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NTTドコモ iアプリ仕様チームインタビュー(前編)
iアプリの歴史を総まとめ。ネットで先を行くモバイルゲーム

6月23日 収録

会場:NTTドコモ本社

 携帯キャリア各社の夏モデルがおおむね出揃ってきた。ワンセグ強化、スタイルアレンジ、防水端末などの新たなトレンドが生まれ、さらにiPhoneの発売が各所で大きく取り上げられるなど、携帯電話業界は大いに盛り上がっている。

 ただモバイルゲームについては目だった発表もなく、ややおとなしい印象を受けた。ゲームプラットフォームとしてかなり成熟してきて、あまり頻繁に大きな話題が出なくなったということかもしれないが、実際のところ、キャリアではどういった動きがあるのだろうか。

 そこで今回、株式会社NTTドコモのプロダクト部 第一商品企画担当課長の平松孝朗氏、同担当主査の神谷大氏、同担当の村上圭一氏に、同社のプラットフォームであるiアプリを中心に、モバイルゲームの歴史と今後について伺った。



■ “10KB”から始まったiモードの歴史

――まず簡単に自己紹介をお願いいたします。

左から、村上圭一氏、平松孝朗氏、神谷大氏。iアプリの仕様を決めるチームに所属している
平松孝朗氏 : 今日のメンバーは全員、プロダクト部の第一商品企画担当に所属していまして、90xiシリーズの商品企画を行なっているチームとなります。90xiシリーズはNTTドコモのハイエンドの携帯電話ということで、新しい技術を入れやすい傾向にあります。第一商品企画のチームは商品企画をするだけでなく、要求仕様(シリーズで共通して入る仕様)を検討するチームでもあります。神谷と村上はiアプリの仕様チームに属していまして、製品のこともわかりますし、iアプリについても古くからやっています。

――順番にお話を伺います。まず御社では、iアプリという形でプラットフォームを提供されています。基本的にiアプリというのは、ゲームのために作られたものと考えていいのでしょうか?

平松氏 : 初めからゲームというわけではないですね。ゲームも1つの柱ですが、iアプリは3つの柱を意識して作られています。1つは情報配信プラットフォームとしても使える事。株価チェックのアプリも最初に出ていたと思います。そしてゲームと、ツール系。

 iアプリは、2001年の503iシリーズからデビューしましたが、古くは1999年のJavaOneというイベントで、試作機として501iシリーズに載りました。ダウンロードなどは何もできませんが、「テトリス」が動いたりしていました。Javaで書かれたものが携帯電話上で動くというのは、NTTドコモが世界で最初に発表できたと記憶していますが、対外的にはこれがiアプリのスタートという風に見えています。501iシリーズで最初にiモードを始めた時から、既にJavaを携帯上で動かすというプロジェクトは進んでいて、それが商品化されたのが503iシリーズでした。

神谷大氏 : 待受画面や着信メロディをカスタマイズする延長で、ソフトウェアをカスタマイズしたいという要望がありました。ですからJavaはゲームのために入れたというわけではないですね。ただ、割とゲーム系が多いです。

――最初のiアプリはどんな仕様だったのでしょうか?

平松氏 : 今はメガアプリとか言っていますが、一番最初のプログラムサイズは10KBでした。やはり「10KBで何が作れるんだ?」とおっしゃるコンテンツプロバイダ様が多かったです。ただ当時、我々が勇気付けられたのは、古くからプログラミングを見てきた方々に、「少しでもコード量を減らして書く工夫をしてきた自分たちのスキルが生かせる場を提供してもらえた。携帯上で何かが動くということ、また昔のスキルをもう1回蘇らせるということで、頑張り所があるプラットフォームです」と言っていただけたことです。

ドワンゴが2001年に発表した「サムライロマネスク」
 特に印象的だったのは、「サムライロマネスク」というRPG。10KBでこんなものができるとは夢にも思っていなくて、ちゃんとRPGが動いていることにすごく感動しました。

神谷氏 : 本当はもっといろんなことをやりたかったのですが、503iシリーズでは最小限のことに注力しました。電話帳との連携などは504iシリーズ以降になりました。503iシリーズは本当にゲームがスタンドアローンで動くだけ。あとはちょっとネット通信できるくらい、というのがスタートですよね。

――それから徐々にバージョンアップされていくわけですね。次のブレイクスルーはどこだったのでしょうか?

神谷氏 : あの頃は毎年何かがあって、504iシリーズでは、待受画面にiアプリを貼り付け、放っておいても自動でゲーム通信して情報が更新されるというものがありました。その時はJ-PHONEさんが進んでいて、J-PHONEさんのシャープ製端末が3Dエンジンの搭載を始めていました。それと同様の3Dエンジンを載せたのが504iシリーズです。あとは504iシリーズから赤外線が使えるようになったりしています。

 次の505iシリーズが割と大きい変化で、トラステッド機能、いわゆるiアプリDXのようなものが出ました。ここで初めて、一般ユーザーでコンテンツを作る方と、「公式コンテンツプロバイダ」と我々が呼んでいるiメニューサイトで、使える機能を分けることになりました。iアプリDXは、電話帳やメールなど、個人情報を使って何かできるようなものを提供できるようになりました。

 あとはアプリ同士で連携する機能も505iシリーズです。アプリが試合編、トレーニング編といった形で分かれていて、トレーニング編のデータのパラメータだけを試合編に渡すというものです。



■ 900iシリーズのスタートラインは「DQ」と「FF」を動かすこと

――505iシリーズの次は、そろそろ900iシリーズが登場する頃ですね。

900i用として2004年に発売された、スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエスト」(上)と「ファイナルファンタジー」(下)
村上圭一氏 : 900iシリーズはゲームに対する変化が一番大きかったと思いますね。900iシリーズの商品企画をしている時に、900iのiアプリはゲームで行こうということになり、とにかく「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」を動かすというテーマがありました。スクウェア・エニックス様に通い詰めてお話をさせていただきました。あと900iシリーズでは、2Dのゲームに必要なAPIを全て入れ込みました。そしてプログラムサイズは100KBに拡張しました。

平松氏 : あの辺りから、難易度の高い大作の移植があって、iアプリのゲームが両極端になっていく先駆けだったような気がしますね。大作系でガンガン推していくiアプリと、503シリーズの時からやっていたミニゲーム系に。変な言い方ですが、その間のゲームを作りにくくなっていったように思います。

神谷氏 : 「桃太郎電鉄」や「ストリートファイター」といった、割と古い世代も聞いたことのあるゲームが、それなりのクオリティで楽しめるようになりました。

村上氏 : それも「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」に関しては、ファミコンの移植ではなくて、もっとクオリティを上げていました。ファミコンレベル以上のことができつつ、クオリティも上げて移植されていました。

――その次は901iシリーズですね。

神谷氏 : 901iシリーズでは、3Dを強化しました。3Dの映像とサウンドです。あまり3Dサウンドのゲームは出なかったかもしれませんが、「かまいたちの夜」のようなゲームは面白かったですね。ただ、通勤とか通学途中に遊ぶ人が多いので、音で楽しむゲームは辛い。夜、自分の部屋で遊ぶ学生さんとかですかね。

――その次の大きな変化は、903iシリーズになるのでしょうか?

村上氏 : 903iシリーズは、3Dで標準的なOpenGL ESの採用がありますね。ハードウェアで低レベルな部分を直接操作しながら3D表現ができるということで、一部の機種でかなり高速に3D描画ができるようになりました。今は全ての機種でOpenGL ESの低レベルなAPIを使えます。

「メガゲーム」と銘打って、ゲームを前面に押し出して発表された903iシリーズ
――個人的にはやはり、メガiアプリの登場が画期的だと感じています。SDカードなどにデータが入り、データ容量が基本的に無制限になりました。これに対応させた理由はあるのでしょうか?

神谷氏 : パケット定額制が入ったのが大きいですね。通信は「パケ・ホーダイ」があったので気にせず、入っている人は楽しんでくださいという感じで。

平松氏 : あとはその辺りから、グラフィックスのリッチ化が進んでいる割に、データ容量が足かせになり始めていました。そこを最初から開放して、もう少しゲームの作り方の段階で工夫できる余地を作りたいという思いもありました。

神谷氏 : 904iシリーズではVGA液晶機種も登場したりと、急に液晶の精細化も進んで、昔と同じゲームを作ろうと思っても必要な容量が増えたので、そういう所を取っ払わないとできなくなったかなと思います。あとはSDカードも、質の高いゲームをやる方はきっと持っているだろうと思いましたので、使えるようにしました。

――メガiアプリと従来のiアプリとの差異は、容量以外に何かあるのでしょうか?

平松氏 : 容量が増えただけ、というと何ですが。あの段階でかなりのフィーチャーを取り入れたので、そこからはリッチ化、高解像度化という話をしていた時に、容量拡大の必要性が大きかったですね。

平松氏 : NTTドコモとしては、機能的に、あるいはビッグタイトルを最初に導入しているという自負はありました。ただ、いつも発表会を開くと、最大ファイルサイズの話が出てくる。その次に競合他社さんが発表されると、うちよりサイズが大きいというのをアピールされていました。「サイズの制限を取っ払ってしまえば、ああいうことは言われない」という発想が一部にあったかもしれないですね。そこは競争領域ではない、と感じてはいましたが。

神谷氏 : メガiアプリでは、メガといいながらも、容量をフルに使っているコンテンツはあまり多くありません。昔はコンテンツプロバイダ様が何とか容量制限内で作ることに苦労されていたましたが、メガになるとあまり気にせずに作っても、ちゃんと容量内に収まります。今がようやく、コンテンツプロバイダ様にとっては普通に競争できる時期なのかなと感じています。

――904iシリーズから、「直感ゲーム」が入りました。これは名前からしても、まさにゲーム用として考えられたものですか?

神谷氏 : 地図などをスクロールする、というアイデアは企画レベルではありましたが、やっぱりゲームですかね。ミニゲームが流行っていたので、そこに何か1つ工夫できないかなというので、モーションセンシング技術と組み合わせて推していこうという話になって、904iに入れました。直感ゲームは携帯電話ならではのゲームと、「アルカノイド」みたいに過去のゲームが出てきました。今までどおりボタンでバーを左右に動かすのと、端末を傾けると動いていくのと、2通りの楽しみ方が見せられたかなと。「パックマン」もこれでできましたね。

――何かを転がすゲームは昔から色々ありますが、それらが次々移植されていたのが印象的ですね。

神谷氏 : 昔のゲームをちょっと弄るだけでモーションセンサーを使えたので、コンテンツプロバイダ様にとっては、コストを安くできたというのは聞きました。あとはボーリングや釣り、中には“バカゲー”と言っては失礼ですが、1発ネタ的なものとか。

セガの直感ゲーム「北京オリンピックモバイルゲーム」に収録されているハンマー投げ。端末を回してハンマーを投げた後、さらに携帯電話に向かって叫ぶと投擲距離が伸びる
平松氏 : 宴会でみんなで楽しめるといった領域を開拓できました。回して投げたあと、おーってマイクに向かって叫ぶハンマー投げ(セガの「北京オリンピックモバイルゲーム」)とか、たぶん1人ではやらないと思うんです。宴会で携帯のゲームを使えるようになったのはこの頃かもしれません。

 時を同じくして、Wiiが出てきました。Wiiの直感的なアクションに基づいたゲームも、相乗効果になりました。Wiiが発売されてそういうゲームが出てきて、うちの方でも904iにそういう機能があることをコンテンツプロバイダ様にお見せすると、Wiiの流れに上手く追随していけました。904iの発売はWiiの発売から半年経っていたので、その手のゲームが上手く出てきました。

――直感ゲームの流れでは、905iで音声入力に対応していましたね。

平松氏 : 903iではメガアプリでガツンと行って、いろんな制約を取り払った形で、ゲームのプラットフォームとしては完成の域に近づきました。そして904iでエッセンスとなる直感ゲームが入ってちょっとブームになって、905iで直感ゲームにプラスして音を入れました。携帯ならではの変革感も楽しめる、というところで普及してきたなと感じています。

Wオープンスタイルで横にも開くP906i。両手で操作しやすく、横画面でのゲームプレイに優れている
神谷氏 : あと905iくらいからワンセグやフルブラウザが市民権を得て、携帯電話を横に使う文化のようなものができたのが大きいんです。今までは縦が当たり前でしたが、パナソニック様みたいにWオープンスタイルというのも出てきました。

平松氏 : 富士通様も横に倒せますし。

――WオープンスタイルのP905iは私も使っています。縦にも横にも使えるので、ゲームにすごくいいですね。

神谷氏 : なので、今熱いのは横ゲーム。クオリティが高いものは、横を求めているハイエンドのユーザー様が動くと思うので、「機動戦士ガンダム」なども横画面でやると結構売れているようですね。

平松氏 : あとはQVGA(240×320ドット)時代にもAV出力機能を持っている端末はありましたが、やっぱりその時だと、外部出力すると画質が荒くなってしまいました。今はVGA(480×640ドット)で作っているタイトルだと、AV出力して、携帯のキーパッドをコントローラ的に使って大画面で楽しめるレベルには来たかなというところです。発表会のデモなどもそういう展示の仕方をさせていただきました。そういう使い方にも一部普及できているかなとは思います。

――ゲームユーザーとして見ると、905iで液晶がワイドVGAに統一されたのが嬉しいところです。まだワイドVGAに対応したアプリはそれほど出てきていませんが。

平松氏 : 905iから市場的に置き換わりが進んでいるので、コンテンツプロバイダ様も普及台数を横目で見ながら新しいものをリリースされると思います。

神谷氏 : 昔はよく、1,000万台出て、初めてコンテンツプロバイダ様は考え始めようか、ということが言われていましたね。1,000万台出ても、そのうち何割がゲームするんだっていう話もありますが、商売ベースで考えると、やはり数百万台とか1,000万台普及した後に出した方がいいとも聞きますね。それでようやくペイできると。

平松氏 : 後は、メガiアプリが出る前くらいから、「ゲームiガイド」というゲームポータルを始めました。これもお客様導線の確保には結構役立って来たと感じています。お客様がゲームを見つけやすいよう、新機種を出すたびにゲームiガイドを見せています。ゲームに限った話ではないですが、iモードも多様化してきて、コンテンツも増えてきたので、検索して探しやすくするとか、メニューの工夫ということで、ゲームiガイドも紹介されています。

 コンテンツプロバイダ様視点でいうと、ユーザー様の導線確保を狙えるでしょうし、お客様視点では、新しい端末を購入した時に、最近流行りのゲームにご興味があれば、ゲームをここで探していただけます。ゲームiガイドに行くと一通り、流行っているものとか、面白いゲームを紹介しています。メガiアプリが出た時は、メガiアプリ対応ゲームをずらりと紹介したりもしました。

 無料体験版も工夫しています。ゲームに興味はあるけどまだちょっと、といった方もいらっしゃると思いますが、そういう方に無料で体験できるものを提供させていただき、面白いと思ったらそのまま本編の方に行けるようにもしています。ご利用していただきやすい環境を、コンテンツプロバイダ様と協力しながら今も作っていっています。



■ 「誰でもどこでもネットに繋げられる」で先行するモバイルゲーム

――少し話の方向を変えます。弊誌の読者は現状、コンシューマゲームやアーケード、PCゲームなどをプレイしている方が多いのですが、そういう方々がモバイルゲームのどこに興味を持てばいいと思われますか? またモバイルゲームのどういう所がコンシューマゲームに対してアドバンテージがあるとお考えでしょうか。

神谷氏 : たぶん、上手く住み分けているんじゃないのかと思います。私も、ここにいる3人も両方やっていますし。モバイルゲームはちょっとした空き時間にやるとか、寝る前にちょっとベッドでやるとかが多いのかなと思います。

平松氏 : 今でこそコンシューマゲーム機もネットに繋げるようになり、PCゲームをやられてる方にはオンラインゲームも当たり前かもしれませんが、ライトユーザも含めて手軽にオンライン的なゲームを楽しめるのは、携帯ならではだと感じています。携帯は基本の状態で、無条件にネットワークに繋がっていますから、これを活用できるゲームみたいなものが、面白さの中にある気はします。

2001年からオンラインに対応していたコーエーの「信長の野望 i-mode版」
 「信長の野望」なども、携帯版は早くからオンライン化されて、ネットワーク上で国取り合戦をしていました。ネットワークに繋がっていることが、割と何気なくゲームの中のエッセンスに生かされているものがあります。

神谷氏 : あと、ランキングが出るのも楽しいですね。今日のランキングで、あなたは全国で8,000位でした、月間トータルだと5万位ですとか、すぐに出てきます。

平松氏 : 「桃太郎電鉄」などもそういう楽しみ方ができましたね。遊んだ後に自分のハイスコアを更新した、というのが今までのゲームの世界だと思いますが、誰かと戦っているというのが、ゲームの中で味わえます。

神谷氏 : 「サカつく」とかもそうですね。同じレベルの人が誰かいれば対戦、いなかったらCPUが入ってくる。時々、「おまえか!」という時もありますし。そういう、気軽にネットワークと繋がっているのが、1つわかりやすいかと思います。

――どこでも誰かと、無意識につながっているという感覚がいいですね。

平松氏 : 今、ニンテンドーDSやWiiでも、Wi-Fi対応ゲームはありますが、ああいうものの走り的なものは、携帯電話では意外と早くからキャッチアップできていたと思います。あとはメールシステムと絡めたゲームのようなもの。肌身離さず持っている携帯電話がメールと連携したもので、釣堀に釣り糸を垂らして、あとは何もせず待っていると、糸引いてるよ、ってメールが来るんですよ。そういう時間の隙間を使って遊ぶ所を上手くとらえたゲームもあります。

神谷氏 : 恋愛系ゲームもそうですね。1日にプレイできる時間がわざと限られるように作っているものが多くて、ゲーム内の彼氏やホステスからメールが来て、「おー、来た来た」とかいってゲームを遊ぶ。あとは「A列車で行こう」とかもそうですね。「この電車が使えるようになりました」といったメールが届きます。メールが来ると、実際に手紙をもらっているように感じて、感情移入できるというのも面白いですね。

平松氏 : 隙間時間をうまく使わせるというところと、心理的なところと、両方を上手くコンテンツプロバイダ様も工夫されていると思います。この両方ができるところが、モバイルゲームならではという気がしますね。

 昔1度、プレイステーションとの連携を目指してやってみました。育成ゲーム系などのビッグタイトルをゲーム機で遊ぶときにも、強くするまで時間がかかって大変だったりするじゃないですか。ああいうことは通勤の隙間時間にやってしまって、そのデータをネットワークを介して、家のゲームに反映できるようなことを目指していました。

 ただ当時はゲーム機がなかなかネットに接続できませんでした。それを補う為に、携帯電話をPSに繋がるようなアダプタも発売しましたが、9,600bpsと通信が遅いことや、繋げる行為自体がお客様にとっては煩わしさもあったのか、当時、爆発的には流行りませんでした。「首都高バトル」などのレースゲームでも、新しいパーツが携帯と連動して入手できるといった工夫をしていて、コアなユーザーには受けたのですが、一般的な人がそのままゲーム機に携帯を繋ぐというところにはギャップがあったようです。

 今は段々とそういうこともできるんじゃないかと思っています。家庭内の通信環境も整備されてきていますし、FOMAの最高通信速度は当時の直結より速い7.2Mbpsなので、もう少し楽しみ方も工夫できるのではないかと思います。

神谷氏 : あとは、ゲームをクリアしたりイベントをこなすことで、ご褒美に待受画像がもらえたりするのはモバイルゲームならではですね。家庭用ゲーム機で待受画像をもらってもしょうがないですが、携帯だと常に持っていますから、待受画面に貼っておけば、自己満足に浸れる。ほかにも先日、ゲームのスクリーンショットが撮れるものが登場しました。その画像をそのままBlogにアップするとか。我々もそういう機能は提供しています。

平松氏 : ネット上を検索すると、ゲームの攻略を書いているBlogが多いですが、iアプリの攻略でスクリーンショット撮れるようになっていれば、例えば「この画面の右下のここでアイテムゲット」といったことを書けたりもするので、スクリーンショット機能を結構活かせていますね。

神谷氏 : 携帯電話だけで、ゲームをやって、そのままBlogにアップできます。あとコンテンツプロバイダ様としては、口コミを狙っているらしいですね。そういう機能を設けておけば、スクリーンショットアップしてくれると。

――ゲームの内外で、通信がどこでもできるというのはいいですね。私も「クイズマジックアカデミー」をプレイして、どこでもリアルタイムに対戦できるというのは強いと感じました。

平松氏 : 場所を問わず、携帯は肌身離さず持っているという点で、電車の中を見ていると、ポータブルゲームよりも、携帯を触っている人の方が多いですよね。やはり手軽なんでしょうか。

神谷氏 : 30代くらいの人でも、よく電車の中で麻雀や「テトリス」をやっている気がします。

(後編に続く)

「サムライロマネスク」(C) 2001 DWANGO Co.,Ltd.
「ドラゴンクエスト」(C)1986-2004 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
「ファイナルファンタジー」(C)1987,2004 SQUARE ENIX CO.,LTD.All Rights Reserved.

□NTTドコモのホームページ
http://www.nttdocomo.co.jp/
□iモード ゲーム情報ページ
http://imode-press.jp/imode/top/sitelist/03page3003.htm
□「直感ゲーム」のページ
http://imode-press.jp/imode/top/tyokkan/index.html
□関連情報
【6月25日】NTTドコモ、iモードサイト「クラシックゲームコーナー」開設
懐かしいゲームが楽しめるゲームサイト
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080625/docomo.htm
【5月28日】NTTドコモ、新型携帯電話「906i」シリーズなどを発表
「レイトン教授」などがプリインストールアプリで登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080528/docomo.htm

(2008年7月30日)

[Reported by 石田賀津男]



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