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執行役ホーム&エンターテイメント事業本部長の泉水敬氏は、冒頭の挨拶で「今年で4回目の年末商戦を迎えるが、それまでの道のりは決して平坦なものではなく、順調な展開ではなかった」としながらも「今、Xbox 360には“これまでにはない何か”が起き始めていると感じている。本日はみなさんにも、そんな何かを感じていただければと思います」とコメント。 具体的な数字こそ示さなかったものの、2008年現在までの本体販売台数、ユーザーひとりあたりのゲーム所有本数が高水準で推移していることをグラフで提示。6月に開催された「Xbox 360 RPG Premiere 2008」後の約3カ月間は、「テイルズ オブ ヴェスペリア」の発売を機に大きな伸びを見せたという。 泉水氏によれば、これまでに発売されたタイトル数は約300本。新作以外にも、10月23日と11月6日には「Xbox 360 プラチナコレクション」計6タイトルが発売され、今回発表されたものも含めマイクロソフトは来春までに約100タイトルを追加。今後もさらなるタイトルの拡充に努めるとしている。
ここから先は、会場で発表された新作タイトルから主だったものを順次ご紹介していく。
■ フロム・ソフトウェア「NINJA BLADE(ニンジャブレイド)」
ジャンル名から「よくある映画的表現を意識した作品?」と先入観を抱かれそうだが、この点について竹内氏は「ただ映画のようなゲームではなく、ゲームのなかで映画のような体験ができるアクションゲーム」と説明する。昨日できあがったばかりという実機映像ムービーでは、新宿駅など都内のランドマークで主人公のNINJAが激しいアクションを展開。ヘリからダイブしたNINJAが魔物と空中で格闘しつつワイヤーアクションで摩天楼のなかに突っ込んだり、その場で敵NINJAや巨大な魔物と対峙するシーンなどは、語弊を恐れずにいえば「O・TO・GI」シリーズや「メタルウルフカオス」を連想させる“計算し尽くされた破壊のカタルシス”が見てとれた。 本作は、主人公のキャラクタデザインに「ロストプラネット」シリーズのデザイナー中岡恵司氏 (株式会社カプコン)、音楽に「メタルギアソリッド3」主題歌などを手がけた日比野則彦氏 (株式会社ジェム・インパクト)、イベントシーンなどのアニメーション演出に川崎逸朗氏 (株式会社プロダクション・アイジー) といった著名クリエイターを起用。巨大な魔物との対峙シーンなども、この手の作品にありがちな単なるこけおどしに終わらない、本当の意味で臨場感あふれるカメラワークが見られるなど、現時点ですでに胸の高鳴りが止まらない。
発売予定は2009年初頭。10月に開催される東京ゲームショウには、本作の体験版が出展されることも明らかにされた。筆者などは竹内氏が手がけている時点で既に鉄板と思っているくらいだが、それでもまだ確信がもてないという慎重な人は、東京ゲームショウで実際に体験してみるしかないだろう。
■ カプコン「グランド・セフト・オートIV」、「バイオニックコマンドー」、「ストリートファイター IV」、「バイオハザード5」
「そんなたいしたもんじゃない。単なる苦労話(笑)」と前置きしつつ稲船氏は「『ストリートファイター』や『バイオハザード』など、カプコンは昔から世界で売れるタイトルを数多く作ってきてはいるんですけど、実際今まで作ってきたタイトルは“ある種のクリエイター主導”で売れていたと思います。それではどうしても波があるし、なかなかうまくいかないことがある。やはり戦略的、会社全体で世界に向けた考え方をしましょうということで、Xbox 360立ち上げ時に『デッドライジング』と『ロストプラネット』を企画した」という。 だが、会社全体といっても各タイトルへの理解はなかなか得られず「デッドライジング」であればブラック・ユーモアへの不理解や「バイオハザードとの違いがわからない」といった意見、「ロストプラネット」であれば「日本ではある意味嫌われているシューターというジャンル(稲船氏)」に対する巨額の投資に拒否反応が出るなど、反対意見のほうが多く大変な苦労をされたという。 稲船氏は「そのなかで一番大切なのは、いかに売れるかよりも、どういう作品で勝負するか。E3などをここ数年見ていたなかで、アメリカやヨーロッパの優れた作品や技術と勝負したい。海外と勝負したいという気持ちを持ってやれるかというのが、一番大切だったのかなぁと思います。そこで、どうしても譲れないものは経営と戦ったりとか、ケンカしたりとか。それが、これからグローバルで勝ち抜くための力……クリエイターがそういう気持ちでやっていくことが凄く大切。カプコンには、そういうクリエイターが数多くいたということと、ボクのほうでも先頭に立たせてもらって戦ってこれたのが良かったのかなぁと思います」と説明する。 ただし、いずれも単発で終わらせてはいけないと稲船氏は力説。そんなカプコンが「今期の勝負タイトル」として掲げるのが「グランド・セフト・オートIV」、「バイオニックコマンドー」、「ストリートファイター IV」、「バイオハザード5」の4タイトルだ。 「グランド・セフト・オートIV」は、シリーズ販売本数が7千万本を超えるモンスタータイトル。稲船氏は「うらやましい!」といいつつも「こういう作品を日本で紹介できるのはカプコンにとっても幸せ。グローバルに展開していく戦略のなかで、カプコンが世界で勝ち抜いていこうといった(気持ちを抱く)キッカケになったかもしれない」とコメント。10月30日発売予定。 「バイオニックコマンドー」は、日本ではアーケード、ファミコン、ゲームボーイでリリースされた「トップシークレット(副題:ヒットラーの復活)」を3Dリメイクしたもの。稲船氏がカプコンに入社してロックマンシリーズを作っていた際に隣の開発チームで作っていたタイトルといい「カプコンらしい、やりごたえのある凄く難しいゲーム」だったと説明。海外ではカルトな人気を誇り、海外にいくたびにプレスから「続編は出ないのか!」と質問されたという稲船氏。Xbox 360のパワーをフルに使った3Dワイヤーアクションで、2D以上に調整が難しかったという。こうした旧作のリメイクは、カプコンが考える新しい戦略のひとつで、グローバル戦略のひとつのあらわれだと説明。発売日は未定だが、近日中に何らかの形でユーザーに届けたいとしている。 「ストリートファイター IV」は、現在アーケードで稼動中の対戦格闘ゲーム。「カプコンという名前よりも“ストリートファイター”のほうが知れ渡っている。ボクが開発統括になったとき、どうしてもやりたかったタイトルのひとつ。カプコンは“ストリートファイター”に育てられ、存在している。その時代を見てきた人間としては、どうしてもストリートファイターの最新作を作りたかった」とコメント。大ヒットした「ストリートファイターII」がベースで、2Dキャラクタの良さを生かした作り。稲船氏の思い入れも一方ならぬものがあり、デモに登場する墨絵的な表現は「まだまだ日本は世界に通用するんだ。欧米の手法を基にしたやりかたではない、日本を意識しながら世界に勝てる作品を作りたい」という気持ちのあらわれだという。発売日は未定。
Xbox 360のハードパワーが生み出す多数の敵。ひとりでは対処しきれないため、ワラワラとむらがってくる敵の群れを効率よく倒していきたい……が、天井に穴を開けた敵がボトボト落ちてきて圧迫感に拍車をかける。協力プレイでは、プレイ中に行なわれるキャラクタ間の会話にも攻略のヒントが隠されているという。デモプレイでは「このままではラチがあかないから外に出よう!」とメッセージが表示され、ふたりで窓をぶちやぶって脱出するシーンが確認できた。 部屋の広さは前作の4倍。建物を利用して隠れることもできるが、先ほどの巨大な斧を持った大男が壁をぶち破って侵入してくる。外に出て戦うふたりだが、数の暴力の前に少しずつ追い詰められていく。グレネードなどの強力な武器で反撃すると、一定範囲にいた敵キャラクタが悲鳴をあげて四散または炎上していく。だが、ここでプレーヤーキャラクタのひとりが大男に捕まってしまい、地面にたたきつけられる。見上げた先には、今にも振り下ろされようとしている巨大な斧。このとき、特定の操作で回避を促す表示が出た……のだが、残念ながら反応できず。物凄く嫌な音とともにゲームオーバー。ホラー映画では第三者だが、ゲーム内では自分が操作していたキャラクタだけに、そのインパクトは計り知れない。本当に怖い。会場からも「うわぁ」といった声が漏れていた。
巨大スクリーンで見ていたこともあるが、それ以前にグラフィックのクオリティがあまりにも凄まじく、名作ホラー映画を彷彿とさせる緊迫感に全身がこわばり、呼吸さえ忘れたかのようにジッと見入ってしまった。リアルさも度がすぎるとギャグになるというが、本作はそれをさらに一枚超えてしまったかのような印象を受ける。この恐怖と息苦しさは、たぶん、きっとクセになる。2009年3月13日発売予定。10月の東京ゲームショウには体験版が出展される予定。
■ バンダイナムコゲームスとコーエー「ガンダム無双2」
今作最大の特徴は、巨大モビルスーツやモビルアーマーとの戦いが楽しめること。実機ムービーでは、νガンダム対ビグザム、フリーダムガンダム対サイコガンダムという異色の対決が確認できた。巨大な敵はダメージがパーツや手足など部位ごとにわけられており、主砲などは失われ、手足などは表面装甲が破壊されてしまうようだ。ちなみに、巨大モビルスーツやモビルアーマーは「ボスキャラ」扱いになるという。 面白いのは、こうしたダメージの蓄積によって敵の動きが変化すること。ムービーでは、ダメージを受けたビグザムが突如拡散メガ粒子砲を乱射したり、サイコガンダムは周囲にフィールドを展開するといった具合。それぞれ複数のパターンが用意されているようで、どんな動きをするのか今から楽しみだ。
前作に登場したメカはすべて登場するといい、ファンのリクエストから採用を決めていったという新モビルスーツ、「逆襲のシャア」シナリオなど新規要素も多数追加。ボリュームは前作の倍以上になるという。12月4日発売予定。
■ ベセスダ・ソフトワークス「Fallout 3」
本作のストーリーは、1950年代のアメリカ人が想像した未来で起こった出来事という設定。ゆえに、ゲーム中には“古き良きアメリカ”を思わせるレトロなアイテムが随所に登場する。2077年にアメリカと中国が全面核戦争に突入。一部の人間は地下シェルターで生き延び、主人公はそれから200年後に生誕。実演デモでは、ワシントンDCにある出口から、初めて地上に出るところからスタートした。 初めて地上に出るため、明るさに目が慣れない主人公。時間が経つにつれ視界が開けていき、核戦争の傷跡が残る“瓦礫の山”と化した荒んだ風景が飛び込んでくる。本作は「The Elder Scrolls IV: Oblivion」同様“基本的には何をしても構わない”というアクションRPG。大小さまざまなクエストが用意されており、メインクエストの総ボリュームは100時間に及ぶという。ちなみに、今何のクエストをやっているのか、これから何をすればいいのか知りたいときは腕に装着されたツールを起動させればいい。 世界全体マップは、行動やクエストのクリアを経て少しずつ広がっていく。この世界は資源が枯渇しているため、あちこちに落ちているアイテムを回収しなければならない。回収するだけでなく、ガソリンが入った車は敵と戦う際にトラップとして利用可能。敵ではなく側にある車を撃つと、簡易爆弾のようにして使える。「The Elder Scrolls IV: Oblivion」同様、敵からアイテムを“する”ことも、その逆もまた可能。デモプレイでは手榴弾を敵のポケットにつっこんで爆死させるという仰天プレイも披露された。
プレイ中の視点はFPSとTPSの切り替えが可能。グラフィックのクオリティが秀逸で、日本人に一番わかりやすい表現でいえば「世紀末」がとても丁寧に描かれている。いずれにせよ、コアなゲームファンなら見逃せない怪作であることに間違いはない。12月4日発売予定。また、ネットワーク配信について日本でも対応することが明らかとされた。 (C)2008 Microsoft Corporation. All Rights Reserved.
□Xboxのホームページ (2008年9月1日) [Reported by 豊臣和孝]
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