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12月4日 発売予定 価格:7,980円
CEROレーティング:審査中
「Fallout3」は核戦争後の世界を旅する「Fallout」シリーズの最新作。「Fallout」シリーズはこれまで米Interplayから発売されていたが、「OBLIVION」を生みだしたスタッフがその世界観に惚れ込み、版権を獲得しシリーズ最新作を作り上げた。ゲームエンジンは「OBLIVION」を発展させたものになっており、非常に高い自由度を持っている。 「OBLIVION」は中世ファンタジー世界を広大な3D空間として再現し、自由に動き回る楽しさを体験できたが、「Fallout 3」ではプレーヤーは核戦争後の過酷な世界を旅することになる。滅んでしまった文明の残骸の中でたくましく生き抜く人々との出会い、ミュータントとの遭遇、人の財産をつけねらう山賊達との戦いなど、ファンタジーとはひと味違った冒険が待っている。
「OBLIVION」はアクション性も高かったが、本作はV.A.T.S.というシステムで、コマンド選択方式の様な感覚で戦闘ができる。日本のRPGファンに勧めたい作品だ。「Fallout 3」は発売に先がけ、東京ゲームショウのマイクロソフトブースでXbox 360版がプレイでき、ブースでは18歳以上推奨のコーナーに試遊台が置かれ、15分限定で本作の序盤をプレイできる。SCEブースでは、映像出展という形で紹介された。今回、我々はプレイアブルのもので、15分よりも少しだけ先の展開も見ることができたので、プレビューとして本作の要素を紹介したい。
■ 「OBLIVION」を発展させたストーリーテリングと自由度。独特のセンスによって描かれる核戦争後の未来
「Fallout 3」は「核戦争後の世界」が盛んに書かれたSF作品のリスペクトとも言える作品だ。この作品では、2077年に核戦争が起き、人類の何割かは大規模な核シェルターに隠れ滅亡を免れる。200年後の2277年、プレーヤーはVault 101と呼ばれるシェルターで生まれ育った若者として、放射能に汚染された世界へ旅立つことになる。彼が探し求めるのは、理由も告げずシェルターを出て行ってしまった父親の行方だ。 今回体験できたのは、このVault 101から出た直後だ。左手につけられたハンドヘルドコンピューター“Pip-Boy”を起動することでマップや装備、クエストなど様々な情報が確認できる。楽しいのは本作のマスコットキャラクタ「Vault Boy」が装備や能力など、様々な説明をイラストとして紹介してくれるところだ。このVault Boyはシェルターを作った企業Vault-Tecのマスコットキャラクタである。 自分のステータスを確認したら、いよいよシェルターの外に出る。外は一面灰色の砂地と岩と、瓦礫の山だ。雲1つない空に、ギラギラと照りつける太陽。核戦争後の完膚無きまでに破壊された世界が広がっている。遠くには崩れた高速道路が見える。水たまりの水は放射能が含まれていて、中に入るとダメージを受ける。とても飲み水には使えない汚染度だ。 しばらく道を進むと、破壊された街に出る。建物の残骸が残っていて、わずかながら住人の生活の痕跡がある。自動販売機には滅んでしまった世界でのジュース「ヌカ・コーラ」がある……。歩いてしばらくすると、プレーヤーは建物の残骸に、現代の我々とは微妙に異なった「デザイン」を感じるだろう。Vault Boyにも通じるが、どことなくデザインが古くさいのだ。それでいて、壊れている車は流線型のエアカーだったり、現代より科学が進んでいる。 「Fallout 3」で滅んでしまった世界は'50年代の人々が夢想した未来社会をモデルにしている。「幻想の未来」ともいうべき世界が核戦争で崩壊したという設定なのだ。その幻想の世界が明るければ明るいほど、崩壊した今の世界の無惨さが胸に迫ってくる。絶対的に明るい未来を信じて、この世の春を謡っていた明るい未来世界が、ブラックジョークとして使われている。 滅んだ街から少し進むと、人影が見つかる。彼はトレーダーだと名乗る。彼は獣を一匹つれている。牛のようだが、頭が2つある。放射能の影響で生まれた生まれた生き物を飼い慣らしているようだ。トレーダーの近くには巨大な門がある。門の向こうには掘っ立て小屋が林立している。ここは、街のようだ。地上でかろうじて生き延びた人々は人々は貧しいながら自給自足の生活を目指して開拓をしている。前述の牛の飼育もその1つだか、その生活は苦しい。汚染されていない水は少なく、突然変異の巨大昆虫が人を待ち伏せているし、山賊達もまた旅人を襲っている。 プレーヤーはこの街の中心に巨大な不発弾が落ちているのを見る。街の連中でこの物体が不発弾と知っているのはわずかだ。中にはこの物体を「神」とあがめている連中すらいる。街の人々は流れ者の主人公には冷たい。しかし、ふとしたきっかけで声をかけた1人の若い女が主人公に頼み事をしてくる。離れたところにいる家族の元に手紙を届けて欲しいという……。 「Fallout 3」のゲームエンジンは「OBLIVION」を発展させたものになっており、「OBLIVION」同様、自由度は非常に高い。シェルターを出たら後はプレーヤーの思うまま。前述した街への道は選択の1つにしか過ぎない。荒野にはミュータントや山賊がいて、時間がたつとフィールドは昼から夜に変わる。プレーヤーは危険を避けながら探索し、徐々に世界に対しての知識を深めていくこととなる。 「OBLIVION」との最大の違いは旅するフィールドが「核戦争後の世界」ということだろう。「OBLIVION」は中世風のファンタジー世界だったが、「Fallout 3」は過酷な生活をしている人々、変化してしまった世界が描かれる。ゲームを進めていくことで、プレーヤーは幻想の未来で人々はどう生活していたのかを知り、その文明が破壊され、ミュータントとすら共存しなくてはいけない“現代”の人々の生活に直面する。「OBLIVION」とは全く違った世界と物語を感じることができそうだ。 本作では、プレーヤーは様々な場面で選択を迫られることになるという。「Fallout 3」は「カルマ」という概念があり、1つの事件は善人へと向かうグッドカルマと、悪人となるバットカルマが蓄積していく。どのように生きていくかも試されることとなる。
筆者がプレイできたのはあくまでゲーム序盤であるが、ゲームという視点では「OBLIVION」よりも明確にプレーヤーがどこへ向かえばいいかがわかりやすくなっていると感じた。キャラクタと会話をするといくつもの選択肢が出て、言葉を選ぶことで展開が変化する。そして得られた情報で次の行動が決まる。「OBLIVION」以上に住人の個性が感じられ、世界の臨場感も増しているように感じた。父を捜すというメインストーリー以外にもストーリー性の高い連続クエストが多く用意されているようで、こちらも楽しみである。
■ コマンド選択感覚で戦えるV.A.T.S.。独自の進化を遂げた未来世界を舞台に、どう生きるか?
このV.A.T.S.は敵と遭遇した時いつでも使える。割り当てたボタンを押すことで時間が一時静止し、敵キャラクタに被さるように部位表示がされる。各部位には命中率が設定されている。プレーヤーはAP(Action Point)が続く限り攻撃を行なうことができる。攻撃の指示が終わった時点でAcceptを押すことでゲームが再開される。 設定した数だけプレーヤーは攻撃を行なう。まだ敵が生きているようなら、戦闘はさらに続行する。人型の敵は頭が主な弱点だが、他にも武器を持つ腕を撃って武装解除したり、足を撃って行動不能状態にもできる。ただし攻撃が強力すぎると部位を撃っても倒してしまう場合がある。また、ただV.A.T.S.を使えばいいのではなく、敵に近付けば命中率は上がるし、複数の敵を視野に収めていれば同時に攻撃ができる。V.A.T.S.を使うタイミングも大事だ。 V.A.T.S.はFPSに不慣れな人、戦略的に戦いたい人にオススメのシステムだ。特に日本人プレーヤーはこのシステムを使えば国産RPGと同じような感覚で戦うことができるのではないだろうか。ファンタジー世界を舞台にした「OBLIVION」と比べると、未来世界、SF要素というのは間口が狭いかもしれないが、世界観、ストーリーを重視する人に本作はオススメのタイトルである。V.A.T.S.システムは、ゲームのハードルを下げてくれるシステムだとも感じた。 世界を歩いていくと様々なストーリーが見えてくる。前述した手紙を届けるクエストも小さな集落での悲劇から、行方不明の子供の探索とストーリーが進行していく。また、行動範囲が広がることで、ファンタジー世界のキャラクタのような、人間より2周りも大きいミュータントに遭遇したり、ゾンビのような外見でただ襲い掛かってくる知性の無いものと、知的で会話ができるものが存在する「グール」といった異種族と遭遇したりする。死の世界に思えたシェルターの外が200年という年月を経て、全く別な世界へ変貌していることをプレーヤー自身が「体験」していくのだ。 この他、山賊から同じ種類の鎧を奪って、それをつなぎ合わせることで完成度の高い鎧に作り直したり、手に入る薬を組み合わせて効果の強い薬品を作ったり、武器を修理・改造してより強力なものにしたりとスキルを育てることでゲームでやれることが広がっていく。どのようにキャラクタを育てるかでも、世界の歩き方は全く違うものになりそうだ。 前述した不発弾のある街でも、プレイヤーの行動によって、大きく展開が変化する。悪人からの依頼を請け負えば、街中の人間を敵に回すことになるかもしれないし、善人に徹すると悪人からは何の報酬も得られなくなったりする。プレイヤーの選択によって世界すら変えてしまうのが、本作の大きなセールスポイントだ。 この他、「サバイバル」もこのゲームの大事な要素だ。水も食べ物も放射能で汚染されている世界で、どう生きていくか。時には乾きのために水を飲まなくてはいけないかもしれない。巨大なハエの肉を体力回復のために食べなくてはいけないかもしれない。スーパーマーケットの廃墟から新鮮できれいな食べ物を手に入れることもあるだろう。この世界はユニークなことにヌカ・コーラの瓶の蓋が通貨として流通してる。壊れた自動販売機を見つけて財産を増やすのもありだ。どう生き抜くか、それもこのゲームの大きなテーマなのである。
今回はあくまで序盤をプレイしたのみだったが、筆者は個人的にSFが大好きで、ずっとこの世界にいて隅々まで探索したいと強く思った。スタッフが人類の未来をどのように考え、どんなテーマを語りかけてくるか、本当に楽しみだ。これだけの情報量と自由度を持ったゲームが、日本語で楽しめることを素直に喜びたい。1ファンとして、発売を心待ちにしたい。
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□ベセスダ・ソフトワークスのホームページ (2008年10月9日) [Reported by 勝田哲也]
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