

今回取材に協力いただいたゲームショップ「電脳狂団」。この店舗では他店との差別化のために、中古品の試遊や、PSPの充電サービスを行なっているという
英語版のままのゲームは、ガイドブックを付けることで外国語が不得手な人でもなんとかプレイできるようになっている。ローカライズ環境は日本の方が若干良いと言えそうだ
A(全年齢対象)指定の「FIFA 09」の隣に並ぶ「18」指定タイトルたち。日本ではまず見られない風景だ
日本では発禁レベルの「Gears of War 2」を、学校帰りの小学生たちが楽しむ。日本なら問題となるが、韓国ではごく普通の風景だ
 今回、個人的に関心を持っていたテーマは、ローカライズとレーティングである。韓国は日本よりコンシューマゲームの市場が小さいにも関わらず、欧米タイトルの発売が早い。しかもローカライズまで行なわれているという。なぜそんな早業が可能なのかというを学びたかった。

 いくつかの店舗で取材してわかったのは、まずローカライズについては、ローカライズにもいくつかの段階があり、パッケージ、マニュアル、テキスト、ボイスのすべてをローカライズするフルローカライズのタイトルは実はほとんどないということだ。

 ローカライズは大別して4つの段階がある。まず最初の段階としてパッケージとマニュアルのみのローカライズ。これは日本でいうところの「日本語マニュアル付き英語版」に相当するもので、実質的にはローカライズタイトルとは言えない。

 次の段階がユニークだが、パッケージとマニュアルのローカライズに加えて、理解促進のためのガイドブックを付けるのだ。このガイドブックは、4cフルカラーで60ページ前後で、それなりの読みでがある。おもしろいのは、これはメーカーやプラットフォーマーが作るのではなく、ショップや流通業者側がコストを負担して制作しているところだ。こういったところで他店、他チェーンとの差別化を図るわけである。

 3つ目の段階としてインゲームのテキストローカライズが行なわれる。ボイスは外国語のままとなる。「Need for Speed」シリーズや「Tiger Woods」シリーズなどEAタイトルがこの手のテキストのみのローカライズが多い。日本でも多いケースだ。珍しい例では「Ghost Recon 2」(Ubisoft)のように“ボイスのみローカライズ”というものもあるということだ。

 最終段階は、ボイスとテキスト両方のフルローカライズとなる。しかし、フルローカライズ作品は極端に少なく、SCEK、MS、Ubisoftといったいわゆる大手メーカーの大作に限られる。近作だと「Halo 3」、「アサシンクリード」、「リトルビッグプラネット」など。その割合は1割に満たないという。結論として、海外ゲームを母国語で楽しめる機会というのは、実は韓国より日本の方が高いということがわかった。

 店頭では11月7日に発売された「Gears of War 2」のポスターが至るところで見られた。日本では発売の有無すら未定だが、韓国では欧米と同時発売されている。ただし、これも実はフルローカライズではなく、テキストのみ韓国語で、ボイスは英語のまま。「Fallout 3」、「Saints Row 2」など、日本では12月発売予定タイトルもすでに韓国語パッケージで売られているが、しかし実はパッケージが韓国語化されているだけで、テキスト、ボイス共に英語のままだった。このパッケージのみ韓国語というケースは非常に多く、「METAL GEAR SOLID 4」や「トラスティベル」、「テイルズオブヴェスペリア」など日本のゲームにも多い。

 ちなみにこうした韓国語マニュアル付き日本語版はどうやってプレイされているのかというと、「ゲームで日本語を学ぶ」という力業を選択するユーザーも一部にはいるが、大半は日本で海外ゲームを輸入して楽しむユーザーと同じように、Web上で共有されている一部の有志によって翻訳されたテキストを頼りに、ゲームを楽しんでいる。

 たまたま、ショップの店員のひとりに「戦場のヴァルキュリア」の翻訳をやったという人がいた。同作は韓国未発売ながら、その翻訳テキストを頼りに数千人がプレイしているという。わざわざ不慣れな日本語版をあえてプレイした理由は、「好きな声優さんがたくさん出ていたから」だといい、翻訳したテキストをWebにアップロードした理由はそれによってもっと多くの韓国のユーザーが同作がプレイして欲しいと思ったからだという。そして彼は、「ボイスは声優さんの魅力があるのでそのままでいいが、テキストを翻訳して韓国語版としてリリースしてくれればもっと売れたはずだ」と残念そうにコメントしてくれた。

 しかし、こうしたユーザーによる翻訳サイトは、メーカー側は不満を隠さない。なぜなら、これらの行為は、並行品で済ませるユーザーが増えてしまう結果、正規品が売れにくくなるだけでなく、メーカー側がコストをかけてローカライズして販売するというローカライズビジネスはもはや不要だという流れに結びつくからだ。数千本単位のニッチなビジネスがゆえの悲哀といった印象だが、まずは何より必要なのは市場の拡大といっていいだろう。

 一方、レーティングについては、基本的に日本より規制は緩かった。日本のCEROの「Z」に相当する「18」が存在し、その指定の頻度は日本よりも断然高かったが、肝心の中身はまるで反対だった。

 日本のおける「Z」指定は、他のレーティングのゲームソフトと同じ売り場では売れなくなり、目立ったプロモーションも難しくなるなど、様々な制約が課せられるため、メーカーにとっては特段の理由がない限り避けるべき指標になっている。そのレーティングの判定基準については今後も議論が重ねられるべきとはいえ、ゲーム市場の健全な発展を目的に、一定の枠組みに従って、ゲームメーカーが動くというのは当然のことだ。

 ところが韓国の「18」指定は、定義的には日本と同じ18歳以上に向けたゲームという扱いになるものの、実質的には一種の治外法権として作用している。要するに、「18」指定にすれば、ゲーム内容に関してほとんど制約がなくなる。わかりやすくいうと、過度な残虐表現が含まれるゲームでも、「18」指定なら、ゲームに改変を加える必要がなくなるのだ。

 韓国ではレーティングにこだわらない理由は、レーティングに関わらず同じ売り場で扱えることと、ゲームを改変するコストをかけると利益が出せないため、ビジネス的に選択の余地がないことだ。デメリットとしては、不特定多数の人がいる中でプロモーションができなくなるという点のみであるため、特にアクションゲームを扱う海外メーカーは早々と「18」指定を決め、ローカライズやプロモーションに力を注ぐというのが現状となっている。

 一部補足を加えておくと、韓国でも極端な表現な残虐表現はダメで、そのほかにもギャンブル、アダルトにも厳しいという。これらに抵触した場合はレーティング審査を拒否される。つまり発売できなくなる。ギャンブルに関しては、数年前の「海物語」事件が尾を引き、ギャンブルを想起させるようなコンテンツが出た時点で「18」もしくは発売禁止の指定を受けるという。中でも日本では「A(全年齢対象)」のとある大手メーカーのゲームが、ルーレットが登場するという理由だけで「18」指定になったというウソのような実話もある。

 日本と韓国、どちらの市場が正しいとも言い切れないが、韓国に関しては、ローカライズ、レーティング指定共に、市場の小ささゆえの悲哀が横たわっている。長期計画でじっくり市場の拡大を狙うプラットフォーマー、利益を出すために売り急ぎに走らざるを得ないソフトメーカー、ビジネスとして成立させるためにあらゆる手を尽くすショップ、そしてリーガル、イリーガルの線引きのないユーザー。韓国コンシューマゲーム市場の曙はまだ遠そうだ。


【ヨンサン】
韓国の秋葉原といわれるヨンサンにも立ち寄ってみた。海賊版から並行輸入品から、ハードの改造まで何でもありの魔窟だったトッケビ地下街は、中古品が目立つものの、クリーンなモールに生まれ変わっている。最近出来た駅ビルにもゲームショップエリアが存在するが、こちらはほとんど客がいない。今なおリニューアルが進んでおり、今後の成長が楽しみなエリアだ

【シンチョン】
韓国オンラインゲーム市場の聖地的スポットであるPCバン(インターネットカフェ)も見ておきたいと思い、若者の街シンチョンに赴いた。久々に訪れたシンチョンは、かつてのどこを見てもPCバンだらけという風景は消え去り、どこか面影を残しつつも、新たな街に生まれ変わりつつあった。PCバンは、50席前後の小規模店が多く、PCは数世代前のものが多い。シンチョンでの人気店は、韓国最大手チェーンのAmazing Parkシンチョン店。平日夕方で110席ほど用意された座席の6割ほどが埋まっていた。値段は3時間4,000ウォン(約280円)からと、相変わらずびっくりするほど安い

【PSバン】
学生街となっているホンデイプク(弘大入口)に古くからあるという“PSバン”にも行ってみた。PSバンはPCバンのプレイステーションバージョンであり、時間いくらの従量制でPS2やPS3を遊ぶことができる。取材に快く応じてくれた店員さんによれば、もう6年も営業しており、親にバレずにコンシューマゲームを楽しめるのがウリだと自信たっぷりに語ってくれた。1時間1人2,000ウォン(約140円)で、1人あたり1~2時間程度遊んでいくという。店内はまっくらで、モニタの明かりのみが煌々としている。ユーザーが遊んでいるのはやはりPS3が多く、中でも「ウィニングイレブン」が人気だった

【Wiiカフェ!?】
ホンデイプクからシンチョンに向かう途中に見つけたWiiカフェ。取材には応じていただいたものの、店内の撮影は拒否された。店内にはカラオケ店のような2~4人程度が入れる小部屋が複数あり、一杯5,000~6,000ウォン(約350~420円)のドリンクを頼むことで1時間Wiiが無料でプレイできるというもの。業態はあくまでカフェであり、店内では女性2人組や男女のカップルなどが「Wii Sports」を楽しんでいた。Nintendo of Koreaによれば、「ライセンス料を取るつもりはないが、十分な安全性を確保できているかどうかが心配」だという。韓国らしい発想のサービスと言えそうだが、Wiiカフェ、Wiiバンが今後普及するのかどうか見守りたい

□G-Star 2008のホームページ
http://www.gstar.or.kr/
□関連情報
【2008年1月29日】台湾ゲームショップ特別レポート 完全保存版 Ver.2.0
台湾ではWiiが大ブーム。トレンドは「持ち寄ってみんなで遊ぶ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080129/tgs_shop.htm
【2007年7月16日】上海ゲームショップ特別レポート 完全保存版
人気ハードはPSP。海賊版の常態化でソフトビジネスは壊滅状態
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080129/tgs_shop.htm
【2008年11月13日】G-Star 2008現地レポートリンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081117/gslink.htm

(2008年11月27日)

[Reported by 中村聖司]



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