★PS3ゲームレビュー★
情報戦を制することが勝利の鍵だ!
「メタルギア オンライン」 |
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- ジャンル:オンラインゲーム
- 発売元:KONAMI
- 価格:8,800円(「メタルギア ソリッド 4」通常版)
9,800円(「メタルギア ソリッド 4」スペシャルエディション)
49,800円(PS3 MGS4 WELCOME BOX with DUALSHOCK3)
51,800円(プレミアムパック)
1,800円(「メタルギア オンライン」単体版)
- プラットフォーム:プレイステーション 3
- 発売日:発売中(6月18日)
7月17日(『メタルギア オンライン』単体版)
- CEROレーティング:D(17歳以上対象:「メタルギアソリッド4」)
C(15歳以上対象:「メタルギア オンライン」単体版)
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プレイステーション 3「メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」(以下、「MGS4」)の本編DISCに収録されている「メタルギア オンライン」(以下、「MGO」)は、「メタルギア」の名前を冠していることからもわかる通り、独特なシステム・ルールを持った興味深いゲーム内容に仕上がっている。
「メタルギア ソリッド」を題材にしたオンラインゲームは、これまでにも発売されてきたが、プラットフォームがネットワークに標準では対応していないPS2だったり、同時プレイ可能な人数が少なかったりと、多人数プレイに慣れている人には少々物足りない状況だった。しかし、今回の「MGO」では、プラットフォームがPS3になったことで標準でネットワークに対応している上に、グラフィックスやサウンドの強化、最大16人での対戦、「MGS4」で追加されたシステムを流用した新システム・ルールの追加など、あらゆる面でパワーアップした内容となっている。
今回はそんな次世代機で生まれ変わった新しい「MGO」の始め方から、ゲームの特徴や魅力を順に紹介していこう。
■ 多彩なカスタマイズが魅力のキャラクタメイキング
「MGO」をプレイするには、PLAYSTATION Networkへのサインインのほか、KONAMI ID、GAME IDの作成が必要となる。登録はすべて無料で行なえるので、「MGO」公式サイト接続サポートページを参考に環境を整えてほしい。
いよいよゲームを起動してアクセスに成功すると、最初は自分の分身となるキャラクタの作成から始まる。まず、顔や声を設定した後、装身具を選択する。声の種類は8つもある上、声の高さも設定することができるので、気に入ったセリフの声を決めてから声の高低を決定するといいだろう。また、装身具は頭部やベストなど、9つもの部位に対して形状とカラーを選択できる。このようにして、自分だけのキャラクタを作りあげていこう。
なお、1台のPS3に対して1キャラクタの登録は無料だが、2人目以降のキャラクタを作るにはオンラインショップで「MGOキャラクタ新規登録権」(700円)を購入する必要がある。キャラクタ作成は後悔することがないよう、念入りに行なったほうがいいだろう。
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あまり声を高くすると、変声機を使ったような声になってしまうので注意。ここでは確認できないセリフもあるので、キャラクタ作成後はプリセット無線の内容は早めに確認しておこう
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暗闇で発見されにくくするには、装身具は黒い色をメインにするのがいい。ただし、逆に明るい場所では目立ってしまうので、どのような色彩にするかはよく考えたい |
■ トレーニングでルールと操作法を確実に習得できる
キャラクタを作成したらいよいよサーバーに接続しよう。マッチングにはレベルやプレイしたいルールに合わせて自動的にマッチングしてくれるオートマッチングのほか、ホストが決めたルールに従ってプレイするフリーバトル、「MGO」のシステムに関する訓練ができるトレーニングの3つに大きく分けられる。「MGO」には他の3Dシューティングゲームには見られない、独自のシステムや操作があるため、いきなりネットワーク対戦するよりも、トレーニングを一通りプレイしておこう。
また、トレーニングでは教官のスキルを持つプレーヤーから、教習を受けることもできる。プレイしていてわからないことや疑問に思うことがあったら、こういった教習に参加して教官に聞いてみるといい。なお、教習を受けて卒業認定をもらうと、自分で教習を開くことができるようになる。たまには教習を開いて、自分がプレイして身につけたコツを後からプレイを始める初心者に伝えてあげてほしい。
ネットワーク対戦する際には、最初はオートマッチングがおすすめだ。マッチングに多少の時間はかかるものの、自分のレベルに合ったプレーヤーと手軽に対戦できる。オートマッチングを何回かプレイしてゲームに慣れたらフリーバトルのロビーにも接続してみよう。フリーバトルではホストが決めたルールで遊べるほか、スキル上げ専用のルームが開かれていることもある。本来、スキルレベルは対戦中に上げていくのだが、CQCマスタリーなど実戦の中で上げにくいものがあるのも事実。どうしても上げたいスキルがある人はこういったルームを利用するといいだろう。
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チェスの駒状のターゲットは移動するため、射撃訓練の的として最適だ。人形型のターゲットは掴めるので、CQC(近接戦闘術)の練習に使用するといいだろう
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教官指導では、教官となったプレーヤーからコツを学んだり、他のプレーヤーと模擬戦闘を行なうことができる。教官の言うことに従わないと、卒業認定がもらえず落第することになりかねないので、まじめに指導を受けよう
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■ スキルを選んで自分なりの戦い方を演出しよう
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最初のスキル設定では、どれを選択すればいいか迷ってしまうほど種類が多い。自分の戦い方を想定しながら適切なスキルを選択しよう |
「MGO」にはキャラクタが選択できるスキルが多数用意されており、それを組み合わせることで自分なりにキャラクタの能力をカスタマイズできる。スキルには、武器の取り扱いに熟練し、射撃時の反動を抑えてマガジンのリロードを速くできるサブマシンガンマスタリーや、アサルトライフルマスタリーなど武器の種類限定のスキルのほか、手榴弾の投擲距離を高めるスローイングマスタリーや、自分の攻撃した相手の情報を仲間と共有するエネミーエクスポージャーなど、用途もさまざまだ。どのスキルを選択するか最初は目移りしてしまうだろうが、まずはどんなスキルがあるか一通りためしてみるといいだろう。
ちなみに各スキルには1~3までレベルがあり。スキルを使用し続けることでレベルアップに必要な経験値がたまり、性能を高めていくことができる。スキルレベルを上げるには比較的長時間選択する必要があるため、まんべんなく使用していてはなかなかレベルは上がらない。自分の戦い方が決まってきたら、これと思うスキルを中心にレベルを上げていこう。
ただし、スキルにはコストが設定されており、コストの合計を4以内に収めないとならない。初心者はコストが1のスキルを4つ使いながら自分の戦い方に合ったスキルを探していき、上級者は種類は少ないものの自分の戦い方に特化したスキルを組み合わせることもできる、というわけだ。自分の好きな武器やルールにあわせて、スキルを組み合わせながら戦術を練る楽しみも「MGO」の魅力のひとつといえる。
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スキルをレベル2から3に上げるには、レベル2を選択した状態で戦闘する必要がある。レベルが上がったスキルはここでのターゲットアラートのように、スキル名の左に★マークがつくので、★マークがついたスキルは変更するかどうか考えよう
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コスト2のスキルは、スロットを2つ分使用することがわかるだろうか。逆にここのスローイングマスタリーやエネミーエクスポージャーのように、スキルによってはレベルが上がってもスキルが1のままのものも存在する。ちょっと得した気分かも?
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■ SOPシステムを活用して仲間とのスムーズな共闘を実現!
「MGS4」本編で、兵士間の情報を共有させて歴戦の兵士のような戦いを可能にしていたSOP(Suns of Patriotsの略)。このSOPシステムが「MGO」にも搭載されている。「MGO」のSOPシステムでは、味方の位置や行動、状態を表示して共有できるようになっており、戦闘を有利に進められる。
SOPシステムを有効にするには、味方に近い位置で△ボタンを押してリンクする必要がある。リンクに成功すると、SEと共にリンクした味方がワイヤーフレームのような線で表示され、壁越しでも味方の行動が確認できるようになる。
SOPの利点はさまざま。味方が射撃しているのが見えれば、その射線上に敵がいることが想定できるし、自分が気絶した場合には味方が助けにきてもらえるかもしれない。情報は多ければ多い方がいいので、基本的に味方とリンクするように心がけたい。
ただし、自分を含めてリンクした味方が1人でも敵にスキャニングされてしまうと、リンクした味方の情報がすべて敵に筒抜けになってしまう。万が一スキャニングされてしまったら、チャットでスキャニングされた旨を伝えて味方に注意を促したほうがいい。すぐに連絡できるように、チャットのショートカットに登録しておくのがおすすめだ。
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リンクした仲間は、右上のレーダーでも点滅して表示されるようになるので覚えておこう。点滅していない味方はリンクしていないので、余裕があれば近づいていきリンクするのが望ましい
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攻撃した敵を表示するエネミーエクスポージャーのスキルがあれば、敵の位置も味方と共有できる。このような状況では無理に攻撃せず後退し、奥の味方と挟み撃ちにしたいところだ
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SOPシステムが実戦で役だった一例。壁の向こう側から後ろを取ろうと移動してくる敵がいるので、後退して曲がり角で待ち伏せ。何も知らずに近づいてきた敵をCQCで捕まえることができた。このような行動がとれるのも敵の情報が手に入るSOPシステムがあればこそといえる
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■ カメラを最大限活用して状況判断に役立てるべし!
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曲がり角では、必ず事前に敵がいないか右スティックを使って確認しよう。これだけでかなり不意打ちを受けにくくなる。忘れずに実行したい |
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後方を確認しながら移動すれば、いつ攻撃されても回避しやすい。レーダーで味方がいる位置を確認して、どの方向が危ないかの見当をつけよう |
いよいよ実際のプレイ感について紹介しよう。移動は左スティックでできるが、それほど速くないため、敵に狙われた際に移動だけで避けることは難しい。また、ヘッドショットを食らうと大きなダメージを受けてしまい、反撃する間もないまま一方的にやられてしまうこともある。そのため、敵に見つからないように、障害物などで身を隠しながら移動するのが基本となる。
視点移動は右スティックで行なうが、旋回速度はそれほど速くはない。「MGS4」本編と同じく、R3ボタンを押し込むことでキャラクタが向いている方向に即座にカメラの向きを変更できるので、素早く方向転換するには左スティックでキャラクタを向きたい方向へ向け、R3ボタンを押し込むことで素早く振り向く操作方法を身につけたい。武器を構えて狙いをつける際には、L1キーを押しながら右スティックで照準を動かすことになる。カメラの移動速度はオプションで調整できるものの、個人的には最大にしてもそれほど速く動かせないように感じた。大きな角度の旋回はR3ボタンで素早く行ない、右スティックによる視点の移動は、射撃する際の微調整のみに使うのがよさそうだ。
L1ボタンを押して武器を構えている状態では、キャラクタの正面しか見えないが、構えていない状態では、右スティックを動かしてカメラを変更することで、周囲の状況を確認できるのも面白い。後ろを見ながら移動することで、背後から襲いかかろうとしているプレーヤーを確認して、曲がり角で待ち伏せするなんてこともできる。FPSとは違い、カメラの移動=照準のシステムでは生まれない駆け引きをあえて導入していることも「MGO」ならではの魅力といえよう。
以上のように、「MGO」では隠密行動と状況確認が、より重要な要素となっている。敵を撃つことだけに専念していると、見えない位置の敵から一方的に攻撃を受けてしまうことになりかねないので、カメラやレーダー、SOPシステムなどを有効に使い、常に敵の位置を把握するよう心がけたい。
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敵を攻撃する際には、L1ボタンを押せば武器を構えて肩越しカメラモードで狙いをつけられる。さらに構え中に△ボタンを押せば、より正確な射撃ができる主観カメラモードへの変更可能だ。どちらがいいかは人それぞれだが、敵が近距離なら周囲の状況が確認しやすい肩越しカメラモード、敵が中距離より遠くにいるときは主観カメラモードを使うといい
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■ 「メタルギア」ならではの鬼ごっこが楽しめるスニーキングミッションが面白い
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画面をよく見ると、中央にうっすらとスネークが映っているのがわかるだろうか。これでもカムフラ率は低めで、カムフラ率が80%以上のスネークを見つけるのは非常に難しい |
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ここまで見えれば、さすがに簡単に見分けがつく。日なたではカムフラ率が低下する上に影で居場所がバレてしまうため、物陰を移動するのがスネークの基本だ |
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首尾よく敵プレーヤーを気絶させたら、近寄ってドッグタグを回収だ。回収後は居場所がバレないように素早く別の場所へ移動したい |
ルールも多数用意されている。現在遊べるのは、すべてのプレーヤーが敵同士となって戦う「デスマッチ」、2つのチームに分かれて戦う「チーム・デスマッチ」、ケロタンとガーコ、2つのターゲットを自陣に持ち帰ることを目的にした「キャプチャーミッション」、ステージ上に点在する拠点を奪い合う「拠点制圧・ミッション」、ガーコを巡って攻撃側と防御側で戦う「レスキューミッション」、1人のプレーヤーがスネークとなって他プレーヤーのドッグタグを奪う「スニーキングミッション」、そして7月4日に追加された、ステルス迷彩を使う潜入側チームから2つのターゲットを防御側チームが守る「チームスニーキングミッション」の計7つだ。それぞれ特徴があり、ルールに合わせたプレイングが求められるが、この中で筆者が特に面白いと感じ、メタルギアらしいと感じた「スニーキングミッション」について詳しく紹介していこう。
スニーキングミッションでは、1人のプレーヤーがスネーク(人数が多いときはもう1人がメタルギアMk.IIとしてスネークをサポートする)となって、他のプレーヤーは青チームと赤チームに分かれる三つ巴のルール。スネークは時間内に、他のプレーヤーに倒されないように、他のプレーヤーをホールドアップさせるか気絶させて、ドックタグを3つ奪えば勝利となる。ほかの2チームは、時間内に決められた回数スネークを倒す、または時間切れ時に他のチームのプレーヤーを倒した数が多いほうが勝利となる。
スネーク側は人数的には不利だが、オクトカム(外見を周囲の環境と同化させて、見えにくくなるスーツ)を装備しており、他のプレーヤーからは非常に見つけにくくなっている。また、多数のアイテムを装備していたり、CQCによってプレーヤーを気絶させやすいなど、アイテム・能力的にも有利。ただし、いくら有利とはいえ、数で勝る他チームのプレーヤーに一斉に襲いかかられては多勢に無勢。あっけなく倒されてしまうことになりがちだ。倒されてしまった場合は、せっかく集めたドッグタグの数も0に戻ってしまうため、最後まで慎重な行動が求められる。
青と赤のチームはスネークを探しつつ、別チームのプレーヤーを倒すことも要求される。スネーク探しに夢中になって敵チームに倒されつづけると時間切れで負ける可能性が高まってしまうので、基本的には姿が見つけやすい敵チームとの戦闘がメインとなる。ただしスネークをあと1回倒せば勝利という場面や、プレーヤーを倒した数に大差がついた場合などは、敵プレーヤーよりもスネークを倒すことに専念したほうがいいことも。勝利条件を満たすために、敵チームとスネークのどちらを狙うかの判断が求められるわけだ。
このように、チームごとの駆け引きによる心理戦が「スニーキングミッション」の魅力といえる。スネークそっちのけで敵チームを倒していたらスネークにドッグタグを集められてしまったり、敵チームにスネークを規定回数倒されてしまったりと、大逆転の要素も強い。なにより、スネークとなって、コンピューター相手ではなく人間相手に隠密行動する際の緊張感と、それがうまくいったときの達成感がたまらない。スネークになるプレーヤーはランダムに決められるため、プレイしたいときに必ずスネークになれるわけではないが、続けてプレイしていればいつかはスネークになれるので、ぜひとも一度は人間相手のスネークを体験してみてほしい。
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