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今回は「アルタナの神兵」のクエストを特集しよう。前半では「学者」と「踊り子」のアーティファクト取得クエストを紹介。学者の物語では「なぜ、軍学者は現代にいないのか?」が語られている。また、踊り子の物語では冒険者にはおなじみのバレリアーノ一座と舞踏団の関わりが綴られる。
また後半では通常のクエストの中からいくつかをピックアップした。戦争という悲しみの多い時代に生きる人々の物語が綴られているほか、現代と過去を行き来できるようになった「アルタナの神兵」ならではの手法として、現代にもその時代の痛みを持ち続ける人の未来を、過去に行って変えるというクエストもある。お楽しみ頂きたい。
このストーリーの中心となるのは、ジョブ取得クエストでも登場した学者のアーリーン、ウルブレヒト、そして2人の師であり、水晶大戦時代のシュルツ流軍学の第一人者と言えるグンサー・シュルツ。また、クエスト中にはあるミッションにも登場する意外な人物も登場する。 クエストの内容に触れる前に、まず学者の成り立ちを振り返っておこう。彼ら学者の知略の源と言える「グリモア」の原典は、ウィンダスのルンゴナンゴ元帥がパピルスに書き残した魔道書とされている。後にこの原典をシュルツ流軍学にまとめ上げたのがグンサー・シュルツという人物だ。
だが、このグンサー・シュルツは水晶大戦より100年以上前に活躍した人物だ。水晶大戦時代のグンサー・シュルツはアーリーンいわく「過去のバストゥークの英雄と同姓同名であられ、百年に一度の不世出の天才」だという。このため、開祖の再来「シュルツII世」と尊称されていたようだ。
アーリーンのもとを訪れた冒険者は、シュルツが行方不明になっていると聞かされる。アーリーンによると、敵情視察で戦場を渡り歩いていたのではないかということだ。アーリーンは古墳を離れるわけにはいかない自分の代わりにシュルツを探して欲しいという。 アーリーンによればシュルツは以前にも行方不明になったことがあるようで、そのときはニコラウスという門下生が発見したそうだ。そのニコラウスは、今はミスリル銃士隊に所属しているという。また、この話の最中には、シュルツの名を聞きつけたウルブレヒトが封書をシュルツに渡すよう頼んでくる。シュルツの安否を心配しているアーリーンとはうって変わって、特に心配をしている様子は感じられない。 場所は変わってバストゥーク共和国。大工房にいるニコラウスを訪ねて話を聞いてみると、シュルツが以前に行方不明になったときは、陣を張って特殊な空間に入っていたそうだ。シュルツはデルフラント戦線に向かった公算が大きいとして、どこかに魔法の陣が張られていないか探してみるのが良いということだった。 ちなみにこのニコラウスは、「アルタナの神兵」のストーリーを展開する連続クエストのバストゥーク編でも登場する人物だ。シュルツ流軍学の門下生だけに、ミスリル銃士隊でも彼は鋭い洞察力を活かせる参謀役を務めている。 ニコラウスからのヒントを元にシュルツを見つけ出すことで、はじまりの物語は幕を降ろす。ウルブレヒトから預かっていた封書をシュルツに渡すと、シュルツもまたウルブレヒトへと宛てた封書を預けてきた。シュルツが身を潜めている場所を暗号で記してあるのだと説明されたその封書は、軍学者たちの運命を大きく変えていく。
……冒険者がシュルツの元を去ったあと、そこには黒い影が蠢いていた……。
● 「暗転」
各国の捜査担当が情報を持ち寄って捜査会議を開くというサンドリア王国へきた冒険者。各国を捜査する軍学者たちは、ウルブレヒトをはじめほぼ全員が集まっていたが、ウィンダスを捜査していたフェンという人物だけがいつまで待っても現われないようだ。捜査会議は中止になり、フェンが進んだウィンダスからのルートを調べることになる。 事件の捜査を担当する軍学者たちは、ウルブレヒトを筆頭に、プライドの高い自信家の集まりだ。互いをたしなめあうような仕草や言動がそこかしこに見られる。アーリーンはそんな彼らを心配し、個別に行動するのを避けるよう冒険者に伝える。だがその心配もむなしく、彼らはフェンの捜索を勝負事にして、それぞれに散っていってしまう。 ひとりになってしまった冒険者は独自に事件の手がかりを探すことになる。フェン失踪の手がかりを見つけた先に待っていたのは、魔道士失踪事件の真相だった。冒険者もまた窮地に陥るが、不思議な力が作用してなんとか危機を脱する。冒険者から事の顛末を告げられたアーリーンの元に現われたのは、連合参謀本部の“ナグモラーダ”だった。
ナグモラーダはあるミッションをプレイした冒険者にとって、忘れようもない人物だ。水晶大戦時代では、この意外な場面での登場となる。騎士たちを引き連れたナグモラーダは事件の陣頭指揮を執り、アーリーンは参謀本部へと連れて行かれてしまう。
● 「真紅のグリモア」 最後のクエスト「真紅のグリモア」は、学者としてさらなる高みを目指して、真の戦術魔道大典を求める狂気と、事件の裏に蠢く真実の物語だ。魔道士の連続失踪事件を追ううちに、軍学者を「戦乱の必要悪」としたナグモラーダ。彼は、戦乱が終息すれば軍学者は表舞台には立てなくなると告げる。 いまだ行方のしれないシュルツ。より明らかになっていく一連の事件の裏側。そして「真紅のグリモア」という言葉。アーリーンは気丈に振る舞うものの、ショックな出来事が重なったことで、錯乱寸前まで狼狽し追い込まれてしまう。
最後の舞台「ルホッツ銀山」では、ある人物との戦いが待ち受ける。その戦いは、相手の攻撃間隔が早く、各種の黒魔法を駆使してくる。6人パーティが必要なほどではないのだが、ソロで挑むのは厳しいかもしれない。2~3人のパーティで挑むのが安全だろう。
踊り子のアーティファクト入手クエスト「未完成の円舞」、「追想のポリフォニー」、「復活のステージ」の物語は“ダンスを踊るうえで本当に大切なこと”をつかむことから始まっていく。そしてポリフォニーでは、ブリリオート舞踏団の団長ライラとあのバレリアーノ一座のバレリアーノが、それぞれの思い、パートをみせて協和しあっていく。 ● 「未完成の円舞」
団員のレアに聞いてみたところ、何が足りないのかを説明するのは難しいという。だが、ライラの母アニカ・ブリリオートはグロウベルグの「幽境の沢」という、妖精が舞う神秘的な場所で才気ある踊り子に教えを授けていたそうだ。自分の踊りに足りないものを求め、冒険者は「幽境の沢」へ向かう。 水晶大戦の時代にいき「幽境の沢」へとたどり着くと、そこには幼い子供のライラとその母アニカの姿があった。妖精が見守るなか踊り、母の教えを受けるライラ。だがそんな親子に、ヒッポグリフが襲い掛かる……。 この場面ではヒッポグリフと戦闘になる。この戦闘は冒険者のジョブが踊り子でないと発生しないため、クエストを受けられるようになったレベル40時点でソロで挑むと大変に危険だ。高レベルの友人に付き添ってもらうのがオススメ。ソロで挑むなら、レベル60前後になってからがいいだろう。
アニカから「ダンスを踊るうえで本当に大切なこと」を教えてもらった冒険者。現代のライラの元へと戻り、レベルアップした踊りを披露すると、それを見たアニカは上機嫌になった。だがその直後、団員のレアから“バレリアーノ一座がこんどジュノにくること、座長のバレリアーノが舞踏団にあいさつしたいと言っているそうだ”という話を聞くと、突然機嫌を悪くしてしまうのだった。
● 「追想のポリフォニー」
水晶大戦時代のジャグナーの湖畔付近では、執事のフェロールがライラが会いたがっている吟遊詩人を捜していた。だがフェロールが見つけたのは戦いの痕跡と壊れた笛。「笛の持ち主もおそらく無事ではないでしょう」と肩を落とす。おそらくフェロールはその後も吟遊詩人を見つけられず、幼いライラにそう報告したのだろう。 冒険者が根気よく探すと、その吟遊詩人を発見できた。だが、彼の笛を修理するには、“ヤグードグルー”というヤグードが調合した魚の“にかわ”が必要だという。一流の踊り子になるために、そして吟遊詩人のために、楽器を扱うヤグードを狙おう。
吟遊詩人の演奏に合わせてダンスを踊ることで、見違えるようによくなった冒険者のダンス。現代に戻りライラに披露すると、冒険者の上達ぶりに驚き、冒険者の入団を認めた日のことを懐かしんで、そのときの“星くず石”を眺める。そのとき、光を失っていた星くず石が光りはじめ、バレリアーノ座長がライラのもとに現われたのだった。ライラとバレリアーノの間にあったある出来事が語られる……。
● 「復活のステージ」
ワイアットはブリリオート舞踏団とバレリアーノ一座でダンスと芸の共演をしてもらいたいということだった。共演の依頼を受け、バレリアーノ一座への連絡も引き受けたライラ。冒険者は共演の依頼書を持ってバレリアーノ座長がよく顔を出すというバストゥークの楽器屋へ向かう。 タイミングよく冒険者と出会ったバレリアーノは、実に面白い企画だと嬉しそうに共演を快諾してくれた。だが、その反応を聞いたライラは、バレリアーノを見返す日がきたと喜び、共演はどこへやら、真剣勝負の日だと意気込むのだった。 このクエストでは踊り子らしく、戦闘ではなくダンスで戦うこととなる。相手は冒険者にとっておなじみのバレリアーノ一座。一座の芸を見ているお客が舞踏団のダンスをみるように、お客さんの好みにあわせたダンスを踊るという直接対決の構図だ。若いお客さんにはワルツ、年配のお客さんにはサンバ、子供にはジグを踊ると喜んでくれる。 つまり、ブリリオート舞踏団を見ているお客さんの好みのダンスを適度に踊って維持しつつ、バレリアーノ一座の芸をみているお客さん好みのダンスを混ぜていけば、こちらのお客さんを増やせるというわけだ。タイミングが難しいわけでもなく、本番前にしっかり練習もできる。何度か練習すればコツが掴めるはずだ。
子供のころ、吟遊詩人の演奏を聴いてダンスを楽しめるようになったライラ。彼女が今、見失っているもの。バレリアーノ座長が夢見ていたステージ。笛の音が、復活のステージを導く。
ここからは「アルタナの神兵」でプレイできるクエストの中からいくつかを紹介していこう。これまでの現代のヴァナ・ディールに、水晶大戦という暗い戦争の時代が加わった。戦争の時代に生きる人々の思い、そうした時代だからこそという、これまでにない味わいの物語が楽しめる。 また、2つの時代を行き来できる冒険者は、現代に生きる人たちがそれぞれに持つ、水晶大戦時代の痛みを癒すことができるのも大きな特徴だ。現代で平穏に暮らす人々に秘められた過去の思い。もし、それを変えることができたら……。そうしたところも「アルタナの神兵」クエストの見所だ。 ● 「コッコちゃんと碧い石」
お母さんのところに話をしにいくと、彼女は傭兵で、いつ戦いで倒れるかわからない身であること、またコッコは戦場で引き取った子で、他に身寄りがないということ話してくれた。もしものことがあっても立派に生きていけるようになって欲しいという。 一方、コッコのところに戻ってみると、コッコはまだ泣きやまずにいた。コッコはどうしても青い石ころが必要だという。シャイリリによれば青い石はブンカール浦で取れるらしい。それぞれの思いを持つミスラの親子のため、青い石を取りに行こう。
このクエストの結末は言うまでもない。母思いの子ミスラと、子供思いの戦う母親の物語だ。ぜひ実際にプレイして楽しんでもらいたい。ちなみにこのクエストでもらえる報酬のアイテムは、単なる気休めではなく、しっかりと高い効果を持っている。想う気持ちの強さは侮れないのだ。
● 「ババン・ナ・ウェイレアのぼうけん」
物語の登場人物(?)はすべてモンスターたち。マンドラゴラの女の子「ウェイレア」、体は大きいけど気は小さいグゥーブーの「アベンツィオ」、お上品でちょっぴり口うるさいモルボルの「ブリハー夫人」、元気で明るい女の子サボテンダーの「カムリン」、都会生まれで物知りトレントの「ダラーじいさん」、みな植物系というなんとも変わった面々の冒険劇だ。 彼らが目指しているのは、「植物の都ネザーストーク」という場所。「ダラーじいさん」は小さい頃にネザーストークに住んでいたことがあったというが、それはまだ球根の頃のことでいまや帰り道もすっかり忘れてしまっているという。「ウェイレア」は都に住むという王子様と出会うために、旅をする。 だがこのお話、最終的にネザーストークは見つからなかったという残念な結末になっており、旅の仲間はそれぞれに旅を続けているかもしれないが、ネザーストークは空想の中の架空の街だから見つからないという締めくくり。子供たちはその内容に呆れてしまう。 落胆したコトは、そのおかしなストーリーに疑問を持ち始める。話の脈絡のなさから、もしかすると寓話ではなく、大戦のころに本当にあったお話なのではないかというのだ。冒険者は実際にウェイレアたちが存在したのか、確かめにいくのだが……。
このクエストは普段は脚光を浴びないモンスターたちが動き回る、一風変わった物語が楽しめる。話の中心がウェイレアたちモンスターであるというだけでなく、その内容もとても不思議なお話だ。水晶大戦時代のロランベリー耕地の南から、彼らの旅を見守っていく。イベントを追っていくだけなので、難易度というのも特にはない。ほのぼのテイストな物語は、結末にも驚かされる。ぜひプレイしてみてもらいたいクエストだ。
あと、筆者が気になったのは、このクエストは一応区切りが付けられてはいるのだが、話の中には説明のついていないちょっと気にかかることがいくつかあったところだ。特に主人公のウェイレアにはなにか謎があるようにも感じたのだが……。もしかすると続きの物語もあるのだろうか? 期待したいところだ。
● 「追憶の風に抱かれて」
さて、水晶大戦時代のロムアルドの元へと行って話しかけてみると、なんだか現代の話とは随分と様子が違う。集中力がなくて失敗つづきだというのだ。なんでも彼はグロウベルグで死んだはずの父の声を聞いたという。事故で亡くなったという彼の父親は最後に何かを言い残そうとしていたらしい。もしかすると今でも何かを伝えようとしているのでは、と気になってしまうそうだ。
グロウベルグの展望哨へ行き兵士に話を聞いていると、どこからか、不気味な雰囲気のガルカが現われ、気になる話をしてくるのだが……。このクエストは大戦という厳しい時代を生きる兵士たちのちょっと変わった逸話が楽しめる。特徴として、クエストの報酬をもらったあとに、後日談が存在する。その後日談では、ちょっと不思議な出来事が楽しめる。このクエストをやるなら、ぜひ後日談まで楽しんでもらいたいところだ。
● 「枯れずの太陽」
というわけで、現代のウィンダス鼻の院を訪れてみると、マジュナジュはもっと荒れていた。彼はある本を手に入れて、ついに研究の糸口を掴んだようだったが、必要な材料は大戦終了後に絶滅が確認されているという。十数年を費やした結果のあまりにも厳しい現実にすっかり落胆してしまっている。彼の研究は、病に苦しむある人を救うための研究なのだという。この状況を変えられるのは、もちろん冒険者だけだ。
ちなみにこのクエストは、「追憶の風に抱かれて」と同様、報酬のアイテムをもらった終了後に後日談が用意されている。もしも未来を変えられたなら、そしてその結果はどうなるのか。そこまでしっかり見届けよう。
● 「真心の温度」
どうやらアイリーンがそうした性格になってしまったのは、大戦時代のつらい体験が原因だという。子供の時の親友が何も言わずに突然姿を消してしまったのだ。アイリーンはそれから毎日その子を待ち続けたが、その子が現われることはなかった。
アイリーンの親友、カルラは彼女へプレゼントを用意していた。そのプレゼントは、冒険者が水晶大戦時代で取り戻すことができるのだが、そのプレゼントの入手先はある悲しい現実を物語っている……。
● 「漁師の錨」
このクエストは、実質「マメ料理の隠し味」と内容が大差はない。なにしろ同じ料理を作るための材料探しを手伝うからだ。ただ、「マメ料理の隠し味」をクリアした冒険者なら当然、その料理にピッタリ合う調味料を知っているはず。名物料理誕生の歴史的瞬間をその目で確かめてみてはどうだろうか?
それ以外にも通常のクエストをいくつか紹介したが、いずれも味わい深い物語が楽しめる。大戦時という明日をも知れない時代を生きる人々、そして現代に至ってもその頃に負った痛みを持つ人々。2つの時代を行き来できる冒険者はそれらを変えることができる。ケットシーの言う「時代に流される嘆きの涙がすこしでも少なくなるよう働きかける」というのは、そういうことなのだろうか。
特徴的なのは、クエストの見せかた、イベントシーンの見せかたの進化だ。より印象的な見せかたになるよう、構図や間を測って細かに作っているのが感じられるクエストが多い。そうした観点や内容と報酬もあわせ、筆者のお薦めは「コッコちゃんと碧い石」だ。また、後日談が楽しめるクエストもあるので、そちらもしっかり抑えて物語を楽しんでもらいたい。
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□スクウェア・エニックスのホームページ (2008年8月29日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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