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9月9日にバージョンアップが実施された。今回のバージョンアップは一言で表現すると“改革”だ。完全な新規コンテンツと言えるものは少なめだが、プレイしやすくするための新システムの導入や、既存コンテンツの仕様変更が多い。 “プレイしやすくするための新システム”から、注目はなんといっても「レベルシンク」だろう。パーティ時に任意でジョブレベルを制限できるようになり、レベル差のある人とも一緒に遊べるようになった。また、「楽な相手だ」「丁度よい相手だ」のモンスターから得られる経験値量が増加していて、ソロプレイが楽しみやすくなった。 “既存コンテンツの仕様変更”で見逃せないのは、「ナイズル島アサルト仕様の変化」だ。人気の高いバトルコンテンツがより遊びやすく変化した。この「ナイズル島アサルト」の魅力には、バルラーンの秘宝こと「ミシックウェポン」関連として、待望の各ジョブ専用ウェポンスキルを習得できる新たなクエストが加わっている。
今回はバージョンアップ内容をお伝えする早期レポート版として、「レベルシンク」、「経験値量の変化」、「ナイズル島アサルトの変化」を中心にお伝えしていこう。なお、バージョンアップ内容について詳しくは、公式サイトの「2008.9.9 バージョンアップ」をご覧頂きたい。
2008/09/09 VERUPより抜粋
また、高レベルに到達した冒険者比率の高さから、レベル帯分布に空洞化現象が起きていた。レベル上げをしたくとも、近いレベルの冒険者が揃わないことが大変に増えていた。 この状況に登場した待望の新システム「レベルシンク」は、「パーティ内いずれかのPCのレベルを基準に、そのレベルを上回っているPC全員を同一レベルにシンクロさせ、パーティメンバー全員が経験値を取得できるようにする」というものだ。レベルシンクの対象にしたパーティメンバーのレベルへと、他のメンバーのレベルを下方向に可変させることができる。 それも、装備品はシンクロしたレベル相応に性能が制限されるものの、シンクロ前のレベルで装備可能だったものが自由に装備できる。経験値やメリットポイントもシンクロ後のレベル基準で100%獲得できる。また、スキルはシンクロ後のレベルの限界値となる。シンクロさせたレベルそのものとなって、経験値等を完全にもらえるというわけだ。 友人と一緒に遊ぶとき、好きなジョブでパーティを組んでレベルシンクを使えばいい。また、パーティを作っているときに近いレベルの人がいないというときも、他のレベル帯でパーティ希望を出している人にレベルシンクで参加しませんか? と持ちかければいい。希望を出して誘いを待つ側も、サーチコメントに「シンク○」といったように記載すれば、よりわかりやすいだろう。 レベルシンクでのプレイで、リミットポイントも獲得できるというのは大きな魅力だ。パーティでのリミットポイント稼ぎは、レベル75を基準に、効率が特に重視されてきたが、それだけにジョブに対して向き不向きがつけられてきたところがある。これからはレベルシンクによって、レベル上げのシーンの中でリミットポイント稼ぎができる。レベルを上げたい側、メリットポイントを稼ぎたい側双方に嬉しいし、もちろん従来のリミットポイント稼ぎのうま味が失われるわけでもない。 ただ、レベルシンクが導入された以後にも、レベル上げのシーンに対して人気のジョブ、不人気のジョブというのは依然として残るだろう。むしろ、レベルシンクでパーティを組む自由度が増したぶん、そこが浮き彫りになるのかもしれない。今後にさらなるジョブバランスの調整を望みたいところはあるし、そこにはレベルシンクを考慮した新しいバランス感覚が必要になってくると思える。ここは今後の課題となっていくのだろう。 ● 実際にレベルシンクで遊んでみる! 装備品の能力補正はマイナスに注意
レベル58のメンバーにシンクロして、アトルガン周辺でレッサーコリブリと戦ってみた。レッサーコリブリの強さは「とても強そうだ」の表示だったが、ほとんど目立った遜色はなく戦闘ができた。そして、倒したときには134ポイントの経験値を得られた。装備を準備する手間もかけずにすぐに戦闘した結果としては、かなりいい手応えだ。 装備品の能力の制限はかなり大胆に行なわれる。高レベルの装備品の多くには、ステータスをアップする性能が多く付いているが、シンクロしたレベルによってはばっさりと削られていた。アイテム詳細のヘルプメッセージ表示は変わらないので、ステータス値で確認する。表示も可変して欲しいところだが、アイテムに今まで以上の情報を持たせなければいけないだろうから、難しいのかもしれない。 ざっと試した感想では、高レベル装備がレベルシンクによって制限されたものより、シンクロしたレベルの適正レベルの装備(例えばレベル50なら装備レベル50近辺の装備品)のほうが性能が上になるような補正のようだ。 例えば、胴装備の「ナラシンハベスト(装備レベル74~ 防46 STR+3 VIT+3 命中+4 回避+4)」をレベル30にシンクロした状態で装備すると、STR+3 VIT+3はどちらも0になっていた。おそらくは数値には見えない命中も0に近い数字になっているのだろう。なお、回避については、レベルシンクの仕様上、無効化される。 ここでもっとも重要なのは、マイナス効果は補正されずに元のまま残るということだ。「パラースの腕輪(装備レベル60~ 防15 HP+35 STR+9 DEX-5 AGI-5)」をシンクロレベル30で身につけると、STR+1 DEX-5 AGI-5というデメリットのほうが圧倒的に大きい装備になってしまった。レベルシンクでは逆効果になる装備もあるということは覚えておこう。 この例はシンクロレベルを30まで落としてレベル60~70台の装備を付けているので、レベル30相応に装備品の能力が大きく補正されたが、もう少し高いレベルにシンクロした場合だと大部分の性能が保持されていた。例えば、シンクロレベルが58の場合だと、各装備のステータスアップ効果が1ずつ減少した程度になっていた。 装備品の能力に、元からマイナス効果があるものには気をつけないといけないが、適正レベルの装備品の価値やメリットを残しつつの順当な補正がかかるという印象だ。補正具合うんぬんよりも、任意にレベル制限が可能になったこと、装備品もそのまま流用できることのメリットの大きさが、圧倒的に勝っている。なにしろ今までは、装備するもなにも一緒に遊ぶことすらできなかったのだから、この変化は大きい。
● レベルシンクするときは安全な場所で行なおう! レベルシンクには、レベルシンクを使わないときと比べて有利になりすぎたり、または悪用されてしまわないよう、以下のようないくつかのルールが設けられている。詳しいルールは公式サイトの「2008.9.9 レベルシンク」という解説ページをご覧頂きたいのだが、中でも気をつけないといけないものを挙げていこう。 まず、レベルシンクを設定すると、それまでにかかっていた強化魔法の効果などが消えるということ。特に重要なのが、スニークやインビジなどの魔法効果も消えるということだ。周囲に感知能力のある好戦的なモンスターがいるときにレベルシンクを実行すると、その瞬間に襲われることになる。レベルシンクを設定するときは安全な場所で行なおう。 また、ソロ状態だった冒険者が同エリア内にいるレベルシンク中のパーティに参加すると、参加した瞬間からレベルシンクが適用される。それまではモンスターに襲われないレベルだったとしても、パーティに入った瞬間から襲われてしまったということになりかねない。この事故を防ぐために、レベルシンク中のパーティに誘われると赤文字で注意が表示されるようになっているのだが、移動中は危険だということを誘う側、誘われる側ともに意識するようにしよう。
最後はシステム的なことではなく、レベルシンクを駆使したプレイからの注意点だが、スキルの上昇の上限はシンクロしたレベルに制限される。つまり、レベルシンクで特定のレベル帯のプレイばかりを続けたりすると、スキルがレベルに対して追いつかなくなることもあり得る。別途スキル上げパーティに参加したり、もしくは適度に自身のレベルでパーティプレイをするように意識したほうがいいだろう。
2008/09/09 VERUPより抜粋
その変化は、“レベル制限前に装備していた装備品を装備しつづけることができる”というものだ。これはパッと見ただけだとレベルシンクの一環のように思えるが、“レベル制限エリア”ではレベルシンクは行なえないし、行なう必要もなかった。 実際にプロミヴォンに入ってみたところ、エリアに入った段階で従来どおりレベルが制限された。だが、装備はエリア移動前のままだ。ログにはレベルが制限されたことと共に、装備品の能力が制限レベル相応の能力に制限されるという内容が表示がされた。この装備品の能力制限は、レベルシンクと同等の仕組みが取られている。能力の制限度合いもほぼ同じと見てよさそうだ。 これにより、「プロマシアの呪縛」のミッション、または印章BFやENMなどレベル制限エリアに挑戦する際の手間が、非常に簡略化された。実際のところ、例えば「プロマシアの呪縛」のミッションは、ミッションそのものの難易度もあるが、レベル制限ごとに装備を用意する手間がかなり大きな負担となっていたはずだ。
レベルシンクでの装備品能力の制限同様に、適正レベルの装備品のほうがおおむね性能が上という傾向はあるようだが、装備を別途用意する手間なく、そのままでも挑んでいけることはかなり大きな恩恵といえる。「プロマシアの呪縛」ミッションには、これまでにも数々の緩和がされてきたが、参加の手間が軽減されて挑みやすくなり、お手伝いもしやすくなったということで、もしかすると最もクリティカルな緩和と言えるかもしれない。
2008/09/09 VERUPより抜粋
・各武器の最初のウェポンスキルを習得するために必要な武器スキルが、10から5に引き下げられました。
・以下の種族に分類されるモンスターの一部の特殊技の威力や発動頻度が、低レベル帯を基準に調整されました。これにより、低レベルのPCでも当該のモンスターと戦いやすくなっています。
実際に戦ってみたところ、「丁度よい相手だ」のモンスターからは90または80の経験値を、「楽な相手だ」からは70または65の経験値をもらえた。まったりと自分のペースでソロプレイを楽しみたいという人にとって嬉しい調整だ。 また、最初のウェポンスキルを習得する武器スキルが5に引き下げられたほか、マンドラゴラ族、キノコ族、クロウラー族、トカゲ族の特殊技の威力や発動頻度も調整されている。いずれも、レベル1からの新規ジョブプレイ時にうかつに手を出すと危険な種族たちだ。経験値増加とあわせて、ソロプレイ期間を以前よりスピーディーに終えられるようになった。以下、わかりやすい変化をまとめておくので参考にしてもらいたい。
・毒の効果時間短縮とダメージ量をレベル可変に(低レベル帯では弱体)
2008/09/09 VERUPより抜粋
・だいじなもの「幻灯のカギ」を所持している場合、新たに踏査を開始する階層を1~96ブロックのいずれかより任意に、5ブロック単位で選択できるようになりました。
・これまで伝送の幻灯"Rune of Transfer"を操作したPCのみにしか記録されなかった最高踏査ブロックの情報が、他の参加メンバーにも記録されるようになりました。各々が保持している記録と同じ、またはそれより手前のブロックから踏査を開始し、記録よりも先のブロックの攻略に成功することで、最高踏査ブロックの情報が自動的に更新されます。
・これまで100ブロックに出現するモンスターのみから入手可能だったジョブ専用の武器各種が、ナイズル島に出現する他のモンスターからも入手できるよう変更されました。また、100ブロックに出現するモンスターを倒した際、ランダムに決定されたジョブに対応する武器を1つ、さらに、だいじなもの「幻灯のカギ」を所持しているかどうかに関わらず、伝送の幻灯"Rune of Transfer"を操作したPC のジョブに対応する武器を1つ、合計2つの戦利品をパーティが取得できるようになりました。
まず大きいのは、最終層である100ブロックをクリアしたときに、踏査ブロックの情報消去がされなくなったこと。以前までは100ブロッククリアとともに記録が消去されて1ブロックからのリスタートになっていたため、100ブロックに挑むに挑めないという状況が生まれていた。今回から記録が消えなくなり、だいじなもの「幻灯のカギ」を持っている場合は、踏査開始時に1~96ブロックの任意のブロックから選べるようになった。100ブロックをクリアすることに安心と大きな価値が加わったというわけだ。 また、ナイズル島アサルトでは、「5ブロック区切りに記録をすることで、次から続きのブロックに挑める」という決まり事があるが、以前だと記録がされるのは「伝送の幻灯」を操作した1人のみだった。これが、今回のバージョンアップから参加者全員に記録されるようになった。 ただ、ここは少し補足説明が必要で、個々が持っている記録を飛び越えたブロックの記録はされない。つまり、50ブロックまでの記録を持っている人が、別の人の記録に同行して80ブロックをクリアしても80ブロックの記録は得られない。だが、55ブロックのクリアなら記録が更新される。順当に記録を進めていく必要があるわけだ。 これにより、誰が「伝送の幻灯」の操作者になったとしても、横並びの記録がある人には記録更新が行なわれるようになった。記録したブロックから挑むときは、ナイズル島アサルト作戦を成功したときにもらえる「トークン」を消費するのだが、毎回1人がトークン消費をしていては足りなくなってしまう。記録が横並び同士ならトークンの残数を考慮して操作者を交代しながら挑める。 ナイズル島アサルトに関わる最大のトピックは「ジョブ専用の武器」の展開だ。この武器には前回のバージョンアップより、とても重要な価値が加わったが、今回さらに大きな価値が加わっている。また、その武器は以前だと100ブロックをクリアしたときにのみ手に入ったのだが、今回のバージョンアップより他のモンスターもドロップするようになった。 実際にプレイしてみたところ、区切りのブロック(20、40、60、80、100ブロック)にいるNMのほか、普通のNMからもドロップを確認した。試した回は全てシーフがパーティメンバーにいたことも理由のひとつかもしれないが、ドロップ率は高めに感じる。最初の1ブロックにいるNMからもドロップしたので、どのブロックでも関係なくドロップするようだ。 また、ナイズル島アサルトの作戦難易度自体も、以前と比べて易しくなったように感じた。なにぶんランダム性の強い内容なので、難易度を短期間には測れないのだが、敵の殲滅であれば殲滅数が以前より減ったし、特定モンスターの殲滅や駆逐においても配置が楽になったように思えた。
このように緩和点が多く、魅力もさらに増したナイズル島アサルトだが、混雑はかなりのものだ。ナイズル島アサルトは以前からかなり混雑が続いていて、今回のバージョンアップで、コアタイムは完全にパンク状態と言える状況になってしまった。ピーク時も楽々と許容できるようにというのは難しいかもしれないが、なんとか少しでも改善してもらいたいと思う。
レベルシンクによる装備品の能力補正や、レベルシンクが導入されてからのジョブバランス調整、新要素の導入など、今後にはさらに難易度の高い開発が要求されるかもしれない。レベルシンクはまだ導入されたばかりの大規模な新要素だ。それだけにまだ調整の余地も多いだろう。 だが、今回触った限りの印象はとても良くて、それなり以上に現段階でもまとまっていると感じた。なによりも、多少はアンバランスな部分があるとしても、それ以上に、「パーティが格段に組みやすくなる」、「友人ともレベル差を気にせず遊べる」という魅力のほうが遙かに上回っている。 「プロマシアの呪縛」の制限エリアに関しても、装備品の能力補正という方式で気軽に行き来できるようになった。装備品の能力補正という仕組みが加わったことで、レベル制限コンテンツが遊びやすくなったことから、今後はレベル制限コンテンツが増加していくのかもしれない。そうすることで、性能が補正されることなく発揮される適正レベルの装備の価値が上がっていく、そういう流れも生まれていくかもしれない。
「ナイズル島アサルト」に関しては、元より人気コンテンツだったものが、格段に挑みやすくなって魅力を増した。ナイズル島アサルトに挑む理由も増え、バージョンアップ直後の今は人気のピークを迎えているといった印象だ。それだけに混雑状況は残念なので、ぜひとも改善されて欲しいと思う。
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□スクウェア・エニックスのホームページ (2008年9月16日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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