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会場:ソウル市プラザホテル
韓国Nexonは7月10日、Neopleの株59.15%を買収し、Neopleを子会社化した。その後、Nexon開発部門の取締役を務めているソ・ミン氏をNeople代表取締役社長に据え、計3人をNeopleに転属させて内部人事を整えてきた。 Nexonは2D横スクロールRPG「メイプルストーリー」を持つメーカーであり、Neopleが開発した2D横スクロールRPG「アラド戦記」(韓国題名「Dungeon&Fighters」)と併せて同ジャンルの2大タイトルを手中にしたことになる。これは韓国では極めて大きなニュースとして取り扱われ、そのインパクトは一時、韓国政府がNexonの買収劇に対して独占禁止法違反の懸念を示したことでも察せられる。
実は、大が大を呑む買収劇は、これだけではない。今年5月には「Autidion」のT3 EntertainmentがHanbitSoftを買収し、9月にはNHNがWebzenを買収している。本稿では先の発表で公開されたNeopleの事業展開に加え、今年行なわれた韓国オンラインゲーム業界の再編についてもお伝えしていきたい。 ■ 「アラド戦記」のグローバル化が目標。「アラド戦記DS」も登場!?
同社の目玉となっている「アラド戦記」は、韓国ではサムスン電子のパブリッシングで運営され、NHNのゲームポータル「Hangame」でチャネリングされている。2006年からの急成長を経て、現在韓国国内で会員数1,000万人、同時接続者は17万人を記録している。この急成長により、Neopleは2006年に年間売り上げ162億ウォン、2007年には448億ウォンを達成している。 さらに、2008年6月からは中国のパブリッシャTencentを通じて中国での正式サービスを開始しており、中国での同時接続者数は80万人以上という人気ぶりだ。Neopleは中国での売り上げのおかげで、2008年の年間売り上げは2007年の約2倍になることを予想している。「アラド戦記」は現在、韓国をはじめ、日本、中国の3カ国でサービスされており、会員数は約5,000万人に達するという。 NexonとNeopleの最初の共同事業となるのは、「アラド戦記」のグローバル化だ。韓国国内ではほぼ同成績である両タイトルだが、海外展開で先行するNexonの「メイプルストーリー」は世界60カ国でサービスされており、会員数は約1億人に上る。世界レベルで見るとその展開力の差は明らかだ。NeopleはNexonが持つグロバールハブとノウハウで、「アラド戦記」を「メイプルストーリー」並みのグローバルタイトルとして位置づけて普及を進めていくつもりだ。 手始めに来年中に最低2カ国に「アラド戦記」を新規展開させることを目標としている。展開地域については明らかにされていないが、将来的には「メイプルストーリー」以上の展開を期待しているという。 また、「アラド戦記」のニンテンドーDS版の開発も検討していることが明らかにされた。段階としては実際に開発に入ったわけではなく、プロジェクトの初期段階として、今後自社で開発を行うか、他社に任せるかを検討中だという。これでNexonグループは、現在開発中の「メイプルストーリーDS」と、今回発表された「アラド戦記 DS(仮)」の2本のDSタイトルを保有することになる。 一方、韓国でのサービス状況にも変化がある。現在、韓国における「アラド戦記」のパブリッシングはサムスン電子が担当し、NHNのゲームポータル「Hangame」でチャネリングが行なわれている。今後については、サムスン電子によるパブリッシングはそのままだが、NHNとのチャネリング契約は延長せず、11月6日からNexonに移転させるという。日本や中国での運営については現在の体制で継続していくという。
矢継ぎ早に情報が出てきたが、日本国内のユーザーにとって現状のサービスには当分影響はなさそうだ。業績好調な両社がタッグを組んだだけに、開発体制の強化など長期的に見ればユーザーに還元されるメリットが多いと感じる。今後の展開が非常に楽しみだ。
■ 2008年のM&Aは既に4件。猛スピードで再編が進む韓国オンラインゲーム業界 韓国オンラインゲーム業界では、今年、複数の大型のM&Aが行なわれ、業界全体に激震が走った。 まず、HanbitSoftは5月19日、T3 Entertainmentへ26.29%の株を売却し、T3Entertainmentの子会社となった。T3 Entertainmentが経営権を握ってからは、Flagship StudiosとのIP獲得争いの問題に終止符を打ち、10月6日を持って「HellGate:London」のIPを完全獲得、さらには10月16日「Mythos」のIPも完全獲得した。さらには2008年第3四半期の純利益56億ウォンを達成、黒字転換に成功している。2008年の上半期は純損失470億ウォンだったが、早くも成果を出している。 Webzenは今年初頭から他業界からTOBを仕掛けられるなど、ヒット作不在による経営難が続いていた。9月3日にNHN GamesがWebzenの23.74%の株を獲得し、子会社化した。NHN GamesはNHN傘下のゲーム開発会社で、元NHNゲーム戦略支援室本部長キム・チャングン氏がWebzenの代表取締役社長に任命され、今後の動きが注目されている。 他にも「Special Force」のデベロッパーあるDragonflyは「Kingdom Under Fire」シリーズのデベロッパーPhantagramを子会社化した。Dragonflyの次期オンラインFPSゲーム「カルマ II」と「Kingdom Under Fire Online」をPhantagramと共同開発している中、Phantagramの経営難によりDragonflyが救いの手を差し伸べた結果となった。
1990年代末から急成長を重ねて来た韓国ゲーム業界は、ここ数年で目立った結果を残せず苦しんでいる。これらのM&Aはその結果とも言えるだろう。今後もM&Aをはじめとした経営再建策を考えているゲームメーカーは増えていくと思われる。日本市場への影響などはまだ未知数だが、これからの韓国オンラインゲーム業界再編に注目したいところだ。
□Nexonのホームページ(韓国語) (2008年10月22日) [Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]
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