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【連載第30回】大人による大人のための洋ゲー連載
■Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」■
世界中のプレーヤーと知識で勝負!!
英国発のオンラインクイズゲーム
「Buzz! QuizTV」 |
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公私ともども多忙により、しばらくお休みをいただいていた海外ゲームレポートもようやく再開に漕ぎ着けることができた。お休みいただいていた分、従来よりさらにパワーアップしてお届けしていくので、今後もぜひご愛顧いただきたい。
さて、めでたい連載30回目は、日本の海外ゲームファンでもあまりおなじみではない、あるいはあまり気に留めないゲームをチョイスしてみた。FPSやアクション大作もいいけど、それだけが海外ゲームではない。たまにはこんなゲームに注目するのもアリなのでは!?
欧州発のプレイステーション用ゲームといえば、真っ先に思い出すのが以前紹介した「Singstar」や「Eye-Toy」、「PLAYSTATION-Eye」、「PLAYSTATION TV」などの個性的な周辺機器だったり、今月の発売が待ち遠しい「リトルビッグプラネット」であったりする訳なのだが、本連載において紹介するのをうっかり忘れていた大きなフランチャイズが残っていた。それが今回取り上げる「Buzz!」シリーズだ。
「Buzz!」は、いわゆるクイズゲームで、欧米では特に「トリビア」というジャンルで呼ばれている。専用のブザーコントローラを使った4択のクイズを最大4人で競うところが他のクイズゲームとは決定的に異なる。コアゲーマー向けタイトルの多いPS3の中では「家族や友人と一緒に楽しむゲームを!」というWiiのコンセプトにも通じたゲーム内容になっているところが大きな特長なのだ。
本作も「Singstar」と同じくプレイステーション 3にいよいよ進出を果たし、ビジュアルの強化と、オンラインまわりの機能が整備されたことで更に完成度を上げている。今回は9月に発売されたばかりの最新版、「Buzz! Quiz TV」をご紹介しよう。
【お断り】 |
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当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
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■ 見た目とは裏腹の超硬派クイズゲーム、それが「Buzz!」だ!
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付属のブザー。これが4個ついてくる
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基本はこの画面からスタートする
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「Buzz!」シリーズは、「EyeToy」や「Singstar」と同じくプレイステーション 2時代からSCEEが着々と育てあげてきた由緒あるフランチャイズで、2005年に第1作目「Buzz! The Music Quiz」を発表して以降、スポーツや映画などのジャンルごとにパッケージを発売しており、2008年に入っても「Buzz! Pop Quiz」という新シリーズを発売している。PS向けだけでなく、PSP版も2作存在するが、残念ながら日本では全シリーズ未発売である。
今回のプレイステーション 3版「Buzz! Quiz TV」は、シリーズの集大成とも呼べる内容になっており、様々なカテゴリの問題に加えて、プレイステーション 3の持つ機能を活用したオンラインによる4人対戦やPLAYSTATION Storeで追加問題集の購入や「My Buzz」という自分で問題を作成して投稿できるオンラインサービスなどが用意されている。開発はPS2版から引き続き、英国のスタジオRelentless Softwareが行なっている。
ゲームソフト本体のバージョンアップも行なわれており、初めて起動させると自動的にアップデートが開始され、2008年10月27日現在の最新バージョンは1.10。このアップデートで、ゲーム内キャラクタの追加やコスチュームの追加など多数の機能強化が施されており、PLAYSTATION Eyeの対応が予告されるなど、今後もゲーム内容の広がりが期待できるのは嬉しいところだ。ちなみに現時点では、映像配信やボイスチャットには対応していない。
ゲームのパッケージには、専用のブザーコントローラが4個パックになって付属している。これはプレイステーション 2および3共用のもので、レシーバーをUSBに挿し込んで使用するタイプで、Bluetooth等は使用しない。単3乾電池を2本必要とするため、4個のコントローラをフル活用する際は、計8本の電池が必要になる。
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ナショナルジオグラフィックとタイアップした問題も有り |
追加問題も用意されている。これはゲームの問題集 |
■ 金髪の司会者「Buzz」の仕切りで展開するユニークなクイズショー
ゲーム内のシステムメニューはシンプルでわかりやすい。1人で練習するか、4人までのオフライン対戦か、オンライン対戦のどれかを選べば良いだけだ。
もちろん質問や回答は全て英語だが所詮はゲーム。遊び込むうちに慣れてくるという側面は本作にもしっかりと適用される。負けを恐れずに対戦を何度もやるうちに不思議と制限時間内に問題を理解しようとする余裕が生まれてくるので、我こそはというクイズファンはこれを機会にぜひ世界デビューを果たしてみてはいかがだろうか。
ゲームは「Buzz」という名前のクイズのテレビショーという設定で、進行は金髪頭の司会者が仕切ってくれる。ちなみにこの司会者の名前もBuzzという。イギリス英語の発音が特徴的な彼のリアクションは、パターンも豊富で見ていて飽きない。
問題のカテゴリは、ショウビズ、音楽、ガジェット、スポーツ、心と体など多彩で、更に音楽であれば1990年代の曲といった具合にそれぞれのカテゴリにはジャンルがいくつか用意されている。追加の問題集についてはPLAYSTATION Storeで購入が可能で、現在米国およびヨーロッパの各ストアで販売中だ。「ナショナルジオグラフィック」とタイアップしたパックなど有料コンテンツならではの豪華な内容が揃っている。さらに詳しくは後述するが、自分でクイズの問題を作成できる「My Buzz」という機能も用意されている。
つまり、本作はオンライン機能を活用すれば無限の広がりを見せてくれるという点で、既存の家庭用ゲーム機向けトリビアゲームとは決定的に異なる。その気になれば1年以上は楽しめる息の長いゲームに化けるかもしれない。
オンラインのマッチングは特に国別などの制限はかけられていないため、日本からでも問題なく対戦を楽しむことができる。全般的に濃い内容のゲームではなく、長時間にわたって楽しむゲームでもないため、米国の平日真昼間(=こちらの夜)の時間帯では対戦相手が極端に少なくなる傾向にある。従って対戦相手がどうしても見つからない場合は、すっぱりと諦めて1人でプレイするか、US時間の夜にログインするのが正解だ。いずれにしても、ゲーム内容やプレイ相手に束縛されない、お手軽ゲームならではのプレイスタイルが本作のまた良い所なのだ。
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ゲームモードなどメニューまわりはシンプル |
申し遅れましたが、この人が司会のBuzz |
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どのジャンルを選ぶか、それが問題だ |
Buzzのユニークなリアクションにも注目 |
■ わずか3ラウンドに込められた勝負に知識と度胸の全てを投入!
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個性的なキャラクタとコスチュームが用意されている
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やはり勝負は人数が多い方が盛り上がる
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それでは実際のゲーム内容を見てみよう。「Buzz!」は1勝負3ラウンドのゲームで構成されており、各ラウンドごとにルールが異なる。まず最初にプレーヤーの回答者キャラクタとブザー音を設定する。キャラクタは、非常に濃い顔をしたセーラー服姿の女子高生、マスクマン、ハリウッドセレブ、スーパーヒーローなどの面々が揃っている。それぞれに数種類のコスチュームも用意されており、これで各プレーヤーの個性を出すことが可能だ。
各キャラクタのプロフィールなどは用意されていないようだが、リアクションはなかなか多彩で見ていて飽きない。ゲーム中はブザーコントローラの4つのボタンにそれぞれリアクションが割り当てられており、回答時以外のシーンで自由に発動させることが可能で、プレーヤーの心境を表現する際に使用すると雰囲気が一層盛り上がる。
各ラウンドのルールは「Stop The Clock」、「All That Apply」、「High Stakes」に分かれており、ひらたく言うと1番目は早押しクイズで時間内で早く回答するほど高いスコアがもらえる。2番目は4つある回答から正しいものを全て選ぶ、3番目が回答前にBET(スコアを賭ける)し、正解すれば賭けた分のスコアが加点され、外れればスコアが減点されるというものだ。それぞれのルールは司会者キャラクタがクイズ開始前に解説してくれるので、戸惑う心配はない。
各ラウンドのクイズジャンル選択は、最初の1ラウンド目がランダム、後のラウンドは一番最下位のプレーヤーが選ぶようになっている。実際に対戦をしてみると、まず重要なのがジャンルの取り合わせだ。本作は海外ゲームなので当然全ての問題は英語で表示されるが、自分の得意とする分野であれば、制限時間があっても、落ち着いて質問内容から理解できる単語を拾い集めていけば十分に対応できる。
質問内容も割と雑学レベルのもので、「テレビドラマ『24』の主人公、ジャック・バウアーを演じているのは誰?」とか、「映画Over The Hedge (邦題:森のリトルギャング)のキャラクタ、誰々の声をあててるのは?」など、外国人(我々のことだ)でもギリギリ答えられそうなものが多い。
出題される内容は当然欧米カルチャーにちなんだものが多いが、日本にちなんだ出題もある。中でもアニメ(Toon)やガジェットなどの分野ではよく見かけられる。また、雑学でも「パナソニック、ソニー、東芝、ノキア、この中で日本企業でないのはどれ?」というような問題が盛り込まれているなど、異文化のゲームながらもそれなりに楽しみどころはあるといった印象だ。
早押しの場合は、やはりネイティブなプレーヤーとは質問解読にかかる時間が異なるので不利に感じたが、差は後のラウンドで取り返すことは可能だ。コツとしては「この中で正しくないものを選べ」系の問題をうまく落とさないようにすることで、質問中に「~NOTなんちゃら」と出てきたら注意してよく質問を読み込む。質問の中にある「NOT」を慌てて見落とすと、質問中の見慣れた・聞きなれた回答を選んで失敗をしてしまう。
1ラウンド目はなるべく不正解を出さないように慎重に進め、2ラウンド目でスコアを積み重ね、3ラウンド目で大勝負に出るか、仮に自分が1位で他のプレーヤーと大差がついていれば守りに入るか、というのが基本的な作戦になる。負けこんでいる時は最後の「High Stakes」が一発逆転のチャンスになるので、クイズ番組そっくりの展開に落ち着く。
何度か対戦をしてみた感想としては、全般的に「強い」ヤツで満ちているということだ。1ラウンド目にはパッとしない動きをしていても、2ラウンド目以降の回答の的確さ、ヤマの張り方など知識も豊富で根性も座ったプレーヤーの何と多いことか。稀に子供か!? と思わせるプレーヤーもいるが、本場アメリカ人でもこんなの知らんだろ、というマニアックな出題が稀にあった場合でも、すばやく正解を取りにいくプレーヤーを見た時は置いてけぼり感よりも爽快さを感じる。やはりクイズ好きは世界中にいるのだ!
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クイズ番組ではおなじみのルールが3種類あり戦略性も高い |
Stop The Clockでは誰よりも早く正解を出せば高得点 |
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All That Applyでは正解の回答だけを選んで答える |
他のプレーヤーと回答を合わせて結果を敵に委ねるのも一興 |
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リスクの高い勝負になるHigh Stakesは一発逆転のチャンス |
BETの仕方次第で一気に順位が変わる |
■ 「My Buzz」で一癖も二癖もあるクイズ問題制作者からの挑戦に挑め!
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My Buzzで作成された問題にチャレンジできる
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ユーザー作成問題のジャンルは専門的かつ多岐に渡る
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対戦をやり込んで同じ問題に何度も出くわすようになると、新しい分野のクイズが恋しくなってくる。そこでユーザーがとれる選択肢は2つある。ひとつはPLAYSTATION Storeで新しい問題集を購入すること、もうひとつがクイズを自作できる「My Buzz」だ。
「My Buzz」とは、要するに自分で作ったクイズ問題をサーバー上に共有して他のプレーヤーに遊んでもらえるという機能だ。問題の作成は、ゲームから直接行なうのではなく、いったんゲームを終了させて、専用のWebサイトから行なうようになっている。
これまではPS3のブラウザはFlash9をサポートしていなかったため、わざわざPCから接続する必要があったが、最新のファームウェア2.50ではFlash 9をサポートしており、PS3ですべて完結するようになったのがありがたい。次なる希望としてはゲーム内から問題作成が可能になってくれることを望みたい。
世界中のユーザーが作った問題で遊べる「My Buzz」モードは、1人プレイ専用で問題作成者との純粋な知恵と雑学の競い合いになる。オンラインで遊びたいところだが、これは今後のアップデートに期待したい。問題の中にはMature以上の年齢層を対象にした物も想定されるが、これはオプションの中から「Matureレーティングの問題をカットする」という項目を有効にすれば自動的にはじかれる。
さすがにユーザー作成の問題は容赦がないというか、遊ぶ側のことを深く考えていないのか、デフォルトで用意されている問題よりも数段難易度の高いものが多く、ジャンルも超専門的なものから誰でも知ってるジャンルまで、多岐に渡るため英語読解という意味でも日本人には敷居が高い。ジャンルの絞込みはできるので、得意とするものを探して、己の知識・雑学量を試すのも面白いだろう。
「My Buzz」モードのゲームの流れは基本的にその他のゲームモードと同じ3ラウンド制だが、各ラウンド終了後、ユーザー作成の問題を☆の数で評価することができる。プレーヤー達の評価が高い問題というのも選択できるため、あまりいい加減な評価をせずに正直な採点をしてコミュニティを更に成熟させていくことが、このゲーム自体の寿命アップに繋がるので、こまめにチャレンジするのが吉だ。
ゲーム内から評価の高い問題とユーザー名などはランキング形式でチェックすることができる。アップデートニュースとあわせてホットな話題については定期的な収集をしておくことをオススメしたい。
なお、最近プレイステーション 3に実装された「トロフィー」機能もサポートされている。これはXbox Liveの「実績」と同じような要素と言えばわかりやすいだろう。マルチプレイの回数などでトロフィーがゲットできるようになっている。
プレーヤーとしてのステータスを積み上げるための要素なので、自分のモチベーションアップに繋がる面白い仕組みなのだが「実績」に比べると達成感が薄いのが玉にキズ。フレンドのスコアと比較がしやすいと競争心も煽られるのだが、この辺の見せ方が弱いため達成感に結びつかないのだ。まあ、ゲーム本編とは直接関係の無い機能ではあるが、こちらも今後の改善に期待をせずにはいられない。
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プレイした問題の評価はキチンとやろう |
トロフィーも実装されてやり込み度もアップ!? |
■ 手軽さが所有欲をそそるも、ダウンロードコンテンツの存在が気になる
クイズファンで、英語に対する抵抗感がないプレーヤーであれば「Buzz!」にチャレンジする価値は大だ。「リトルビッグプラネット」もそうだがプレイステーション用のTeen向けゲームには、ゲームファンにとっては独特の魅力が備わっている。この目には見えない、オーラのような強みを体験したい人にもオススメしたい。
クイズはジャンル的な好き嫌いとは無縁のゲームであり、手軽さ、演出の面白さ、拡張性の高さを考えると息の長いゲームとして重宝しそうだ。問題点としては家族や友人とそろって4人で楽しくプレイする、という本来のスタイルを日本で実現するのは激しく困難なのが残念ではあるが、プレイステーション 3という拡張性の高いゲーム機を使って色々なことをやってみたい、という意欲的な人にも所有欲をそそる1本になるだろう。
唯一、懸念点としては、日本から海外のPLAYSTATION Storeで有料コンテンツが購入できないという点だ。現状リージョンごとのクレジットカード清算のみなので、プリペイドカードの登場が望まれる。海外ゲームでは、パッケージ本体にプラスして有料で追加要素を提供するダウンロードコンテンツが当たり前になってきているため、欲しくても手を出せないというのは、どうも落ち着かない。
「Buzz!」は今後も続々と有料コンテンツが提供されると思うが、海外ゲームファンにとっては自分の好きなゲームパッケージ+αという新しい要素と出費に加えて購入方法まで頭を悩ませないといけないため、本作のような拡張ありきのゲームが増えてくるのは期待度も高まるが、悔しさも相対的に増すため精神衛生上あまりよろしくない。日本版が出てくれればスッキリするのだが……。
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司会者Buzzの動きは見ていて楽しい |
問題によっては参考画像が出る場合もある |
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回答者キャラクターの追加は今後も欲しい要素だ |
Buzzと回答者達との活躍は末永く続いてほしいものだ |
Buzz! is a trademark of Sony Computer Entertainment Europe. Developed by Relentless Software. (C)2008 Sony Computer Entertainment Europe.
□「Buzz! QuizTV」公式ホームページ(英語)
http://www.us.playstation.com/buzz/
(2008年10月27日)
[Reported by Game Dude]
当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
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